1. 子どもたちの可能性を解き放つ、オーダーメイドの学びへ

1-1. オーダーメイドカリキュラムを届けます

  • 現状分析:子どもたちは、学習の進度や興味関心、認知特性が多様です。チームみらいでは、今後の教育は、より一人ひとりに合わせていくことが重要だと考えています。一方で、現在のカリキュラムは「年齢」が唯一の変数になって編成されており、柔軟性に欠けています。
  • 目指す姿: 子どもたちの学習進度や興味関心、認知特性の多様性を前提とし、従来の「年齢」を一律の基準としたカリキュラム編成から、一人ひとりの個性に合わせた教育へ転換します。
  • 政策1_標準授業時数の柔軟化(大綱化): 学年・教科ごとに厳格に定められた現在の「標準授業時数」を見直し、諸外国(2学年単位の韓国や、総時間のみ規定するオランダ等)の事例を参考に、AIによるオーダーメイドカリキュラムに対応できる柔軟な制度(大綱化)を目指します。
  • 政策2_教育コンテンツと学習指導要領の紐付け: 既にコード化されている学習指導要領を、各社の教科書やデジタル教材等の教育コンテンツと密接に連携させ、個々の児童生徒の学習履歴(スタディ・ログ)を詳細に記録・活用できる基盤を整備します。
  • 政策3_客観的なデータに基づく教育の質保証: 制度の柔軟性を高める一方で、義務教育としての質を担保するため、イギリス(教育水準局)やオランダ(教育監査局)の事例を参考に、義務教育終了段階等での到達度チェックを実施し、得られたデータを教育改善に役立てます。
  • 政策4_多様な学びの選択肢と環境整備: 不登校の児童生徒も含め、誰もが学びを継続できるよう、AI等を活用した在宅学習やフリースクールでの学習環境を支援します。
  • 政策5_オンラインを活用した社会性と評価の確立: コロナ禍で得た知見を活かし、オンライン上での交流を通じて社会性を育む機会を提供するとともに、在宅学習における適切な学習評価プログラムを構築します。
  • 【参考データ・事例】日本の小学校・中学校では、学年軸・教科軸の双方に柔軟性がなく、各学年・各教科で何時間の授業が必要かが決まっています。 他方、日本並みに厳格な制度の韓国でも、2学年まとめた規定となっており、日本よりは柔軟です。もっとも制度が柔軟なオランダでは総学習時間だけ決まっており、何を何時間学ぶかは学校・子どもに合わせて決められます。(出典:経済産業省資料

