私たちのビジョン

チームみらいビジョン

 チームみらいは「今」の生活をしっかりと支援しつつ、「未来」に向けた成長投資でこどもたちの世代が安心して暮らせる社会をつくり、「テクノロジー」で行政・政治を大胆に改革していきます。  このように、未来・今・テクノロジーに主眼をおいた政策を前に進めることで、ここから先の未来は明るい、と希望を持てる日本にしたいと考えています。

今、日本は未来を左右する分かれ道に立っています。

 日本は先進国の中で唯一、この20年にわたって平均年収が増えておらず、実質GDPもほとんど成長していません。子どもの数はどんどん少なくなり、2025年の出生数は66.5万人と過去最少を更新しました。高齢化も進んでおり、労働力の中核となる生産年齢人口の割合はどんどん減っていきます。社会保障費は今後も増加を続け、現役世代の負担はすでに極めて重い水準にあります。さらに、将来世代には一層大きな負担がのしかかることが予想されており、今のままでは持続可能とは言えません。また産業を見ても、世界では特にインターネット関連で新しい産業が生まれましたが、日本から世界的なインターネット企業は生まれず、デジタル赤字は増え続けています。

   しかし、まだチャンスは残っていると私たちは考えます。日本の教育水準は高く、治安も良く、投資余力もあります。これらの力を良い方向にうまく使うことができれば、状況を変えられると思います。

つまり、今が日本の未来を左右する分かれ道なのです。

今の政治は未来を作ろうとしているでしょうか?

 「政治とカネ」問題に代表されるように、政治への信頼は大きく揺らいでいます。また、政治の課題として取り上げられているのは『どう再分配するか』の話ばかりで『どう成長するか』の議論は不足しています。現在の税制、基礎控除、医療費、年金問題などの議論はどれも成長を生み出す話ではありません。もちろん、再分配は非常に重要な話ですが、長期の成長戦略が描けていないことは大問題です。成長がなければ再分配の原資は得られません。未来に希望が持てなければ、子どもを産み育てたいという人も増えません。

 その場しのぎの応急処置だけでは、進行する物価高の根本的な解決策にはなりません。本当の意味で私たちの暮らしを豊かにし、国として持続的な成長をできる構造を作るためには、成長のための挑戦をしなければなりません。

日本が成長するにはテクノロジーと向き合い、今の生活をしっかり支え、未来に大胆に投資することが必要

 日本は戦後、高度成長を支えたテクノロジーとイノベーションによって発展してきました。資源や人口に恵まれない日本が今後も成長するには、教育・科学技術・インフラへの投資を通じてテクノロジーを活用することが不可欠です。 テクノロジーは個人の選択肢を広げ、地球規模の課題解決にも貢献してきた味方であり、AIの急速な進化は社会に大きな変化をもたらします。 特にAIは「作る」競争では遅れているものの、「使いこなす」段階では日本にまだ大きなチャンスがあり、過去の成功例に学び挑戦すべきです。  

今回チームみらいのマニフェストは、3つの柱で構成されています。

①「未来」に向けた成長投資:日本全体の成長を目指す政策です。何よりもまず、未来を担う世代と産業への大胆な投資を行います。(子育て・教育・科学技術・産業・エネルギー)

子育て・教育: 未来を担う「人」に大胆に投資します。「子育て減税」などの抜本的経済支援とプッシュ型支援を組み合わせ、日本を世界一の子育て先進国にします。AIを活用したオーダーメイドの学びを全ての子どもに届け、子どもたちの可能性を解き放ちます。

科学技術・産業・エネルギー: AI、ロボティクス、自動運転などを始めとした技術を社会実装し新産業を創出します。大学運営費交付金のさらなる拡充など、基礎研究への投資も大切にします。AI時代の成長を支える安定的かつ大量の電力を確保し、技術革新を賃上げと国民の豊かさに直結させます。

②「今」の生活をしっかり支援:チームみらいは、みなさんの今の暮らしをしっかり守ります。物価が上がるなか、働く人の負担を軽くして、毎日の生活を直接支えます。(経済財政・医療・福祉)

経済財政: 複雑化した税・社会保障制度をシンプルでなめらかな仕組みに改革し、現役世代の過度な負担を軽減します。

医療: 高額医療費制度を守りつつ、テクノロジーで必要な人に必要な医療を届ける持続可能な国民皆保険を実現します。

福祉: テクノロジーによって支援を「探す」から「届く」へ転換し、誰もが必要な支援にスムーズにつながることができる社会を創ります。

③「テクノロジー」で行政・政治改革:テクノロジーで、政治と行政を改革します。チームみらいは、政治と行政の仕組みを、デジタルの力で新しくします。(くらしと行政・デジタル民主主義)

くらしと行政: 政党自らが国会・行政のDXを推進し、誰もが負担なく公共サービスにアクセスできる行政を実現します。

デジタル民主主義: AIとデジタル技術を用いて多様な国民の声を可視化・集約し、政治家が責任を持って意思決定を行う、新しい民主主義の形を実装します 。

チームみらいは「今」の生活をしっかりと支援しつつ、「未来」に向けた成長投資でこどもたちの世代が安心して暮らせる社会をつくり、「テクノロジー」で行政・政治を大胆に改革していきます。

このように、未来・今・テクノロジーに主眼をおいた政策を前に進めることで、ここから先の未来は明るい、と希望を持てる日本にしたいと考えています。

(ご参考)党議拘束についての考え方

 チームみらいはフルパッケージ政党でもシングルイシュー政党でもなく、その中間の争点特化型政党を志向しています。それゆえ、この政策集で掲げた各論点の政策やビジョンについては、実現のために党を挙げて取り組み、党議拘束もかけてまいります。また、予算案や首相指名、内閣不信任案および緊急度・重要度の高い法案についても、党が掲げるビジョンや政策の実現のために一致して行動します。その一方で、政策集でビジョンや政策をお示ししていない論点の法案については、党として原則的に賛否を拘束しない立場をとり、各議員の自由投票を認めます。

 チームみらいが上記のようなスタンスを取る理由は、「選挙公約の実現に責任を持つため」です。すべての政策に党議拘束をかけるのではなく、公約としてお約束したビジョンや政策の実現のために結束することで、国民の皆さまからのご期待に責任を持って応えます。公約外の論点については幅広い議論を受け入れ、政策ごとに勉強会や討論を経て、最終的には議員の主体性に任せることで、党の透明性や民主性を高めます。

教育

1.教育

教育政策ビジョン:未来を担う「人」に大胆に投資する

国家の100年先を見据えた成長を考えるとき、私たちが守るべきは目先の米ではなく、未来を創る「人」への投資です。幕末、長岡藩の小林虎三郎が救援米を教育の原資に変えた「米百俵」の精神に学び、今こそ教育予算への大胆な投資を断行します。私たちは、AIをはじめとする最先端テクノロジーと制度改革を掛け合わせ、すべての子どもたちが好奇心を爆発させ、自らの手で未来を切り拓ける社会を目指します。

1. 子どもたちの可能性を解き放つ、オーダーメイドの学びへ

これまでの教育制度は「年齢」という管理しやすい変数に基づき、画一的な指導を行ってきました。しかし、子どもたちの習熟度や興味、特性は千差万別です。私たちは、AIを人間の手間を増やさずに複雑なシステムを運用する「パートナー」として実装し、一人ひとりに合わせたオーダーメイドカリキュラムを実現します。 そのために、標準授業時数を柔軟化(大綱化)し、AI学習アシスタントをすべての子どもに届けることで、15歳で高校卒業レベルの基礎知識を習得し、早期に大学や社会で活躍できる「日本版飛び級制度」を構築します。AI時代に育むべきは、正解を出す力ではなく、新しいことを「はじめる力」です。デジタルでの個別最適化学習と、リアルな場での探究活動やSTEAM教育を最適に組み合わせ、子どもたちの好奇心を最大化します。

2. 先生と家庭を支える、温もりのあるデジタル基盤を

教育の質を左右するのは、子どもたちに最も近い大人である先生方の情熱です。私たちはITとAIを駆使して教員の働き方を根本から変革し、先生方が本来の専門性を発揮して子どもと向き合える時間を創出します。業務の「やめることリスト」を徹底し、校務や保護者対応をデジタル化することで、精神的・時間的な余裕を取り戻します。 また、テクノロジーは孤独な子育てや、見えない困窮を救う盾となります。教育、福祉、医療のデータを個人情報をしっかりと守りながら連携させ、AIが困難の兆候を早期に検知して支援を提案する「プッシュ型支援」を確立します。自ら声を上げられない子どもや家庭を誰一人取り残さない。デジタル化は効率化のためだけではなく、一人ひとりに寄り添う「温もりのある支援」を届けるために推進します。

3. 教育の“バグ”を直し、国家の成長戦略としての投資を

私たちは、長年放置されてきた教育制度の構造的な課題、すなわち「制度のバグ」を一つずつ丁寧に解消していきます。例えば、公立高校入試の「一発勝負」によるリスク回避行動を防ぐため、ゲーム理論を用いた「デジタル併願制」を導入し、経済状況に関わらず志の高い挑戦ができる環境を整えます。また、行政・地域が一体となって教育環境を刷新できるように、教員の配置のあり方を見直します。さらに、社会教育施設のDXを進め、国立国会図書館や大学図書館をすべての国民に開放し、知のアクセス格差を是正します。 これらの改革を支えるのは、客観的なデータに基づく政策立案(EBPM)と、世界最高水準のEdTech環境を整えるための大胆な財政投入です。教育への投資は「消費」ではなく、将来の経済成長として戻ってくる「賢い投資」です。AIによる業務効率化で生んだ財源に加え、教育国債の導入を検討し、諸外国に引けを取らない投資水準を確保します。未来への投資こそが、人材立国としての日本の勝ち筋であると確信しています。

1. 子どもたちの可能性を解き放つ、オーダーメイドの学びへ

1-1. オーダーメイドカリキュラムを届けます

  • 現状分析:子どもたちは、学習の進度や興味関心、認知特性が多様です。チームみらいでは、今後の教育は、より一人ひとりに合わせていくことが重要だと考えています。一方で、現在のカリキュラムは「年齢」が唯一の変数になって編成されており、柔軟性に欠けています。
  • 目指す姿: 子どもたちの学習進度や興味関心、認知特性の多様性を前提とし、従来の「年齢」を一律の基準としたカリキュラム編成から、一人ひとりの個性に合わせた教育へ転換します。
  • 政策1_標準授業時数の柔軟化(大綱化): 学年・教科ごとに厳格に定められた現在の「標準授業時数」を見直し、諸外国(2学年単位の韓国や、総時間のみ規定するオランダ等)の事例を参考に、AIによるオーダーメイドカリキュラムに対応できる柔軟な制度(大綱化)を目指します。
  • 政策2_教育コンテンツと学習指導要領の紐付け: 既にコード化されている学習指導要領を、各社の教科書やデジタル教材等の教育コンテンツと密接に連携させ、個々の児童生徒の学習履歴(スタディ・ログ)を詳細に記録・活用できる基盤を整備します。
  • 政策3_客観的なデータに基づく教育の質保証: 制度の柔軟性を高める一方で、義務教育としての質を担保するため、イギリス(教育水準局)やオランダ(教育監査局)の事例を参考に、義務教育終了段階等での到達度チェックを実施し、得られたデータを教育改善に役立てます。
  • 政策4_多様な学びの選択肢と環境整備: 不登校の児童生徒も含め、誰もが学びを継続できるよう、AI等を活用した在宅学習やフリースクールでの学習環境を支援します。
  • 政策5_オンラインを活用した社会性と評価の確立: コロナ禍で得た知見を活かし、オンライン上での交流を通じて社会性を育む機会を提供するとともに、在宅学習における適切な学習評価プログラムを構築します。
  • 【参考データ・事例】日本の小学校・中学校では、学年軸・教科軸の双方に柔軟性がなく、各学年・各教科で何時間の授業が必要かが決まっています。 他方、日本並みに厳格な制度の韓国でも、2学年まとめた規定となっており、日本よりは柔軟です。もっとも制度が柔軟なオランダでは総学習時間だけ決まっており、何を何時間学ぶかは学校・子どもに合わせて決められます。(出典:経済産業省資料

1-2. 子ども一人ひとりに「専属のAIアシスタント」を届けます

  • 現状分析:PISA調査(2022年)における日本の子どもたちの学力は世界トップクラスですが、近年ではそれを維持しながらも、変化の激しい時代に「探究する力」が求められています。同時に、昨年の自殺者数を見ると、児童・生徒では過去最多の529人となっており、子どものメンタルヘルスケアも大きな問題になっています。しかし、ボランティア相談員による「いのちの電話」は、ごく一部しかつながらない、相談員の負担が大きいなど、問題を抱えています。
  • 目指す姿:AIにより、人間では難しかったきめ細やかな教育・支援を実現します。AIが定型的な指導や個別サポートを補完することで、教員と子ども双方に時間の余裕を生み出し、対面でしか育めない社会性や協調性を養う活動に、より注力できる環境を整えます。
  • 学びの個別最適化「AI学習アシスタント」: 子ども一人ひとりの習熟度や興味関心を把握し、計算や英単語などの基礎習得は効率的に、答えのない探究活動では問いかけを通じて自己決定を促すなど、状況に応じた最適な学習サポートを提供します。
    • 計算練習や英単語学習などのドリル的な活動では、個々人の習熟度に合わせたものを効率よく学ぶことができます。
    • 答えのない探究的な活動では、AI学習アシスタントは答えを提示せず、子どもに対して問いかけたり関連する情報を提示したりしながら、子どもの自己決定や自己理解の深化を促します。
    • これらの学習情報を、必要に応じて、保護者や教員、さらには校種を越えて共有することで、より包括的なサポートが可能になります。
    • 【参考】シンガポールでは「Adaptive Learning System」を導入し、生徒一人ひとりに合わせた学習支援を進めています。 またスタンフォード大学の「Tutor CoPilot」実験では、AIが提供するヒントによりチューターの指導力が補完され、生徒の習熟度が大幅に向上しました。 (出典:先端教育オンライン
  • アクセシビリティの向上「インクルーシブAI」: 多様な学習ニーズ(教科の得意不得意、発達障害、不登校、読字の困難さ、外国籍で日本語学習中の生徒など)を持つ生徒もサポートします。たとえば、教材への自動ふりがな機能は、読字に困難のある生徒や日本語学習中の生徒の読解を助け、学習内容の理解を促進します。
    • 【参考】小・中学校における不登校児童数は30万人に迫る勢いです。 2022年度の実績で不登校児童・生徒数は299,048人で全体の3.2%となっています。 現時点でも公教育の学び方にあっていないお子さんが増えてきています。
  • 支援の多層化「AIメンタルアシスタント」: より日常的な愚痴や相談が(匿名でも)24時間365日できる相手であり、内容の深刻度に応じて、具体的なアドバイスの提供や、関係する専門機関につなぐ窓口といった役割も果たします。
    • デリケートな相談内容の扱いなど、解決すべき課題はありますが、前述の「いのちの電話」がつながりにくい現状や、親にも教員にも相談しづらい思春期の子どもの特性を考えると、こうしたAIの導入にはメリットがあると考えます。
  • 実現に向けた方針:基本的な方針として、「危険性が完全に取り除けないからまったく使わない」ではなく、「安全に使える部分はどこなのか」「安全に使うためにどんなことを注意すべきなのか」を丁寧に分析・実装しながら、新たなテクノロジーを使いこなしていきます。
  • 実現の方法1_AIの整備: ChatGPT等の既存ツールを先行導入し、地域や学校種別の偏りがないパイロット校での試行を通じて運用モデルを確立するとともに、保護者との丁寧な合意形成や教員研修、厳格な安全措置を並行して実施します。
    • AI開発の初期段階から、学習障害を含む様々な特性・学習ニーズを持つ子どもたちやその保護者、教育・福祉の専門家など、多様な関係者へのヒアリングを徹底し、具体的なニーズを詳細に把握することで、誰一人取り残さないAI活用を実現します。
    • パイロット校選定にあたっては、地域(都市・農村)・規模(大規模・小規模)・学校種別(公立・私立・義務教育校・特別支援校)が偏らないよう配慮し、得られたフィードバックをもとに全ての学校で運用可能なモデルを確立します。
    • 保護者向けの説明会や情報提供を積極的に行い、懸念や疑問に丁寧に答え、合意形成を図るプロセスを重視します。
  • 実現の方法2_リスク管理体制の確立:「いかに安全に使いこなすか」という視点に基づき、不適切なコンテンツへの制限やガイドラインの継続的な改善を通じて、テクノロジーを積極的に教育へ取り入れます。
    • 文科省とデジタル庁が連携して、義務教育で使うAIが満たすべき仕様を定め、民間で開発してもらい、仕様を満たしたものだけ学校に導入出来るようにします。
    • 教師がAI出力の妥当性を判断・補完する必要があるため、教師向けのガイドラインやフィードバックツールを提供し、また教員研修を通じて、AI出力の正確性や信頼性の判断能力を向上させます。
  • 実現の方法3_データ利活用体制の整備: 学習履歴を校種を越えて共有できる基盤を構築しつつ、秘匿性の高い情報は政府保有のクラウドやオフライン環境で管理するなど、プライバシー保護と安全なデータ活用を徹底します。
    • 今後AIの性能が上がってきた場合には、特に秘匿性の高い情報については、オフライン環境でも扱えるような仕組みを構築することも検討します。
    • 不適切なコンテンツへのアクセス制限、プライバシー保護などの懸念事項は、文部科学省とデジタル庁とが連携し、AIの仕様およびデータ使用のガイドラインを定めることで、子どもや保護者が安心して使える環境づくりに努めます。

1-3. 子どものAIリテラシーを育み、AIと共に暮らす未来を切り拓きます

  • 現状分析:AIは、これからの時代ますます使われるようになっていきますが、現状では誤りや偏りのある回答をすることもあり、使い方によって毒にも薬にもなります。これからの時代を生きる子どもたちは、AIリテラシーを育むことにもっと時間を使う必要があります。現状、文部科学省は「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン」を策定しており、子どもたちのAIリテラシー向上に向けて乗り出していますが、AIについて学ぶ時間の増加や教材作成までには至っていません。
  • 目指す姿:各学校段階において、子どもの実態に即して、「現状の枠組みの中でできる取り組み」「新たな枠組みの発展的な取り組み」の双方を行います。
  • 政策1_現状の枠組みの中でできる取り組み:道徳の時間に生成AI倫理を扱ったり、総合的な学習の時間に生成AIの使い方や注意点を学んだりします。教員の負担を可能な限り低減するため、学習コンテンツを政府主導で高頻度に開発し、学校に提供します。保護者世代のリテラシーを育むための啓発教材も作成し、必要に応じて学級・学校・自治体単位での研修をサポートします。
  • 政策2_新たな枠組み_教科「情報」の新設:中学校に教科「情報」を新設します。中学校には技術・家庭科があり、情報に関する教育内容はそこに含まれています。しかし中学校「技術・家庭科(情報分野)」は標準時数が3年間で70時間しかありません。時間が圧倒的に不足しているため、教科として新設し、授業時間を増やします。
  • 政策3_新たな取組み_AIに特化した先進校の設立:AIに特化した先進校的な高校(Super AI High Schools:SAIS)を設立します。高校は情報Iが2単位必修となっていますが、よりAIの利活用に特化した学校をつくり、そこに尖った才能や興味のある生徒を集めます。方法としては、学校現場と民間企業がタッグを組んで国に申請することを検討し、制度枠組みとしてはSSH(スーパーサイエンスハイスクール)を土台にします。

1-4. 子どもたちの好奇心と「はじめる力」を育むための教育に投資します

  • 現状分析:日本の子どもたちは極端な安定志向・失敗回避傾向にあり、アントレプレナーシップが失われ、社会を変えられると思う子どもが極めて少なくなっています。その背景として、アントレプレナーシップを育むために大切な体験格差(ハンズオン経験の格差)が許容できないレベルになっています。 体験格差の影響をうける子どもたちの数は3割ほどに及ぶ可能性があり、政府による支援が必要です。
    • 【参考】18〜29 歳の若年層でも「起業関心層」は 27 % にとどまっています。
    • 【参考】文科省の調査によれば、家庭の経済力によらず、学校外の体験が自尊感情にポジティブな影響を与えます。
    • 【参考】Chance for Childrenの調査によると、学校外の教育機会は、家庭の経済力とリンクしており、体験格差につながっています。校外の学びの機会に参加しなかった割合が多く、保護者が関わらなくてよいプログラムの充実と情報格差が課題になっています。公的機関が行う行事への参加状況として、「参加しなかった」が全体の46.8%です。経済力以外にも、保護者の価値観や関心により、子どもが触れられる体験が左右される傾向にあり、結果として子どもたちが自分に合った体験に出会うことが難しいという課題も存在します。(出典:Chance for Children報告書
  • 目指す姿:子どもたちが好奇心をもち、新しいことをはじめる力を育成できるよう、教育環境をアップデートします。
    • 一方、国内外で子どもが最先端テクノロジーに触れられる公設機関が存在しています。
    • 国・自治体とハイテク企業・財団が開設した、最先端の科学が学べる幼稚園・放課後学習支援施設が存在します(米国・英国など)。
  • 政策1_STEAM児童館・部活を全国に展開:STEAM活動(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)に触れられる新世代児童館(小学生)・部活(中学生・高校生)を全国に展開し、放課後に子どもたちが探究に没頭できる環境をつくります。そのために、基礎自治体が新世代児童館に拡充する際に助成し、転換を促進します。
    • 【参考】日本国内でも、子どもが放課後に最新のテクノロジーに触れられる公設民営型施設がある地域もあります(徳島県松茂町など)。こうした施設では小さいうちから、3Dプリンターをはじめとした最新のテクノロジーに触れることができます。そうした時期から遊び感覚で触れる中で、突破力のある人材が育ちます。
  • 政策2_学校外教育システムとのマッチングサービスを開発:文科省・デジタル庁の連携により、学校外教育システムをワンストップ化で紹介します。子どもたちの認知特性・興味に基づいて、最適なプログラムが選択できるようにします。体験学習クーポン(政策3)をシームレスに活用できる仕組みとし、保護者の負担を極力減らします。
  • 政策3_体験学習クーポンを配布:体験格差の是正を目指し、体験学習につかえるクーポンを配布します。クーポンの配布先を決める際、世帯年収は一つの変数ですが、子供の人数によっても一人当たりにかけられる費用は変わるため、多子世帯にも配慮するなど、ほかに重要な変数がないか検討し、なめらかな制度とします。誰を対象にどの程度の補助を行うかについては慎重な検討が必要なので、適切な支援額を設定するために、文部科学省と連携した包括的な調査を行い、体験格差の実態を把握します。その上で、個別の世帯に応じた最適な支援スキームを決定し、体験学習クーポンを支給します。
    • 【参考】経済産業省「未来の教室」実証事業では、体験学習クーポンを長野県で配布した事例があり、配布対象の62.6%がシステムに登録し、そのうち74.7%が利用していました。子どもの回答では、約40%が「新しいこと・やってみたかったことにチャレンジ」できたことを評価し、年収が低い世帯ほど高評価でした。(出典:経済産業省「未来の教室」実証事業報告書
    • 【参考】Chance for Childrenの調査によると、学校外の体験がない子どもの割合は、世帯年収600万円以上(約10%)と比べ、300-599万円は2倍(約20%)、300万円未満だと3倍(30%)になっています。また子どもがやってみたいと思う学校外の体験をさせてあげられなかった理由として、300〜599万円世帯の43%、300万円以下の世帯の56.3%が保護者の経済的な理由をあげています。
    • 【参考】児童(約600万人)がいる世帯のうち年収600万円以下は35.4%(約210万人)、年収300万円以下は10%(約60万人)存在しています。(出典:学校基本調査国民生活基礎調査
    • 【参考】文部科学省での調査では、小学生のときの体験活動への参画が、高校生まで影響することが指摘されており、小学生段階での支援が重要だと考えられます。 参考リンク

1-5. 日本版飛び級制度の導入

  • 現状分析:日本は、経済停滞と少子化という二つの深刻な課題に直面しています。IT・デジタル化への対応の遅れは経済成長を阻害し、AIの台頭による世界の教育レベルの急速な向上は、日本の「人材立国」としての地位を危うくしています。また、女性の社会進出と出産適齢期の「ズレ」は少子化を加速させており、この構造的な問題は教育システムを含めた社会全体の改革なしには解決できません。現在の画一的な教育では、個人の可能性を最大限に引き出し、多様な自己実現を早期に支援することが困難であり、これが少子化や経済低迷の一因となっています。
    • 【参考】たとえば中国に本拠地を置くSquirrel AI Learningは、膨大な生徒のデータベースを用いてAIアルゴリズムを訓練し、個々の生徒に合わせた授業計画をカスタマイズしています。2019年までに、アジアの200都市に2,000の学習センターを展開し、100万人以上の生徒にサービスを提供しています。
  • 目指す姿:個人の可能性を最大限に引き出し、より早期に、より多様な自己実現を可能にできるようなパスを用意します。具体的には、20歳卒業時点で、大学院博士課程レベルの研究を行う者や、起業により社会に貢献しながら自立した生活を送る者が多数輩出されることを想定します。 これにより、個人のライフプランとキャリア形成の調和を図り、結果として、誰もが希望するタイミングで家庭を築ける環境の整備に貢献します。ただし、こうしたパスは子ども自身が望んだ場合のみ選択できるようにします。
  • 政策1_ 義務教育学校(小中一貫校)での早期高密度教育:AI によるアダプティブラーニングを全面的に導入します。個々の習熟度に応じた柔軟な学習進度を可能にし、15歳で従来の高校卒業レベルの基礎知識・技能の完全習得を目指します。国際バカロレアなどの探究型・自律型学習メソッドを取り入れ、自発的学習力や探究スキル、メタ認知能力を育成します。15歳段階で、高校卒業相当の学力があるか、「高等学校卒業程度認定試験」により判定します。
    • なお、良質なAIアダプティブラーニングが全国的に展開できた場合、従来塾や高額な教材に頼ってきた個別最適化された専門的な指導を、公教育の中で提供することができ、家庭の教育費負担を軽減できる可能性があります。
  • 政策2_高等専門学校(専攻科)・大学への飛び級入学:15歳で高校修了程度と認定された子どもたちが高等専門学校(専攻科)や大学に飛び級で進学し、先進的な施設やカリキュラムを活用して、実践的な研究や起業、社会貢献活動に集中的に取り組める環境を提供します。
  • 政策3_徹底した支援環境構築:国、地方自治体、大学・研究機関、民間企業が連携する「産官学コンソーシアム」を組織し、各分野の専門家によるメンター制度を導入します。 活動資金支援、メンタルヘルスサポートに加え、早期に家庭を持つ若者への育児支援(託児施設併設など)を検討し、キャリア形成と出産・育児の両立を支援します。
  • 留意点:考えられる課題とその解決策の方向性は以下の通りです。
    • 制度的障壁(学校教育法等) :教育特区制度の活用、文科省との連携による実証事業としての推進、段階的導入と成果検証。
    • 心理的・発達的課題:認知的発達だけでなく、社会的・情動的スキル(SEL)の育成プログラム導入、メンター制度やカウンセリング体制の充実。
    • 教育の質保証:国際的な標準学力テスト(PISA等)への参加、ポートフォリオ評価、第三者機関による認証などを組み合わせた多角的な評価システム構築。
    • 社会的受容性:保護者、大学、企業等への丁寧な説明と合意形成、段階的試行とその成果の透明な公開。
    • カリキュラム設計の複雑さ:学習科学の専門家、AI研究者、現場教員からなる専門チームによる継続的なカリキュラム開発・改善。

2. 先生と家庭を支える、温もりのあるデジタル基盤を

2-1. デジタルによる教員の働き方改革を進めます

  • 現状分析:2024年度、年度当初時点で2割の学校で教員不足が生じているなど、教員不足は全国的に深刻な問題です。その背景には教員の多忙化があります。
    • 【参考】OECDのTALIS調査(2018年)によると、日本の教員の労働時間は長いにもかかわらず、授業にあてられる時間は短く、学校の先生が本質的なこと以外に時間を使ってしまっています。 小学校では 54.4 時間/週(OECD平均は40.6時間/週)。中学校では56.0時間/週(OECD平均は38.3時間/週)。そのうち授業に充てられるのは、中学校で18 時間程度で世界最短水準です。
  • 目指す姿:AIなどの新たな技術を導入するにあたって、まずは教育現場の現行の課題を包括的に洗い出し、教員の業務効率化を徹底することで、新しい取り組みへ対応できる基盤を整備することが不可欠です。
  • 政策1_やめることリストを徹底的に進める: 2025年5月に策定された「教育DXロードマップ」では「12のやめることリスト(デジタルに変えること)~教師が学習者に向き合う環境を実現するために~」がすでに示されており、こうしたビジョンはまさに「デジタル時代の当たり前」であり、迅速かつ徹底的にやりきるべきと考えます。
  • 政策2_デジタルによる業務改革:IT/AIツールや追加の人員配置により、教員の授業外業務を削減します。補助金等を活用し、校務支援ツールを積極的に導入します。 各自治体の教育委員会にデジタル推進のケイパビリティをもつ職員がいない場合に、政府から人員を派遣し、地方も含めて各校への円滑なテクノロジー導入を支援します。
    • 【参考】AIによる授業準備支援の成功事例は、すでに他国で出てきつつあります。イギリスでは、教員向けのAIアシスタント「Aila」プロジェクトが進められています。そのパイロット版の調査では、教材作成における負担軽減と質の向上、そして教師の全体的な業務負担の軽減に貢献した実績が報告されています。
  • 政策3_学校支援・先生支援AIを開発:生徒の個人情報を安全に扱うことのできるAIを配布することで、教職員が広範な業務にAIを活用できるようにします。
    • 外国にルーツのある子ども・家庭への多言語での情報のやり取りは、現状のAIで十分手軽に実行可能です。
    • 短期的には、出欠連絡や学校からのお知らせ、保護者とのやり取りなどの校内業務を、スマートフォンやPC上で完結させるツール(すでに民間事業者によるものが複数存在)を各校に導入します。
    • いじめ等の問題発生時の対応マニュアルなどを読み込めるAIを配布します。 経験の浅い教員であっても、被害生徒・加害生徒、および各ご家庭へのより迅速かつ適切な対応が可能になります。
  • 政策4_保護者対応のデジタル化:保護者からの問い合わせや要望は、原則として全て録音・テキスト化し、対応記録としてデータベースに保存します。これにより、情報を学校全体で共有し、より適切な対応につなげます。 また、不当・過大な要求から一人ひとりの教員を守ります。さらに、 対応事例の共有を通じて、全国の類似事案への対応力を向上させます。
  • 展望_中長期でのデジタル化:中期的には、調査書や学習指導要録など、校種をまたいだ申し送り事項もデジタル化します。 長期的には、諸外国の事例も参考に、国産AIを用いた授業準備・評価・教材検索ワンストップツールを開発し、教材作成にかける労力を大幅に削減することを目指します。
  • 政策5_教職員のAIリテラシー向上:日々進化し続けるAIの使い方を学ぶ機会を設け、採点や宿題のチェック、教材の準備など、AIで効率化できる業務はどんどん手放します。 文部科学省のリーディングDXスクールなどの、学校全体での取り組みで参考になるものも、さらに積極的に広めていきます。 都道府県教育委員会等と連携して、これからの教員に求められる人物像に合わせた、教員採用試験のアップデートにも努めます。

2-2. 子ども・家庭をプッシュ型で支援

  • 現状分析:子ども・家庭が抱える課題は、経済的な困窮、学習の遅れ、不登校、いじめ、発達上の課題、ヤングケアラー問題など極めて多岐にわたりますが、表面化しにくく、支援のニーズが見えていないことも少なくありません。 現状、支援を必要とする子どもや家庭へのアプローチは、各機関(学校、教育委員会、福祉部局、医療機関、地域の子育て支援団体など)が個別に情報を把握し、対応することが一般的です。こうした縦割り型の支援体制下では、情報連携が不足し、必要な支援が迅速に届きません。また、自ら声を上げることができない子どもや家庭の潜在的なニーズを見落としてしまいます。さらに、複数の機関が関わる中で、支援内容の重複や漏れが発生します。情報の収集・分析、関係機関との調整、個別の支援計画の策定などで教職員や支援者の業務負担が増大する ことも考えられます。
  • 目指す姿_プッシュ型支援:AIを活用すれば、あらかじめ問題を検知し、情報お届け・提案型の個別で、行政から積極的に問題解決のための行動を起こすことができます(プッシュ型支援)。
  • 政策_プラットフォーム構築: 多機関連携型のデータプラットフォームを構築します。学校(出欠席、学習状況、面談記録など)、教育委員会(不登校相談、いじめ事案記録など)、福祉部局(生活保護、児童手当、子育て相談記録など)、医療機関(健診データ、発達相談記録など)、その他地域の子育て支援団体などが持つ匿名化・非識別化された関連データを、高いセキュリティ基準のもとで一元的に集約・連携するプラットフォームを構築します。
  • 政策3_データ分析・プッシュ型支援:構築されたデータプラットフォーム上の情報(たとえば、欠席の増加、特定の科目での成績低下など)をAIが複合的に分析し、いじめや不登校の兆候、家庭内の変化、学習上の困難、心身の不調など、支援が必要となる可能性のある子どもや家庭を早期に抽出します。 AIによる分析結果に基づき、支援のニーズが推定される子どもや保護者に対し、個別化された情報を提供します。
    • 子どもの学習面での支援が推定される場合、地域の子ども向け学習支援教室の情報やオンライン教材の紹介を、保護者向けには経済的支援制度や子育て相談窓口の情報を、最適なタイミングでデジタルツール(例:保護者向けアプリ、LINE公式アカウント)を通じて自動配信します。
    • 特定の状況に応じて、学校の担任教員やスクールソーシャルワーカー、地域の民生委員など、信頼できる人物からの個別連絡をAIがレコメンドし、より丁寧なアプローチを促します。これにより、情報提供と人間による直接的な橋渡しを連携させます。
    • AIが検知したニーズや、これまでの支援事例データを分析することで、子どもや家庭の状況に合わせた最適な支援メニューや支援機関を提案する機能を開発します。これにより、教職員や支援者が限られた時間の中で、膨大な支援情報の中から適切なものを探し出す手間を省き、より質の高い支援計画を迅速に立案できるよう支援します。
    • AIによる情報集約、分析、提案機能は、教職員や支援者の事務的・情報収集の負担を大幅に軽減し、経験の浅い教職員でも質の高い支援を提供できるようになります。 過去の成功事例や類似ケースの支援経過をAIが提示することで、支援のノウハウを共有し、全体の支援レベルの向上を図ります。これにより、教職員はデータの分析や書類作成に費やす時間を減らし、子どもや家庭との直接的な関わり、個別支援の実践、専門的な判断といった、人間ならではの業務に集中できるようになります。
  • 政策_プライバシー保護:情報提供に際しては、匿名性やプライバシー保護を最優先とし、情報を受け取る側が不安感・不快感を抱かないよう、情報提供の目的や利用されるデータの範囲について明確に説明します。
    • 個人が特定できない形でのデータ連携を徹底し、プライバシー保護を最優先とします。必要な場合は、個人情報の利用目的を明確化し、保護者の同意を十分に得るプロセスを導入します。
    • AIの分析結果は、支援の必要性に関する参考情報として、関連する教職員や支援者にのみアラートとして通知され、その後の専門職による判断や具体的な介入につなげます。

3. 教育の“バグ”を直し、国家の成長戦略としての投資を

3-1. 高校入試にデジタル併願制を導入します

  • 現状分析1_公立高校入試の一発勝負のリスク: 現行の入試制度では選抜機会が一度しかないため、不合格を恐れて実力相応、あるいは挑戦的な志望校を諦めてしまう傾向があります。
  • 現状分析2_高校入試におけるリスク回避行動:生徒が本来の能力を発揮できる学校ではなく、ランクを下げた志望校選び(「攻めの受験」の回避)が常態化しています。
  • 現状分析3_高校入試による教育格差の拡大: 経済的理由で公立高校しか選択肢がない家庭ほど、不合格のリスクを避けるために志望校を下げざるを得ません。これが教育格差の一因となっています。
  • 目指す姿:経済的に困窮する家庭の生徒がリスクを恐れずに挑戦できる環境を整え、意欲ある学習者の機会損失を最小限に抑えます。
  • 政策_デジタル併願制の導入制度の概要: 受験生が複数の公立高校を第1志望、第2志望…と順位をつけて登録できる仕組みを構築します。 受験生の希望順位と成績に基づき、合格可能な学校の中で「最も志望度が高い学校」にシステムが自動でマッチングを行います。この仕組みを導入することで、公立高校進学を強く希望する生徒に対し、一度の試験で複数のチャンスを提供し、不合格による進路喪失を防ぎます。
  • 展望1_大学入試制度への横展開: 高校入試での実績を足掛かりに、将来的に公立大学入試など、他の公立教育機関の選抜試験への応用を目指します。
  • 展望2_他のマッチングへの横展開:マッチング以外にも、以下のようなアルゴリズム活用による教育の質向上を検討します。 個々の学習進度に最適化された「教材推薦アルゴリズム」 、支援が必要な生徒を早期に発見する「スクリーニング・アルゴリズム」等。
  • 【参考】技術的背景と理論 DAアルゴリズムの活用: この仕組みは、ゲーム理論においてノーベル経済学賞の対象ともなった「DAアルゴリズム(受入保留アルゴリズム)」を基礎としています。学術的に実証された手法を用いることで、個人の主観的な不安に左右されず、公平かつ効率的な学校配分が可能になります。

3-3. 基礎自治体の創意工夫を活かす「教員人事権」の部分的委譲

  • 現状分析: 現在、公立小中学校の教員の人事権(採用・配置)は主に都道府県教育委員会にあり、基礎自治体(市区町村)の意向が十分に反映されにくい構造になっています。その結果、自治体が「AI教育に力を入れたい」といった独自の教育ビジョンを掲げても、それに合致する専門性を持つ人材を主体的に確保・配置することが難しく、確保できても持続可能性がありません。その結果、地域ごとの創意工夫が阻害されています。
  • 目指す姿: 教育の主体を地域住民に最も近い基礎自治体へと戻し、地域の特色やニーズに即した「尖った教育」を可能にします。都道府県による広域的な質保証と、基礎自治体による柔軟な人材活用を両立させる「ハイブリッド型人事システム」を構築します。
  • 政策1_「地域枠・スペシャリスト枠」の創設: 都道府県が管理する全体の定数のうち一定割合を、基礎自治体が独自に選考・配置できる「地域イノベーション枠」として開放します。これにより、特定の技術(AI、英語、芸術等)を持つ外部人材や、地域の課題解決に意欲を持つ人材を自治体主導で登用可能にします。
  • 政策2_自治体間の「人事マッチングプラットフォーム」構築: 教員の希望と自治体の教育ビジョンをAIでマッチングするシステムを導入します。これにより広域での人事慣行を維持しつつも、教員が「自分の専門性を活かせる自治体」を逆指名できる仕組みを整え、意欲ある教員の適材適所を実現します。
  • 政策3_教育長・校長の裁量権拡大と評価の連動: 基礎自治体の教育委員会が、独自の人事方針に基づき校長を公募・登用できる範囲を広げます。自治体独自の教育成果(EBPMに基づく検証結果)を国や県が評価し、優れた取り組みを行う自治体には、さらなる人事・予算の自由度を与えるインセンティブ構造を構築します。

3-4. 教育データ利活用によりEBPMを推進します

  • 目指す姿:EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進に向けた基盤を構築します。チームみらいの政策として導入したものの実施状況や効果についても、実際に子どもや家庭にどのような影響を与えているかを、データで追跡・可視化します。AIによる効果測定と評価サイクルを導入し、支援内容の改善や制度の見直しに繋げます。これにより、支援が「積極的」かつ「必要十分」に届いているかを客観的に評価し、継続的な改善を図ります。
    • 【参考】英国の教育省(DfE)では「Explore Education Statistics (EES)」というプラットフォームを通じて、学校の財務状況や学力に関するデータをAPI形式で公開し、政策モデルのオープンな検証を可能にしています。
  • 政策1_データ標準化:データに基づいた効果的な教育政策を実現するために、日本においても教育データ標準仕様(例えば、IMS Common CartridgeやLTIといった国際標準規格に、日本独自の拡張を加えたもの)を定めることを検討します。
  • 政策2_データ基盤:匿名加工された教育データを安全かつ倫理的に管理・運用するための組織の創設を検討するなど、EBPMを推進するための基盤整備が必要です。例えば、過去の試験問題をAIが活用しやすいように整備することで、AIの精度を飛躍的に向上させることが期待できます。これは、教育データの効果的な利活用の一例です。 【参考】イギリス政府Education Data Trust

3-5. 社会教育施設のデジタルトランスフォーメーションを推進します

  • 現状分析:美術館、博物館、図書館、公民館などの社会教育施設は、地域文化の振興や生涯学習の機会を提供する上で重要な役割を担っていますが、多くの施設で運営基盤の脆弱性や人材不足が課題となっています。
    • 学芸員などの専門職員は、資料収集、整理、調査研究、展示企画、教育普及活動など多岐にわたる業務を抱え、負担が大きくなっています。
    • 文化財や歴史的資料の保存・継承、研究活動において、デジタル技術の活用が十分に進んでおらず、情報の共有や効率化、新たな価値創出の機会を逃している可能性があります。同様に、書籍・論文・新聞記事など、有益な情報リソースが複数のデータベースに分散しており、横断的な検索やアクセスが難しくなっています。
    • 所蔵資料のデジタル化やテキストデータベース化も十分に進んでおらず、高度な検索やビッグデータ解析への活用が限定的である状況です。
    • AI技術は、その扱いに長けた人と苦手な人との間にデジタル・ディバイドを生む側面もあり、この解消は、社会教育施設の重要な役割の一つと言えます。
  • 目指す姿:AI等のテクノロジー活用を支援し、資料管理、簡易な問い合わせ対応、施設の維持管理業務などを効率化することで、専門職員がより高度な専門業務や利用者サービスに注力できる環境を整備します。
  • 政策1_国営の高品質な「統合型情報アクセスプラットフォーム」を構築・提供:既存の学術論文やアーカイブ資料の包括的なデジタル化とテキストデータベース化を進め、検索性の抜本的向上とビッグデータ研究への活用を可能にします。これにより、災害等による文化財損失リスクも低減します。
  • 政策2_国立国会図書館・国立大学図書館の施設拡充や人員増強:国立国会図書館を年齢制限なくすべての国民に開放します。また、利用申請手続きを大幅に簡素化します。同様に、国立大学の図書館について、学生(小中高生および大学生・大学院生等)が、身分を証明することで他の利用者と同様のサービスを受けられるよう、積極的な開放を促します。
    • 【参考】日本の知の集積地である国立国会図書館は、満18歳未満の利用に際し、施設のキャパシティや人員体制を理由とした利用条件や、事前の煩雑な申請手続きを設けており、子どもたちの自由な情報探索を妨げる大きな要因となっています。
  • 政策3_文化・歴史研究・教育のDX:文化財や歴史的資料の研究において、画像解析AI、3Dスキャン、ビッグデータ解析などのテクノロジー導入を支援し、研究の深化と効率化を図り、文化の継承と発展に貢献します。デジタル技術を活用した新たな展示手法やオンラインでの学習プログラム開発を促進し、より多くの人々が文化に触れる機会を創出します。
  • 政策4_図書館などのインターネット回線の充実:AI技術の活用スキルはますます重要になっていくため、図書館などの社会教育施設において、十分な速度のインターネット回線を確保し、住民のAIスキル向上に向けた取り組みを推進します。

3-6. EdTechの開発と学校への導入に大胆に投資します

  • 現状分析:全国で1人1台端末は整備されましたが、スペックが不足しています。例えば、 推奨帯域を満たす学校はわずか2割強(21.6 %)にとどまっています。 自治体ごとに前年踏襲的な予算組みがされるケースもあり、高スペックな端末や高速な回線が全国的には実現できていないのが現状です。また、GIGAスクールで端末は整備されましたが、ソフトウェアは各自治体任せとなっています。
  • 目指す姿:行政が主導して環境整備とEdTechの市場形成をすることで、子どもたちが質の高いハードウェア・ソフトウェアで学べる環境を構築します。
  • 政策1_ソフトウェア更新費用の措置:2025年度のGIGAスクール端末更新に合わせてソフトウェア費用を措置します。
  • 政策2_EdTechの振興:500億円規模のEdTechスタートアップへの政府ファンドを新設して投資します。また、日本版 Buying for Schools frameworkを構築・実施し、基礎自治体の調達コストを減らすため都道府県レベルでの共同調達制度を導入することで、導入コストを減らします。
  • 【事例・データ】イギリスBuying for Schools framework:学校現場で使用できるEdTechプロダクトの安全性評価・認証制度のこと

3-7. 教育国債の導入などで、政府全体で、教育への投資予算を確保します

  • 現状分析:日本が国家として投入する教育費は、対GDP比だと諸外国より低いです。 対子どもの数比でみると先進国並みですが、人材のみが細い勝ち筋である以上、先進国並みの投資で満足している場合ではなく、さらに投資水準を引き上げるべきです。
  • 目指す姿:教育への国家投資を拡充します。教育への投資は、経済成長となってリターンが戻ってくる可能性が高い点において、バラマキではなく賢い投資先です。
  • 政策_教育への国家投資の拡充:具体的には、AI活用による業務効率化などで支出の圧縮を図って教育に回した上で、投資対効果を推計した上で、回収できる分だけ教育国債を発行することも検討します。

子育て

2.子育て

子育て政策ビジョン:日本を世界一の子育て先進国へ

テクノロジーの力を活用し、妊娠から子育てまで切れ目のないサポートを提供します。情報格差・機会の不平等を解消し、手続きや支援はプッシュ型で最小限に、誰もが孤立せず安心して子どもを産み育てられる社会を実現します。経済的負担、住まい、仕事との両立など複合的要因に正面から向きあい、地理的制約や経済状況、あるいは個々人の事情によって誰一人として子育ての希望を諦めることのないよう、具体的かつ実効性のある政策を推進いたします。これは、望む人誰もが安心して家族を築き、子どもたちが健やかに成長できる社会基盤を構築するための、未来への最も確実な成長投資であると確信しています。

1. 抜本的な経済支援としての「子育て減税」を導入します

現状分析・課題認識

  • 子育てには、食費、教育費、衣料費など、成長に伴い継続的かつ多岐にわたる経済的負担が生じます。この負担は、子どもを持つことへのためらいや、理想の数の子どもを持てないといった「理想と現実のギャップ」を生む大きな要因となっており、少子化の背景にある重要な課題です。
  • 現行の児童手当は貧困対策と次代の社会を担う児童の健やかな成長を目的とした重要な制度ではありますが、少子化対策として設計されたものではありません。
  • 各種リサーチでは、一律的な現金給付は低所得世帯にのみ出生率向上の効果がみられるとの指摘があります。
  • 現金給付の少子化対策としての効果については、国際的に様々なリサーチがありますが、給付規模・政策目的・既存の制度との関係・給付頻度・時期などが異なることから比較は難しく、普遍的な解はまだ見つかっていません。
  • 保育所の充実や育児と両立可能な働き方の実現、子育てサポートサービスへのアクセス向上などと両輪で、未来への大胆な投資として子育て世帯にどのような経済的支援を行うべきか、その検討が喫緊の課題です。

政策概要

  • 児童手当は「貧困対策および次代を担う子どもの健やかな成長のための制度」として位置づけを明確化
    • 少子化対策と混在させず、あくまで子育て世帯の生活基盤を支える給付として位置づけを明確化します。
    • 煩雑化している給付事務については、給付条件の見直しや給付方法の効率化、国からの直接給付などに取り組み、地方自治体の給付事務にかかる工数を下げ、職員の方々の貴重なリソースはほかの子育て支援策に割いていただけるような仕組みを作ります。
  • 「子育て減税」による子育て世帯の所得税抜本引き下げ
    • 児童手当とは別に、新たな少子化対策としての「子育て減税」を導入します。本政策は、「子育てをする親に対し行動変容につながるレベルのインパクトのある支援をする」ことをコンセプトにしています。
      • 「一律的な現金給付が低所得世帯以外に出生率向上効果を示さない」という研究結果は、現金給付額が所得に占める相対的な割合が低い場合、出産・子育てに関する行動への影響が限定的であることを示唆しています。この分析に基づき、私たちはより効果的なインセンティブ設計を検討しました。
      • 一律の金額ではなく、所得に応じて還元金額を調整し、子どもを育てる一人ひとりが「国が子育てを支援している」と感じられる制度を目指します。
    • 具体的には、「子どもの数に応じて親の所得税の税率を定率で下げていく」という制度を提案していきます。
      • 例えば、子ども1人で所得税率がマイナス5ポイント(例:23%→18%)、2人になるとマイナス10ポイント(例:23%→13%)、3人になるとマイナス20ポイント(例:23%→3%)というように、段階的に減らします。
      • 4人以降についても1人当たり5ポイントずつ上乗せするなど、多子世帯の負担がしっかりと軽減され、子どもを持つことへの不安を払拭するだけのインパクトを生み出すことを狙います。
    • 高所得者が青天井で税額還元とならないよう、所得が一定額を超えると緩やかに減税率が減少する仕組みを導入します。
      • 現金給付による動機づけ(インセンティブ)は、一定以上の所得水準を超えると効果が限定的になるという認識に基づいています。子育て世帯の世帯年収中央値付近など、ボリュームゾーンにあたる層をメインとし、大きく所得が上回る層には、適切な減税額となるよう調整します。
      • 所得制限のような崖を設けるのではなく、なめらかに漸減する関数とし、所得が高くなるにつれて一定の減税額に収束するような制度とします。
    • 「子育て減税」は、共働きの場合は両親の双方の所得税率に適用します。育児と仕事の両立の苦労が、しっかりとお子さん・家族に還元される仕組みを目指します。

2.子育て世帯の住まいの安心を提供します

現状認識・課題分析

  • 安定した住まいの確保は、新婚世帯や子育て世帯が安心して生活を営むための基盤ですが、都市部を中心に住宅価格や家賃が高止まりしていて、大きな経済的負担となっています。
  • 特に子育て期においては、より広い住空間や良好な住環境が求められるため、この問題の解決は喫緊の課題です。昨今理想とする子どもの数が2人と回答する世帯の数が大多数ですが、その理由の一つには都市部における住居費の高騰の問題があげられます。
  • 韓国やシンガポールなど諸外国で公営住宅は子育て支援の鍵となっています。一方で日本では団地の老朽化問題が進行しています。国交省が「住宅団地再生の手引き」を公表するなど動きは見られる中、この機会に既存の団地を子育て支援に活用するために国が音頭を取って進めるべきと考えます。

政策概要

  • 子育て世帯公営住宅の拡大支援
    • 既存の公営住宅のリノベーションや新設、民間住宅の借り上げ等により、公営住宅の供給を計画的に拡大します。子育て世帯向けの間取りや、周辺に保育所・学童等の子育てに活きる施設を配備するなど、子育てしやすい環境を建物周辺含め整備するよう国がガイドラインを提示し、一定の条件を満たしたものには追加での補助金を提供するなどして自治体による推進を促します。
    • 東京などの都市部で公営住宅の供給が足りない問題に対しては、先述した新設・民間住宅借り上げ等に加え、都道府県をまたいだ公営住宅の情報ポータルを国が整備し、他地域への移住を前提とした越境応募の促進を行います。
  • 子育て世帯の優先入居を促す仕組みの整備
    • 新婚世帯および子育て世帯が優先的に入居できるような仕組みを整備します。所得制限の上限値を子どもの数と連動して変更したり、当選確率が最適化されるような抽選システムをオープンソースで開発し、各自治体に無償で提供します。また子育て世帯の実績入居数に応じて自治体への補助割合を変えるなどのインセンティブ設計を行います。
    • 賃貸家賃や住宅ローンの金利について、子育て世帯を優遇します。3人目が生まれた段階で更なる引き下げを行うなど、多子世帯がより安心して暮らしを営めるような制度設計をするよう国としてガイドラインを示し、家賃徴収等の事務工数が上がらないよう管理システムを提供します。
    • 生活困窮者等、ほかにも公営住宅を必要とする方々にも適切なサポートがいきわたるよう、対象とする住宅を適切に絞り込むなどの配慮を行います。

3.妊娠出産の負担を徹底軽減します

現状認識・課題分析

  • 出産費用の経済的負担、妊娠中の身体的負担、そして煩雑な行政手続きは、安心して子どもを産み育てる上での大きな障壁となっています。「テクノロジーで誰も取り残さない」という理念のもと、これらの負担を軽減し、全ての妊産婦が適切なケアと情報にアクセスできる環境を整備することが急務です。

政策概要

  • 分娩費用の実質自己負担ゼロ化
    • 分娩費用は医療保険の適用対象とする方針が政府から出されましたが、正常分娩だけではなく、帝王切開、吸引分娩など医療的介助をともなう分娩についても自己負担なく受けられる仕組みを整備します。また、無痛分娩の費用負担を軽減等を行います。
    • 保険適用の導入にあたっては、周産期医療を提供する医療機関の経営に不当な影響が生じないよう、現場の皆様との熟議を重ね、適切な診療報酬点数の設定に努め、補助金等の病院経営を支える仕組みを追加で検討します。
  • 妊婦およびパートナーへのワクチン助成の拡大
    • 妊婦が接種することで胎児への移行免疫が期待できる各種ワクチンについて全額自己負担となっている各種任意接種の公費助成の対象を拡大します。例えばRSウイルスに対するワクチンや、百日咳に有効である三種混合ワクチン等です。
    • 妊娠を希望する女性とそのパートナーを対象とした、風しんの抗体検査とワクチン接種に対する公費助成を推進します。妊娠中の女性の感染リスク低減によって、胎児の先天性風しん症候群等の発症リスク低減を目指します。
    • ワクチンの有効性や安全性に関する正確な情報を、テクノロジーを活用して分かりやすく提供し、積極的な接種勧奨を行います。
  • デジタル母子パスポートの導入
    • ステップ1でも説明した通り、母子手帳をデジタル化する「デジタル母子パスポート」を導入し、妊娠届の提出から妊婦健診の記録、出産後の乳幼児健診、予防接種の履歴管理、関連する補助金の申請・受給までをスマートフォン等で一元的に管理できるシステムを構築します。
    • 紙媒体での手続きを原則として不要とし、保護者の負担を大幅に軽減します。妊娠経過により妊婦健診の回数が増え、受診券・補助券が不足する場合には、医師の診断情報に基づき自動的に追加される仕組みも導入します。
    • デジタル機器の利用が困難な方には、引き続き紙ベースでの提供も検討し、取り残される人がないような仕組みを目指します。

4.不妊治療への支援や流産・死産経験者へのケアなど、子どもを望むすべての人へ専門的サポートを届けます

現状認識・課題分析

  • 子どもを望む多くの方々にとって、不妊は深刻な悩みであり、その治療は経済的、身体的、精神的に大きな負担を伴います。現行の支援制度は改善されつつありますが、高額な先進医療へのアクセスや治療費負担の軽減、最新医療技術への投資は依然として重要です。
  • また、流産や死産は経験者にはかり知れない悲しみと喪失感をもたらしますが、社会的な理解や専門的な支援体制は十分とは言えず、多くの方が孤立感を抱えています。子どもを望む全ての方が、身体的・精神的な困難に直面した際に、適切な医療と温かい心のケア、そして経済的な支援を受けられる体制の構築が急務です。
  • 加えて、「いつか子どもが欲しい」と思った段階から、専門的な支援を受けられる機会も不足しています。自分自身の健康状態を理解しつつ、歩みたいキャリアと妊娠・出産・子育てをどうバランスするかについて、早い段階から専門家に相談できる環境が必要です。

政策概要

  • 不妊治療への医療・経済支援の強化
    • 不妊治療への保険適用は引き続き着実に実施し、定期的な効果検証に基づき、必要に応じて適用回数増加や助成金増額などを柔軟に検討します。
    • 不妊治療に関する革新的な診断法・治療法等の研究開発に対し、国として戦略的に投資を拡大し、より効果的で負担の少ない治療法の確立を目指します。
  • 妊娠・出産を希望する方への専門的な支援の充実
    • スマートフォンや自治体窓口を通じた相談支援のほか、必要に応じて医師・助産師・栄養士などの専門家に相談できる体制を構築し、健康に関する相談支援体制を強化します。
    • 産業保健・人事担当者が綿密に連携する企業内フォローアップ体制構築を支援し、社員一人ひとりがそれぞれの希望に応じて仕事と育児を両立できるライフデザイン支援を推進します。
  • 流産・死産経験者への包括的ケアの確立
    • 流産や死産を経験した方が、専門家によるグリーフカウンセリングや心理的サポートを経済的心配なく受けられるよう、公費助成や医療保険の適用拡大を検討します。オンラインカウンセリングも活用し、地域格差なくアクセスできる体制を整備します。
    • 流産・死産経験者への出産育児一時金の支給や産後休業の対象を、妊娠週数による一律の線引きではなく、医学的処置内容や母体の心身の状態に応じて柔軟に決定できる制度へ最適化します。
    • パートナーにもグリーフケアプログラムへの参加支援や精神的サポートのための休業制度の適用を企業に奨励・支援し、夫婦で困難を乗り越え支え合える環境を醸成します。

5.仕事と妊娠・育児の両立を追求します

現状認識・課題分析

  • 不妊治療から妊娠期、そして子どもの学齢期に至るまで、多くの人々が仕事と家庭生活の両立に困難を感じています。不妊治療のための頻繁な通院、出産後の育児、子どもの小学校入学に伴う「小1の壁」などは、キャリアの中断や働き方の変更を余儀なくさせる大きな要因です。
  • 特に女性に負担が偏りがちな現状を改め、男女双方が仕事と育児を無理なく両立できるよう、社会全体の理解と具体的な制度設計が不可欠です。テクノロジーの活用も含め、柔軟な働き方と切れ目のない支援体制を構築する必要があります。

政策概要

  • 仕事と不妊治療の両立支援
    • 生理休暇の取得事由に、不妊治療のための通院や治療に伴う体調不良による休養を明確に含めるよう法改正を検討し、企業に適切な運用を義務付けることを目指します。
    • 「くるみん認定」「プラチナくるみん認定」の要件に、不妊治療中の従業員を支援する具体的な社内制度(休暇制度、柔軟な勤務時間、相談窓口設置など)の導入を追加し、企業の両立支援の取り組みを後押しします。
  • 現役世代の健康を守ります
    • 中咽頭がんをはじめ多くの病気の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防することができる、HPVワクチンの男性への公費助成を推進します。
  • 男女両方を対象とした、産前準備休暇の制定
    • 妊婦健診の受診・付き添いや、臨月のパートナーの生活サポート、赤ちゃんの受け入れ準備や上の子の育児などに使える「産前準備休暇」を新たに制定します。パートナーとともに赤ちゃんを迎える心の準備をする時間を確保し、産後も協力し合いながら育児に取り組める共通の知識・基盤を養います。
    • 有給休暇化または雇用保険等からの給付により、安心して休暇を取得できる仕組みとして整備を検討します。
  • パートナーの正産期における業務調整受け入れの義務化
    • パートナーが正産期に入り従業者からの申出があった場合、企業は遠方への出張や長時間残業、休日出勤等を調整する義務を負うようにします。
    • 分娩となってもおかしくないタイミングで、パートナーからの確実なサポートが得られるよう、社会の仕組みからアプローチしていきます。
  • 0歳から2歳までの保育料無償化
    • 0歳から2歳までの保育料を所得制限を設けることなく完全に無償化することを目指し、財源確保等の具体的検討を推進します。これにより、特に負担の大きい低年齢期の子育て費用を軽減し、女性の就業継続や早期の社会復帰を後押しします。
  • 「小1の壁」の打破と学齢期の子育て支援
    • 学童保育の受け入れ定員を大幅に拡大し、開所時間の延長や長期休暇中の受け入れ体制を充実させます。
    • 企業に対し、小学校低学年の子どもを持つ従業員が利用しやすい柔軟な勤務制度(短時間勤務、フレックスタイム制、テレワーク、子の看護休暇拡充など)の導入を推進します。
  • フリーランス・自営業向けの両立支援策の強化
    • 前年度の収入をもとにした、フリーランス向けの育児休業給付導入を検討します。制度の適用にあたっては、開業届や確定申告の実績などを確認しつつも、硬直的な条件ではなく、実態に即した柔軟な運用を目指します。
    • 下の子の出産に伴い、育児に専念するために一時的に休業する場合、企業等の会社員が取得する育児休業と同等の期間(原則子どもが1歳に達するまで、状況に応じて延長可)、上の子の保育園継続を認める制度を国として法制化し、全国の自治体で標準的な対応とします。
      • 既に東京都世田谷区三鷹市愛知県大府市など、一部の自治体では、自営業者等に対し、育児休業中の保育園継続を認める「みなし育児休業」制度や同様の取り組みが始まっています。これらの先進事例を参考に、全国的な制度設計を国主導で進めます。

6.子育てを切れ目なくサポートするデジタル母子パスポートを実現します

現状認識・課題分析

  • 現在の母子手帳は紙媒体が主流であり、妊娠中の体調が不安定な時期に受け取りに行く手間や、紛失のリスクがあり、それによってワクチン接種記録などが確認できず、適切な時期に必要な医療や予防接種が受けられなくなるケースがあります。
  • また、妊婦健診の受診券・補助券の手続きや、産後の煩雑な予防接種のスケジュール管理、医療機関での予診票の都度記入など、アナログな手続きが保護者の負担となっています。体調がすぐれなかったり忙しい時期に何度も名前や住所を繰り返し書く作業は、負担として蓄積しています。
  • また、妊娠の経過によっては妊婦健診の回数が増え、自治体から発行されている受診券・補助券の枚数が不足し全額自己負担となるケースがあり、経済的にも負担になっています。さらに、出産にかかる費用は、地域によって大きく異なるだけでなく、個々の妊娠経過(合併症の有無、帝王切開、入院期間の延長など)によっても大きく変動します。しかし、現在の出産育児一時金は一律支給であり、こうした個別の負担増に十分対応できていないという課題があります。

政策概要

  • 母子健康手帳をデジタル化し、「デジタル母子パスポート」を創設します。その際、個人情報の保護を徹底し、アクセス制御や暗号化など万全なセキュリティ対策を講じます。
    • 子ども家庭庁で検討されている母子保健DXの動きを強く推進します。
    • 希望者には従来の紙の母子健康手帳も引き続き提供し、選択できるようにします。
  • これにより、スマートフォン等からいつでもアクセス可能となり、保護者はもちろん、その配偶者や他の家族も、本人の同意のもとで必要な情報を共有できるよう設定できます。また、つわりの時期などに無理して役所の窓口等へ行く必要がなくなります。
  • 妊婦健診の受診券・補助券も、対象者に自動的にデジタル付与する仕組みを構築し自治体に提供することで、手続きの手間を省きます。医師の診断情報を基に、必要な人に必要な回数の補助がいきわたる仕組みを構築します。
    • なお、現在一部自治体のみにとどまっている「妊婦健診は原則全額公費負担」の拡大を目指し、必要財源の確保や国から自治体への交付の最適化を検討します。
    • より頻回の健診が必要となる多胎児妊娠のケースでは、現在も「多胎妊娠の妊婦健康診査支援事業」で追加分の健診費用の一部助成をしていますが、デジタル母子パスポート上で自動で最適枚数が付与される仕組みを実装することで、自治体間の差をなくしていきます。
  • 産後の予防接種スケジュールも、厚生労働省が推奨する標準的なロードマップを基に、パスポート内で分かりやすく管理します。適切な接種時期が近づいた際のプッシュ通知はもちろん、ワクチンの種類ごとの接種間隔や同時接種の可否といった複雑な情報も明示します。また、保育園の行事など個別の予定を登録することで、それらと重複しないように接種計画の調整を助ける機能も提供します。さらに、予防接種の予診票もオンラインで事前入力可能とし、住所や氏名などの基本情報を毎回記入する手間をなくし、医療機関での待ち時間短縮・自治体の予診票送付などの事務工数削減にもつなげます。
  • 国が推進する医療DXとも連携し、マイナンバーカードを活用したお薬手帳とも連携します。これにより、より正確で迅速な情報共有を実現し、保護者の負担減・子どもの受ける医療の質向上を目指します。
  • また、医療機関での受診履歴や検査結果などの情報を保護者の同意のもとで行政と共有することにより、発達障害が認められる場合など、特定の条件を満たす家庭に対して、特別児童扶養手当や児童福祉手当などの経済的支援が自動的に届くようなプッシュ型の支援体制の構築を目指し ます。子育てや、何らかの困難を抱える保護者にとって、複雑で多岐にわたる申請手続きは、時に必要な支援策の存在に気づけない、あるいは申請を諦めてしまうといった事態を生み出すほどの大きな障壁となっています。こうした申請主義の課題を克服し、必要な支援が迅速かつ確実に届くようにします。
  • なお、デジタル母子パスポートの運用にあたっては、子ども自身の情報アクセス権を尊重し、成長段階に応じた情報共有のあり方について、関係者間で検討を深めます。