1-2. 子ども一人ひとりに「専属のAIアシスタント」を届けます

  • 現状分析:PISA調査(2022年)における日本の子どもたちの学力は世界トップクラスですが、近年ではそれを維持しながらも、変化の激しい時代に「探究する力」が求められています。同時に、昨年の自殺者数を見ると、児童・生徒では過去最多の529人となっており、子どものメンタルヘルスケアも大きな問題になっています。しかし、ボランティア相談員による「いのちの電話」は、ごく一部しかつながらない、相談員の負担が大きいなど、問題を抱えています。
  • 目指す姿:AIにより、人間では難しかったきめ細やかな教育・支援を実現します。AIが定型的な指導や個別サポートを補完することで、教員と子ども双方に時間の余裕を生み出し、対面でしか育めない社会性や協調性を養う活動に、より注力できる環境を整えます。
  • 学びの個別最適化「AI学習アシスタント」: 子ども一人ひとりの習熟度や興味関心を把握し、計算や英単語などの基礎習得は効率的に、答えのない探究活動では問いかけを通じて自己決定を促すなど、状況に応じた最適な学習サポートを提供します。
    • 計算練習や英単語学習などのドリル的な活動では、個々人の習熟度に合わせたものを効率よく学ぶことができます。
    • 答えのない探究的な活動では、AI学習アシスタントは答えを提示せず、子どもに対して問いかけたり関連する情報を提示したりしながら、子どもの自己決定や自己理解の深化を促します。
    • これらの学習情報を、必要に応じて、保護者や教員、さらには校種を越えて共有することで、より包括的なサポートが可能になります。
    • 【参考】シンガポールでは「Adaptive Learning System」を導入し、生徒一人ひとりに合わせた学習支援を進めています。 またスタンフォード大学の「Tutor CoPilot」実験では、AIが提供するヒントによりチューターの指導力が補完され、生徒の習熟度が大幅に向上しました。 (出典:先端教育オンライン
  • アクセシビリティの向上「インクルーシブAI」: 多様な学習ニーズ(教科の得意不得意、発達障害、不登校、読字の困難さ、外国籍で日本語学習中の生徒など)を持つ生徒もサポートします。たとえば、教材への自動ふりがな機能は、読字に困難のある生徒や日本語学習中の生徒の読解を助け、学習内容の理解を促進します。
    • 【参考】小・中学校における不登校児童数は30万人に迫る勢いです。 2022年度の実績で不登校児童・生徒数は299,048人で全体の3.2%となっています。 現時点でも公教育の学び方にあっていないお子さんが増えてきています。
  • 支援の多層化「AIメンタルアシスタント」: より日常的な愚痴や相談が(匿名でも)24時間365日できる相手であり、内容の深刻度に応じて、具体的なアドバイスの提供や、関係する専門機関につなぐ窓口といった役割も果たします。
    • デリケートな相談内容の扱いなど、解決すべき課題はありますが、前述の「いのちの電話」がつながりにくい現状や、親にも教員にも相談しづらい思春期の子どもの特性を考えると、こうしたAIの導入にはメリットがあると考えます。
  • 実現に向けた方針:基本的な方針として、「危険性が完全に取り除けないからまったく使わない」ではなく、「安全に使える部分はどこなのか」「安全に使うためにどんなことを注意すべきなのか」を丁寧に分析・実装しながら、新たなテクノロジーを使いこなしていきます。
  • 実現の方法1_AIの整備: ChatGPT等の既存ツールを先行導入し、地域や学校種別の偏りがないパイロット校での試行を通じて運用モデルを確立するとともに、保護者との丁寧な合意形成や教員研修、厳格な安全措置を並行して実施します。
    • AI開発の初期段階から、学習障害を含む様々な特性・学習ニーズを持つ子どもたちやその保護者、教育・福祉の専門家など、多様な関係者へのヒアリングを徹底し、具体的なニーズを詳細に把握することで、誰一人取り残さないAI活用を実現します。
    • パイロット校選定にあたっては、地域(都市・農村)・規模(大規模・小規模)・学校種別(公立・私立・義務教育校・特別支援校)が偏らないよう配慮し、得られたフィードバックをもとに全ての学校で運用可能なモデルを確立します。
    • 保護者向けの説明会や情報提供を積極的に行い、懸念や疑問に丁寧に答え、合意形成を図るプロセスを重視します。
  • 実現の方法2_リスク管理体制の確立:「いかに安全に使いこなすか」という視点に基づき、不適切なコンテンツへの制限やガイドラインの継続的な改善を通じて、テクノロジーを積極的に教育へ取り入れます。
    • 文科省とデジタル庁が連携して、義務教育で使うAIが満たすべき仕様を定め、民間で開発してもらい、仕様を満たしたものだけ学校に導入出来るようにします。
    • 教師がAI出力の妥当性を判断・補完する必要があるため、教師向けのガイドラインやフィードバックツールを提供し、また教員研修を通じて、AI出力の正確性や信頼性の判断能力を向上させます。
  • 実現の方法3_データ利活用体制の整備: 学習履歴を校種を越えて共有できる基盤を構築しつつ、秘匿性の高い情報は政府保有のクラウドやオフライン環境で管理するなど、プライバシー保護と安全なデータ活用を徹底します。
    • 今後AIの性能が上がってきた場合には、特に秘匿性の高い情報については、オフライン環境でも扱えるような仕組みを構築することも検討します。
    • 不適切なコンテンツへのアクセス制限、プライバシー保護などの懸念事項は、文部科学省とデジタル庁とが連携し、AIの仕様およびデータ使用のガイドラインを定めることで、子どもや保護者が安心して使える環境づくりに努めます。

1-3. 子どものAIリテラシーを育み、AIと共に暮らす未来を切り拓きます

  • 現状分析:AIは、これからの時代ますます使われるようになっていきますが、現状では誤りや偏りのある回答をすることもあり、使い方によって毒にも薬にもなります。これからの時代を生きる子どもたちは、AIリテラシーを育むことにもっと時間を使う必要があります。現状、文部科学省は「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン」を策定しており、子どもたちのAIリテラシー向上に向けて乗り出していますが、AIについて学ぶ時間の増加や教材作成までには至っていません。
  • 目指す姿:各学校段階において、子どもの実態に即して、「現状の枠組みの中でできる取り組み」「新たな枠組みの発展的な取り組み」の双方を行います。
  • 政策1_現状の枠組みの中でできる取り組み:道徳の時間に生成AI倫理を扱ったり、総合的な学習の時間に生成AIの使い方や注意点を学んだりします。教員の負担を可能な限り低減するため、学習コンテンツを政府主導で高頻度に開発し、学校に提供します。保護者世代のリテラシーを育むための啓発教材も作成し、必要に応じて学級・学校・自治体単位での研修をサポートします。
  • 政策2_新たな枠組み_教科「情報」の新設:中学校に教科「情報」を新設します。中学校には技術・家庭科があり、情報に関する教育内容はそこに含まれています。しかし中学校「技術・家庭科(情報分野)」は標準時数が3年間で70時間しかありません。時間が圧倒的に不足しているため、教科として新設し、授業時間を増やします。
  • 政策3_新たな取組み_AIに特化した先進校の設立:AIに特化した先進校的な高校(Super AI High Schools:SAIS)を設立します。高校は情報Iが2単位必修となっていますが、よりAIの利活用に特化した学校をつくり、そこに尖った才能や興味のある生徒を集めます。方法としては、学校現場と民間企業がタッグを組んで国に申請することを検討し、制度枠組みとしてはSSH(スーパーサイエンスハイスクール)を土台にします。