7.保育士の人手不足解消に取り組みます

現状認識・課題分析

  • 保育士は、未来を担う子どもたちの健やかな成長を支え、保護者のキャリアを支える、極めて専門性が高く重要な職業です。
  • 保育士の離職率は平成28年度時点で9.3%であり、他の職業も含めた日本の平均離職率15%よりは低い結果となっています。しかし世代別に見ると若手の離職率は高い傾向にあり、人材の定着に課題があることがわかります。
  • また保育士の有効求人倍率をみると令和6年1月時点で3.54倍であり、全職種平均1.35倍と比べると依然高い水準で推移しており、人手不足は未だ深刻です。特に東京など都市部においては人手不足が顕著です。

政策概要

  • 保育DXの推進
    • 保育対策総合支援事業費補助金による保育施設向けICT補助金の対象にAIを活用した業務効率化システムを追加します。
    • 例えば保育記録は音声で都度入力しておくと1日の終わりに自動でAIがまとめてくれるなど、保育士の皆様の書類作成業務や事務作業の負担を大幅に軽減します。
    • これにより、保育士の方にしかできない、子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合う時間を増やし、働きがいを高めます。
  • 潜在保育士の活躍推進
    • ステップ1でも示したとおり、保育士の資格を持ちながらも様々な理由から保育の業務に従事されていない方々が、一時預かり等の需要の変化に応じて柔軟に就労いただけるようなプラットフォームを作ります。
    • またリモートで保育事務をサポートするアウトソース事業を行い、保育士としての経験・知識を活かして保育現場を遠隔から支える仕組みを作ります。
  • 公営住宅への優先入居
    • 先述の公営住宅の拡大の枠組みの中で、新婚世帯・子育て世帯と並び保育士の皆さんにも優先入居頂けるよう、国として運営主体である自治体へのインセンティブ設計を行います。
    • 低い家賃で職場にアクセスのよい住宅を確保することで、実質の生活コストを低減し、待遇改善に繋げることを目指します。
  • 保育士の処遇改善継続検討
    • これまでの検討・実行されてきた処遇改善について、継続的にモニタリングし改善し続けていきます。
    • 特に地域ごとの物価差等を考慮した最適な人件費単価の設定や、マイナンバー等を用いて園を介さず国から直接保育士の皆さんへ支払うような仕組みづくりなど、テクノロジーの力を使ってよりよい方法を実現していきます。

8.障害のある子どもとその家族の生活を守る社会を作ります

現状認識・課題分析

  • 障害のある子どもの育児は、大きな喜びがある一方で、保護者には精神的、肉体的、そして経済的に多大な負担がかかっている現状があります。
  • 現状の支援制度は存在しても、「情報が届かない」「手続きが複雑で利用しづらい」「どこに相談して良いかわからない」といった声が多く聞かれます。また、早期からの適切なアセスメントと、個々のニーズに合わせた切れ目のない支援が不可欠であるにもかかわらず、地域や機関による格差、連携不足も指摘されています。これらの課題は、保護者の就労機会の損失や社会的孤立、ひいては少子化にも影響を与えかねない深刻な問題です。
  • また重要な前提は、ここでの政策は画一的な解決策を押し付けるのではなく、家族の自己決定を支えるものでなければなりません。具体的には、親(特に母親)が仕事をやめてケアに従事することを当然とするような前提での仕組みではいけませんし、ケアに専念されている方に対しても十分なサポートが行き届くようにしなければいけません。
  • 我々はテクノロジーの力を最大限に活用し、保護者の負担を軽減するとともに、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出す支援体制の構築を目指します。

政策概要

  • 安全かつ利用しやすいオンラインプラットフォーム「ファミリーサポートハブ(仮称)」を開発・提供
    • 全ての支援サービス・手当・助成金・施設に関する情報を一元管理します。
    • 各種手当やサービス、障害サービス受給者証の申請等の手続きをオンラインで完結。書類作成や窓口訪問の負担を軽減し、マイナンバーカードとの連携による本人確認や情報入力補助も導入します
    • 保護者の同意に基づき、医療、福祉、教育など関係機関間で、安全な情報共有やコミュニケーションを可能にします
    • 利用者の状況やニーズに基づき、AIが関連性の高い公的制度、サービス、支援団体、地域のリソースなどの社会資源をプッシュ型で提案します。手続き負担を限りなくゼロに近づけ、待ちの姿勢ではなく国が能動的に各家庭を支援する形式を目指します。
  • RTI(Response to Intervention)アプローチの導入とデジタルアセスメント基盤を確立
    • 保育・教育・療育現場において、子どもの支援に対する反応を科学的データに基づき評価し、それに応じて支援計画を柔軟に調整・最適化する「RTIアプローチ」を導入します。早期発見・早期介入を徹底し、画一的でない、真に個別化された支援を提供します。
    • 子どもの発達段階や特性を多角的に把握できる標準化されたデジタルアセスメントツールを開発・普及させます。アセスメント結果は、保護者の同意のもとセキュアに一元管理し、保護者自身も分かりやすく確認できる「デジタル成長記録」として活用します。
  • AIによる個別最適化された学びとケア
    • 児童生徒の学習データや特性に基づき、個別最適な教育支援計画(IEP)作成を補助します。
    • 個々の進捗や理解度に合わせて難易度や内容を調整するアダプティブ・ラーニング教材を提供します。
    • 支援施設におけるスケジュール管理、記録作成、報告業務などを自動化・効率化し、スタッフが直接的なケアにより多くの時間を割けるようにします。
  • 遠隔医療・療育推進、遠隔モニタリングと見守り支援
    • 遠隔地に住む家族や移動が困難な子どものために、専門的な療育(言語、作業、理学療法など)、カウンセリング、医療相談などをオンラインで提供するテレヘルスを普及させます。VR/AR技術を活用した遠隔リハビリやソーシャルスキルトレーニングの可能性も追求していきます
    • 在宅や施設で医療的ケアが必要な子どもに対し、保護者の同意のもと、センサー技術やカメラを用いた遠隔モニタリングシステムを導入します。異常検知時にアラートを発するなど、介護者の負担軽減や安全確保に繋げます
  • 経済的負担の抜本的軽減と継続的支援の強化:
    • 既存の児童手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当等に加え、障害の程度や医療的ケアの必要性に応じた追加的支援給付を創設し、直接的な経済的負担を軽減します。所得制限については最新の社会情勢を踏まえて撤廃含む見直しを行います。
    • 補装具や日常生活用具の給付制度について、品目の拡充と自己負担割合の軽減、申請手続きの簡素化を図ります。
  • 親の再就職支援・柔軟な働き方の推進
    • 育児・介護のために離職した親(特に母親)を対象に、キャリア相談、リスキリング(再教育)プログラム、就職あっせんなどの支援を強化します。
    • 障害のある子どもの親が働き続けやすいよう、テレワーク、フレックスタイム、短時間勤務、時差出勤などの柔軟な働き方を導入・活用する企業に対し、助成金や税制優遇措置を設ける。子どものケア(通院付き添い等)を理由とした休暇取得がしやすい企業文化の醸成も支援します。
  • レスパイトケア・専門的保育の拡充
    • 家族が休息を取るためのレスパイトケア(在宅型、施設型、短期、緊急時対応など多様な形態)の提供体制を、量的・質的に大幅に拡充します。
    • 予約や情報提供は「ファミリーサポートハブ」で効率化します。
    • 医療的ケアを含む多様なニーズに対応できる保育士や放課後児童支援員などを養成するための研修プログラムを強化し、人材を確保します。サービスの提供時間を、フルタイム勤務の親のニーズにも応えられるよう延長・柔軟化します。

障害のあるお子さんへの支援は、福祉の項目もご参照ください。

9.育児のセーフティーネットを強化します

現状認識・課題分析

  • 家族の介護などを担うヤングケアラー問題、子どもの貧困、そして後を絶たない児童虐待の問題は、いずれも子どもたちの健やかな成長と未来を脅かす深刻な社会課題です。
  • 我々は少子化対策として目先の子どもの数を増やすことだけでなく、産まれた子どもたちとその家族が安心して暮らせる社会を作ることに向き合わなければなりません。
  • これらの問題は、家庭内だけで解決することが極めて困難でありながら、外部からの支援が届きにくいという構造的な課題を抱えています。「テクノロジーで誰も取り残さない」という党是のもと、最新技術と人の手によるきめ細やかな支援を組み合わせ、早期発見・早期対応・継続的支援を実現する強固なセーフティネットの構築が急務です。

政策概要

  • ヤングケアラーの早期発見
    • 学校や地域コミュニティにおける早期発見・把握のためのスクリーニングシステムの開発・導入を支援し、関係機関が連携できるプラットフォームを構築します。
    • オンライン相談窓口やAIチャットボット相談を設置し、専門家による心理的ケア、学習支援、家事支援サービスなどを迅速に提供できる体制を構築します。
  • 子どもの貧困対策
    • 生活困窮世帯への経済的支援強化、フードバンク活動や子ども食堂への支援、地域における見守りネットワーク強化などを通じ、貧困の世代間連鎖を断ち切るための多角的な取り組みを進めます。
    • 教育機会の完全な均等化を目指し、給付型奨学金の大幅な拡充や、AIを活用した学習支援プログラムの無償提供を推進します。
  • 児童虐待の検知AIの再構築
    • これまでの子ども家庭庁による取り組みを改めて棚卸しし、虐待検知に本当に必要なデータ項目が何かを経験値の高い職員の方へのヒアリング等から特定。誤検知の少ないAI検知システムを改めて構築します。
    • いきなり大規模に展開するのではなく、最初は既存のやり方と併用してスモールにテストを重ねることで、大きなコストをかけずに適切なシステムを作っていきます。
  • 日常的な育児不安に対応するAI育児相談窓口の設置
    • ステップ1でも説明したとおり、育児に関するあらゆる悩みや疑問に対し、24時間365日、保護者が気軽にアクセスできるAIを活用した育児相談窓口を設置します。
    • AIが初期対応を行い、一般的な情報提供やアドバイスを行うとともに、より専門的な支援が必要と判断される場合には、各自治体の保健師やケアマネージャー、医療機関などの適切な専門家や窓口へスムーズに繋ぐことで、デジタルの利便性と専門家による手厚いサポートを両立させます。
    • 利用可能な助成金制度などのお役立ち情報も提供し、いざという時に確実に頼られる存在となることを目指します。

10.結婚の障壁を取り除きます

現状認識・課題分析

  • 出生率低下の大きな要因の一つは、結婚する人の割合、すなわち有配偶率の低下です。初婚年齢の上昇、いわゆる晩婚化も進み、子どもを持つことを望んでも年齢的制約から諦めたり、理想の数より少なく産む選択をするケースが増えています。
  • 若年層が結婚をためらう背景には、新生活の準備や将来設計に関する経済的な不安の影響が大きいです。
  • また、個人の価値観やライフスタイルが多様化する中で、現行の法制度や社会の仕組みが、全ての人のパートナーシップのあり方や家族形成の願いに十分応えられていない現状があります。現在の制度が意図せず障壁となり、結婚や出産といった選択を困難にしている側面があるならば、解決できる道を模索すべきだと考えます。
  • 私たちは、経済的、制度的障壁を取り除き、誰もが希望を持って多様な形での家族を築ける社会を目指します。
  • なおこれは、特定の家族形態を推奨したり、結婚しない選択を否定するものではありません。

政策概要

  • 経済的支援の強化
    • 結婚に伴う新生活の費用を補助する「結婚新生活支援事業補助金」は、所得制限の緩和または撤廃、助成金額の引き上げを検討します。
    • 祖父母や親から子や孫へ結婚・子育て資金を一括贈与する場合の贈与税非課税措置は、制度の恒久化と非課税枠の拡大を検討します。
    • いずれの制度も電子申請などの活用で申請者の利便性を高め、同時に行政の事務負担も軽減していきます。
  • 多様なパートナーシップの尊重と法的整備
    • 事実婚を選択するカップルに対し、税制、社会保障、相続、共同親権等で法律婚と同等の保護が受けられるよう法制度の整備を検討します。
    • 結婚による苗字変更によっておこる不利益を解消する方策について、選択的夫婦別姓導入を有力な考え方としつつ、国民の声を集めて多角的に検討します。

科学技術

3.科学技術

ビジョン

天然資源も人口増加もない日本で経済的成長を実現するための糸口はテクノロジー、創造性、そしてイノベーションにこそあります。そして、これらを着実に発展させるためには科学技術に対して惜しみない投資を行わなければなりません。チームみらいは、基礎研究への投資を徹底的に行い、イノベーションの種まきをすると同時に、芽吹いてきた種に戦略的に投資し、研究成果を社会に実装することで新産業を生み出します。新産業を支える人材も高専やリスクリングへの投資によって充実させます。

1. 戦略的投資による先端テクノロジーの社会実装

ロボティクス、マテリアル、再生医療といった日本の真の強みに資本を集中投下します。こうした分野での研究成果を研究で終わらせず、新しい時代の日本を支える「産業」へと昇華させ、世界市場で圧倒的な地位を確立します。

また、テクノロジーは安全・安心やインクルーシブな社会づくりにも直結します。災害から30分以内に復旧する通信網、食糧安全保障を支える持続可能な農業、そして孤独を解消する手話翻訳アプリなど、科学技術を「誰一人取り残さない社会」の礎とします。

2. 質の高い知を生み出す大学・研究基盤の抜本改革

現在、日本の論文数は世界5位を維持しながらも、論文の質(引用数トップ10%・1%)ではインド、イタリア、韓国といった国々に後塵を拝し、12〜13位まで低迷しています。このように論文数は多い一方、質の高い論文は少ない背景には、研究者が質の高い研究にじっくり取組むことができていない、という課題があるのではないか?と考えられます。

  • 【参考】2024年、トップ10%論文数(質の高い論文数)を指標とすると、日本(13位)の上に、インド(4位)、イタリア(6位)、韓国(9位)、フランス(10位)、スペイン(11位)、イラン(12位)などの国々がいます。同年、トップ1%論文数(極めて質の高い論文数)でみても、日本(12位)の上に、イタリア(5位)、インド(6位)、韓国(10位)、スペイン(11位)などの国々がランクインしています。(科学技術指標2024

研究者が「質の高い研究」にじっくり取り組めない最大の要因は、削減され続けた運営費交付金と、短期的なKPIに縛られた競争的資金の弊害にあります。私たちは運営費交付金を大幅に拡充し、物価や人件費に連動する安定的な財務モデルを構築します。研究費の使い勝手を柔軟にし、AI・IT導入による事務負担の軽減を徹底することで、研究者が10年先を見据えた独創的な探求に専念できる環境を再生します。寄付文化も醸成し、世界最高水準の知を恒久的に支えるエコシステムを構築します。

3. 若手研究者の育成、活躍環境の整備

日本の未来を担う博士課程学生を、もはや「学生」ではなく「知のプロフェッショナル」として位置づけます。経済的自立を支える所得連動型貸与やライフイベント支援、ハラスメントをなくしてのびのびと研究できる環境づくりをパッケージ化し、優秀な人材の海外流出を食い止めます。

4. 高専への投資・リスキリング推進による新産業の担い手育成

実践的技術の宝庫である高専(KOSEN)に最先端の計算資源を投入し、「理論と実装」を兼ね備えた起業家・技術者の輩出拠点へとアップデートします。ハラスメントのない透明性の高い研究環境を担保し、若手が失敗を恐れずに挑戦できる「イノベーションの総本山」を日本中に張り巡らせます。

AIによる労働市場の激変に対しては、リスキリングを推進します。カナダの事例に学ぶAIマッチング基盤を構築し、個人の潜在能力と成長産業を直結させることで、AIを「脅威」ではなく「所得向上の武器」へと変え、安心して豊かな暮らしができる日本を創り上げます。

1. 戦略的投資による先端テクノロジーの社会実装

1-1. 次世代の国際競争力を牽引する戦略技術の産業化

  • 現状分析_高い技術力と産業化の遅れ:日本は材料、ロボティクス、精密加工、再生医療、宇宙技術で世界的な技術力を保持していますが、戦略的な資本集中が欠けていたため、実用化・産業化・グローバル展開に遅れが出ています。その背景には、公的支援が技術主導で分散し、限られた財政・人材資源を「選択と集中」できていないことがあります。
  • 目指す姿_世界と競争可能な領域への集中投資:日本の有する分野の中で「技術的強み」「将来の産業競争力の鍵」「安全保障との直結」の3条件を満たす分野を明確に選定し、世界市場で圧倒的な地位を確立することを目指します。
  • 政策1_重点技術ポートフォリオの策定と開発加速:日本の強みである先端技術をバラバラに支援するのではなく、世界市場を牽引できるポテンシャルを持つ領域に資本を集中投下します。
    • ロボティクス/フィジカルAI:日本には、製造業における高度な技術力(FA、センサー技術)を基盤とし、ヒューマノイドや四足歩行ロボットなどで世界トップクラスのプレーヤーが存在しています。AIと組み合わせたロボットは介護、物流、警備など多領域で応用可能です。特に高齢化社会において、省人化・自動化は社会的課題の解決に直結します。
    • レーザー:半導体製造や精密加工(次世代EV部品、医療機器)、安全保障・防衛に不可欠な技術として投資します。
    • マテリアル:AI×マテリアルインフォマティクスの進展により高速な素材探索が可能になりつつあります。レアメタル・レアアース代替素材、半導体基板、高強度軽量素材など、産業競争力や経済安全保障に直結します。国内産業の競争力維持の観点でも不可欠な分野だと考えています。
    • 再生医療:高齢化に伴う健康寿命延伸ニーズに応え、従来医療の限界を超え、「よりよく生きる」ことを支える医療の実現を目指します。この実現のため、特にラボラトリーオートメーション(実験自動化)技術を積極的に導入・推進します。ロボットによる実験自動化は、細胞培養の効率化、新薬候補のハイスループットスクリーニング、個別化医療に繋がる治療法開発などを劇的に加速させることが期待されます。さらに、実験プロセスのクラウド化を進め、AIと連携した24時間365日稼働の自動実験プラットフォームを構築することで、世界中から実験リソースへのアクセスを可能にし、基礎科学から実用化までのスピードを飛躍的に向上させ、この分野における国際競争力を強化します。
  • 政策2_安定的資金と特区の導入:戦略技術特化型予算枠を確保し、中長期的に資源を配分します。また、宇宙×筑波、再生医療×神戸といった産業集積拠点を整備し、税制優遇、規制緩和などをセットで提供します。
  • 政策4_官民連携の推進体制:分野ごとに「技術育成ファンド・成長会議」を設置し、技術評価、ロードマップ策定、規制改革を一体的に議論します。
  • 政策5_ラボラトリーオートメーションの徹底推進:2024年開始の科学研究向けAI基盤モデル開発(TRIP-AGIS)を加速させます。24時間365日稼働の自動実験プラットフォームをクラウド化して構築し、基礎科学から実用化までのスピードを飛躍的に向上させます。

1-2. エネルギー・安全保障・国土強靭化の自律

  • 現状分析_潜在的な資源と基盤の脆弱性:日本は世界6位の広大な排他的経済水域(EEZ)を持ちながら、海洋資源(メタンハイドレート、レアアース泥等)の開発に民間投資が及びにくい状況です。また、大規模災害時の通信確保や、重要インフラ(電力、通信、金融等)へのサイバー攻撃リスクが顕在化しています。
  • 目指す姿_テクノロジーによるレジリエントな国家づくり:日本の地理的優位性と最先端の宇宙・サイバー技術を融合させ、有事や災害に強い国家基盤を構築します。尖閣諸島等の領海を守りつつ海洋資源を実用化し、核融合技術と並ぶエネルギー安全保障を確立します。また、いかなる大規模災害でも即座に機能を回復できる社会基盤を築きます。
  • 政策1_海洋探査と資源実用化の推進:ディープテック領域の中でも特に投資が届きにくい海洋資源開発において、国が主導して発掘・実用化を推進し、日本を資源国家へと導きます。
  • 政策2_宇宙・衛星コンステレーションの活用:低軌道衛星による通信網を5G以降の重要基盤と位置づけ、災害監視、気象予測、農業DX、モビリティ領域へ応用します。
  • 政策3_災害時ゼロダウン・ネットワークとサイバー防御:2030年代前半までに、大規模災害から30分以内に通信を復旧できる社会基盤を構築します。低コスト衛星やAIスペクトラム制御等を重点開発し、平時は農業DX等で収益を上げるデュアルユースモデルを導入します。重要インフラ防御を国益として強化し、日系企業の海外展開における競争優位性を高めます。

1-3. テクノロジーでインクルーシブ社会と地方創生を実現

  • 現状分析_生活現場の課題と人手不足:手話通訳者の高齢化やプライバシー保護(医療現場等での情報漏洩リスク)の課題、農業における環境負荷とコスト、介護現場の負担など、切実な社会課題が山積しています。
  • 目指す姿_科学技術が暮らしを支えるインクルーシブ社会:障害障がい、年齢、居住地に関わらず、すべての人が恩恵を受けられる社会を目指します。
  • 政策1_手話翻訳アプリの推進:ろう者・難聴者の手話を読み取り、音声・文字に変換する機能を開発します。通訳者を介さないことで、医療情報の秘匿性を守り、通訳者不足を解消します。利用者が属性(ろう者・難聴者か否か)を選択できるUIを導入します。
  • 政策2_食糧問題の解決と地方創生:乾田直播・節水灌漑(マイコスDDSR)の研究開発を促進します。水を張らない栽培で省力化・コスト削減を実現し、メタンガス抑制による環境負荷低減も両立させます。雑草管理や連作障害などの課題を克服し、持続可能な農業を地方創生の核に据えます。

1-4. ディープテックへの投資規模の拡大

  • 現状分析:日本は世界的に見ても高度な技術基盤を有する国でありながら、ディープテック領域におけるスタートアップの創出数は欧米諸国や中国と比べて依然として少ないという課題があります。民間投資の多くが比較的リスクの低い分野に集中し、ディープテック分野では資金ギャップが生じています。その結果、ディープテックに関する投資割合は全体の5〜10%程度に留まっており、特にシード〜シリーズA段階において、いわゆる「死の谷」が存在します。
    • 原因① ディープテックは研究開発型であるがゆえに、製品化までに時間がかかり、ビジネスリスクに加えて技術リスクもあるため、短期的リターンが見込みにくく、民間VCや事業会社は投資を敬遠する傾向にあります。
    • 原因② ディープテックベンチャーは、事業の特性上、研究開発に多額の先行投資が必要であり、数年間にわたり大きな赤字(いわゆる「Jカーブ」)を計上することも少なくありません。この特性が一般の事業評価と馴染まないため、資金調達の困難さに繋がっている側面があります。
    • 原因③ 初期技術の育成やPoC支援(実証)フェーズまでは一定程度整備されつつありますが、グロース以降の支援は十分ではありません。既存制度(SBIRやNEDOによるDTSU)が担保している「初期の技術育成支援」や「PoC支援」は一定充実しつつある一方で、民間投資家が入りやすくなるための仕組みや、出口戦略(事業化・スケールアップ)に向けた伴走支援はまだ不足しています
  • 政策1_ファンドの創設:スケールアップ・グローバル展開に必要な資金と支援を一体で提供するファンドを公的に創設します
    • 政府系機関を主幹とし、投資枠を確保します。ファンドには、「規制産業」「基幹技術(半導体、材料、量子等)」などを重点対象領域として設定します。
    • 官民共同投資の仕組みとして、民間のVCやCVCとの共同出資の枠組み(マッチングファンド)を検討します。例えば民間側からの投資があった際に、公的側が同額〜数倍の投資を行うことで、民間投資を誘発し、資金提供者間のリスク分散を行うとともに、公的資金のレバレッジがより効きやすい仕組みをつくります。
  • 政策2_ディープテック領域へ投資を行う投資家に対する税制優遇制度を導入:創業5年以下のディープテックベンチャーを対象として、事業者が研究開発に集中し将来の大きな成長を支援するため、10年程度の期間を目安とした法人税減免措置などを検討します。
    • 【参考】研究開発税制やオープンイノベーション促進税制、エンジェル税制がありますが、対象にVCからの投資が入っていないことや、スタートアップ自身の減税措置が不十分である点など、依然として改善の余地があります。
      • 研究開発税制の一般型では研究開発投資額の一部を、オープンイノベーション型では共同研究費の一部を算入できます。参考リンク:こちら
      • オープンイノベーション促進税制では、事業会社・国内CVCに限定し、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%を所得控除することができます。参考リンク:こちら
      • エンジェル税制では、スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行います。参考リンク:こちら

2. 質の高い知を生み出す大学・研究基盤の抜本改革

2-1. 運営費交付金の大幅拡充

  • 現状分析 :現在、政府の研究開発投資は総額としては増えています。しかし、大学が裁量をもって使うことのできる運営費交付金は法人化以降、減少しています。運営費交付金が減少することで、多くの大学で外部資金への依存が高まっています。その結果、短期的な成果を求められる資金が増え、基礎研究や挑戦的なテーマへの取り組みがしづらい状況です。特に、地方大学を中心に大学の運営基盤そのものが脆弱化しています。その結果、基本的な経費も各研究室の運営費で賄わざるを得ず、研究活動や教育に深刻な支障が生じています。
    • 【参考】内閣府資料によれば、研究開発費の総額2011→2016は22.9兆円に対し、2016→2021は26.1兆円に増えています。 
    • 【参考】財務省は運営費交付金の実質の減少分は少なく、運営費交付金のかわりに科研費などの補助金を増やしているため、総額では投資規模は拡大していると主張しています。しかし、この間の運営費の増加を踏まえるとやはり大学に対する負担は大きく、また科研費では実質的に無期雇用の人員は雇えないので、強い組織を作ってゆくことは現実的ではないと考えています。
  • 政策1_運営費交付金の規模を大幅拡充:運営費交付金の「基幹経費分」を約2000億円分増やします(絶対額で1.28兆円へ)。現在、令和7年度の補正予算で運営費交付金421億円が措置され、令和8年度予算の政府原案は対前年度188億円増となる予定です。しかし、2004年度水準からこの間の人件費の増額
    • 運営費交付金は2004年(国立大学法人化時点)に1.24兆円だったものが、2024年には1.08兆円になっています。そのため、2004年の水準に戻すためには1600億円程度の増額が必要になります。(出典:国立大学協会HP
    • しかし、元の水準に戻すだけでは十分ではありません。国立大学法人は人事院勧告に則って人件費を上げることが求められます。2004年から2025年までに人件費は10%ほど増額となっています。また、科学実験やAI研究には電気が必要ですが、電気代も2004年から大きく値上がりしています。産業用電気料金は2010年から2023年にかけて74%向上しています(資源エネルギー庁)。これらを勘案し、最低でも運営費交付金は2000億円まで増額することが望ましいと考えています。
  • 政策2_運営費交付金をなめらかな制度にする:今後、物価の変動によって大学の経営が行き詰まらないよう、迅速な対応をできるようにするため、運営費交付金が人事院勧告や光熱費などの増加分と連動する仕組みとします。こうすることで、国立大学の研究者の人件費の最低限のところは国が保証することが可能になり、大学の経営に最低限必要な資金は国が責任をもって支出する仕組みとします。
  • 政策3_運営費交付金を安定化:基盤経費分の「成果を中心とする実績状況に基づく配分」を廃止し、成果による上下があるものは「機能強化促進分」に一本化します。こうすることで「基幹経費分」の1.28兆円を安定的に分配します。
    • 【参考】現状、運営費交付金のうち基盤的な経費部分にも「成果を中心とする実績状況に基づく配分」が存在します。文部科学省HPの説明によると、KPIの達成状況に応じて75%まで削減される可能性があります。しかし、基盤的な運営費について、成果連動の考え方を組み込むのは、資金の目的や特性と不整合であると考えられます。

2-2. 挑戦的な研究を促進する研究費改革

  • 現状分析:研究者が自由に使える研究費が相対的に少なく、使途も厳しく制限されているため、機動的な研究環境への投資や、長期的な視点での研究活動が困難になっています。
    • 原因① 多くの研究資金が、公募テーマに沿う1-3年単位のKPIや短期成果に基づく配分となっており、基礎研究や挑戦的なテーマへの取り組みがしづらい課題があります。研究費を獲得しなければ研究が立ち行かない状況が、競争的資金獲得のための書類作成業務の更なる負担増を招いています。
    • 原因② 研究プロジェクトの予算は、原則としてその年度の終わり(3月末など)までに使い切らないと国に返さなければならないため(予算失効)、複数年にわたる研究計画であっても、年度内に支出を終える必要があります。特に、予算が認められた後でなければ発注できない上、納品にも時間がかかる高価な研究機器の購入や、長期的な視点での研究者の雇用計画を進める上で、大きな障害となっています。ただし、現在、科研費は基金化されて、前倒し利用や繰越しがしやすくなりました。
    • 【参考】文科省のデータによると、大学等教員の職務活動時間割合において、研究活動の占める割合はH14では46.5%であったのに対してH30で32.9%と単調減少、一方教育活動の占める時間は23.7%→28.5%で単調増加となっています
  • 目指す姿:短期的な成果やKPIの呪縛から研究者を解放し、10年先を見据えた革新的な知の創出に専念できる環境を構築します。
  • 政策1_挑戦的な研究を促進する研究費の導入:既存の科研費に比して、さらに挑戦的・基礎的研究を推進できるような、高い自由度で長期の研究資金制度を創設します。例えば、採択期間は最大10年とし、 研究の評価は短期的な成果よりも、研究のビジョンと独創性を重視して実施するようにします。
  • 政策2_長期プロジェクトにおける予算執行の柔軟化:研究資金の前倒し・繰越・変更などに柔軟に対応できるようにします。プロジェクト予算の繰越・前倒しを原則認可制から「事前登録制」に簡素化し、年度単位からプロジェクト単位へ変更します。
    • 【参考】日本で繰越や前倒しが難しいのは、政府の会計年度の原則と研究費の期間が一致していることにあります(高橋宏・石橋一郎『研究費会計制度の日米比較 』)。そのため、事前登録制の導入にあたっては、現行の国の予算執行の枠組みとの整合性をどう図るか、法的な整理を含め、実現に向けた課題も慎重に検討する必要があります。

2-3. 外部資金を原資とした無期雇用の推進

  • 現状分析:大学が獲得する外部資金の多くは1〜5年程度の有期プロジェクトに紐付いています。また、現行の会計制度の制約により、獲得した外部資金を年度を跨いで戦略的に蓄積し、将来の投資や不測の事態(資金獲得の波)に備えることが困難です。その結果、その資金で雇用される若手研究者や専門スタッフ(URA、技術者等)の多くは、不安定な有期雇用を余儀なくされています。これは優秀な人材の流出や、若手研究者がキャリア形成の見通しを持ちにくくなることにつながっています。
  • 目指す姿:大学が多様な財源を効果的にマネジメントし、運営費交付金にとどまらず、外部資金を活用して、無期雇用の人員をさらに拡大します。そのために、外部資金から直接的な研究費だけではなく、比較的裁量をもって大学が使える財源を捻出します。
  • 政策1_大学の財務マネジメント能力を強化:公的資金の間接経費率をあげ、また民間からの外部資金についても間接経費率を高めるガイドラインを国として策定します。また、各大学が外部資金由来の財源で無期雇用の人員を増やしたり、短期的に外部資金を得にくい分野への支出をすることで支援します。あわせてこうした高度な財務マネジメントを企画・実行できる人材を大学が獲得・育成・配置できるように国として支援します。
  • 政策2_年度に縛られない財務モデルの導入:外部資金には年度によって獲得できる額にばらつきがあるため、大学が変動にたえられるよう、中長期的に資金を貯蓄できる仕組みとします。具体的には、現在一部の大学にしか認められていない大学運営基金の制度を、全ての国立大学に広げることを目指します。

2-4. 篤志家からの寄付を大学が集めやすくするように税制を改正します

  • 現状分析:アメリカをはじめとして、海外の大学では寄付金、及び寄付金を原資にした資金運用が収入の柱となっており、科学技術の発展を支えています。他方、日本の大学は、寄付金収入の規模で海外に遅れをとっています。寄附税制については、これまでも優遇がはかられてきたところではあるが、さらに効果的な仕組みの導入も検討すべきです。
  • 目指す姿:運営費交付金などを充実させることを前提として、民間からの寄附、及び寄附を原資にした運用益も大学の基盤的な財源として活用されるようにします。
  • 政策_日本版DAFの創設:大学・科学技術領域へ篤志家からの寄付を集める仕組みとして、アメリカのドナー・アドバイズド・ファンド(DAF)を参考に日本版DAFをつくります。大学への寄附集めをできる制度を整えることで、より積極的に大学の教育・研究 へ市民からの資金を還元することができます。
    • 【参考】DAFは篤志家が自ら財団法人などを立ち上げることなく、寄付の運用や寄付先の選定に関与できる寄付の枠組みである。アメリカでは DAF を活用して大学へ寄附を行った場合にも税控除を受けることができる。(出典:一般社団法人社会変革推進財団

2-5. 研究業務をAI・IT導入と支援人材の充実で効率化します

  • 現状分析:書類作成・研究費管理・申請手続きなどの業務負担が研究者に大きくかかり、研究時間を圧迫しているという課題があります。
    • 原因① 大学や公的研究機関等では、研究資金を申請したり、その使い方を報告したりする際に、多くの書類作成や手続きが必要となり、研究者が本来の研究に使う時間が大きく削がれてしまっています。大学・研究機関ごとに異なるローカルルールが存在し、研究者の異動・連携が阻害されています。
    • 原因② 研究者を支える専門サポート人材(テクニシャン、ラボマネージャー、ファンディングマネージャー、秘書、ライティングスタッフ等)が欧米諸国と比較して著しく不足しており、研究者が研究以外の業務に多くの時間を割かざるを得ない状況が、研究効率の低下を招いていますが、AI・ITによって業務改善をすることで、こうした専門サポート人材がよりやるべきことに集中できるようにします。
  • 目指す姿:研究支援業務へのAI・IT導入を推進し、研究者の事務手続きの負担を減らしつつ、不正な研究費支出を最小化します。
  • 政策1_RMSの導入:事務手続きの負担を軽減すべく、研究費・人材・装置等の研究活動に関連する項目を一元管理するResearch Management System(RMS)を導入します。RMSの導入とフォーマット・データ仕様の標準化を進め、研究費執行ルールの全国的な原則統一を目指し、異動・兼務・共同研究時の手続きの共通化を実現します。
    • なお、RMSの導入により、各プロジェクトの予実管理をスムーズに行い、大学監査部門による使途の記録・モニタリングを可能にします。なお、不正検知AIや異常支出パターンを検出するアラート機能を導入し、不正があった際の早期発見を実現します。
  • 政策2_研究支援の専門職の充実:テクニシャン、ラボマネージャー、ファンディングマネージャー、リサーチアドミニストレーター(URA)、秘書、ライティングスタッフ等、研究支援の専門職の育成プログラムを充実させ、キャリアパスを整備します。職責と実力にみあった処遇を行える制度を全国に政府主導で導入し、キャリアパスを確立し、職としての魅力を高めます。

3. 若手研究者の育成、活躍環境の整備

3-1. 博士課程学生を研究者として位置づけ、徹底支援

  • 現状分析_博士課程進学の現状:若手が研究者のキャリアを選びづらくなっている。また、自由度・報酬・研究環境などの点で、日本は欧米・シンガポール等と比較して魅力が乏しく、優秀な人材の国外流出が続いている。結果として、次世代の科学技術を担う高度人材の供給基盤が急速に弱体化している。
    • 原因①博士課程を取り巻く停滞とキャリアの閉塞感:日本の博士課程進学率はOECD諸国でも最低レベルにあり、次世代を担う高度人材の供給能力が急速に減退している。若手層にとって研究職の魅力が低下し、優秀な人材の国外流出や、経済的理由による博士後期課程進学断念が常態化している。現状分析2_学生という身分に伴う経済的困窮と不利益:博士課程学生は論文出版や後輩指導といった「知の創出・教育」に多大に貢献している。しかし、「学生」とみなされていることで対価が支払われず、無給あるいは学費を払いながらの研究活動を強いられている。生活費や授業料を確保するためのアルバイトが研究時間を圧迫し、研究の質とスピードを低下させる要因となっている。
    • 原因②社会的信用の欠如とライフイベントとの乖離:博士課程での活動が職業として評価されにくく、住宅ローンの審査等、社会生活上の不利益が生じている。博士課程の期間は、妊娠・出産・育児といったライフイベントと重なることが多くありますが、ライフプランと研究キャリアの両立は容易ではありません。次世代の研究者を育成するためには、博士課程の学生が、安心してライフイベントを迎え、その後もスムーズに研究活動へ復帰できるモデルを示すことが重要です。
    • 原因③限定的なキャリアパスと低い人材流動性:修了後の進路がアカデミアに偏り、産業界やスタートアップとの人材交流が極めて限定的である。制度的・文化的な障壁により、産学官を越境したイノベーション創出が困難な状況にある。
  • 目指す姿:博士課程学生が「研究者」としての位置づけを獲得する:博士課程に通う方を「学生」ではなく、「研究を遂行するプロフェッショナルな仕事」を遂行する「研究者」として位置づけます。経済的不安なく研究に没頭できる環境を構築するとともに、卒業後も産学官を自由に行き来し、ライフイベントを柔軟に組み込める「越境型キャリア」を確立します。。
  • 政策1_博士学生の「研究者」化と経済的自立の支援:リサーチ・アシスタント(RA)経費等の支援水準を大幅に引き上げ、生活費を十分に賄えるレベルの支給を徹底する。また、授業料後払い制度に加え、生活費(月額8万円程度)を対象とした所得連動型貸与制度を確立し、進学後の心理的負担を軽減する。所得連動型にすることで、博士課程で研究したあとの状況に応じて返済額を変動させることができ、不確実性が高い中でも博士課程への進学する際の不安を取り除き、不安を後押ししやすくなります。
    • 【参考】現状、JASSOの授業料後払い制度がありますが、生活費が月額2万円または4万円と少額です。授業料は授業料減免制度を利用することもできますが、生活費は別途必要となるため、少なくとも第一種奨学金並み(月額8万円)の生活費を所得連動型で貸与できる制度が必要です。
  • 政策2_ライフイベントと研究の両立支援パッケージ:妊娠・出産・育児を理由とする研究中断・休学期間中も、経済的な支援が継続されるよう、奨学金や研究費の支給停止期間の免除や、受給期間の柔軟な延長を可能とする制度を確立します。研究中断後のスムーズな復帰を支援するため、一時的な研究補助者の雇用経費の支援や、最新の研究動向をキャッチアップするためのプログラムを提供します。
  • 政策3_産学官の垣根を越える人材流動化の促進:ヨーロッパの Industrial Ph.D 制度を参考として日本でも産業界との共同研究を通じて学位取得を目指すプログラムを広めます。また、専門性を活かして半年〜1年の長期間での有給インターンシップ(ブリッジ・インターンシップ)へ博士課程学生が参加することに国が助成を行います。これにより、企業は博士人材の高度な問題解決能力や専門知識を実務の中で直接評価でき、学生は産業界のニーズを理解し、自身のキャリアパスを考える貴重な機会を得られます。
  • 政策4_マッチング基盤の構築:大学・企業・行政間で高度人材を相互派遣する「人材シェアリング制度」を運用します。博士人材データベース(J-GRAD等)と連携し、博士人材のスキルや希望を可視化する共通人材プラットフォームを展開します。
  • 政策5_挑戦的な研究を支えるフェローシップの拡充:ポスドクや博士学生に対し、自由度が高く数年間にわたる安定的な研究費・雇用環境を提供します。
  • 政策6_海外の優秀な人材を惹きつける環境整備:研究費、住環境、ビザ支援をパッケージ化した支援策を導入し、国内外の優秀層が日本を選び、活躍し続けられる基盤を整えます。

3-2. 若手研究者・学生が研究しやすい環境づくり

  • 現状分析:若手研究者・学生の精神的健康の悪化が博士課程の中退、キャリア断念、国外流出等につながっています。
    • 原因① 多くの研究室において、PI(研究代表者)は研究費、人事評価、進学・就職の推薦に関わる権限が集中しており、指導対象の学生・若手研究者に対する絶対的な力を持つ構造になっています。学生やポスドクは雇用形態や制度的保護が不安定で、PI(研究代表者)に従属的になりやすいといった課題があります。
    • 原因② 研究室や大学は外からの監視が働きづらく、部屋の中で何が起きているのかが把握されにくいため、ハラスメントの温床となりやすい構造的な課題が存在します。通報窓口があっても、通報によって評価・推薦・人間関係に悪影響が出るのではという不安や、匿名性・中立性への疑問から当事者が声をあげづらいといった状況が存在します。
  • 目指す姿:大学が研究環境の管理者としての責任を明確に果たし、問題のあるPI(研究代表者)に対しては、実効性のある指導や、状況に応じた適切な措置を行う体制を整備することで、ハラスメントの抑止力を高めます。また、メンタリングプログラムの充実など、良好な人間関係の構築を支援するソフト面の取り組みも推進します。
  • 政策1_研究室運営の可視化と外部モニタリングの強化:研究室単位のガバナンス指標(離脱率、修了率、学生満足度)を設定・公開します。ただし、過度な監視が研究活動の自由闊達さを損なうことのないよう、研究室の自治を尊重しつつ、誰もが安心して研究に打ち込めるバランスの取れた環境構築を目指します。
  • 政策2_開かれた運営体制:研究室内の権限集中を防ぎ、より開かれた運営体制を促進するため、事務職員の効果的な配置や、助教などの中間層アカデミアポストの充実と安定化を支援します。また、研究室間の移籍制度やローテーションの柔軟化を支援します。ハラスメントの発生や研究テーマのミスマッチ、指導スタイルの不一致などがあった際にも、研究のキャリアを継続すべく、ローテーション制度を整えます。
  • 政策3_匿名性と保護を担保した通報・相談体制の整備:AIチャットボットによる24時間対応の匿名相談窓口の整備、独立した通報機関(第三者機関)の設置を行います。
  • 政策4_部局横断的なメンタリングプログラムを整備:指導教授以外の教員や卒業生、ピアメンターが中立的な立場でキャリアや研究に関する相談に乗る体制を構築します。

4. 新産業の担い手を育成

4-1. 高専(KOSEN)を「イノベーションの総本山」へとアップデートします

  • 現状分析: 日本の高専は、実践的な技術教育で世界から「KOSEN」として高く評価されており、求人倍率は約20倍という驚異的な需要を誇る「日本の宝」です。しかし、現場では30年以上前の老朽化した設備が残るなど、最先端の産業界とのギャップが生じています。また、学位が「準学士」に留まることで、国際的な評価や待遇面での障壁が存在します。
  • 目指す姿: 高専を、AI時代の「科学技術立国」を牽引するイノベーションの総本山へと再定義します。理論だけでなく「実際にモノを動かせる」高専生の強みに、最先端の計算資源と起業家精神を掛け合わせ、世界をリードする技術者・起業家を輩出する環境を構築します。
  • 政策1_AI・先端技術環境の抜本的強化: すべての高専に最先端のGPUサーバーを導入し、AIとハードウェアを統合的に扱える環境を整備します。5G/6G、次世代蓄電池、半導体製造など、国家戦略分野に対応した実習設備を「ハブ&スポーク型(拠点校への重装備集約とネットワーク共有)」で効率的に配置します。
  • 政策2_高専の教員を拡充: 現役のトップ技術者を教員・講師として招聘できる柔軟な人件費枠を確保し、「知恵のシェアリング」を加速させます。
  • 政策3_高専発スタートアップの全面支援: 「国立高専イノベーション基金(1,000億円規模/10年)」を創設し、学生のアイデアを即座にプロトタイプ化できるギャップファンドを提供します。近隣大学のTLO(技術移転機関)等と連携し、知財・法務支援をパッケージ化することで、技術を社会実装する起業家教育を標準化します。
  • 政策4_学位の国際標準化: 高専卒業生の高度な技術力が正当に評価されるよう、学位のあり方や大学卒との給与格差の解消に向けた制度改正を推進します。
  • 予算規模1_初期投資200億円:総額200億円の予算を措置します。予算は2年で措置します。
    • 半導体技術者育成のためのクリーンルームをハブ拠点5箇所に作ります(180億円)。
    • 全国の高専の通信環境を整備します(20億円)。
  • 予算規模2_年次予算75億円:毎年75億円の予算をつけます。学生1人当たり約12.5万円/年になります。優れた技術者を1人育てたときの価値創出規模は十分に投資を上回ると考えています。
    • 年次予算としてAI・GPU:を50億円/年措置します。
    • 拠点校には高度専門人材の教員としての招聘の人件費を15億円つけます(1500万円/年の人材100名 = 各校に約2名を配置)。
    • 高専発スタートアップ支援に約10億円をつけます(年500万円のギャップファンド200件=各校4件など)

4-2. AI時代に対応したリスキリングのアップデート

  • 現状分析:市場ニーズとの乖離と公費投入の非効率化 現在の公的職業訓練は、デジタル化やAIの普及による労働市場の急激な変化に対応できていません。産業界が求めるスキルと訓練内容のミスマッチが常態化しており、低賃金・低需要な職種への訓練に多額の公費が投じられ、受講者のキャリアアップや成長産業への円滑な労働移動を阻害しているという深刻な課題があります。
    • 原因① 新技術対応のタイムラグ: 現行の公的職業訓練の認定プロセスは、カリキュラム審査や予算割り当てに時間を要するため、生成AI等の急速な技術革新と市場ニーズの変化に対し、数年単位の遅れが生じています。
    • 原因② 低水準な出口指標: 既存の「求職者支援訓練」における認定基準(就職率35%等)が低く、労働需要の低い職種(有効求人倍率0.1倍〜0.4倍程度)への訓練に公費が投じられ、結果として受講者の賃金上昇や労働移動につながっていません。
    • 原因③ 官民の役割分担の硬直化: 行政が講座内容の詳細を決定する仕組みにより、産業界が真に求めるスキルと教育内容のミスマッチが常態化しています。
  • 目指す姿:行政主導の形式的な審査から脱却し、市場評価と事後成果(賃金上昇・就職実績)に基づいた柔軟かつ高効率な訓練制度への転換を目指します。AIを活用して個人の潜在スキルと市場需要をマッチングさせ、IT・データサイエンス等の高成長分野への労働移動を加速させることで、個人の所得向上と日本経済の生産性向上を同時に実現します。
  • 政策1_ガバナンス改革:規制緩和:市場連動型・成果評価への移行
    • 「形式審査」から「市場評価」への転換: 行政による事前のカリキュラム精査を簡略化する代わりに、過去の「修了生の賃金上昇率」や「成長産業への就職実績」といった事後評価データに基づき、講座の継続可否を自動的に決定する仕組みを導入します。
    • 採用直結型認定: 「修了生を〇名以上、年収〇万円以上で採用する」と事前にコミット(合意)した企業が存在する講座については、行政によるカリキュラム審査を免除し、即時「ホワイトリスト」として公的訓練に認定します。
    • 認定基準の抜本的引き上げ: 労働需要の低い職種に関する訓練への公費投入を制限し、IT・データサイエンス・DX等の高需要職種へのシフトを促します。
  • 政策2_補助金改革:成果報酬型(Pay for Success)の導入
    • インセンティブの再設計: 教育事業者への奨励金を「受講者数」ベースから「成果」ベースへ移行。具体的には、受講生が「一定水準以上の年収で再就職した際」や「前職比で賃金が向上した際」に重点的に報酬を支払います。
    • 出世払い型ローン(Income Share Agreements)の活用: 高度な専門スキル習得に対し、政府が受講費を立て替え、再就職後の収入が一定額を超えた場合にのみ支払う仕組みを整備し、個人の受講リスクを低減します。
    • 「リスキリング採用税制」: 新部門が指定する高度スキル職種において、未経験のリスキリング人材を採用・育成した企業に対し、法人税の控除や教育訓練費の助成率を引き上げます。
  • 政策3_デジタルプラットフォーム:AIスキル・マッチング基盤の構築: カナダの事例を参考に、求職者の経歴(潜在スキル)と労働市場のリアルタイム求人データをAIで照合します。「あとどのスキルを補完すれば、どの程度の賃金向上が見込めるか」を個人に提示し、最適な講座選定から就職までを一気通貫でサポートします。
    • カナダ政府は、AI労働分析プラットフォーム「SkyHive」と連携し、データ駆動型の支援を展開しています。失業者が経歴を入力すると、AIが保有スキルを自動抽出し、市場データと照合し、「現在のスキル」と「希望職種で求められるスキル」の差分をリアルタイムで特定し、必要な訓練をピンポイントで提示しています。

産業

4.産業

ビジョン

日本の産業は大きな転換点に直面しています。AIや量子技術をはじめとするデジタルによる変革の波が、産業構造を根底から揺さぶっているほか、脱炭素・SDGs・エシカル消費など新たな価値の軸が生まれ、国際競争条件が塗り替えられつつあります。 また、地政学的リスクの高まりにより、国際貿易の構造にも変革が訪れ、サプライチェーンのあり方にも見直しが迫られています。
さらに国内に目を向けると、人口減少・少子高齢化により、労働力の確保に困難が生じ始めています。そうした中、日本の産業が競争力を取り戻していくためには、産業構造の大幅な転換が必要です。 日本がこれまで強みを発揮してきた技術力を土台として「稼げる」産業に軸足をシフトし、世界に誇れる日本の産業を生み出すため、AIを中心とした重点分野での産業競争力強化と産業の新陳代謝を図るための官からの支援内容・体制の充実を実現します。
特にAIについては、今後の日本経済の成長のカギを握るものと位置づけ、全分野的な社会実装と効果的な利活用を推進します。なお、AIの活用は単なる効率化にとどまらず、働く人の能力を拡張し、付加価値や生産性を高めるものと位置づけています。
また、成長の恩恵を働く人々へいきわたらせることが、人々の暮らしを守ることや産業の成長の土台となる国内需要の確保にとって重要です。リスキリング支援や賃上げに向けた取り組みの推進により、生活者の収入向上、豊かさの底上げを目指します。 支援の方策については、AI・ITも活用し効率化と高度化、利便性の向上を図ることで、広く深い支援を実現し、確実な成果に結び付けていきます。
重点分野への積極投資、リソースの集中により、新たな産業の育成と今後の経済成長の種をまいていきます。特にテクノロジーを用いた社会課題の解決については、重点的な支援を行い、官民連携による生活の質向上と産業の育成の両立を図ります。 ルール形成/標準化に積極的に関与し、日本企業の国際競争力確保に資するグローバルルールの構築を目指します。国民生活の豊かさと経済成長の好循環を実現するため、経済・産業の成長が生活に還元される仕組みを作ります。

1.すべての企業のAIシフトを実現します

現状認識・課題分析

  • 日本企業は、生成 AI の登場により“第 3 の IT 革命”とも呼べる転換点に立たされています。しかし、2024年の帝国データバンクの調査によると生成 AI を実際に業務へ取り込んでいる企業はわずかであり、導入した企業の大半が「効果を実感できない」と答えるなど、熱気と成果の間には大きな隔たりがあるのが現状です。

    • また一方で、大企業を中心に多くの経営者がAIを最優先課題と捉えながら、多くのプロジェクトが PoC(概念実証)の段階で止まり、「効果が見えない」「組織が変われない」という“PoC の墓場”に陥っているという現状もあります。
      • こうした停滞の背後には深刻な人材不足があり、経済産業省の推計では、2030 年にデータ/AI 人材が約 79 万人不足する見込みとなっています。また、人材の質の面ではDX を牽引できる「AI プロダクトマネジャー」や「データエンジニア」が中小企業を中心にほとんど存在していません。
      • 加えて、多くの企業では、AI活用における情報セキュリティへの懸念やAIの能力・限界に関する正しい理解が不足していることにより、AIの活用・導入をためらうケースも見られます。
      • また、AI需要の増加に合わせた計算資源の確保も課題であり、データセンターの容量や電力インフラの確保が必要です。さらに企業側ではレガシーシステムが足かせとなりクラウド移行や統制が遅れ、AI 活用の前提条件が十分に整備されていないという現状があります。

    政策概要

    • AI導入に対する財政・税制上の支援
      • 特に中小企業を中心とした企業によるAI関連投資(設備・ソフト・研修)について、特別償却または税額控除を導入することで、企業の負担感を産業全体のAIシフトを促します
      • 大規模な開発については、プロジェクトの出口戦略立案や投資対効果の見積もりでの専門家派遣等の支援、またPoCから本格展開までのクラウド利用料や外部パートナー費用について、本格展開を条件に財政支援を行うことで、PoC以降の停滞を回避しつつ、AIシフトの加速を図ります。
    • AI時代に対応したリスキリング支援
      • AI・データ人材の不足はAIシフトの大きなボトルネックとなっています。基金創設も念頭に、AI関連のリスキリングへの支援を実施。年間100万人規模の支援を目指します。
      • また、AI・データ人材以外にも、重点分野に関するリスキリング支援の強化を行います。
      • 特に中小企業や地方の企業の社員を中心的に支援することで、日本の産業全体の底上げを図ります。
    • AI導入時の情報管理体制構築支援
      • AI活用に伴って企業が直面するセキュリティ上のリスクに対応するため、情報管理ガイドラインの策定するとともに、セキュリティ対策の実施に対する支援を提供します。
    • その他:インフラ、基盤整備など

2. AI・ITの活用により便利で効率的な産業支援を実現します

現状認識・課題分析

  • 日本の産業支援制度は「メニューは多いが使いにくい」という評価が定着しています。2024 年度上半期だけで 1 万件超の補助金・助成金情報が公表されましたが、プログラムごとに申請窓口や書式が異なるため、企業は「自社に合う制度を探せない」「締切に間に合わない」といった負担を抱えています。

    • 海外展開支援でも同様の課題があります。JETRO は J-Bridge などのデジタルツールを導入していますが、実際の手続きはメールや PDF 書類が中心で、AI 翻訳や自動書類作成といった最新技術の活用は限定的です。特に中小企業にとって、こうした手続きは大きな負担となっています。
      • また、支援の形態について、多くの場合では補助金の申請・受領でプロセスが完結しており、政府の支援が適切な成果に結びついているか、本来あるべき支援スケールだったのかという効果検証については見える化が不十分な状況にあり、課題が残ります。

    政策概要

    • 支援制度のデジタルワンストップ化
      • 政府・自治体・JETRO の支援メニューを API で統合し、AI が企業の財務データや事業計画を解析して最適な制度を提案します。
      • e-TAX やインボイスデータと連携し、申請書類の 90%以上を自動入力できる仕組みを整備します。
    • 海外展開支援のフルデジタル化
      • J-Bridge を拡張し、AI マッチングによる商談先リスト作成、自動翻訳、国別規制チェックを一つの画面で完結させるなど、利便性の向上を図ることで、中小企業も含めた幅広い対象の海外展開を支援します。
    • 支援効果の見える化
      • 各種補助金・助成金の投資額や支援効果を見える化・検証することで、支援制度の妥当性やスケールを見直し、時流に即した最適な支援制度の提供を実現します。

3. 自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの社会実装により便利で豊かな生活を実現します

現状認識・課題分析

  • ドローン配送、空飛ぶクルマ、生成 AIなど新しい技術が市場に届くスピードは年々加速しています。しかし、許認可や安全基準は「省庁ごとに細かく分かれ、改正には年単位」という従来型プロセスにとどまり、産業と規制のギャップ・摩擦が生じています。特に日本の強みである自動車産業について、昨今、EV・自動運転にシフトしてきていますが、ことさら自動運転の実装状況については、他国に大きく後れを取っている状況にあります。

    • また、近年、社会課題解決に資するビジネス、ソーシャルビジネスが注目を集めています。福祉、医療、地域交通など様々な課題への解となり得るものですが、特に導入段階では市場でのマネタイズが難しく、官からの支援が不可欠です。

    政策概要

    • 自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの実証特区の実現
      • 住民・事業者・行政・学術界が参加できるオンラインツールを整備し、実装に向けた課題感や走行ルート安全基準など具体的な内容まで踏み込んだ議論を行うことで、関係者の合意形成を図ります。
      • また、特区制度自体の見直しも検討し、社会課題に対し複数のアプローチを同時に実行できる仕組みを検討します。
      • 産官学・多機関連携アクセラレーターを設置し、技術実証から事業化までを一気通貫で支援する体制を整えます。
    • 課題解決型ビジネスの支援
      • 地域におけるデマンドタクシー、遠隔地における医療提供、単身者の見守りなど、社会課題解決に係るビジネスの実装を後押しします
      • こうしたビジネスが市場で貨幣価値化しづらい社会価値を提供しているものであることを念頭に、安定的に価値に対する報酬が支払われる仕組みを設けます
      • 社会課題解決に向けたビジネスを推進するため、技術進歩に合わせた法規制・保険制度の確立とデジタル基盤の確立を進めます。

4. 重点分野への選択と集中・市場環境を踏まえた柔軟な投資により、投資効果の最大化・産業の成長を実現します

現状認識・課題分析

  • 現状、予算措置や官民ファンドなど様々な形で産業界への財政的支援が実施されています。しかし、投資判断の遅れやスケールの不足などにより十分な成果に繋がっていないのが現状です。

    • 財政支援の選択と集中を進め、適切なサイクルで見直しを行うことが賢い支出(ワイズスペンディング)の実現には不可欠です。
      • また、特にAIに関しては、計算資源の確保や国産LLMの強化が課題となっています。

    政策概要

    • 官民ファンドの整理・見直し
      • 重点分野ごとにファンドを再編・集約し、世界標準の資本規模を確保します。海外機関投資家・年金マネーを呼び込める厚いリスクマネーを形成することや、より素早い投資判断の実現を目指します。
      • 効果: 投資インパクトを一段引き上げ、国際競争で埋没しない資本力を実現
    • インテリジェンス・プラットフォームの共通化
      • 市場動向・技術トレンド・地政学リスクをリアルタイムで集積するインテリジェンスプラットフォームを、産官学連携により整備し、将来予測や政府の投資判断の精度およびスピードの向上を図ります。
      • 政府統計をはじめとする各種データを連携させ、AIも活用した分析を行うことで、経済状況を常時観測する体制を整えます。
    • AI基盤の強化
      • 計算資源の確保に向け、国内のデータセンター整備を一層後押しします
      • 国産LLMの充実強化のため、コンソーシアムの組成と予算も含めた支援体制の充実により競争力のあるLLMの共同開発を後押しします

5. 国際標準・ルールの形成を後押しすることで日本の産業の国際競争力を高めます

現状認識・課題分析

  • ISO/IEC など国際標準化会合での日本人議長数は主要国に比べて少なく、専門家派遣も企業の自費任せが多い。結果、製造現場で強みを持つはずの分野でも、ルールは欧米・中国主導で決まるケースが目立つのが現状です。

    • また、産業技術総合研究所(AIST)、JISC 事務局、業界団体が個別に動き、横串の戦略立案と資源配分が弱く、国を挙げての標準化策定への体制整備にも課題があります。
      • カーボンフットプリント、ESG 開示、サプライチェーン・デューデリジェンスなど、成長市場を左右する“グリーン標準”は欧州が先行し、日本企業は後追い適合に追われ、競争優位の確保へルールの活用が十分になされていません。

    政策概要

    • AIやサステナビリティなど重要分野でのルール形成の推進
      • AIの安全性確保やカーボンニュートラル、生物多様性など国際ルール形成の重要性が高い分野について、産官学横断的な体制を構築し対応することで、日本企業が競争優位を発揮できるルール/標準の整備を目指します。
    • 標準化研究機関の強化
      • 国内の官民標準化機能を統合し、横断戦略・資金配分をワンストップで統括の上、環境・デジタル・ヘルスなど重点10分野に専任チームを置き、国際会議への議長級人材を計画的に派遣することを目指します。
      • また、財政上の支援も強化し、国際競争に挑めるルール形成機関の構築を目指します。

エネルギー

5.エネルギー

ビジョン

AI を本格的に普及させるためには膨大な電力が不可欠であり、2030 年までの短期間でも世界全体で日本一国分に相当する追加電力が必要になると見込まれます。 日本が AI を使いこなし、テクノロジーを成長の原動力とするためには、安定的かつ大量の電力を確保することが前提条件となります。
しかしながら、わが国は化石燃料資源に乏しく火力発電依存では、燃料費輸入による国富の海外流出が大規模となり、また平野部も限られていることから再生可能エネルギーの大規模導入にも地理的な制約があります。 そのため、国内に存在するあらゆるエネルギー資源を最大限に活用しつつ、大容量電源の確保とゼロエミッション社会の実現を両立させる技術開発・設備投資を加速させる必要があります。

現状認識・課題分析

  • 『エネルギー白書2025』によると、日本のエネルギー自給率は2023年度時点で15.3%であり、G7各国で一番低い水準であると報告されています。

  • 『第 6 次エネルギー基本計画』(2021 年閣議決定)は、2030 年時点の電源構成を LNG 20%、石炭 19%、水力 11%、その他再エネ 25〜27%、原子力 20〜22%と設定していました。また『第 7 次エネルギー基本計画』(2025 年閣議決定)は、2040 年時点の電源構成を 火力3〜4割、再エネ4〜5割(太陽光23〜29%、風力4〜8%、水力8〜10%、地熱1〜2%、バイオマス5〜6%)、原子力2割と設定しています。

  • 2023 年の電源構成の実績は LNG 32%、石炭 29%、水力9%、その他再エネ約 23%、原子力 9%であり、目標との差は依然大きい状況です。加えて、高い割合を占めているLNGについては、地政学的リスクや他国の需要動向から、供給安定性・価格安定性に懸念があります。そのため、日本のエネルギー供給体制としては脆弱性を抱えている状況にあります。

  • エネルギー目標として、2030年・2040年に向けて大きく増加が想定されている電力は、再エネ、原子力と水力です。

    • 再エネの大幅な増加には、国民負担・現実性の両面から大きなチャレンジがあります。

    • 再エネ賦課金による国民負担は、2024年度見込みで2.7兆円、2025年度見込みで3.1兆円に達しています。追加的な再エネ導入は国民負担の増加に繋がります。

    • 太陽光の導入量は国土面積当たりで既に世界上位水準(ドイツと同程度)にあるため、大幅な追加余地は住宅や建物屋根などに限られます。

    • 太陽光・風力が急増する場合は、蓄電池など調整力の同時整備を怠ると系統安定性が低下する懸念があります。

    • 原子力は安全審査を経た再稼働が進んでいますが、2030年度の再稼働想定実現に向けては、手続きや地域合意プロセスに改善の余地があります。

    • 水力は、日本にとって貴重な自然エネルギー資源です。現状は、 1957 年制定の多目的ダム法ベースの保守的運用が主流で、最新技術を活用した出力増強の余地があります。