1-4. 子どもたちの好奇心と「はじめる力」を育むための教育に投資します

  • 現状分析:日本の子どもたちは極端な安定志向・失敗回避傾向にあり、アントレプレナーシップが失われ、社会を変えられると思う子どもが極めて少なくなっています。その背景として、アントレプレナーシップを育むために大切な体験格差(ハンズオン経験の格差)が許容できないレベルになっています。 体験格差の影響をうける子どもたちの数は3割ほどに及ぶ可能性があり、政府による支援が必要です。
    • 【参考】18〜29 歳の若年層でも「起業関心層」は 27 % にとどまっています。
    • 【参考】文科省の調査によれば、家庭の経済力によらず、学校外の体験が自尊感情にポジティブな影響を与えます。
    • 【参考】Chance for Childrenの調査によると、学校外の教育機会は、家庭の経済力とリンクしており、体験格差につながっています。校外の学びの機会に参加しなかった割合が多く、保護者が関わらなくてよいプログラムの充実と情報格差が課題になっています。公的機関が行う行事への参加状況として、「参加しなかった」が全体の46.8%です。経済力以外にも、保護者の価値観や関心により、子どもが触れられる体験が左右される傾向にあり、結果として子どもたちが自分に合った体験に出会うことが難しいという課題も存在します。(出典:Chance for Children報告書
  • 目指す姿:子どもたちが好奇心をもち、新しいことをはじめる力を育成できるよう、教育環境をアップデートします。
    • 一方、国内外で子どもが最先端テクノロジーに触れられる公設機関が存在しています。
    • 国・自治体とハイテク企業・財団が開設した、最先端の科学が学べる幼稚園・放課後学習支援施設が存在します(米国・英国など)。
  • 政策1_STEAM児童館・部活を全国に展開:STEAM活動(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)に触れられる新世代児童館(小学生)・部活(中学生・高校生)を全国に展開し、放課後に子どもたちが探究に没頭できる環境をつくります。そのために、基礎自治体が新世代児童館に拡充する際に助成し、転換を促進します。
    • 【参考】日本国内でも、子どもが放課後に最新のテクノロジーに触れられる公設民営型施設がある地域もあります(徳島県松茂町など)。こうした施設では小さいうちから、3Dプリンターをはじめとした最新のテクノロジーに触れることができます。そうした時期から遊び感覚で触れる中で、突破力のある人材が育ちます。
  • 政策2_学校外教育システムとのマッチングサービスを開発:文科省・デジタル庁の連携により、学校外教育システムをワンストップ化で紹介します。子どもたちの認知特性・興味に基づいて、最適なプログラムが選択できるようにします。体験学習クーポン(政策3)をシームレスに活用できる仕組みとし、保護者の負担を極力減らします。
  • 政策3_体験学習クーポンを配布:体験格差の是正を目指し、体験学習につかえるクーポンを配布します。クーポンの配布先を決める際、世帯年収は一つの変数ですが、子供の人数によっても一人当たりにかけられる費用は変わるため、多子世帯にも配慮するなど、ほかに重要な変数がないか検討し、なめらかな制度とします。誰を対象にどの程度の補助を行うかについては慎重な検討が必要なので、適切な支援額を設定するために、文部科学省と連携した包括的な調査を行い、体験格差の実態を把握します。その上で、個別の世帯に応じた最適な支援スキームを決定し、体験学習クーポンを支給します。
    • 【参考】経済産業省「未来の教室」実証事業では、体験学習クーポンを長野県で配布した事例があり、配布対象の62.6%がシステムに登録し、そのうち74.7%が利用していました。子どもの回答では、約40%が「新しいこと・やってみたかったことにチャレンジ」できたことを評価し、年収が低い世帯ほど高評価でした。(出典:経済産業省「未来の教室」実証事業報告書
    • 【参考】Chance for Childrenの調査によると、学校外の体験がない子どもの割合は、世帯年収600万円以上(約10%)と比べ、300-599万円は2倍(約20%)、300万円未満だと3倍(約30%)になっています。また子どもがやってみたいと思う学校外の体験をさせてあげられなかった理由として、300〜599万円世帯の43%、300万円以下の世帯の56.3%が保護者の経済的な理由をあげています。
    • 【参考】児童(約600万人)がいる世帯のうち年収600万円以下は35.4%(約210万人)、年収300万円以下は10%(約60万人)存在しています。(出典:学校基本調査国民生活基礎調査
    • 【参考】文部科学省での調査では、小学生のときの体験活動への参画が、高校生まで影響することが指摘されており、小学生段階での支援が重要だと考えられます。 参考リンク

1-5. 日本版飛び級制度の導入

  • 現状分析:日本は、経済停滞と少子化という二つの深刻な課題に直面しています。IT・デジタル化への対応の遅れは経済成長を阻害し、AIの台頭による世界の教育レベルの急速な向上は、日本の「人材立国」としての地位を危うくしています。また、女性の社会進出と出産適齢期の「ズレ」は少子化を加速させており、この構造的な問題は教育システムを含めた社会全体の改革なしには解決できません。現在の画一的な教育では、個人の可能性を最大限に引き出し、多様な自己実現を早期に支援することが困難であり、これが少子化や経済低迷の一因となっています。
    • 【参考】たとえば中国に本拠地を置くSquirrel AI Learningは、膨大な生徒のデータベースを用いてAIアルゴリズムを訓練し、個々の生徒に合わせた授業計画をカスタマイズしています。2019年までに、アジアの200都市に2,000の学習センターを展開し、100万人以上の生徒にサービスを提供しています。
  • 目指す姿:個人の可能性を最大限に引き出し、より早期に、より多様な自己実現を可能にできるようなパスを用意します。具体的には、20歳卒業時点で、大学院博士課程レベルの研究を行う者や、起業により社会に貢献しながら自立した生活を送る者が多数輩出されることを想定します。 これにより、個人のライフプランとキャリア形成の調和を図り、結果として、誰もが希望するタイミングで家庭を築ける環境の整備に貢献します。ただし、こうしたパスは子ども自身が望んだ場合のみ選択できるようにします。
  • 政策1_ 義務教育学校(小中一貫校)での早期高密度教育:AI によるアダプティブラーニングを全面的に導入します。個々の習熟度に応じた柔軟な学習進度を可能にし、15歳で従来の高校卒業レベルの基礎知識・技能の完全習得を目指します。国際バカロレアなどの探究型・自律型学習メソッドを取り入れ、自発的学習力や探究スキル、メタ認知能力を育成します。15歳段階で、高校卒業相当の学力があるか、「高等学校卒業程度認定試験」により判定します。
    • なお、良質なAIアダプティブラーニングが全国的に展開できた場合、従来塾や高額な教材に頼ってきた個別最適化された専門的な指導を、公教育の中で提供することができ、家庭の教育費負担を軽減できる可能性があります。
  • 政策2_高等専門学校(専攻科)・大学への飛び級入学:15歳で高校修了程度と認定された子どもたちが高等専門学校(専攻科)や大学に飛び級で進学し、先進的な施設やカリキュラムを活用して、実践的な研究や起業、社会貢献活動に集中的に取り組める環境を提供します。
  • 政策3_徹底した支援環境構築:国、地方自治体、大学・研究機関、民間企業が連携する「産官学コンソーシアム」を組織し、各分野の専門家によるメンター制度を導入します。 活動資金支援、メンタルヘルスサポートに加え、早期に家庭を持つ若者への育児支援(託児施設併設など)を検討し、キャリア形成と出産・育児の両立を支援します。
  • 留意点:考えられる課題とその解決策の方向性は以下の通りです。
    • 制度的障壁(学校教育法等) :教育特区制度の活用、文科省との連携による実証事業としての推進、段階的導入と成果検証。
    • 心理的・発達的課題:認知的発達だけでなく、社会的・情動的スキル(SEL)の育成プログラム導入、メンター制度やカウンセリング体制の充実。
    • 教育の質保証:国際的な標準学力テスト(PISA等)への参加、ポートフォリオ評価、第三者機関による認証などを組み合わせた多角的な評価システム構築。
    • 社会的受容性:保護者、大学、企業等への丁寧な説明と合意形成、段階的試行とその成果の透明な公開。
    • カリキュラム設計の複雑さ:学習科学の専門家、AI研究者、現場教員からなる専門チームによる継続的なカリキュラム開発・改善。

議論されているトピック

この政策分野にはまだトピックがありません。

みんなからの提案(0件)

このセクションに対して寄せられた変更提案です。提案はチームみらいが検討し、採用されるとマニフェストに反映されます。

このセクションへの提案を募集中です

マニフェストの内容に対して、誤字の修正・内容の追加・表現の改善など、どんな提案でも歓迎します。 右のチャットから「変更を提案する」を選んで、気軽にご意見をお聞かせください。