  • 石炭、LNGの両火力発電は、縮小運用が前提となる中、老朽化による供給力低下が夏季ピーク時の需給逼迫を招いています。

  • LNG 輸入費は 2023 年で約 6.5 兆円に上り(輸入総額の約 6%)、2024 年通年の貿易赤字 5.3 兆円を上回る規模であることから、AIによる電力需要増大期に当たっても発電規模維持・拡大には慎重な判断が必要となります。

政策概要

1. 大幅なエネルギー需要増に対応できるよう、2030 年・2040年に向けたエネルギーミックス目標を再設定し、実行します。

  • 火力発電の一時的維持を明確化し、無理な再エネ拡大による国民負担増と供給不足を回避します。
  • 2030年での原子力比率 20〜22 %の達成を目指し、国主導で再稼働支援策を整備します。2030 年時点で 25 基以上の運転を実現できるよう、手続きの迅速化と地域支援を両立させます。
  • 多目的ダム法を見直し、水力発電のポテンシャルを開放します。既存ダムの再開発や揚水増強を推進し、水力比率 11 %を堅持しつつ変動再エネの調整力を高めます。

2. 2050 年ゼロエミッション社会に向けて、革新技術開発と制度基盤構築を支援します。

  • 核融合技術の研究開発投資を強化し、核融合に関する技術の国際的な優位性を示すとともに、長期的なエネルギー問題の抜本的解決に備えます。
  • 次世代型原子力(SMR、高温ガス炉など)の技術開発と普及を2030年代後半以降に見据えて支援します。
  • デマンドレスポンスや分散型リソースを活用した柔軟なグリッド運用を推進し、AI 時代に適した高度な電力システムを構築します。

経済財政

6. 経済財政・社会保障

ビジョン

シンプルでフェアな税・財政・社会保障システムを構築し、現役世代に対する過度な負担を軽減するとともに、将来世代に対する責任を果たします。
財政の透明性を高めつつ、将来に向けた大胆な投資を行います。AIの加速度的発達をはじめとする不確実性を前提とした経済財政運営を行います。

1. 将来世代のために、複雑化した税・社会保障制度をシンプルでなめらかにします

  • 現状認識
    • 現在の税制・社会保障制度は、極めて複雑な状態になっており、納税者の理解・信認が損なわれているおそれがあります。例えば、以下のような課題が広く指摘されています。
      • (1) 制度間の財源転用・流用とも取れる運用により、収入と支出の対応関係や制度の持続性を理解しづらくなっています
        • 例: 協会けんぽ・組合健保から後期高齢者支援金への転用
        • 例: 基礎年金を経由した、厚生年金から国民年金への転用
      • (2) 特例措置が常態化しています。改廃の議論に多大な政治・行政コストがかかっています
        • 例: ガソリン税の暫定税率等、本来は時限的な対応として導入されたものが10年以上にわたり維持されていた
        • 例: 法人税だけでも、租税特別措置が50以上存在
      • (3) 控除額や所得制限の水準が一点で決まっているため、その境目を超えると手取りが大きく減る場合があります
        • 例: 社会保険の「130万円の壁」
      • (4) その数値も、物価や所得連動の計算式ではなく固定値で定められており、経済の変化に対応していません
      • (5) 所得制限や給付水準の多くが実質的に給与所得に紐づいているため、支援が必要な人に届かない・支援を必要としない人に給付されるといった事態が生じています
        • 例: 高額療養費の自己負担限度額
    • このような状況を放置していれば、納税者の信認・制度のメンテナンスコストの両面で、将来の不確実性に対応できないと考えます。 各々の制度には現在の負担者・受益者が多く存在するため改革は全く容易ではありませんが、わたしたち現役世代の責任で解決する必要があります。
  • 方向性
    • 将来世代の信認が得られ、今後の不確実性にも耐えられる税制・社会保障制度を目指します。その際には、以下のようなシンプルでなめらかな制度設計を志向します:
      • (1) 社会保険は制度内で収入と支出を完結できる形を目指す。 基礎年金については税方式を志向する
      • (2) 特例措置は可能な限り廃止する。恒久化すべき特例は本則化し、それ以外は原則廃止する
      • (3) 各種所得控除や給付は、「給付付き税額控除」のような、壁ができない仕組みに可能な限り一本化していく
      • (4) 所得の変化や物価の変動に対して連続的に対処できる仕組みにし、ある境目から不利な状況が生じないようにする
      • (5) 給与所得ベースの「所得」によって給付や生活困窮の度合いを捕捉するのではなく、資産も含めたきめ細かい状況に応じて手当する
    • 国民的議論を喚起し、他の政党と協力しロードマップを策定します。 2035年を目処に抜本改革の完了を目指します。

2. 現役世代の社会保険料負担を軽減し、フェアな税・社会保障制度を目指します

  • 現状認識
    • 税制・社会保障制度に対する信認の前提として、負担・受益のバランスに加えて、負担者視点での「公平感」は無視できない要素です。
    • この点、我が国の国民負担においては、主に現役世代・給与所得者に帰着する社会保険料負担率が一貫して上昇してきました。現在では給与に対して約30%(労使合計: 健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料)にまで達しています。 社会保障給付費の増大に伴い、さらなる料率の引上げが懸念されています。
    • このような負担の増大は、現役世代からの政府に対する信認が損なわれる大きなリスクであると考え、真っ先に手当すべき課題であると考えます。
  • 方向性
    • 現役世代の社会保険料負担が過度に増大しないよう、わかりやすく・広く合意できる政策目標を設定します。例えば、「社会保険料総額の伸びを国民所得の伸び以下に抑える」「標準的な子育て世代における国民負担率を◯◯%以下に抑える」といった指標が考えられます。
    • その上で、社会保障制度を支える歳入に関して、以下の方向性で抜本的な改革(歳入手法のリバランス)を行います。
      • (1) 現役世代の過度な負担を回避し、国民全体で支えられる方法を検討します。
      • (2) 加えて、入国税や非居住外国人に対する固定資産税の引上げ、等、外国人旅行者の消費税免税制度の見直し等、日本の生活者に影響の小さい歳入源の拡充も検討します。
    • 支出面では、影響が大きい方への配慮を行いながら、医療費の自己負担割合を一律3割とすることを目指します。 加えて、「医療」パートに示す制度改革、「行政改革」パートに示す行政効率化に取り組みます。
    • 同時に、「産業」「科学技術」パートに示す施策による経済成長の果実が賃上げに向かうことにより、社会保障費の伸びを上回る賃上げを目指します。

3. 成長に向けて大胆な投資を行います。投資に対する信認を得るために、財政に対する透明性・効果検証を徹底します

  • 現状認識
    • チームみらいは、将来に向けて大胆な投資を行います。 投資によって得られる付加価値を官民で再投資していくことで、複利的に我が国の富を増大させ、その果実を分配していくことを目指します。 また、2.で示す現役世代の負担軽減についても、一定規模・一定期間の財政出動が必要となります。
    • 但し、これらの効果が不十分となる場合、長期金利の上昇等を通じて、却って現役世代や将来世代の負担を増大させるリスクが存在します。加えて、1. で示す税・財政システムの抜本改革においても、一部の側面をとると課税強化・給付減少となる主体が発生し得ます。
    • このように、国家が長期投資や制度の抜本改革に対する支持を訴える以上、財政の透明性を高め、財政支出に対する効果検証を徹底し、信認を得ることが必要不可欠です。
  • 方向性
    • 徹底した議論・検証・情報公開を通じて、有権者・納税者からの財政に対する信認を高めます。
    • 具体的には、行政改革・デジタル民主主義パートに示す以下の取組を進めます。
      • (1) ブロードリスニングを通じた多様な視点の取り入れ、議論・対話の喚起
      • (2) EBPMの取組強化による、投資対効果の検証
      • (3) 公共投資の原資や使途(政治資金を含む)に関する情報公開

4. 大胆なシナリオを想定し、AIの加速的発達といった不確実な将来に備えます

  • 現状認識
    • AI等の飛躍的な技術進化や国際情勢の不安定化も相まって、将来予測が極めて難しくなっています。 このような世界における経済財政運営は、線形の予想に基づくものではなく、非線形・不確実性を前提としたものに変えていく必要があります。
    • 具体的には、「起きるかどうかわからない」「いつ起きるかわからない」「インパクトがどの程度かわからない」といった事象を想定し、複数のシナリオを構築し、前もって政策対応を検討していく必要があります。
  • 方向性
    • 経済財政運営における「シナリオプランニング」を強化し、非連続的な変化に備えます。
    • シナリオ・プランニングにおけるポイントは以下の通りです。
      • (1) AGIのような非線形な変化を勘案する
      • (2) 現状の追認や願望ではなく、悲観的な要素に強く眼を向ける。ネガティブシナリオを想定する
      • (3) 各リスクを独立した変数として捉えるのではなく、複合的リスクを加速する要素を正しく認識する
      • (4) 責任主体や処方箋の不在によって議論が避けられている重要課題、いわば"Elephant in the room"にも目を向ける

シナリオのイメージ: AGI(汎用人工知能)実現

  • ポジティブなシナリオ例:
    • 想定される社会変化
      • AGI(汎用人工知能の出現)により労働力不足が打開され、企業の生産性が大幅に向上し、現在の見通しを大きく超える経済成長が実現される。経済規模拡大により、税収が大幅に上昇する。但し、その果実は一部の層に偏る
      • ホワイトカラーに対する需要の大幅な減少が生じる。リスキリングによる労働移動には限界またはラグが生じ、数年以上に亘り労働需給の大幅なミスマッチが生じる。結果として失業率は大幅に上昇する
      • このような所得格差の拡大や失業率上昇は、社会不安や政治的対立を生む。それにより、ポピュリズム的な政治活動や反技術的なムーブメントの台頭に繋がる
      • 金利への影響は一方向ではないが、供給再度では生産コスト低下によりデフレ圧力が生じうる。一方、所得増加による需要拡大はインフレ圧力にも繋がりうる
    • 政策対応
      • 介護の現場における自動化や自動運転等、AGIによる果実を最大限に享受できるような制度設計・インフラ投資を進める
      • 所得格差の拡大に対応するため、ユニバーサル・ベーシックインカムや給付付き税額控除等、広汎なセーフティネットを導入できる土台はAGI実現前に整えておく。AGIシナリオが実際に発動したときには速やかに対処する
      • 原資は、経済成長による果実、すなわち法人税・所得税の増収によって賄う。但し、キャピタル・フライトを最小限とするよう、同様の状況にある諸外国との連携・強調を進める
      • 技術進化に伴う構造的失業に対しては、上記の再分配を旨としつつ、リ・スキリングと失業給付を組み合わせた手厚い支援を行う
  • ネガティブなシナリオ例:
    • 想定される社会変化
      • AGI(汎用人工知能の出現)によるホワイトカラー層の失業増大に対して社会変革が追いつかず、破壊的な消費減退をもたらす。それにより株価暴落・金融不安が生じる
      • 株価暴落・金融不安をきっかけに、ブロック経済化が進む。それによって更に消費が冷え込む。 また、経済やAGIにおける覇権をめぐって地政学的緊張が高まる
      • これらは強い社会不安を生み、急進的な勢力の台頭や社会分断が加速される
    • 政策対応
      • 中央銀行と連携し、迅速かつ十分な流動性供給を行う
      • 大規模かつ迅速な財政出動による需要下支えを行う。当面は、困窮者への直接給付・雇用調整助成金・住宅確保支援といった既存の支援枠組みを活用する。 並行し、給付つき税額控除やベーシックインカムについても検討を進めておく
      • AIに関する国際協調・技術管理を進め、国際的な緊張を未然に防ぐ

5. 予測困難な危機に対応できる給付システム・税制を構築します

  • 現状認識
    • 予測不可能な経済危機にあたっては、国民や中小企業に対して迅速な給付を行うべき局面が存在します。しかし、現状では「給付の事務手続きに莫大なコストや時間がかかる」といった指摘があります。
  • 方向性
    • まずはマイナンバーカードの公金受取口座登録制度の普及を進め、デジタルを活用した給付手続の簡便化・迅速化を図ります。
    • 将来的には、危機に対応した時限的・迅速な税率引き下げを可能にする仕組みなど、税制に関する対応可能性の検討も進めます。

医療

7. 医療

ビジョン

誰もが安心して医療へアクセスできる国民皆保険制度は日本が世界に誇る医療制度です。中でも高額療養費制度は日本が世界に誇る医療制度です。中でも高額医療費制度は、他国において深刻な問題となっている医療費破産から国民の生活を守る皆保険制度の中核機能です。現在検討が進められている拙速な上限額の引き上げは病気に苦しむ患者に対して未来に対する不安を煽る政策であり、断固として反対します。
加えて、少子高齢化や医療技術の進化による社会保障費の増加が急速に進んでいる現状については、継続的な制度の維持が可能となる施策が必要になります。必要な方に必要な医療を届けるため医療制度は進化し続ける必要があることも事実です。テクノロジーとデータを使い、より緻密なシステムを構築することで医療制度の非効率を減らし、より質の高い医療が報われる制度を目指します。 そして、人口構造、疾病構造の急変や増えていく変数にも対応するためのしなやかな制度、検討体制にアップグレードします。医療の現場をテクノロジーの力で支援することで、医療機関の経営および業務効率化を支援します 医療機関DXが進むことは医療機関の働き方をサステイナブルにするだけでなく、日常の診療の効率化、利便性など医療を受ける方々にもメリットが生じると考えます。 また、テクノロジーはITリテラシーの高い働き世代や若い方々のものだけではありません。一定の支援は必要となるかもしれませんがオンライン診療の普及や医療機関での待機時間の短縮は外出が困難な要介護者の方や僻地などで医療アクセスが困難な方々に対しての医療アクセス格差の是正にもつながります

1. 医療の有効性・重要度に応じたきめ細やかな自己負担へ

現状認識・課題分析

  • 我が国の医療保険制度では主に年齢と所得により個々の自己負担割合が決定され、受ける医療の内容や重症度に応じた調整は行われていません。

  • そのため、保険適用の範囲においては非常に安価に医療を受けることができ、これが日本の公衆衛生上、重要な意味合いをもっていることは疑う余地がありません。

  • 特に、高額療養費制度は、他国のような国民の医療破産を防ぎ、現役世代の労働力保全に寄与する極めて先進的かつ人道的な制度と言えます。昨今検討されている上限額の引き上げに関する議論は、闘病中の患者に未来への不安を抱かせるものであり、一方的で拙速なものとして強く反対します。

  • 一方で、OECDの報告では国際的に医療費のおよそ2割が健康成果に直結していない可能性を示しており、日本でも自然治癒が見込め、重篤性の無い疾患に対しての処方や類似した検査の重複など本質的な価値に乏しい医療が発生していることは否定できません。

  • 2022年度に242の急性期病院を対象に行われた調査では30種を超える診療行為を健康成果に直結しない医療と定義し、それらによる医療費が同施設の医療費の0.23〜0.51%を占めるとされました。これは、同期間の医療費に単純換算すると約3,000〜7,000億円規模に達すると試算されています。

  • 現在、国民医療費は2022年度に46兆円を超えましたが、少子高齢化と高度医療の進展により今後も増えていくことが予想されています。そのため、医療費の増加を抑制する施策とともに医療の成果にも着目した財源配分の検討が必要です。

政策概要

  • 高額医療費制度の上限の拙速な引き上げを見直します
  • 中長期的には、診療行為のエビデンス、費用対効果や重症度に基づく自己負担割合の複数段階化を検討します
    • 現在の健康保険法や高齢者医療確保法では、年齢による自己負担割合が言及されていますが、医療価値に応じた負担区分の段階化が可能となるよう、これらの法改正を検討します
    • 現在の診療報酬システムでは、医療機関が審査支払機関に請求する診療報酬のみが設定されていますが、診療内容による自己負担割合の影響についても制度に組み込みます
    • 上記の緻密な診療報酬制度を構築するため、全国医療データベース(NDB)に蓄えられた診療実績を解析し、柔軟に機動的に診療行為の有効性、費用対効果について議論するための基盤を整備します
  • 制度の複雑化による医療の現場や審査機関での事務処理の複雑化を解消するための仕組みの開発および導入を支援します
    • 医療機関への負担、サービスの質の低下を避けるために、電子レセプトに連携し窓口で即時に自己負担額が算出できるAI、システムの開発を支援します
    • 併せて、医療DXを推進する支援の枠組みについても整備します
  • これらの仕組みにより、医療の質、家計への負担を維持したまま、医療財政への負担軽減を目指します。
    • この評価に基づいて、外来用医薬品の自己負担割合が段階的に設定されます
    • 評価が不十分な医薬品は自己負担割合が高くなることもありますが、一方で、抗がん剤など代替の効かない医薬品については自己負担割合を0%としています
    • この他にも、海外の医療制度では年齢、所得以外に診療の内容や受診経路などで自己負担割合を変化させている例があります

2.治療成果に報いる医療アウトカム評価制度の導入

現状認識・課題分析

  • 日本では医療費の約3割が、糖尿病・COPD・心不全などの慢性疾患に費やされています
  • 日本では慢性疾患のアウトカム指標(HbA1c、FEV1、BNPなど)については医学的に整理がなされ、学会を中心にガイドラインの整備が進められているものの、医療制度の中で医療の質の向上を促す仕組みが十分に設計されているとは言い難い側面があります
    • 現行の医療制度は行われた処置・診察の回数に応じて診療報酬が設計されており、疾患コントロールが改善したことに対するインセンティブは設計されていない
    • 糖尿病や高血圧、脂質異常症などの慢性疾患の多くは重症化し、虚血性心疾患などのイベントが発生するまで、自覚症状に乏しいことも多く、患者サイドにも治療を強化し、積極的に状態をよくしようと動機づけしにくい場合がある
  • 海外では、治療成果に応じて報酬が支払われる制度が導入され、一定の課題が示されつつも医療の最適化と費用削減の両立が期待されています

政策概要

  • 「どれだけ診療が行われたか」だけでなく、「どれだけ良くなったか」にも報いる医療制度への転換を目指し、成果連動型の診療報酬制度を導入します
    • 糖尿病、COPD、心不全など、アウトカム指標が整備され患者数・医療費規模の大きい慢性疾患の治療成果を「血糖値」「呼吸機能」「心不全マーカー」などの指標で評価します
    • 治療の効果が高い医療機関に対しての報酬加算、患者に対しての還元を設計し、医療機関・患者の双方に動機づけを行ういます
  • 診療データを匿名化し、全国医療データベース(NDB)で一元管理。AIを活用した公平で迅速な評価を行う仕組みを整えます
    • アウトカム評価の効率化と医療現場の負担軽減のため、電子カルテの標準化、相互運用性の確保を進めます
    • 診療記録や検査結果をデータ化し、治療成果を判定、成果加算が自動的に反映される仕組みを設計します
    • アウトカム評価指標の提出、確認が行われることで医療機関の負担が増えないよう、民間企業と連携した電子カルテの解析システムの開発を促します
    • また、電子カルテの情報連携においてセキュリティとプライバシーを確保するため、必要な法令、医療機関向け指針の整備を進めます

3.オンライン診療 / 処方受け取り方法を充実し、通院のない受診を実現

現状認識・課題分析

  • リモートワークやECサイトの利用などは広く生活に普及してきましたが、オンライン診療についてはまだ十分に普及しているとは言い難い状況かと思います
  • オンライン診療には対面と比べて患者さんの状況、所見が把握しにくかったり、体調が悪化した際に高度医療機関との連携導線が確立されていなかったりと一定の課題がある一方で、適切に普及すれば多くの方々にとってメリットの大きいシステムだと考えます
    • 風邪や花粉症などの軽い相談や慢性疾患で継続的に同じ服薬で経過観察している患者さんにとって、診療のために仕事や家事・育児を調整して対面で受診することはまだまだ負担が大きいと言えます
    • 僻地や島嶼部などの医療アクセスが難しい地域にお住まいの方々や一人で外出することが難しい方などの場合、医療機関で相談をしたくても受診控えをしている場合もあると思います
  • オンライン診療が進まない要因の一つとして、医療制度・診療報酬体制の整備、システム・インフラの整備、医療の質や安全対策の整備、利用者側の利便性の課題などがあります
    • 現在の診療報酬制度ではオンライン診療が対面診療と比べて優遇されているとは言えず、医療機関側にとってシステム投資や運用構築を乗り越えてまで推し進める動機づけが不足しています
    • また、オンライン診療で医師に相談をしても、受診後の医薬品の受け取りに調剤薬局を訪ねる必要があり、一連の受療行動をオンラインで完結できていない状況も多いかと思います
    • 他方で、オンライン診療の無軌道な拡大は、受診件数の爆発的な増大や不適切利用のリスクもあります

政策概要

  • オンライン診療普及のための診療報酬、インセンティブの設計
    • オンライン診療を普及させるための診療報酬の加算を検討します
    • 島嶼部などの僻地医療、要介護者など独力で受診の難しい方々の受診、生活習慣病などで病状の安定している状況での再診など、ユースケースを整備し、段階的にオンライン診療を普及させるための枠組みを整備します
  • 安全性を担保するためのガイドライン整備
    • 本人確認、重症化時のバックアップ体制など、オンライン診療を安全に行い、標準的なサービスを担保するための規定を整備
  • 薬の受け取りまでオンラインで完結するための枠組みの整備
    • オンライン服薬指導や僻地でのドローンによる医薬品配送などを行うためのガイドラインなどは整備が進みつつあります
    • 配送費用については、物流コストが自動運転やドローン技術の進化により引き下げられる可能性も考えられますが、現状では調剤薬局が担う状況となっており、費用負担が運用の壁となっています
    • 僻地に住む方や外出が困難な方など、受診が困難な方の医療アクセスの確保の観点でも、一定の枠組みでの物流コストの診療報酬での手当を検討します
  • これらの施策により、オンライン診療による受診機会の格差の是正を進めるとともに、働き世代の受診による生産性低下の抑制を見込みます

4. 画像診断AIで見逃しリスクと医師不足の解消を同時に

現状認識・課題分析

  • 日本では人口100 万人当たり CT 115.7台・MRI 57.4台とOECD加盟国の中でも最多の画像検査機器が稼働しています
  • 一方で、それらの画像検査機器で行われた検査結果を評価し、読影レポートを作成する放射線科医は他国と比べて決して多いと言える水準にはなく、放射線科医一人当たりの年間検査数は欧米の3-4倍とも言われています
  • 検査に対して医師が不足するということは、それだけ一件のCT、MRI検査結果を評価するのにかけられる時間が不足するということですし、1日に対応できる検査数が少なくなるということに繋がります。そして、それは検査の見落としリスクや医師不足地域での検査待機時間の増加に繋がります
  • 日本医学放射線学会はかねてからCT検査数の増大に放射線科医の増加が追いついていないことに対して警鐘を鳴らしています
  • こうした状況に対して、昨今のAIやIT技術の進化は親和性が高いと考えます
  • すでに国内外でAI画像解析による画像解析やレポート作成支援は検討が進められており、欧州放射線学会が同学会会員に行った調査では回答者の約半数が臨床現場でAIを積極的に活用していると答えています。日本でも、AIで画像解析を行い読影レポートの作成支援をするシステムが発売されています
  • しかし、技術的な萌芽はみられていますが、日本ではまだまだ画像解析やレポート作成支援システムの普及が進んでいるとは言い難い状況です
    • 画像解析システムやレポート作成支援システムの導入が進まない背景の一つに、導入コストの正当化の難しさが挙げられます
    • 日本では公的医療保険で画像検査を行った際の診療報酬は規定されており、画像検査システムの導入コストやシステム利用料の負担はそのまま医療機関の利益構造の悪化に繋がります
    • 放射線科医が不足しており、慢性的に過重労働が発生している場合や検査の待機期間の遅延が生じている医療機関では、処理可能な検査件数の増加・効率化による経営上の便益も期待されますが、高額なシステムの導入の検討はなかなか難しい医療機関が多いと考えられます

政策概要

  • システム導入費の補助による画像解析システムの導入推進を行います
    • 時限措置として画像検査の補助システムを導入する医療機関に対し、初期導入費用の一定額補助を実施します
  • 診断AIへの加算を制定し、継続利用を促すとともにAI画像解析の成果について評価を行います
    • CT・MRI読影にAI画像解析を併用した場合に一定の診療報酬の加算を暫定的に設けます
    • AI画像解析の運用コストについて一定の担保をするとともに、AI画像解析が行われた施設での読影効率や解析精度、時間外労働への影響を分析し、エビデンス構築を促します
  • 人とAIが協働する医療のルールづくりを進めます
    • AIの精度が進化しても診断を行うのは医師である以上、最終責任は医師が負う必要があります
    • 一方で、AIが提示した異常や逆にAIが提示しなかった異常は医師の判断に影響を及ぼす以上、メーカーの責任や性能評価についても整理が必要となります
    • 国際的な潮流と協調し、機器開発を行う事業者と医療従事者の間で整合性を図りながら、国内制度を整備し、ルールのグレーゾーンを解消していく必要があります

福祉

8.福祉

※「障害の社会モデル」の考え方に基づき、「障がい」ではなく「障害」と表記しています。

ビジョン

テクノロジーの力で、支援を「探して申請する」から「自動で届く」へとアップデートします。複雑な情報の壁を取り払い、人生のあらゆるフェーズで困難にぶつかっても、誰もが必要な支援にスムーズにつながることができる社会を創ります。現場の負担をテクノロジーで減らし、人が人にしかできないケアに専念できる環境を整え、すべての人が尊厳を持って暮らせる社会を構築します。

1.テクノロジーにより、支援が必要な人に適切な福祉サービスをブッシュ型で届けます

現状認識・課題分析

  • 福祉支援の検索・申請手続きの複雑さは、福祉を必要とする人にとって致命的
    • 現状は様々な支援策が国や市区町村のサイトに散らばっていて、必要とする支援の情報にたどり着けないことがあります。物理的にも縦割りで、一つの窓口では他の支援メニューの紹介が受けられないこともあります。
    • 年齢・障害・病気によって「外に出ることが難しい」「HPやパンフレットを読んでも分からない」「窓口に行ってもたらい回しにされる」「更新手続きの期限に気付かなかった」「手続きが複雑であきらめた」などの声も聞こえます。
    • 現在の行政は、申請を待って支援を開始するスタイルですが、渦中にいる福祉を必要とする国民は役所に行き時間をかけて支援の申請をすることが難しいことが多いです。

政策概要

  • 福祉申請手続のオンライン化を推進します
    • 書面・対面義務規定の更なる見直しを実施します。各省庁と自治体のデータベースを連携させ、当事者や家族が同じ情報を毎回提出する必要をなくします。
    • また、生活保護における収入申告、特別児童扶養手当の現況届等の手続きも、スマホから可能にして利便性を向上します。
  • 必要な人に必要な情報を届ける、プッシュ型支援を実現します
    • 福祉サービスを「探す・理解する・申請する」といった一連の行動において、当事者や家族が迷わずスムーズにたどり着ける仕組みを構築します。情報の分かりにくさや複雑さが申請意欲の喪失につながる現状を踏まえ、誰もが迷わず必要な支援にアクセスできる福祉を目指します。
    • 当事者や家族の質問や状況に応じて最適な窓口や手続きをナビゲートするAIチャットボット等を導入し、迷いなく必要な情報にたどり着ける環境を整備します。
    • 本人情報やあらかじめ登録した困りごとに基づき、対象となる制度をアプリやメールで自動通知する仕組みを構築し、自身が調べに行かなくても、必要な情報が「向こうから届く」プッシュ型の政策提供を実現します。
  • AIと専門家によるハイブリッド型障害福祉相談ポータルを設置します
    • 障害のある方やご家族が抱えるあらゆる疑問や悩みに応える「AI障害福祉相談ポータル」を設置します。このポータルでは、個々の状況や障害特性に応じて利用できる公的制度や必要な手続きを、対話形式でわかりやすく案内します。プッシュ通知機能も組み合わせ、申請や手続きのし忘れを防ぎます。
    • AIが相談内容から深刻なケースや専門的な支援が必要と判断した場合には、自治体の障害福祉担当職員や相談支援専門員、医療・心理の専門家などへスムーズに接続する仕組みを構築します。自治体と国が連携し、デジタルの即時性と専門家による的確なサポートを両立させ、支援が必要な方に確実にサービスが届く体制を整えます。

2. 切れ目ない福祉支援を提供する、ワンストップデジタル福祉パスポートを実現します

現状認識・課題分析

  • 障害者や高齢者、生活困窮者など福祉サービスの利用者は、必要な支援や補助を受けるために複数の申請や証明書の提出が求められ、利用者と家族に大きな負担をかけています。
  • 役所、医療機関、療育施設、放課後等デイサービス、介護事業所、グループホームなど様々な支援機関間の情報連携は紙ベースで行われていることが多く、情報共有に時間がかかり、適切なタイミングでの支援も困難になっています。
  • また、デジタル障害者手帳の普及も進んでいるものの、依然として多くの場面で紙の手帳の提示が求められています。

政策概要

  • 障害者手帳とマイナンバーを連携し、スマートフォンアプリで福祉サービスの申請から利用まで一元管理できる「ワンストップデジタル福祉パスポート」を提供します。民間サービスとの連携もできるようにします。
  • まずは、デジタル障害者手帳の普及と、デジタルの障害者手帳を受け付ける場所の拡充を行います。
  • 福祉サービスの支給申請をオンラインで可能にし、各福祉施設での支援情報もワンストップデジタル福祉パスポートで管理できるようにします。受給者証等は、申請を元に対象者にデジタルで付与する仕組みを構築し、自治体に提供します。これにより、申請や受け取りの手間を省きます。
  • 福祉サービスの利用スケジュールや受給者証更新手続きもパスポート内で一元管理し、必要な時期にプッシュ通知でお知らせできる仕組みを提供します。

3. 障害児福祉に関する経済負担の軽減・所得制限の撤廃を進めます

現状認識・課題分析

  • 特別児童扶養手当、障害児福祉手当、障害児通所支援などの障害福祉サービスでは、所得制限が設けられています。世帯収入が一定額を超えると手当やサービスの自己負担額が急増し、結果的に可処分所得が逆転してしまうという深刻な問題が生じています。
  • これが原因で、障害児通所支援の利用を控えたり、保護者、特に母親がキャリアを中断したり就労を調整したりする(働き控え)といった状況も発生しています。
  • 障害のある子の支援・生活には必要な器具やオムツの購入等が必須であり、家庭での経済的負担が大きい中で、さらに所得制限で負担を強いられています。

政策概要

  • 特別児童扶養手当、障害児福祉手当等に加え、放課後等デイサービスの利用料等、障害児支援に関わる所得制限については撤廃を進めます。
  • 補装具や日常生活用具の給付制度についても、品目の拡充と自己負担割合の軽減、申請手続きの簡素化を図ります。

4. 障害児・者の「18歳の壁」「親なき後」対策により、当事者と保護者・きょうだいのそれぞれの希望が尊重され、自分らしい人生の選択肢を増やすための支援を行います

現状認識・課題分析

  • 障害のある子どもが特別支援学校を卒業すると、放課後等デイサービスが利用できなくなります。生活介護や作業所などのサービスを受けられるのは午後3-4時までとなり、それ以降に過ごす居場所がなくなってしまいます。そのため、本人が受けられる支援が限定的になったり、就労を望む保護者が離職せざるを得ない「18歳の壁」が大きな課題となっています。送迎サービスも限定的です。
  • また、障害のある方の保護者は「自分が亡くなった後、この子はどうなるのか」と切実な不安を抱えています。施設や人材の不足に加え、成年後見などの法的手続きも複雑で使いにくいのが現状です。その結果、ケアの責任が特定の家族や「きょうだい」に偏り、彼らが自身の人生を諦めざるを得ないという状況も発生しています。

政策概要

  • 「18歳の壁」への対応策として、夕方以降も障害のある方が安心して過ごせる居場所を新たに検討します。当事者の望む過ごし方と、希望する保護者が就労継続が実現できるよう、支援の選択肢を拡大します。

  • 例えば、生活介護や就労継続支援などのサービス提供時間を、放課後等デイサービスと同じように夕方以降まで延長できるよう、運営費の助成を行います。

  • また、ヘルパーや移動支援の充実や事業者への補助を進めます。

  • 親の高齢化や「親なき後」を見据えた支援

    • 障害のある方の保護者や支援者が亡くなった後の生活面や経済面の支援体制に関する課題、いわゆる「親なき後」問題への対策を検討します。
    • 地域のグループホームや障害者支援施設の拡充に向け、必要な財源と人材確保策も含めて検討を進めます。
    • 成年後見人制度の課題解決・活用促進、ワンストップ相談窓口の設置、ピアサポートの活用支援などを通して、障害者が安心して暮らせる環境整備を進めます。
    • 家族だけが支援を担うことを前提としない仕組みに転換し、きょうだい児が将来の生活や介護を過度に背負わされないような制度設計を目指します。子どものころから障害のあるきょうだいと向き合ってきた人の不安に寄り添い、心理的なケアや学びの場、将来設計の支援も広げていきます。

5. 福祉・介護従事者の処遇改善・テクノロジーによる業務負担軽減を推進します

現状認識・課題分析

  • 福祉・介護従事者の賃金は全産業平均よりも依然として低く、人材確保の大きな障壁となっています。 2026年に臨時報酬改定が予定されていますが、現場の実感としては、十分な改善には至っていない状況です。
  • 介護・障害福祉分野では人材不足が深刻化しており、2025年には介護職員が約38万人不足するという予測もあります。障害福祉サービスも同様で、利用者増加に対して従事者の増加が追いついていません。

政策概要

  • 障害福祉・介護従事者の処遇改善に向け、全産業平均の給与水準に近づけるため、さらなる賃上げの方策を検討します。
  • テクノロジー活用推進、福祉・介護従事者の待遇改善を目的とした基本報酬の改定の検討を進めます。
  • 生産性向上推進体制加算を拡充するほか、テクノロジー活用を標準とした新たな報酬類型を創設します。
  • 現在、施設類型を中心に進められている生産性向上推進体制加算の適用を在宅系サービスにも拡大します。
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算による賃上げ効果を向上させるため、テクノロジー活用と経営改善による利益を福祉・介護職員へ還元することに対し、インセンティブとなる制度の改定を行います。

6. 誰ひとり取り残さない福祉情報へ:情報アクセシビリティの保障と表現の工夫を行います

現状認識・課題分析

  • 行政サービスのオンライン化は進んでいますが、申請手続きや制度説明が「日本語の読解力」を前提としていることが、見過ごされがちな情報の壁となっています。
  • ろう者や難聴者、ディスレクシア(読字障害)のある方、知的障害や学習障害、発達障害の特性により文書理解が難しい方(いわゆる「グレーゾーン」)は、日本語を母語としながらも制度情報の理解に大きな困難を抱えています。
  • これらの方々は、福祉制度を必要とする機会が多い一方で、複雑な説明文や申請書類の難解さのために、制度そのものにたどり着けないリスクが高い層です。現状では、「支援を受ける以前に、情報にたどりつけない」「理解できないから申請できない」という構造が存在しています。読む力の有無が支援の可否を左右する社会は、公平な制度運用とは言えません。

政策概要

  • 福祉制度の説明・申請のすべての段階において、情報へのアクセスを保障するための表現工夫を制度化します。具体的には以下の取り組みを推進します:
    • 行政サイト、パンフレット、申請書類などに、やさしい日本語・ルビ付き文章・図解・ピクトグラムなど、複数の表現手段を併記し、誰もが制度の内容を理解しやすくします。
    • 情報発信において、ふりがな(ルビ)をつけた文章の提供を標準化し、読字に困難のある方や小学生程度の漢字力の方にも情報が届く設計にします。
    • オンライン申請や情報検索を支援するAIチャットボットに、わかりやすい言葉への変換モードや、音声読み上げ・対話型案内との連携を実装します。
    • 各自治体のポータルサイトや申請窓口に「この説明をわかりやすく読む」ボタンを常設し、すぐにやさしい表現やルビ付きのページに切り替えられる仕組みを整備します。
    • 表現整備の過程では、言語支援の専門家のみならず、実際に制度を使いにくかった当事者の声を反映させ、実効性のある「使える情報」を制作します。

制度のわかりやすさは、IT技術の課題であると同時に、言語と認知におけるアクセシビリティの課題でもあります。 自ら情報にたどりつき、内容を理解し、必要な支援につながります。 そのすべての段階を支えるやさしさと工夫が、誰ひとり取り残さない社会の基盤となります。

7. デジタル・AI活用により、障害年金・生活保護等の認定プロセスの効率化を実現、透明性と公平性を確保します

現状認識・課題分析

  • 障害年金の認定状況の調査によると、新規の不支給率が増加しています。特に精神障害は客観的指標による評価が難しく、障害等級の目安より下位等級に認定され不支給となってしまうケースがあります。
  • また、その認定に必要な書類や手続きの煩雑さから、職員の業務負荷が膨大になっています。特に生活保護業務は多様化・複雑化し、ケースワーカーの業務負担が大きく、人材確保や専門性の維持が課題となっています。

政策概要

  • AI活用により、障害年金支給判定プロセスにおける透明性と公平性を確保します
    • 障害年金の支給判定プロセスをデジタル・AIで効率化し、透明性と公平性のある判定を行える仕組みを構築します。
    • 審査の標準化を推進するほか、 AIによる認定結果や不支給事案の分析を継続的に行い、制度運用の課題や改善ポイントを可視化します。「初診日」要件の見直しや、実態に即した判定基準の改定についても検討を行います。
  • 生活保護費の算定やデータ入力作業をデジタルで効率化し、職員やケースワーカーの業務負担を削減します
    • 資産調査を電子化し、AIを導入して行うことで、職員の業務負担の削減と、迅速な支給認定手続きを実現します。
    • ケースワーカーの生活保護業務に関しても紙媒体ではなく電子化を進め、事務の効率化、データを活用しより適切な支援を提案できる仕組みを構築します。

8. 当事者や支援者の多様な声を政策形成に反映し、誰ひとり取り残さない社会を実現します

レベル1:既にある多様な声を、AIの力で整理・可視化し、誰ひとり取り残さない社会に向けた政策形成につなげます

現状認識・課題分析

  • パブリックコメント、SNS、種々の掲示板、該当インタビュー、ひいてはデモ活動など、既に大量の市民の声が存在しているにもかかわらず、それを構造的に理解し、政策に反映する仕組みは限られています。
  • 多くの重要な声が、見過ごされたり、ノイズの中に埋もれてしまう状況が続いています。
  • 障害者や生活困窮者、またその家族や支援者からも、日々さまざまな困難や要望の声がSNS、パブリックコメント、相談窓口、地域の集会などを通じて発信されています。しかし、これらの声は多様かつ膨大であるため、行政側が体系的に把握し、政策に反映する仕組みが十分に整っていません。その結果、当事者や支援者の多様な声・多様な視点を取り入れた制度改善の機会が見過ごされてしまうことも少なくありません。

政策概要

  • SNS投稿、街の声、パブコメなどから収集された意見を、AIが構造化・可視化する「ブロードリスニング」を実現します。
    • ブロードリスニングに関する詳細はこちらをご覧ください。
  • 具体的なプロダクト
    • TTTC・広聴AIなど。すでに自治体や政党で実績多数あり。
    • 描く未来: これまで聞き逃していた国民の大事な声が把握され、政治家や行政がより適切な政策判断を下す土壌が整います。

レベル2:声になっていない声を、AIの力で引き出します

現状認識・課題分析

  • 声を上げる人と、声を上げない人の間には大きな情報格差があります。特に弱い立場の人や、言語化が苦手な人の思いや生活上の不便は、従来の政治では拾われにくい構造にあります。
  • 障害者、LGBTQ+などに代表される性的マイノリティ、文化的・民族的背景、宗教、家庭環境などさまざまな理由で社会的に少数派とされる当事者は、社会の制度や仕組みから取り残されやすい傾向があります。

政策概要

  • ブロードリスニングをさらに発展させ、「AIが全国民にインタビューしてくれる」ような対話型意見抽出ツールを開発・展開します。
    • ブロードリスニングに関する詳細は「デジタル民主主義」をご覧ください。
  • 障害者や性的マイノリティなど様々な理由で社会的少数派とされる方々が、社会生活上で直面する困難を軽減し、誰もが安心して暮らせるように理解を深めるための環境整備・制度設計に繋げます。

9. テクノロジーで、障害のあるお子さんとその家族の生活を切れ目なく支援します

現状認識・課題分析

  • 障害のあるお子さんの育児は、大きな喜びがある一方で、保護者には精神的、肉体的、そして経済的に多大な負担がかかっている現状があります。
  • 現状の支援制度は存在しても、「情報が届かない」「手続きが複雑で利用しづらい」「どこに相談して良いかわからない」といった声が多く聞かれます。また、早期からの適切なアセスメントと、個々のニーズに合わせた切れ目のない支援が不可欠であるにもかかわらず、地域や機関による格差、連携不足も指摘されています。これらの課題は、保護者の就労機会の損失や社会的孤立、ひいては少子化にも影響を与えかねない深刻な問題です。
  • 例えば、発達障害などで支援が必要な子どもの保護者にとっては、療育に繋がるための健診も大きな負担です。現地での待ち時間、検査時間による時間的負担が大きい他、既に療育などの支援に繋がっていても、同じ情報を何度もヒアリングされるという課題も聞かれます。
  • また重要な前提は、ここでの政策は画一的な解決策を押し付けるのではなく、家族の自己決定を支えるものでなければなりません。具体的には、親(特に母親)が仕事をやめてケアに従事することを当然とするような前提での仕組みではいけませんし、ケアに専念されている方に対しても十分なサポートが行き届くようにしなければいけません。
  • 我々はテクノロジーの力を最大限に活用し、保護者の負担を軽減するとともに、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出す支援体制の構築を目指します。

政策概要

  • 安全かつ利用しやすいオンラインプラットフォーム「ファミリーサポートハブ(仮称)」を開発・提供

    • 全ての支援サービス・手当・助成金・施設に関する情報を一元管理します。

    • 各種手当やサービス、障害サービス受給者証の申請等の手続きをオンラインで完結。書類作成や窓口訪問の負担を軽減し、マイナンバーカードとの連携による本人確認や情報入力補助も導入します

    • 保護者の同意に基づき、医療、福祉、教育など関係機関間で、安全な情報共有やコミュニケーションを可能にします

    • 利用者の状況やニーズに基づき、AIが関連性の高い公的制度、サービス、支援団体、地域のリソースなどの社会資源をプッシュ型で提案します。手続き負担を限りなくゼロに近づけ、待ちの姿勢ではなく国が能動的に各家庭を支援する形式を目指します。

  • RTI(Response to Intervention)アプローチの導入とデジタルアセスメント基盤を確立

    • 保育・教育・療育現場において、子どもの支援に対する反応を科学的データに基づき評価し、それに応じて支援計画を柔軟に調整・最適化する「RTIアプローチ」を導入します。早期発見・早期介入を徹底し、画一的でない、真に個別化された支援を提供します。
    • 子どもの発達段階や特性を多角的に把握できる標準化されたデジタルアセスメントツールを開発・普及させます。アセスメント結果は、保護者の同意のもとセキュアに一元管理し、保護者自身も分かりやすく確認できる「デジタル成長記録」として活用します。
  • AIによる個別最適化された学びとケア

    • 児童生徒の学習データや特性に基づき、個別最適な教育支援計画(IEP)作成を補助します。
    • 個々の進捗や理解度に合わせて難易度や内容を調整するアダプティブ・ラーニング教材を提供します。
    • 支援施設におけるスケジュール管理、記録作成、報告業務などを自動化・効率化し、スタッフが直接的なケアにより多くの時間を割けるようにします。
  • 自治体が実施する乳幼児健診の効率化、機関間情報連携により保護者負担を軽減

    • 現在集団で実施されている乳幼児健診(3歳児健診等)に関して、待ち時間をなくす順番管理システムを導入し、保護者負担を減らします。
    • また、すでに療育施設など他の支援機関で支援を受けている子どもの情報を、事前にデジタルで自治体と連携できる仕組みを整備します。これにより、健診時に同じ内容を繰り返し聞かれることがなくなり、保護者・子どもの負担を減らします。
  • 遠隔医療・療育推進、遠隔モニタリングと見守り支援

    • 遠隔地に住む家族や移動が困難な子どものために、専門的な療育(言語、作業、理学療法など)、カウンセリング、医療相談などをオンラインで提供するテレヘルスを普及させます。VR/AR技術を活用した遠隔リハビリやソーシャルスキルトレーニングの可能性も追求していきます
    • 在宅や施設で医療的ケアが必要な子どもに対し、保護者の同意のもと、センサー技術やカメラを用いた遠隔モニタリングシステムを導入します。異常検知時にアラートを発するなど、介護者の負担軽減や安全確保に繋げます
  • 親の再就職支援・柔軟な働き方の推進

    • 育児・介護のために離職した親(特に母親)を対象に、キャリア相談、リスキリング(再教育)プログラム、就職あっせんなどの支援を強化します。
    • 障害のある子どもの親が働き続けやすいよう、テレワーク、フレックスタイム、短時間勤務、時差出勤などの柔軟な働き方を導入・活用する企業に対し、助成金や税制優遇措置を設ける。子どものケア(通院付き添い等)を理由とした休暇取得がしやすい企業文化の醸成も支援します。
  • レスパイトケア・専門的保育の拡充

    • 家族が休息を取るためのレスパイトケア(在宅型、施設型、短期、緊急時対応など多様な形態)の提供体制を、量的・質的に大幅に拡充します。
    • 予約や情報提供は「ファミリーサポートハブ」で効率化します。
    • 医療的ケアを含む多様なニーズに対応できる保育士や放課後児童支援員などを養成するための研修プログラムを強化し、人材を確保します。サービスの提供時間を、フルタイム勤務の親のニーズにも応えられるよう延長・柔軟化します。

10. 発達障害のある子ども、精神疾患のある方の初診予約がとりにくい課題を解決します

現状認識・課題分析

  • 自治体の実施する乳幼児健診などで発達について指摘された子どもが、児童精神科を受診したくても、初診の予約が何か月も先になってしまうことが多いです。
  • 支援を必要とする発達障害のお子さんが、日本には40万人以上いらっしゃるのに対し、発達障害の専門医は、わずか 800 人しかいません。「発達障害の専門家の外来受診」を前提に設計された制度では、外来にたどりつけずに、支援からこぼれおちてしまう方々がたくさん出てしまいます。
  • 発達障害がどれほど重いか(重症度)や、どれほど急ぐべきか(緊急度)は、ひとそれぞれです。しかし今は、患者さんたちひとりひとりが、それぞれの医療機関に電話をかけて予約するスタイルが主流となっています。これでは、本当に急いで専門家に相談しなければいけない方々に、適切なタイミングで支援を届けることができません。

政策概要

  • 乳幼児健診後、重症度や緊急度の高い方が適切な専門家へ速やかに相談できるような仕組みを、AIを活用して構築します。
  • 発達障害に対して、身近な街のお医者さん(一般小児科や内科・総合診療科)でも対応してもらえるよう、医療者の再教育や制度設計に積極的に取り組みます。専門家が遠い場合に、オンラインで気軽に相談できるような基盤も構築します。

11. 困難な状況にある子どものセーフティーネットを強化します

現状認識・課題分析

  • 家族の介護などを担うヤングケアラー問題、子どもの貧困、そして後を絶たない児童虐待の問題は、いずれも子どもたちの健やかな成長と未来を脅かす深刻な社会課題です。
  • 我々は少子化対策として目先の子どもの数を増やすことだけでなく、産まれた子どもたちとその家族が安心して暮らせる社会を作ることに向き合わなければなりません。
  • これらの問題は、家庭内だけで解決することが極めて困難でありながら、外部からの支援が届きにくいという構造的な課題を抱えています。「テクノロジーで誰も取り残さない」という党是のもと、最新技術と人の手によるきめ細やかな支援を組み合わせ、早期発見・早期対応・継続的支援を実現する強固なセーフティネットの構築が急務です。

政策概要

  • ヤングケアラーの早期発見
    • 学校や地域コミュニティにおける早期発見・把握のためのスクリーニングシステムの開発・導入を支援し、関係機関が連携できるプラットフォームを構築します。
    • オンライン相談窓口やAIチャットボット相談を設置し、専門家による心理的ケア、学習支援、家事支援サービスなどを迅速に提供できる体制を構築します。
  • 子どもの貧困対策
    • 生活困窮世帯への経済的支援強化、フードバンク活動や子ども食堂への支援、地域における見守りネットワーク強化などを通じ、貧困の世代間連鎖を断ち切るための多角的な取り組みを進めます。
    • 教育機会の完全な均等化を目指し、給付型奨学金の大幅な拡充や、AIを活用した学習支援プログラムの無償提供を推進します。
  • 児童虐待の検知AIの再構築
    • これまでの子ども家庭庁による取り組みを改めて棚卸しし、虐待検知に本当に必要なデータ項目が何かを経験値の高い職員の方へのヒアリング等から特定。誤検知の少ないAI検知システムを改めて構築します。
    • いきなり大規模に展開するのではなく、最初は既存のやり方と併用してスモールにテストを重ねることで、大きなコストをかけずに適切なシステムを作っていきます。
  • 日常的な育児不安に対応するAI育児相談窓口の設置
    • ステップ1でも説明したとおり、育児に関するあらゆる悩みや疑問に対し、24時間365日、保護者が気軽にアクセスできるAIを活用した育児相談窓口を設置します。
    • AIが初期対応を行い、一般的な情報提供やアドバイスを行うとともに、より専門的な支援が必要と判断される場合には、各自治体の保健師やケアマネージャー、医療機関などの適切な専門家や窓口へスムーズに繋ぐことで、デジタルの利便性と専門家による手厚いサポートを両立させます。
    • 利用可能な助成金制度などのお役立ち情報も提供し、いざという時に確実に頼られる存在となることを目指します。

12. ひとり親への養育費不払い問題に対応します

現状認識・課題分析

  • 日本の養育費受給状況は極めて深刻で、厚生労働省の調査によると、母子家庭で養育費を受け取っているのは約28%、父子家庭では約9%にとどまっています。背景として、養育費の取り決め率の低さや、強制執行の手続きの煩雑さが挙げられます。
  • その結果、ひとり親家庭の貧困率は約45%に達し、子どもの教育格差や生活困窮の要因となっています。

政策概要

  • 養育費取り決め率を向上させるため、公正証書や調停調書等による明文化を行政が費用面・手続き面でサポートする仕組みを導入を検討します。
  • 養育費未払いに対する罰則規定の導入の検討を進めます。
  • 強制執行の手続きの簡素化と費用軽減に向けた対策を行います。養育費回収に特化した弁護士費用の補助を検討します。
  • 養育費が支払われなかった場合の対策として、支払い義務者の給与から天引きできる制度や、一時的に一定金額の公的な立て替え制度を導入します。また、デジタルを活用した効率的な給与天引きや差し押さえ方法・手続きの検討を進めます。

13. テクノロジーで『雇うだけ』を超えていく:障害者も企業も無理なく続けられる雇用支援へ

現状認識・課題分析

  • 法定雇用率制度は、障害者雇用の推進に一定の役割を果たしてきました。多くの企業が制度に基づいて取り組みを重ねてきた一方で、「雇用率の達成」が目的化しやすい構造があることも否めません。就労後の定着や働きがいといった“その先の支援”にまで十分に光が当たらず、制度設計上も評価されにくい現状があります。
  • 就労移行支援や特別支援学校における職業訓練が、依然として紙資料の整理や手工芸などに偏っており、企業の実務で求められるスキルとの間にギャップが生まれています。AIやDXの進展に伴い、訓練内容の時代適合が急務となっています。
  • 制度の対象となる常用労働者40人以上の企業が少ない地域では、制度自体が適用されず、そもそも障害者が働く選択肢を持てない「雇用の空白地帯」が広がっています。
  • 特に中小・小規模企業では、障害者を雇いたい意欲があっても、ケアや支援を担う人材が不足しており、「支えられないから雇えない」というジレンマを抱えています。
  • この構造は、障害者の就労機会を奪うだけでなく、企業にとっても人手不足を解消するチャンスを失う結果となっています。

政策概要

  • 本人向けの業務ナビゲーションツール(ルビ付き文字・ピクトグラム・音声などを組み合わせたアプリ)を普及させ、支援者不在でも業務理解が進む環境を整備します。
  • 支援機関や特別支援学校での訓練内容が時代に即したものとなるよう、AIやデジタル教材を活用し、教育・支援者自身のスキル更新や情報アップデートを継続的に支援します。
  • 企業担当者向けのAIコーチ機能(特性ごとの支援ヒント、対応マニュアルの提案など)を開発し、初めて障害者を受け入れる企業でも対応できるよう支援します。
  • 就労支援者と企業・本人をつなぐ遠隔伴走支援システムを構築し、支援者が常駐せずとも継続的なフォローができる体制を実現します。
  • 障害者雇用の定着状況や支援の質を可視化し、「雇うこと」だけでなく「続けられる支援」を行う企業が評価される助成制度に見直します。
  • 地域の小規模企業が連携して障害者を雇用できる「シェア雇用モデル」を整備し、個社単独では難しい課題を地域ぐるみで支えられるようにします。

14. 介護テックの開発と導入に大胆に投資し、介護従事者の人手不足を解決するとともに、被介護者のQOL(生活の質)の向上を目指します

現状認識・課題分析

  • 介護事業所の約8割が人材不足を感じており、厚生労働省の推計では2026年には約25万人、2040年には約57万人の介護士が不足するとされ、深刻な状況が継続しています。このままでは介護を必要としているにもかかわらず必要な支援を受けられない「介護難民」がさらに増加する可能性が高く、介護分野の職員の業務負担軽減、生産性向上は急務となっています。
  • 介護事業所のICT導入率は低く、主な阻害要因として、導入コストの高さ、ICTスキル・業務プロセスマネジメント能力を持つ職員の不足、システムの複雑性、補助金申請の煩雑さが挙げられます。現場の介護職員の負担は増大しています。

政策提言

  • 介護産業を医療産業と同様に日本の基幹産業の1つとするべく、包括的介護テクノロジー推進戦略を策定します。
    • 2040年問題を見据え、介護テクノロジーやAIを活用した革新的なソリューションの開発と普及を加速させることが不可欠です。研究開発から現場導入までを一貫して支援する体制を構築し、スタートアップや新規参入企業への包括的な支援策を強化します。その際、介護特有のマーケット構造をベースとした戦略化を行います。
    • 研究開発への支援策は「科学技術」の項目をご参照ください。
  • テクノロジー導入支援策を拡充し、業務の負担軽減と被介護者のQOL向上に貢献します。
    • 介護テクノロジー導入支援事業による補助金や開発支援の対象を拡大するとともに、補助金上限金額の見直しや申請プロセスの簡素化を進めます。申請業務の徹底的なデジタル化と必要データの見直しにより、現場の負担を軽減します。
    • AI・ロボット活用技術の積極活用を進めます。見守りシステム、介護ロボット(移乗支援、入浴支援、排泄支援、見守り、移動支援、AIコミュニケーションロボット等)の導入を促進し、被介護者のQOL向上に貢献する他、介護従事者の負担軽減、離職率の低下に繋げます。
    • 介護ケア記録のデジタル化をベースに、そのデータを活用してAIによるリコメンドやアラートなど、ケアプランが指向する個々人の状況に応じたケアの実現と質の向上を実現するとともに、介護従事者・事業所のデータも活用することで業務全体の効率化を図り、介護従事者の負担を軽減します。
  • 介護業務のDX推進に向けた体制を強化します。
    • 介護DXを推進するための、国、地方自治体、関係団体、介護事業所、介護職員、それぞれに求められる役割の明確化と、実行のための、分析、プランニング、実行、振り返りというPDCAの各段階への資金的支援、ノウハウ提供、伴走支援策の充実とプロジェクトマネジメントの徹底を、ITシステム導入ノウハウを活用して進めます。
    • デジタル庁が進める生産性向上のダッシュボードをさらに進化させ、PDCA施策を強化するとともに、在宅系サービスのテクノロジー活用と生産性向上のためのKPI設定とその活用策を強化します。
    • 介護職員のAI・テクノロジー活用スキル向上のための体系的教育プログラムを構築し、各地域に専門人材の配置とオンボーディング研修を充実することで、推進に必要なリソース量を確保しつつ、継続的な支援体制を確保します。
  • テクノロジー活用推進・介護従事者の待遇改善を目的とした介護報酬体系の改定の検討を進めます。

くらしと行政

9.くらしと行政

ビジョン

国民が変化を実感できる政府をつくるため、政党自らがテクノロジーを実装し、情報公開と効率化を推進します。誰もが迷わず、負担なく支援や制度にアクセスできる使いやすい公共サービスを実現し、専門知と技術を活用した機能する法制度・行政運営を支える仕組みを構築します。 制度や行政プロセスから複雑さや属人性を減らし、オープン化を進めることで誰もが使える仕組みに再設計します。税や給付などのルールを連続的・自動的に調整することでインフレや格差に柔軟に対応し、合理的な制度運用を実現します。

1. 永田町エンジニアチームが、国会・行政のDXを推進します

現状認識・課題分析

  • 民間と行政で進む「技術活用のギャップ」
    • 民間企業ではテクノロジーを活かしたサービスの高度化が進む一方、行政や立法分野では変化のスピードに課題があり、日常的な利便性の実感に差が出てきています。
  • 国会・立法府における技術人材の構造的不足
    • AIやオープンソースソフトウェア(ソースコードが公開され、誰でも自由に使用、改変、再配布が可能なソフトウェア。以下OSS)の活用が社会の基盤技術となる中、立法や政策設計においても専門的な技術知見が求められています。
    • イギリスでは「UK Parliamentary Digital Service(PDS)」がこうした役割を担っており、日本でも常設の技術チームによる支援体制が急がれています。
  • 国民参加と熟議を支える基盤の未整備
    • 政策形成に市民の声を活かすには、意見を集め・整理し・論点化する基盤が必要ですが、現在はその多くが未整備です。多様な意見を構造的に把握・分析するツールの整備が求められています。

政策概要

  • チームみらいは2025年に国政政党になって以降、永田町エンジニアチームを設置しました。UK Parliamentary Digital Serviceのような先行モデルを参考にしつつ、AI・OSSの専門知見を立法府に常時インプットします。

  • 行政のデジタルツールをつくる・運用する

    • ネット上で話し合える場づくり
      • デジタル民主主義2030で採用されている「いどばた」を活用し、市民が自由に意見を出し合えるオンラインの熟議の場を展開します。AIが内容を整理し、論点を明確にすることで建設的な議論を後押しします。
    • 国会の議論を可視化し、声をきちんと受け止めるしくみ
      • チームみらいが2025年に国会で何が話し合われているかを分かりやすく可視化する『みらい議会』というツールを発表しました。『みらい議会』では各法案のステータスや背景をわかりやすく解説しています。
      • 現状の『みらい議会』は、国会のリアルを国民に届ける「情報の可視化」に主眼を置いていました。次のステップでは、その逆向きの流れ、つまり「国民の声を国会に届ける」ための仕組みを実装します。
      • 私たちはこのツールをさらに進化させ、「国民の声で国会を動かす」事例をつくっていきます。単に国会の状況を知るだけでなく、それを見た国民の皆さまが意見を投げかけ、それをAIが集約して国会へフィードバックできる、いわば「デジタル目安箱」へと進化させます。
      • その核となるのが、昨年から実験を開始している「AIインタビュー」です。これはオンライン上でAIが、有識者や当事者の皆さまにインタビューを行う仕組みです。
      • AIを活用する最大のメリットは、その圧倒的な効率性にあります。「人工知能基本計画」に関するインタビューでは、数日間で延べ1,200時間以上のインタビューを実施しました。人間が50日間寝ずに働き続けてようやく終わる分量を、AIならわずか数日で完了し、意見を集約することができるのです。
      • 今後は、このAIインタビュー機能を『みらい議会』に統合します。私たちは、ここで得られた多様な知見を自分たちの議席を通じて国会へ持ち込みます。多角的な視点を取り入れることで、国会の議論をよりアップデートすることができると考えています。
  • 政治資金の流れを市民が追えるツールを活用

    • 2025年、チームみらいは政治資金の流れを透明性を持って公開するプラットフォーム「みらい まる見え政治資金」をリリースしました。
    • 今年の3月、チームみらいとして初めての政治資金収支報告書の作成時期を迎えます。私たちはこの報告書を、『みらい まる見え政治資金』を使って作成します。現状のチームみらいの収支は、『みらい まる見え政治資金』でわかりやすくご覧いただけます。
    • 私たちは、政治資金の流れを透明化するツール『みらい まる見え政治資金』を、自党のみならず他党へも広げていきます。
    • 昨年12月に実現した参議院自民党との政策合意の中で、今年度中に所属議員全員に向けて『まる見え政治資金』を周知する機会を設けることを約束いただきました。党首の安野貴博が直接、議員の皆さまに向けて詳しく説明を行う予定です。
    • また、自民党以外にも多くの議員の方々から興味を持っていただいており、党派を超えた協調を進めています。
  • 自治体で使えるOSSツールの開発

    • デジタル庁が進める標準化や共通基盤と競合しないよう配慮しつつ、小規模な自治体でも導入しやすいツール群をOSSとして迅速に構築します。必要に応じてカスタマイズできる形で全国に展開します。
  • プロトタイプによる仮説検証とOSS化

    • デジタル政策の構想段階において、まずプロトタイプを開発し、実現性や運用上の課題を検証します。効果が認められたツールについては、公共的に再利用可能なOSSとして開発・公開します。
  • 議員のための情報収集・分析支援機能

    • 各府省の資料、過去の国会・委員会の議事録などを横断的に収集・整理し、関連情報を自動的に集約・提示する機能を開発します。忙しい議員が短時間で必要な情報にアクセスできるようにします。
  • 技術外交のハブ機能

    • エンジニアチームだからこそ可能な“テック外交”を推進します。国内外の技術者コミュニティと連携し、政策立案に必要な知見を得ると同時に、日本発のガバメントテクノロジーのプレゼンスを高めていきます。

2.使いやすい行政を実現します

現状認識・課題分析

  • 住民にとって“体験の良さ”は依然として低水準
    • 国民生活に直結する26手続きについて、オンラインで完結できる自治体は65.1%にとどまり、3 割強が依然として書面・窓口前提で、オンライン移行は道半ばです。(出典:デジタル庁「データから見た成果:社会におけるデジタル活用の進捗」)
    • 「オンライン手続きができない」「何度も同じことを書く必要がある」「窓口が明確じゃない」などの声も聞こえ、国民にとっての使いやすさにはまだまだ改善の余地があります。
    • 育児中のご家庭や、高齢の方、障害のある方、就業者など、全ての人にとっての使いやすさが重要ですが、「手続きが複雑であきらめた」事例が各種ヒアリング調査で報告されています。
  • 制度へのアクセス障壁がもたらす公平性の欠如
    • 日本の社会保障制度や各種公的支援制度は、申請主義を前提として設計されており、制度の存在自体はあっても、情報格差や申請手続きの複雑さから、「制度があっても支援が届かない」状態が広く生じています。
    • 特に、低所得世帯、高齢者、障害者、ひとり親家庭といった支援ニーズの高い層ほど、制度へのアクセス障壁が大きく、支援の取り残しが深刻な課題となっています。
  • 行政内部の非効率の改善とポテンシャル
    • 統計調査や現地調査で「Excel→手入力→基幹系」などの多重入力が常態化し、調査漏れや職員二重配置が発生していると自治体現場からの声もあります。
    • デジタル化を進めることで、職員は書類の受け取りや書類の記載内容の確認から解放され、本来の対人支援・相談業務に注力できるようになります。
    • また、業務フローを標準化・再整備することで業務の属人性、二重入力を排除し、またシステムによる自動チェックや履歴管理によりヒューマンエラーを防ぐことができ、待ち時間の減少、迅速な給付など、行政サービスの質の向上に繋がります。
    • 例えば、書面や対面を義務づけるアナログ規制をオンライン化しただけで、甲種防火管理講習では年間 16.7億円のコスト削減効果が試算されており、同様の潜在効果が多数残存。(出典:デジタル庁「アナログ規制の見直しによる経済効果(中間報告)」)

政策概要

  • 行かせない、書かせない、待たせない、迷わせない行政を実現
    • 行かせない
      • 行政手続のオンライン化をさらに推進する
        • 書面・対面義務規定の更なる見直しを実施します。あわせて、マイナンバーカードと公的個人認証(JPKI)を活用し、本人確認と必要情報の自動取得を可能とすることで、原則として窓口来訪を不要にする行政手続きを拡大します。
    • 書かせない
      • マイナンバーを活用して、利用可能な税・社会保障データの範囲を段階的に拡大し、自動連携することで申請時の住民による再入力を排除します。
        • 各省庁と自治体のデータベース連携を推進することで、住民が同じ情報を何度も提出する必要を無くします。
      • さらに、国民健康保険料の算定や各種減免措置については、行政が既に保有している課税・所得情報を標準APIにより内部で自動参照・適用することを原則とし、国民に対して紙の書類提出を求めない運用を標準化します。すでに一部自治体で試行が始まっており、全国展開に向けた制度設計を加速させます。
      • デジタル庁の推し進める「自治体窓口DX」を更に推進していくとともに、加えてIT&AIを活用したバックヤード改革を行い、入力内容の確認、窓口業務職員の負担軽減を図ります。
    • 待たせない
      • 前提として、オンライン化を推し進め、行政機関への訪問を不要にします。
      • ただし、どうしても訪問が避けられない場合もあるため、そのような場合は混雑状況をリアルタイム配信することで待ち時間の平準化を図り、結果的に「待たされる」体験を改善します。
    • 迷わせない
      • 行政サービスを「探す・理解する・申請する」といった一連の行動において、住民が迷うことなくスムーズにたどり着ける仕組みを構築します。情報の分かりにくさや複雑さが申請意欲の喪失につながる現状を踏まえ、誰もが迷わず必要な支援にアクセスできる行政を目指します。
      • 例えば、確定申告については、その手続きの煩雑さがかねてより指摘されており、納税者の負担軽減が急務です。マイナンバー制度およびマイナポータルの基盤を活用し、給与・報酬・金融所得・社会保険料・医療費など、申告に必要な情報を関係機関から自動的に集約・連携する仕組みを段階的に整備します。
        • 現時点でも、医療費通知・社会保険料・ふるさと納税情報などについては、マイナポータル経由で取得し、e-Tax上に自動反映される機能が実装されています。また、家族の医療費についても、事前の代理設定により取得可能となるなど、代理による補助的な申告準備も技術的に整いつつあります。
        • 今後は、これらの仕組みをより一層拡張し、証券会社・金融機関・保険会社などの情報も含めた網羅的な所得・控除情報の事前集約を推進します。また、高齢者や体調不良等により自らの申告が困難な納税者については、税理士等の有資格者に限らず、家族等による代理提出やサポートがしやすくなる環境整備(例:電子委任状の標準化、代理人向け操作画面の整備)を進めます。
        • これにより、最終的には、納税者があらかじめ集約された申告内容を確認し、ワンクリックで申告を完了できる「ワンクリック申告」の仕組みを実現します。本人の意思に基づいた安全な情報連携、透明性の高い運用、そして不正利用を防止する制度設計を徹底することで、誰にとっても使いやすく、安心できる確定申告制度への転換を図ります。
        • この基盤を活かすことで、税や社会保障の控除・給付の“境界”をなめらかにし、より合理的な制度運用へと接続していくことが可能になります。確定申告の改革は、より本質的な制度の滑らかな設計——「なめらか税・社会保障」への移行に向けた第一歩でもあります。
        • なお、希望する納税者に対しては、マイナンバーカードに紐付けられた公金受取口座から、確定した税額が納税期限日に自動的に引き落とされるオプションも導入します。引き落としにあたっては、納税額の確定内容を事前にマイナポータル上で確認・同意できるようにし、利用者の不安や誤課税への懸念に対応します。
      • また、本人情報やマイナンバーに紐づく属性データ(年齢、所得、家族構成など)に加え、住民自身がマイナポータル等で登録した興味・関心分野(例:子育て、教育、住宅支援、起業支援など)をもとに、対象となる可能性のある補助金・制度を自動抽出し、アプリやメールで個別通知する仕組みを整備します。これにより、「制度を自分で探しに行く」のではなく、「必要な情報が向こうから届く」プッシュ型の情報提供が実現されます。
        • すでに、マイナポータルの「ぴったりサービス」や一部年金手続きで先行実装されつつあり、今後は他制度にも横断的に拡張し、自動化の精度を高めていきます。
        • 一定の要件を満たす給付金や手当については、本人への通知後、一定期間内に異議がなければ公金受取口座に自動的に振り込まれる「オプトアウト型自動給付」の仕組みを整備します。2024年の定額減税補足給付では、申請不要の給付が一部自治体で実施されており、これを皮切りに、恒久的な制度への段階的移行を進めていきます。
        • 加えて、会社からの退職情報や介護・障害の認定など、個人のライフイベントの情報が行政に届いた時点で、国民健康保険の加入や保険料の減免申請といった関連手続きを行政側で一括処理し、本人にはその結果のみを「通知」として送付する仕組みも構築していきます。2025年度より始まる電子離職票のデジタル連携はその基盤となり、今後は国保・年金・雇用保険など複数制度を一体で処理する「ワンストップ型自動手続」へ発展させていきます。
        • 一方、守りの側面も重要で、制度の拡張とともに、AIを活用した不正受給リスクの自動検知モデルを導入し、高リスクケースを優先的に審査するリスクベースアプローチを採用します。東京都の特別区を中心に生活保護や児童扶養手当などで導入が始まっており、これを他の給付分野にも広げていく方針です。あわせて、マイナポータル上で給付履歴や本人への情報照会履歴を確認できるダッシュボード機能を拡充し、透明性とトレーサビリティの確保も図ります。
      • ユーザーの質問や状況に応じて最適な窓口や手続きをナビゲート、代行するAIチャットボット、AIエージェント等の導入を加速させ、迷いなく必要な情報にたどり着ける環境を整備します。
        • また、AIチャットボットでの対応が難しい場合には、速やかに専門の相談員へ引き継ぐ体制を構築します。デジタル機器の操作に不慣れな方でも安心して利用できるよう、人によるサポートの選択肢を常に用意します。
        • 特に高齢者の方々に対しては、デジタル庁の「デジタル推進委員」の取組等と連携し、対面相談窓口の充実や、わかりやすい言葉づかい、大きな文字表示といったインターフェース配慮を徹底します。これには、日本産業規格(JIS)等に準拠したアクセシビリティ基準の採用を含みます。
        • 既に成果を上げている自治体と民間企業の連携による現場サービス(例:出張講習、地域サークルと連動したIT体験会)などの優良事例を迅速に横展開し、全国での実装を加速させます。
      • 政策情報や手続き案内を、AIや検索エンジンが解析しやすい機械可読なデータ形式(HTML, JSONなど)で提供。AI・アプリ・Web検索を活用した情報アクセス性を向上させます。
      • 行政文書の日付表記を分かりやすく改善し、西暦を併記または主として使用することで、和暦の確認や年数の計算といった無駄な確認作業をなくし、利便性を向上させます。

3. AI&ITによる公務員の働き方改革を行います

現状認識・課題分析

  • 過重労働が常態化し、若手人材が敬遠。行政サービスの質・スピード双方が低下。
    • パブリックコメントは案件によっては10万件超の意見が集まる事例もあり、職員が手作業で分類するなど、大きな事務負担が生じています。
  • 立法支援機能の限界と現場の疲弊
    • 各省庁だけでなく、衆議院・参議院の法制局では、議員立法や政策分野の多様化により、法案作成・審査の業務が増大しています。膨大な審議記録や類似法案の調査を限られた人員でこなす現場はすでに限界に達しており、業務支援のための技術導入が不可欠です。
  • 危機対応に必要な“余白”が消失
    • 人手不足・過重労働が常態化しているため災害やパンデミック時に臨機応変な動員が難しく、非常時に機動的な動きができない恐れがあります。

政策概要

  • FAXや紙の廃止を進めるとともに、行政機関に最新の業務ツールや柔軟な働き方を導入し、職員のデジタルリテラシーを高めます。こうした基盤整備により、現場の実態や社会の変化を的確に捉えた、現実に即した政策立案を可能にします。
  • 行政内部DX
    • AIアシスト型ワークフロー
      • パブリックコメントの分類、分析をAIで効率化します。
      • 紙のみで保存されている資料をOCRで検索可能にします。
      • 告示・通知をデータベース化し、AI+RAGで庁内文書横断検索を可能にします。
    • 「読み合わせ」から脱却
      • AI技術を活用して原稿のレビューを行うことで、口頭読み合わせを不要にします。
    • 音声AIによる一次問い合わせ窓口
      • 代表電話・コールセンター業務を集約し、職員が二次対応に専念できる環境を整備します。
    • 機密区分・個人情報のマスキング手順を標準化し、行政機関での安全な生成AI活用を進めます。
  • 立法支援業務に向けたデジタルツールの整備
  • 類似法案の検索、過去の審議記録の分析、条文案作成支援、影響範囲分析など、AI技術を活用したツールを開発します。
  • e-Gov法令APIの構造化強化(プレーンテキスト化、履歴管理、告示データの整備等)や、デジタル庁が進める法制事務のデジタル化の動きとも連携し、議員立法や修正案作成にも使いやすい支援ツールを整備します。
  • 法令・規則・条約のデータを再利用可能なリソースとして統合し、立法過程全体の質とスピードを高めます。
  • 司法DX
    • 司法における書面準備作業などをAIを利用して効率化します。
    • AI“0審”モデル
      • オンライン上の名誉毀損など、発生件数が多いものについては、パターンを学習し、判決や賠償額を予測するAIを開発します。
      • モデルをAPI経由で公開し、リスク警告の実装を可能にすることでそもそもの法律違反を減らすことを目指します
        • 例:プラットフォーマーがSNS上の投稿前に名誉毀損に当たらないかチェックする機能も実装可能に
      • AIによる不当なバイアスが発生しないよう、認証/確認のプロセスを徹底
      • また、AIの分析結果を理由として、法テラス等の公的支援を受ける権利や、その他の法的手段を不当に制限されることがないようにする。

4. 選挙現場の負担に寄り添い、届出手続・運用のデジタル化を進めます

現状認識・課題分析

  • 立候補手続きが“紙と対面”に強く依存
    • 立候補予定者は、事前説明会で各都道府県選挙管理委員会から膨大な届出書類を受け取り、記入・管理・提出に多大な労力を要しています。
    • 提出にあたっては、押印済み原本を「厳封」のうえ庁舎に再度持参する必要があり、手続き全体が紙ベースで運用されています。
    • なお、参議院選挙など一部では総務省のようにWeb上での資料提供が行われている例もあります。
  • 供託金納付はオンラインでも“紙提出が慣行のまま”
    • 法務省が提供する「供託ねっと」により、選挙供託金はオンラインで納付可能となっていますが、多くの選挙管理委員会では電子形式の預納証明書を受理しておらず、法務局で紙の原本を発行・提出する運用が依然として求められています。制度と現場運用の間に乖離が存在しています
  • CD-R提出やPDFでの書類作成など、古い慣行が温存
    • 選挙公報などの提出書類では、CD-Rでの提出が求められる場合があります。
    • また、PDFファイルで様式が配布されることもあるため、専用ソフトによる加工や印刷・手書きによる記入が必要となることがあります。こうした非効率な形式依存が、事務作業の負担を増大させています。
  • 短期間に集中する手続きと、情報の重複提出
    • 事前説明会から事前審査までわずか数日しかなく、その間に移動をしつつ、供託・戸籍取得・住民票・委任状・事務所届・政見放送などを同時並行で準備する必要があります。
    • 加えて、各選挙管理委員会により必要書類や記載ルールが異なり、同じ情報(例:候補者名や住所)を何度も転記させられる構造になっています。
    • このような短期集中・多重入力の負担は、特に参議院選挙のように全国を対象とする選挙では、地方に拠点を構えることが困難な新興政党にとって大きな障壁となっています。
  • 移動・時間・費用面での制約が候補者の多様性を阻害
    • 庁舎への訪問や書類の郵送などにかかる時間や費用は、物理的・経済的な負担となっており、地方在住者、海外在住の日本人、平日に時間を取りづらい層にとって立候補の大きなハードルとなっています。その結果、立候補機会における地域・環境間の格差が生じ、候補者の多様性確保にも影響を与えています。
  • 証紙ビラなど“紙中心の運用”が人的・時間的リソースを圧迫
    • 選挙運動においても、証紙付きビラの貼付作業、ポスター掲示、ハガキの印刷・送付など、多くの工程が紙を前提としており、候補者・支援者にとって過大な物理作業となっています。
      • 特に証紙ビラは、規定枚数分に1枚ずつ証紙を貼る必要があり、告示後の限られた時間の中で人手と時間を大量に消費します。
    • そのため、新人候補や地方・若年層の立候補機会を制度的に制限している構造につながっています。

政策概要

  • 誰もが立候補しやすい選挙へ:“フルオンライン届出”を段階的に実現
  • 電子手続を全国統一運用へ
    • すでに可能となっている「供託ねっとによるオンライン納付」や「事前審査前のメール等での事前チェック」「事前審査のオンライン予約」など、実証済みの仕組みを全ての選挙管理委員会で共通運用できるよう整備します。
    • これらの法改正が不要な部分については、例えば総務省通達や業務ガイドラインにより統一ルールを策定し、速やかな運用開始を目指します。
    • 一方で、法改正が必要な手続きについては、法的な真正性とセキュリティなどの観点で慎重な対応が必要となるため段階的に進めます。
      • 例えば、「届出書類の電子署名・電子提出を紙と同等とみなすための法整備」、「マイナンバーカードを活用した本人確認プロセスの導入」、「書類一式のクラウド保存、タイムスタンプ運用による「厳封相当」措置の導入」については慎重な検証を通した上で段階的に対応します。
      • その際、提出記録や操作ログを保存するなど、セキュリティ・訴訟耐性も確保する想定です。
  • 手続きの重複をなくし、全国で使いやすい様式へ
    • 所・氏名・政党名・略歴などの繰り返しの同一の記載をなくすため、統合入力フォームを整備し、1回の入力で複数様式に自動展開します。
    • 加えて、様式・記載要領・メタデータ設計を仕様として標準化し、自治体ごとの記載揺れや独自欄をなくし、公平性と審査効率、ミス削減の両立を図ります。
  • デジタル庁・総務省と連携した技術基盤の構築
    • 行政手続標準化の共通API(GSS)に「公職選挙手続き」を追加し、住民票・税務情報と同様に各種選挙手続きをAPI経由で処理できる構造を検討します。
    • 導入に負担の少ない汎用的な業務テンプレートを整備し、予算や人材が限られる自治体でも安定的に運用できるよう配慮します。
  • 運用現場に配慮した“併存フェーズ”の設計
    • これら全てを短期間で実現するのは無理であるため、例えば「紙・電子どちらも可」とする併存期間を3年程度設けるなど、現場が無理なく移行できる設計にします。
    • 現在の印刷・審査実務を理解したうえで、電子的に編集可能・自動チェック可能な汎用フォーマットへの段階的移行を進めます。
  • 選挙運動における“紙前提の制度”も段階的に見直します
    • 証紙ビラの手貼り制度については、ビラへのシリアル番号・電子署名の一体印刷などによって、作業負担の軽減と真正性の確保を両立する仕組みへの移行を検討します。
    • あわせて、法定枚数の上限制度を、ネット媒体と紙媒体を一体で管理できる費用上限制度へと再設計することも選択肢とします。
    • その際は、電子台帳による配布管理やログ保存を組み合わせることで、透明性を担保しつつ、現場の負担軽減と制度的信頼性の両立を図ります。
    • さらに、音声読み上げ・多言語対応などのアクセシビリティ施策を拡充することで、情報の届け方そのものを多様化し、「紙が前提」となっている現行制度を超えた、誰もがアクセスできる“開かれた選挙”の実現を目指します。

5.「なめらかな税・社会保障」——物価や賃金に応じて、税と社会保障を自動で見直します

現状認識・課題分析

  • 所得の“段差”が行動をゆがめる
    • 控除額や、制度適用の基準値はなめらかではなく、「崖・壁」が多数存在。これが就労調整などの動機になっています。
  • 制度の金額がインフレに追いつかない
    • 控除・給付額、所得制限値が固定されている制度においては、2020~2024年のCPI累計上昇率6.4%に対し、実質的な手取り増加・給付価値は相対的に低下。特に低・中所得層では家計負担感が増大しています。
  • “手作業改定”が制度運用のボトルネック
    • 政策改正のたびに企業や社労士は給与ソフトや帳票を更新する必要があります。制度改定の影響も読みにくく、周知・対応コストがかさみます。
  • 制度間の一貫性が欠如
    • 年金には自動スライド機構がある一方で、基礎控除や保険料率にはそれがなく、全体設計としての整合性を欠いています。
  • 改正が政争化・属人的が進む
    • 年度ごとの財政交渉や政党間の駆け引きにより、制度の改正が遅れたり歪んだりするリスクがあります。

政策概要

  • 所得に応じた「滑らかな課税・給付」
    • 所得控除・給付・保険料率をロジスティック曲線等の連続関数で設計。制度境界による急変(崖)を排除し、合理的かつ予測可能な制度設計を実現します。
  • 指数連動の自動改定
    • 年金制度と同様、CPI・平均賃金指数に連動して各種金額(控除額・給付額・保険料率)を自動スライドさせます。
  • 公式APIの提供
    • 税額・給付額を返すAPIをOSSで公開することで、給与ソフト・年末調整・自治体システム等の自動更新を支援します。
  • 市民参加と透明性の仕組み
    • Webシミュレーターを公開し、個人・企業による新旧制度を比較可能にします。
    • ダッシュボードで負担・給付を可視化します。
    • 政策GitHubで制度のモデル仕様・ロジック・パラメータ更新履歴を公開します。

6. ロックインを防ぐ、オープンな公共調達を推進します

現状認識・課題分析

  • コスト削減の余地あり
    • 現状、国と地方自治体でそれぞれ独立してソフトウェア開発を行っていますが、オープンソースソフトウェア(OSS)の利用により、同様のシステムを個別に開発する必要がなくなり、重複する開発コストを削減できます。
    • OSSは、企業全体で約9兆ドル(約1,080兆円)の開発費を節約したとされるHarvard Business Schoolの試算もあります。
  • ベンダーロックインと競争阻害
  • 一度特定の事業者に依頼してしまうと、他の業者の参入が難しくなり、結果として効率が悪くても特定のベンダーを使い続けてしまう問題があります。
  • 公正取引委員会の実態調査は、官公庁システム調達で“同一ベンダー継続率”が高く、機能改修やバージョンアップさえ他社が請け負えない構造が競争を阻害していると指摘しています。(出典:公正取引委員会「官公庁における情報システム調達に関する実態調査
  • 英国政府の公式マニュアルでも、「新規開発コードはOSS化し、特定業者への依存を避けよ」と明記。これにより重複開発を減らし、コスト削減および健全な市場競争を促進しています。
  • “ウォーターフォール調達”が改革の足かせに
    • 現在の行政による発注で前提とする、仕様を確定 → 長期契約 → 継続的な改修作業という従来型の工程では、政策変更や技術進化に追従できません。
    • 結果として、国民が享受するサービス改善スピードも鈍化し、DX 施策の効果が見えにくいという構造課題が生じています。

政策概要

  • 「公共調達 OSS・オープン化原則」の制定
    • 税金で開発・導入するソフトウェアは OSS を原則とし、ソースコード・ドキュメントを公開します。
    • 例外領域(防衛・治安・個人情報等)は最小範囲で非公開とし、国会報告で透明性を確保することで、情報公開を進めつつ、個人情報保護、安全保障面での懸念にも対応します。
  •  “実働コード競争入札”方式への転換
    • これまで通り要求仕様書作成と予算確保は各省庁で実施するが、調達プロセスを「仕様書比較+プレゼン」から、一定要件の動作するプロトタイプを提出する方式へ改めます。
  • アジャイルな政策実装サイクルの採用
    • OSSやオープン化の推進とあわせて、調達・開発プロセス自体も柔軟かつ段階的なサイクルに移行する必要があります。以下のような柔軟な実装サイクルを制度化することで、変更が難しい高額発注やベンダーロックインのリスクを抑え、プロジェクト全体の費用対効果を高めます。
      • 小規模なMVP(最小限の機能を備えた試行版)から開発を開始し、早期に運用環境での検証を実施
      • 利用者や実務担当者からのフィードバックを集約し、短いサイクルで段階的に機能を改善
      • 成果と課題を定期的に検証し、必要に応じて横展開、見直し、あるいは中止などの判断を柔軟に行う
  • ベンダーロックイン防止ガイドラインの制定
    • データ・API・インフラのポータビリティ要件を調達仕様に明示します。
    • 公正取引委員会の調査報告を踏まえ、長期専属契約・独占的保守契約の防止条項を標準契約書に盛り込みます。

7. アジャイルガバナンスを推進します

現状認識・課題分析

  • 技術進化スピードと政策ラグのギャップが拡大
    • 生成AI は半年単位で能力が倍加する一方、法律改正は長期間の検討、審議を前提としており、法改正サイクルは追いついていません。 旧来型 PDCA だけでは社会的リスクに追従できないとOECDも警告しています。
    • 政府の「重点計画」(2024) でも“機動的で柔軟な政策形成”を最優先原則に掲げており、制度側のレガシー解消は継続的課題となっています。
  • 行政の「無謬性神話」による影響からの脱却の必要性
    • 我が国の行政には、行政は間違いを犯してはならない、現行の制度や政策は間違っていないと考える、いわゆる「無謬性神話」が存在するとの指摘があります。(アジャイル型政策形成・評価の在り方に関するワーキンググループ提言など)
    • 環境変化が速く、社会課題が複雑化・困難化する中で、「無謬性神話」にとらわれず、様々な社会課題に適時的確に対応・解決していくことが必要です。
  • 政府としても“機動的政策形成”を優先的位置付けに
  • 社会的信頼の素早い獲得と、柔軟なリスク管理の必要性が拡大
  • 国際規制競争が「待ったなし」
    • OECD の「アジャイル規制ツールキット」(2023) が加盟国に実証サンドボックスと失敗学習の制度化を推奨。今走らなければ国際標準づくりから取り残されるおそれがあります。
    • OECD は2024 年報告で、誤情報・生成 AI が民主プロセスに与える影響を指摘し、「迅速なアップデートと失敗からの学習」を各国に求めています。

政策概要

  • 失敗を許容し、データに基づき高速に学習する政策サイクルの導入
    • サンドボックス+error budget的思考の採用
      • 機動的で柔軟な見直しを行うような政策設計等ができる制度等の枠を設けます。
      • また、事前に起こりうる失敗及びその確率を検討し、問題が発生した際にそれが想定内か想定外かを踏まえて対応を検討します。
      • エラー発生時は即時原因分析→改善を検討します。
    • 「ゴール設定」→「システムデザイン」→「運用」→「評価」→「環境・リスクの再分析とゴールの再設定」という二重のサイクルの採用
      • PDCAを内包しつつ、環境分析やゴール設定の継続的な見直しを採用し、外部への透明性・アカウンタビリティを確保します。
    • EBPMの動的な実践:
      • 一時点での評価・分析にとどまるスタティックなEBPMだけでなく、状況の変化に応じて政策を見直し・実行するダイナミックなEBPMを実践する。
      • EBPM、政策評価制度、行政事業レビューの重複感や負担感を解消し、より機動的で柔軟な政策形成にリソースを割けるようにします。
    • 当事者が相互にフィードバックを行う構造
      • 事前あるいは評価時に他省庁の意見および国民からの声をフィードバックとして施策に反映する。
  • アジャイルガバナンスの基盤としてのプラットフォームの整備
    • ID、ベース・レジストリ、オープンデータ、クラウド、決済基盤などの「共通基盤」を整備をより一層推進します
    • さらにインドで採用されているIndia Stackのように、共通基盤の上に分野別・個別サービスを構築する階層構造を設け、「アプリケーション/インテグレーションの型を標準化」を推進します。

8. ルールも行政情報も、“使える公共財”へ変革します

現状認識・課題分析

  • 透明性は向上したが“使いやすさ”は発展途上
    • 日本は Open Data Inventory (ODIN) 2024 で 46 位/195 か国、総合スコア 71。公開件数は増えているものの、再利用のしやすさ(機械判読性・ライセンス明確性)の評価が伸び悩んでいることが示されています。
  • APIによるデータの提供も進んでいるが、フォーマットが省庁ごとにバラバラという課題があります。

| 主要 API | フォーマット | 認証 | 備考 | | :--- | :--- | :--- | :--- | | e-Stat 統計 API | JSON / XML | 要 API-Key | 総務省統計局 | | 法人番号 API | CSV (ZIP) | Key 不要 | 法人番号公表サイト | | 気象庁 オープンデータ | CSV / XML ほか | 利用登録制 | 気象庁データ |

  • “PDF 一択”の公開が AI 利活用を阻害
    • デジタル庁はオープンデータ基本指針で「機械可読な形式」を推奨する一方、多くの行政文書は依然 PDF で公開され、生成 AI や検索エンジンが解析しづらい現状が残っています。
    • 例えば、概算要求明細表は省庁ごとに膨大なページ数のPDFで公開され、単価レベルまで詳細に記載されているものの、横断的な検索・集計や比較が極めて困難です。
  • 法律・行財政情報のカバレッジ不足
    • e‑Laws 法令 API は XML 形式で条文を提供していますが、告示・通達・ガイドライン等が未整備で、法令体系が網羅できていません。
    • 財政情報も同様で、概算要求→予算案→執行→決算という歳出の流れが、一貫してデータで追える形にはなっていません。
  • 法整備はあるが運用が追いつかない
    • 2016 年施行の「官民データ活用推進基本法」はオープンデータ推進を義務づけましたが、地方自治体を含む実装面ではデータ標準化や API 整備が遅れています。

政策概要

  • 行政の情報をわかりやすく、参加しやすく
    • 情報公開は今でも取り組まれているが、内容が複雑、情報が分散している状況にある状況を解消するため、検索しやすく・読みやすく・選びやすい、誰でも使いやすい情報設計を実現します。さらに、AIによって利用者の属性や相談内容に応じた解説や制度案内を行い、誰にとっても“自分ごと”として理解できる行政を目指します。
    • 新しい制度や予算の使い道について、「何がうまくいって」「何がダメだったのか」見える形で定期的に公表します。
      • 特に、概算要求、予算案、執行状況、決算までの歳出情報を、XML等の機械判読が可能な形式で公開します。
    • これらを通じて、国民の皆様がより政治に参加しやすいよう基盤を整備していきます。
  • 情報公開をAPI経由で実施できるように
    • 現在の情報公開制度は書面やオンラインフォームが中心となっていますが、その選択肢を増やすと同時に、各省庁で異なるシステムやデータ形式についてAPIの標準化・一次公開の義務付けを進めます。
    • 申請コストを下げることによる情報公開請求増加に対応するため、行政側の処理負担も軽減すべく、AIによる分類・要約や処理自動化を行います。
    • ただし、これらは「セキュリティとプライバシーの確保」、「AIによる大量スパム行為」など懸念も残るので、請求回数に一定の制約を設ける、マイナンバーによる資格確認を実施する、レートリミットと行為検知でスパムを防止する等のルールを整備します。
  • 法令データの利便性向上
    • e-lawsでの法令標準 XMLスキーマに基づいた XML形式での提供、デジタル庁の提供する法令一覧や法令本文のXMLをプログラムから取得できるようにする法令 APIに加え、以下を実施するとともに、生成AIでも活用な形での情報提供を進めます。
      • 告示や通達などの法令データも整備し、より包括的な法令データベースを構築します。
      • 文の意味(例:定義語、適用条件、例外など)、法令間の参照関係や意味上のつながり(例えば「○○法第△条を準用する」)のマークアップを実現します。
      • 過去の条文の履歴や、法改正前後の差分情報を提供します。
  • 各省庁の保有する情報のAPI経由での提供
    • 現状でも官民データ活用推進基本法の成立を皮切りに、デジタル庁がオープンデータ施策を推進していますが、さらに以下を推し進めます。
      • デジタル庁ガイドライン準拠 API の徹底。
      • 現在の「公共データ利用規約」を 国際標準のCC‑BY‑4.0 相当へアップグレードします。

9.「スパゲティコード化した行政システム」を“引き算”と“整理”でわかりやすく使いやすい仕組みへ変更します

現状認識・課題分析

  • 日本の法律や制度は、時代の変化や社会課題への対応に応じて数多くの改正が重ねられてきましたが、多くの改正が都度の対応として実施されてきたために複雑化し、多くの人にとって理解が難しいものになっています。
  • 国民にとっては「自分が対象かどうかわからない」「知らないうちに法令違反をしていないか」という不安や申請断念につながり、行政の現場では「ミスの温床」「非効率な手続き」を生む要因になっています。
  • 「制度の複雑さが国民への説明や事務作業の支障になっている」という声も現場からは聞こえ、運用者・利用者の双方にとって深刻な課題となっています。

政策概要

  • 大規模言語モデル(LLM)などの自然言語処理技術をはじめとしたテクノロジーを活用し、既存制度の構造・手続き・フローを体系的に可視化・分析します。
  • 具体的には、法令・政省令・手続きフロー・ガイドライン等を解析し、制度上のルート・判断基準・申請要件を構造化するプロセスマイニングと制度マッピングを行い、冗長性や重複、理解困難な箇所を特定します。
  • その上で、対象制度に関与する省庁・自治体・実務者・受益者などの利害関係者を整理し、問題の法令を改正した場合にどの変更が誰にどう影響するかを整理します。
  • その後、特定の制度・分野で試験的にリファクタリング改正版の制度を試験的に導入し、実運用での改善点をフィードバックします。継続的な改善を繰り返しながら、本格導入の是非を評価します。

10. 電子投票・ネット投票を推進します

現状認識・課題分析

  • 深刻化する投票率低下と民主主義への懸念
    • 1990年代以降、衆議院及び参議院選挙の平均投票率は低下傾向です。
    • 投票率低下は民主主義の根幹を揺るがす深刻な課題として認識されています。
    • 国民の「社会を変えられるかもしれない」という見通しの低さが根本的な問題となっています。
    • 在外投票では、在選挙人名簿の登録人数数に対する投票率は18.23%程度(2024年衆院選時)となっており、また、全海外在住邦人を含めると、投票率は約1.68%(2024年衆院選時)と非常に低い投票率となっています。
  • 現行制度の硬直性とデジタル化の遅れ
    • 多くの行政手続きがオンライン化される過程にある一方、投票行為は紙と対面が原則のままであり、非効率さが残っている。
    • スマホで買い物・金融取引・授業の受講などを完結させる世代に、「平日や日曜にわざわざ投票所へ」はライフスタイルと完全にミスマッチしています。
  • 自治体現場の深刻な逼迫状況
    • 全国的に投票所数は減少傾向にあり(例:2022年参院選では約1,000カ所減少)、1票ずつを確認・集計する開票業務は休日・深夜を問わず続き、職員への過重負担となっています。また、手作業による開票・集計は時間がかかり、人的ミスの可能性も否定できません。
    • 特に過疎地では立会人の確保が困難化し、投票所の統廃合や受付時間の繰り上げが全国規模で進んでおり、結果として投票機会の制限が現実となっています。
    • 投票所運営・開票・集計には目立たないものの継続的な財政コストと、人材確保の困難さが伴っており、現行制度のままでは地域によっては「そもそも投票できない」リスクが急速に高まっています。
    • 在外邦人が投票する際に、事前に在外公館において在外選挙人登名簿の登録申請を行う必要があり、在外邦人のうち在外選挙人登録をした人は約8%(約10万人) 総務省 選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数となっています。
    • 在外投票の方法としては在外公館投票、郵便投票、日本国内での投票の3つの手段がありますが、島嶼部などの辺境地域に在住している場合などでは、在外公館までの距離が離れており行くことができない、郵便が投票期間内に到着しないなどの投票したくてもできない環境になっています。
  • 非常時における民主プロセス停滞の重大リスク
    • 新型コロナウイルスの流行時には、投票所での密集を避けつつ、民主的な権利行使を保障する難しさが浮き彫りになりました。従来型の紙と対面による投票方式では、感染リスクと投票機会の両立が困難です。
    • 日本は地震・台風・豪雨といった自然災害が頻発する国であり、とくに被災地では投票所の設置自体が不可能になる場合もあります。
    • 非常事態宣言や災害時であっても、民主主義を止めないための「代替手段」、すなわち柔軟かつ安全な投票方法の確保が、今後ますます不可欠となります。
  • 国民のニーズと実績
    • 期日前投票の利用は年々増加しており、有権者が「柔軟で自分に合った投票方法」を求めている傾向が強まっています。2022年参議院選挙では、期日前投票の利用率が全体の約4割に達しました。
    • マイナンバーカードの普及率は国民の約7割(2025年6月時点)に到達し、本人確認の社会インフラが着実に整っています。さらに2025年6月24日からは、iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載が開始され、スマートフォンだけで公的本人確認が完結する環境が本格的に実現しつつあります。これにより、ネット投票に不可欠な「本人確認の簡便さ」が大きく前進しました。

政策概要

  • 民主主義の入口から出口までをつなぐ
    • ネット投票という“入口の民主主義”にとどまらず、それがどのように政策決定に活かされるのかという“出口”までを一貫して可視化していくため、「デジタル民主主義」との連携を進めます。
    • 「みらい まる見え政治資金」「みらい議会」などのツール群を用いて、市民の意見の可視化・政策への反映・政治資金の透明化などを包括的に実現していきます。
    • ネット投票の導入によって政治参加が一過性で終わるのではなく、自分たちの声が確かに政策形成に届き、政治が動いている実感を持てるような新しい民主主義のあり方を目指します。
  • 段階的導入と透明な検証
    • まずは党内の意思決定など、スモールスタート可能な領域から導入を開始します。また、希望する自治体と連携し、運用コストや投票率などの指標をもとに効果・課題を検証します。
    • 投票プロセス全体(本人認証・投票・開票・集計・監査)について、第三者機関も交えた技術検証を行い、結果をすべて公開。社会的合意形成の材料とします。
  • セキュリティと信頼性
    • マイナンバーカード、スマホ搭載電子証明書、生体認証を組み合わせた多要素認証により、なりすましや不正アクセスを防止します。
    • 国外転出者(在外有権者)には、最新の法改正に基づき在外選挙人証と国外でも利用可能なマイナンバーカードを連携させた認証手段の整備を進めます。市町村選挙管理委員会から在外公館へのオンライン登録処理により交付の迅速化が進み、パスポート照合や在外公館での現地確認とあわせて不正防止を強化します。
    • 二重投票の防止や投票済み情報の管理には、各投票に固有の電子署名を付与し、改ざん不可能な形で「投票済み」と記録・照合できる仕組みの導入を検討します。すでに投票されたことが他端末にも即時共有されるため、同一人物による再投票を自動的に検知・排除できます。
    • さらに、ハッシュ値(電子的な指紋)による整合性確認と、鍵情報を安全に保管・運用するHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)を併用することで、改ざん検出と投票データの信頼性を強化します。
    • なお、懸念されるLGWAN(自治体専用ネットワーク)非接続環境の投票所や開票所でも使用できるよう、オフラインでも署名・検証・記録・送信が可能な端末設計の採用を検討し、全国で一貫したセキュリティ水準の担保を目指します。
    • また、今後の制度設計に向けては、投票済み情報をマイナンバーカードなどの電子証明書側に記録する仕組みについても検討を進め、信頼性の高い本人識別と投票履歴管理の両立を図ります。
  • 投票の自由とプライバシーの確保
    • 投票内容はすべて暗号化・匿名化され、個人情報と切り離して安全に記録されるようにし、「秘密投票」の保証を目指します。
    • 家庭や職場などでの集団投票や強制的な誘導の懸念に対しては、インターネット投票特有の対策として「再投票(上書き投票)」の可能性も含めて検討します。
    • ただし、現行の紙投票・郵便投票では再投票が制度上認められておらず、投票手段間の公平性を保つことが前提となり、さらに、再投票を許容する場合、投票済みステータスの厳密な管理や匿名性の維持など運用面での複雑性が高くなり、システム障害リスクの増加にも留意が必要となります。この点については、有識者・技術者を交えた段階的な検証を経て、制度的・技術的に現実的な形を探っていきます。
  • 公平性・アクセシビリティへの対応
    • 高齢者や障害のある方にも配慮し、音声読み上げ、フォントサイズ調整、色覚対応、キーボード操作などのアクセシビリティ機能を備えた投票画面を提供します。
    • また、候補者が多い選挙でも、検索・五十音順・政党別表示などの見せ方の工夫を通じて直感的かつ誤選択のない公平感の持てるUI設計を行います。
    • スマホを持たない人や操作に不安がある方への配慮として、紙投票との併用を基本としつつ、公的施設での操作支援やサポート窓口等による導入促進策も講じます。
  • 投票制度への信頼の再構築
    • 模擬投票体験、ユーザーインターフェースの公開テスト、コード開示(OSS化)などを通じて、国民が自ら「使って納得できる」投票体験を得られるよう設計します。

11. 開かれた国会で、暮らしも外交も止めない。

現状認識・課題分析

  • 国務大臣への"常時出席"義務による外交・政策遂行の支障
    • 特に、予算委員会や本会議初日には「全閣僚が物理的に出席すること」が慣例化し、国会日程が全ての政策活動に優先されている状況です。
    • 出席が義務化されている根拠として、憲法63条には、内閣総理大臣およびその他の国務大臣に対し、国会で答弁を求められた場合には「議院に出席しなければならない」と規定されています。
    • この「出席至上主義」は、外交や災害対応、国際交渉など政策現場へ出向く機会を制限しています。
  • 官僚の国会待機と徹夜作業の常態化
    • 国会会期中、各省庁の官僚は「質問通告がいつ来るかわからない」状態で深夜まで庁舎で待機しなければいけない事態になっています。
    • 過去のデジタル担当大臣の記者会見では、通告が「前日午後6時以降」になる割合は2.5%であるものの、これが徹夜稼働の主因となっていると言われています。
    • こうした過酷な環境での働き方も影響し、人材流出が加速。国家公務員総合職の離職率は10年で2倍以上になっています。
  • 紙・FAX文化の根強さ
    • 2022年、衆議院は会議録や官報など一部資料の紙配布を廃止しましたが、ペーパーレス率は低水準にとどまります。
    • また委員会ではタブレット端末の使用等認められつつありますが、本会議ではまだ認められていません。
  • オンライン出席の法的未整備と政治的慎重さ
    • コロナ禍においても日本の国会ではオンライン審議が正式導入されませんでした。
    • 英国・カナダ・韓国などでは「ハイブリッド型の議会」を制度化し、遠隔参加を認めています。
    • 背景には「憲法56条・63条の解釈への慎重論」があると言われています。

政策概要

  • リモート答弁や代理出席を検討
    • 閣僚が海外出張・災害現場にいる場合でも、セキュリティ面について適切な技術的検証をした上で、国会質疑にリアルタイム参加できる仕組みの導入を検討します。
    • また、欠席時は副大臣・政務官の代理答弁を認め、必要があれば答弁後24時間以内に大臣がオンラインで補足説明する形とします。
    • 憲法63条の「出席」を“物理・遠隔を問わず議長が確認可能な双方向接続”等と解釈できないかなど関係者との間で適切に議論を進めます。
  • 国会待機削減へ
    • 遅延通告があった場合は質疑時間の短縮、通告履歴の一般公開による遅延通告の可視化など適切な形で締切が守られる仕組みを導入します。
    • 答弁支援ツールを各省に配布し、徹夜対応を半減させます。
    • 短期的には、各省庁が参照できる「類似質問検索」「過去答弁検索」を実装し、答弁書の重複作成を削減します。
    • 22時以降の待機を原則在宅での作業を可能とし、答弁案はクラウド等での共有を可能にします。
    • 国会LANにVPN接続(インターネット上に仮想的な専用回線を構築し、安全にデータをやり取りすること)した職員のみ残業承認を受け取れる仕組みを構築し、深夜タクシー代と長時間残業を同時に削減します。
  • ペーパーレス国会の更なる推進
    • 全議員にタブレットを貸与し、本会議場でも使用を解禁します。原則電子媒体での交付とし、紙配布は例外時のみ許可制にします。
  • 緊急時ハイブリッド議会
    • 大規模災害・感染症流行時に限り、議員の遠隔出席と電子投票を許可する方向での検討を進めます。
    • また、議長が定足数をシステム上で確認し、結果をスクリーン表示するとともに即時公表を目指します。

デジタル民主主義

10.デジタル民主主義

ビジョン

今の投票による間接民主主義は数百年前に出来上がった制度です。当時はインターネットもSNSもAIもありませんでした。SNSの普及などにより、誰もが気軽に意見を発信できるようになった現代において、選挙で代表者を選ぶ方法に加え、従来の陳情のような高いハードルを感じることなく、より多様な民意を個別の政策課題にきめ細かく反映できる仕組みが求められています。今のデジタル技術を使うことによって、より多くの人がより深いレベルでコラボレーションをすることが出来るようになると考えています。

また、デジタルツールを導入するといっても、最終的な意思決定をAI任せや多数決任せにするというわけではありません。私たちは、政治的意思決定は責任が取れる主体である人間が行うべきであると考えています。

1.「デジタル目安箱」 により、もっと速く国民の声が届く政治を。

現状認識・課題分析

  • 国会での議論や法案審議の内容が国民に十分に伝わっておらず、また国民の声が国会に届きにくい状況があります。従来の政治参加の仕組みでは、多様な意見を効率的に集約し、政策形成に反映させることが困難でした。情報の流れが一方向的であり、国民と国会の間に双方向のコミュニケーション基盤が不足しています。
  • また、現在の請願制度は紙の書面でしか受理されないため、物理的・時間的なハードルが高く、多くの国民にとって利用しづらい制度となっています。デジタル時代において、国民が国政に対する要望を直接伝える手段が限定的であることは、民主主義の発展を阻害する要因となっています。

政策概要

  • チームみらいが2025年に国会で何が話し合われているかを分かりやすく可視化する『みらい議会』というツールを発表しました。『みらい議会』では各法案のステータスや背景をわかりやすく解説しています。
  • 現状の『みらい議会』は、国会のリアルを国民に届ける「情報の可視化」に主眼を置いていました。次のステップでは、その逆向きの流れ、つまり「国民の声を国会に届ける」ための仕組みを実装します。
  • 私たちはこのツールをさらに進化させ、「国民の声で国会を動かす」事例をつくっていきます。単に国会の状況を知るだけでなく、それを見た国民の皆さまが意見を投げかけ、それをAIが集約して国会へフィードバックできる、いわば「デジタル目安箱」へと進化させます。
  • その核となるのが、昨年から実験を開始している「AIインタビュー」です。これはオンライン上でAIが、有識者や当事者の皆さまにインタビューを行う仕組みです。
  • AIを活用する最大のメリットは、その圧倒的な効率性にあります。「人工知能基本計画」に関するインタビューでは、数日間で延べ1,200時間以上のインタビューを実施しました。人間が50日間寝ずに働き続けてようやく終わる分量を、AIならわずか数日で完了し、意見を集約することができるのです。
  • 今後は、このAIインタビュー機能を『みらい議会』に統合します。私たちは、ここで得られた多様な知見を自分たちの議席を通じて国会へ持ち込みます。多角的な視点を取り入れることで、国会の議論をよりアップデートすることができると考えています。『みらい議会』による意見集約と同時に、「電子請願」の実現を目指します。オンラインで請願を集めることができれば、より多くの人の意見を反映させることが可能です。 オンライン化における最大の壁は、「その署名が本当に本人のものか」という信頼性の担保でした。しかし、現在ではスマートフォンとマイナンバーカードによる本人認証が可能になっています。我々は、マイナ認証付き電子署名の活用と電子請願の法制化を目指して動いていきます。

2. 政治とカネ問題解決のための、政治資金透明化の推進

現状認識・課題分析

 裏金工作などのいわゆる『政治とカネ』問題により、国民の政治に対する信頼が揺らいでいます。政治資金収支報告書などで一定の情報は開示はされているものの、なかなかお金の流れは理解しづらいままの状況です。この不透明性は、有権者にとっては由々しき課題になっています。一方で、政治家にとっても、政治資金の処理はミスが政治家生命に直結してしまうことから、非常に多大な工数をかけて行われており、負担が大きくなっています。

 一方で、民間や他国では好事例が存在します。例えばスウェーデンでは30年前から閣僚に対して国が発行したクレジットカードを貸与しています。クレジットカード経由で使われた支出に関しては利用明細が自動的に公開されるようになっており、誰がどこにお金を使ったかが自動的に分かるようになっています。民間ではクラウド会計ソフト、クレジットカード、銀行口座の3つが連携されることによって、資金管理の状態をリアルタイムで把握できるダッシュボードが存在します。

政策概要

  • 2025年、チームみらいは政治資金の流れを透明性を持って公開するプラットフォーム「みらい まる見え政治資金」をリリースしました。
  • 今年の3月、チームみらいとして初めての政治資金収支報告書の作成時期を迎えます。私たちはこの報告書を、『みらい まる見え政治資金』を使って作成します。現状のチームみらいの収支は、『みらい まる見え政治資金』でわかりやすくご覧いただけます。
  • 私たちは、政治資金の流れを透明化するツール『みらい まる見え政治資金』を、自党のみならず他党へも広げていきます。
    • 昨年12月に実現した参議院自民党との政策合意の中で、今年度中に所属議員全員に向けて『まる見え政治資金』を周知する機会を設けることを約束いただきました。党首の安野貴博が直接、議員の皆さまに向けて詳しく説明を行う予定です。
    • また、自民党以外にも多くの議員の方々から興味を持っていただいており、党派を超えた協調を進めています。
  • ツールの変革だけでなく、ルールによる変革も提言し、「ツールとルールの両輪の改革」を実現します。実は、現在の政治の会計のやり方は、民間の方法とは大きく異なります。その会計ルールを民間の基準に合わせることを提案していきます。
    • 「単式簿記」から、民間と同じ「複式簿記」へ
    • 「現金主義(※1)」から、民間と同じ「発生主義(※2)」へ
      • ※1 現金主義:現金の出入りに基づいて記載
      • ※2 発生主義:取引の発生に基づいて帳簿付けを行うため、財務状況がわかりやすくなる。企業の会計では原則「発生主義」をとる
    • これにより、お金の流れが透明化されるだけでなく、民間で広く普及している便利なクラウド会計サービスを、政治家もそのまま使えるようになるというメリットもあります。

3.「誰でも政治にもっと参加して、直接政策を作れる社会」を実現します

3-1.レベル1:既にある多様な声を、AIの力で整理・可視化し、政策形成につなげます

現状認識・課題分析

  • パブリックコメント、SNS、種々の掲示板、該当インタビュー、ひいてはデモ活動など、既に大量の市民の声が存在しているにもかかわらず、それを構造的に理解し、政策に反映する仕組みは限られています。
  • 多くの重要な声が、見過ごされたり、ノイズの中に埋もれてしまう状況が続いています。
  • 例えば、パブリックコメント制度では、何個も同じ趣旨の投稿を繰り返す多数派工作などの存在があります。
  • 一方で、自然言語処理やAIによる構造化技術は急速に進展しており、膨大な意見を質的に整理・可視化する能力が向上しています。

政策概要

  • SNS投稿、街の声、パブコメなどから収集された意見を、AIが構造化・可視化する「ブロードリスニング」を実現します。
  • 具体的なプロダクト
    • TTTC広聴AIなど。すでに自治体や政党で実績多数あり。
  • 描く未来: これまで聞き逃していた国民の大事な声が把握され、政治家や行政がより適切な政策判断を下す土壌が整います。

3-2.レベル2:声になっていない声を、AIの力で引き出します

現状認識・課題分析

  • 声を上げる人と、声を上げない人の間には大きな情報格差があります。特に弱い立場の人や、言語化が苦手な人の思いや生活上の不便は、従来の政治では拾われにくい構造にあります。
  • 台湾の「JOIN」では、国民提案のうち約170件が政策化され、vTaiwanでは同性婚やUber法案などの形成に貢献しました。こうした先行事例は、日本における国民参加型プラットフォームの可能性を示唆しています。
    • JOINでは、2015年の公開以来の10年で約10,000件の市民提案があり、約350件が5,000件以上の賛同を集め、約170件が実際の政策に反映されました。全人口の7%相当(150万人)の登録者がおり、教科書にも掲載されています。
  • たとえば、JOINを通じて野良犬・野良猫政策が転換されたように、可視化された民意が実際の行政行動を変える事例も生まれています。
    • 野良犬・野良猫は捉えられたら不妊治療を経て町に解放されていました。JOINで動物が可哀そうという声が多数集まり、町への解放の前に里親を探すようなオペレーションに変わりました。
    • このプラットフォームを通じて初めて、市民の野良犬・野良猫への関心の強さが分かり、実際に行政が行動に移すことができました。

政策概要

  • ブロードリスニングをさらに発展させ、「AIが全国民にインタビューしてくれる」ような対話型意見抽出ツールを開発・展開します。

  • 1)で記載した、オンライン上でAIが、有識者や当事者の皆さまにインタビューを行う仕組み「AIインタビュー」を本格的に展開します。

  • 具体的なプロダクト:いどばた

    • 政策文書を読みながら、誰でもAIとチャットを通じて質問・意見提出が可能です。寄せられた声は、AIとの対話を通じて提案書の形にまとまり、URL付きで提出・追跡できる仕組みとなっています。
    • マニフェストに対する提案をAIが引き出し、実際にわずか3日で1000件以上の意見を収集できています。
    • 対面イベント(みらいいどばた会議)でも、数分で参加者全員の本音を引き出し可視化できています。
  • 描く未来

    • ツールによってSNSに投稿しない人、言葉にできない「もやもや」まで掘り出します。

    • 地方自治体レベルのミクロな課題解決にも有効であるため、国主導で地方自治体への積極的な導入を促進します。

      • 出産申請で役所に出向くのがつらい、生理用品が必要といった、十人十色の困りごとを拾い上げます。
    • 最終的な判断はあくまで人間が責任をもって行い、AIはその判断に必要な情報を整理し、的確な意思決定を支える役割を果たします。

3-3. レベル3:AIで熟議を支援し、対立を乗り越える合意形成を実現します

現状認識・課題分析

  • 現代の政策課題には、ステークホルダーによって価値観や利害が衝突しやすいものが多く、結果として「全員が損をしている状態」が放置される例も見られます。
  • 熟議は有効な手段ですが、高コストかつスケールしづらいという課題があります。
  • 一方、近年では、AIを活用して熟議の可視化・促進・要約を行う研究が世界中で進んでおり、ステークホルダー間の合意形成を補助する技術が実用化されつつあります。

政策概要

  • 一億二千万の国民が、井戸端会議のように参加できる「熟議型政策形成プラットフォーム(いどばたシステム)」を構築します。
  • 以下の3段階でAIが支援:
    • 論点投票:SNSや投稿フォームなどからAIが国民の声を集め、重要な論点を抽出・可視化。背景や構造を整理したうえで、市民が投票によって優先課題を決められる仕組みを整えます。
    • 重要論点議論:誰でも参加できるオンライン議論の場を開き、AIが中立的に議論を促進・整理。初めての人でも流れが分かるよう可視化し、寄せられた声から解決策のたたき台を導き出します。
    • 具体提案議論:AIが議論をモニタリングし、多様な視点を取り込みながら提案を洗練。偏りや抜け漏れを補正し、より実効性の高い政策案へと仕上げていきます。
  • 描く未来:
    • 対立する利害の間から「誰もが納得できる第三案」を熟議によって導き出し、建設的な合意形成を実現します。
    • 国民の声を分断ではなく対話へつなげ、政治への参加が「対立の土俵」ではなく「共創の場」となる仕組みをつくります。
    • 最終的な判断は責任ある人間が行い、AIは議論の可視化・構造化・中立的な進行を担うことで、より透明で納得感ある意思決定を支えます。

3-4. 合理的な政策選定を支援する「Futarchy(予測市場)」の実験導入を目指します

現状認識・課題分析

  • 民主主義では、民意を反映しながらも、政策効果の合理的な評価が難しい側面があります。
  • 予測市場は、多数の参加者が身銭を切り未来を予測する仕組みであり、比較的高精度な結果が得られるとされ、企業や研究機関での試験導入が進んでいます。
  • Futarchyは、この予測市場を用いて「どの政策を実行すれば目標を最も効果的に達成できるか」を判定する枠組みです。
    • たとえば「消費税を5%にした場合のインフレ率や翌年の経済成長はどうなるか」など、複数の政策オプションの効果を定量的に比較できます。
  • 現時点で国家レベルでの本格導入はなく、あくまで理論段階にとどまっていますが、合理性の高い政策形成を目指す上で将来的な可能性を持っています。

政策概要

  • 将来的な実装を視野に入れ、Futarchy型予測市場の実験導入を開始します。
  • 市場参加者が、特定の政策に対する結果(例:インフレ率、雇用率など)を予測する形式で市場に参加。インセンティブを伴うため、参加者は真剣に情報収集を行い、市場全体としての予測精度が向上します。
  • 政策形成における「民意」と「予測による合理性」のバランスを取る新たな仕組みとして、他の政策参加手段と組み合わせて活用を進めていきます。
  • 当面は小規模な予測市場での実証実験を重ね、信頼性や運用課題を精査しながら、段階的に制度設計へと反映させていきます。
  • 将来的には、立法・行政の政策決定で、予測市場の援用を可能にします。
  • Futarchyの活用を通じ、AIだけに偏らず、人間の集合知の力を活用した政策の意思決定が可能になります。

補足:『デジタル民主主義2030』とは?

デジタル民主主義2030は安野たかひろが2025年1月に立ち上げたオープンソース開発のコミュニティです。現在も政治的中立を保ちながら活動を進めていきます(中立性維持を構造上可能なようにすべく、安野貴博も2025年5月にボードメンバーを辞しています)。詳細はこちらのページをご確認ください。

補足:Plurality(多元性)について

Pluralityとは、オードリー・タン氏とE・グレン・ワイル氏が共同で提唱する概念です。この概念は「社会的および文化的な違いを超えた協働を認識し、尊重し、力を与えるテクノロジー」と定義されています。デジタル技術を活用して多様な意見をまとめあげ、より良い合意形成を目指すデジタル民主主義にとって、このPluralityの考え方は重要な指針となります。詳細は「Plurality」とは何か|日本語版解説をご参照ください。

その他重要分野

11. その他重要分野についての政策・ビジョン

その他重要分野についての考え方

1.物価高対策

  1. まずは生活必需品に対する機動的な支援を行う
  2. コメの流通をデジタル管理し、価格安定化を実現する

2. 地方創生

  1. 自動運転の導入を促進して、誰もが自由に外出・移動できる社会を実現する
  2. デマンド型モビリティや地域版シェアリング交通を全国展開する
  3. ICT活用やドローンの導入で地域インフラの維持管理を強靱化する

3. 憲法

  1. 「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持する
  2. 時代の変化に合わせて改正も視野に内容の検討を行う

4. 外交・防衛

  1. 「AI立国」により先進的なAI産業と活用環境を創出し、外交カードとして活用する
  2. 高まる脅威の中で、国家を守り抜く積極的なサイバー防衛を展開する
  3. 防衛力は安全保障環境の変化に合わせて適切に変動させる

5. 災害

  1. テクノロジーを活用し、公助を補完する分散型・自助の災害対策を進める
  2. 加速すべき点と優先順位を明らかにして防災対策への投資を実施する

6. 環境

  • カーボン・ニュートラル技術の開発支援と新興国向けの技術移転支援を実施する
  • 花粉症ゼロ社会をめざす――森林・医療・生活環境の総力戦で持続可能な日常を取り戻す

1. 物価高対策

ビジョン

  • すべての人が安心して暮らせる生活基盤を守るため、物価上昇の影響から国民生活を守りつつ、継続的な支援と構造改革を両立します。

1-1.物価高対策として、まずは生活必需品に対する機動的な支援を行う

  • 物価高対策は喫緊の課題です。しかしながら、食料品に対する消費税率の一律の引下げでは、費用対効果の観点、必要な財源の大きさ、さらなるインフレの呼び水となりうるといった複数の懸念が存在します。
  • チームみらいでは、物価高対策としては、むしろ、水道光熱費等の生活必需品に対する支援を重点的に行うべきと考えています。それにより、限られた財源を用いて本当に必要な方の生活不安を解消させるとともに、財政への信認や消費者物価への悪影響を最小限にできるものと考えています。
  • 中長期的には、デジタル化・ロボティクス等による人手不足の解消や、次項で示すように流通におけるデジタル化を推進することで、供給力の向上と価格の安定化によって物価高を解消していきます。

1-2.コメの流通をデジタル管理し、価格安定化を実現する

  • コメの生産から消費までのトレーサビリティ(流通履歴追跡)をデジタル管理する制度を導入し、不測の事態や急激な価格高騰に対応できる体制を整えます。また、気候変動による影響を考慮した作況指数の見直しと、実態に即した品質評価基準を導入します。
  • 特に政府備蓄米の入札情報や流通状況については、リアルタイムのデジタル公開を実施し、早急かつ確実な米価の安定を実現します。
  • 生産者・流通業者・消費者が公平に恩恵を受けられる仕組みを構築することで、米価の安定化と国民生活の負担軽減を目指します。

2.地方創生

ビジョン

  • 地方を無視して日本のことは語れません。地方の活性化に向けて全力で取り組むとともに、テクノロジーの力をフル活用し、誰もが住みたい地域で暮らし続けられる社会を実現します。

2-1. 自動運転の導入を促進して、誰もが自由に外出・移動できる社会を実現する

  • 自動運転サービスを実用化し、誰もが自由に外出できる社会を実現します。
  • 自動運転の先進地域である福井県永平寺町ではレベル4の自動運転バスが導入され、高齢者の移動支援や観光活性化に貢献しています。
  • 安全性に問題がないことが確認された自動運転サービスは積極的な全国展開を承認し、過疎地の交通空白の解消や高齢社会における自由な移動に繋げます。

2-2. デマンド型モビリティ(@タクシー不足の地域や時間帯)や新型の地域版シェアリング交通を全国展開する

  • 公共交通空白地域や運転免許を返納した高齢者の移動手段を確保するため、タクシー不足の地域や時間帯において、デマンド型モビリティの全国展開を推進します。配車に際してはAIを用いたリアルタイムでの最適化を実施します。
  • また、三輪の特定小型原付(免許不要・最高時速20km/h)などを活用した、安全かつ利便性の高い地域版シェアリング交通を整備します。
  • 自治体と協力し、規制緩和や地方交付金を通じて、誰もが自由に外出できる仕組みを整えます。

2-3. ICT活用やドローンの導入で地域インフラの維持管理を強靱化する

  • 地方で進むインフラ老朽化と土木事業者不足に対応するため、ドローン・センサーを活用したインフラの定期的な点検・監視を導入・推進します。
  • インフラ点検の状況・結果の管理を紙からデジタルに切り替え、老朽化の進んだ施設をAIが予測・分析することで、重点的かつ効果的な改修・修繕を実施します。
  • 重要インフラの事故防止・長寿命化と維持コストの圧縮を両立し、地域の長期的な安全を確保します。

3. 憲法

ビジョン

  • 国民主権・基本的人権の尊重・平和主義といった基本原理を維持しつつ、時代の要請に応じて柔軟かつ責任ある憲法運用を目指します。

3-1.「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持する

  • 日本国憲法の基本原理である、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を今後も堅持します。
  • 戦後日本の平和と民主主義の礎であるこれらの理念は揺るがすことなく守り抜きます。

3-2. 時代の変化に合わせて改正も視野に内容の検討を行う

  • 時代の変化に合わせて日本社会の姿も大きく変わっています。その変化に応じて憲法に盛り込むべき事項も十分変わりうると考えます。
  • そうした事項が明らかになれば、幅広い国民的合意形成のもとに、改正も視野に入れて、積極的かつ透明な検討を行います。

4. 外交・防衛

ビジョン

  • 新領域を含め安全保障を多面的に捉えた外交・防衛政策を通じ、日本の安全と繁栄を守り、法と自由に基づいた国際秩序の維持に貢献します。
  • AIなどの先進技術分野における競争力の向上と規範形成の主導を通じ、日本のプレゼンスと外交力を強化します。
  • 国家と国民生活の基盤となるサイバー空間の安定と安全を確保すべく、日本のサイバー防衛力を底上げし、同盟国・同志国との連携と信頼の強化にも繋げます。

4-1.「AI立国」により先進的なAI産業と活用環境を創出し、外交カードとして活用する

  • 先進的なAI研究開発環境の整備により産業成長を実現し、諸外国の参考にもなるような全分野的なAIの社会実装と利活用を進めることで、AI分野における日本のプレゼンスと戦略的優位性を高め、外交カードとして積極的に活用します。
  • AIに関する国際的な規範・ルールづくりを日本がリードし、日本のAI産業の競争優位性を確保します。

4-2. 高まる脅威の中で、国家を守り抜く積極的なサイバー防衛を展開する

  • 日本を取り巻くサイバーセキュリティ上の脅威が増す中、重要インフラを始めとする経済社会基盤を確実に守るため、サイバー攻撃への未然の対処を含む積極的なサイバー防衛政策を展開します。
  • 国家のサイバー防衛を担う人材を確保するため、防衛省や自衛隊におけるサイバー人材の創出と能力向上を促進します。また、民間におけるサイバー人材の拡大のため、人材育成やキャリア形成を後押しする環境整備を行います。
  • サイバーセキュリティ上の脅威や脆弱性に関する政府の分析能力を高度化するとともに、新法下で設置される協議会などを通じて民間との情報共有・連携体制を強固にすることで、サイバー攻撃への対処に不可欠な官民連携の実効性を高めます。
  • 国家としてのサイバー防衛力の向上や、脅威・脆弱性情報の積極的な獲得と分析を通じ、同盟国・同志国との協力体制と信頼関係を強化します。

4-3. 防衛力は安全保障環境の変化に合わせて適切に変動させる

  • 防衛力は安全保障環境の変化に応じて変動させ、北東アジアの軍事的緊張や新領域の脅威にも柔軟に対応します。
  • 専守防衛の原則や非核三原則などの基本方針を堅持しつつ、防衛力の質的に強化します。

5.災害

ビジョン

  • 被害を未然に防ぎ、万が一の際にも命と生活を守れる、しなやかで強靭な社会インフラを築きます。

5-1.テクノロジーを活用し、公助を補完する分散型・自助の災害対策を進める

  • 災害対策として公助を強化することを前提として、テクノロジーを活用した分散型・自助の災害対策も進めます。
  • 事前の備えとして、スマホを活用して自宅やオフィスから避難訓練をいつでも行える仕組みを整備します。
  • 発災直後には、住民が自ら情報を提供できる分散型情報インフラを構築します。行政の支援が届く前から現場の情報を共有するとともに、誤情報対策も実施します。
  • 避難・復旧にあたっては、住民登録や医薬品の配送にデジタル技術を用いてスムーズ化します。また、備蓄・非常用電源の可視化や避難行動要支援者の事前把握も推進します。

5-2. 加速すべき点と優先順位を明らかにして防災対策への投資を実施する

  • 日本ではいつどこで災害が起こってもおかしくないため、加速すべき点と優先順位を明らかにして、速やかな重点投資を実施します。
  • ハード軸では、備蓄状況の可視化や通信・電力・水インフラの災害対策の確認を実施し、速やかな重点投資を実施します。
  • 地域軸では、中心業務地区での業務継続能力向上や帰宅困難者対策、郊外地区での被害抑制や羅災時の生活の質の担保、山村地域や島嶼部では一定期間自立可能な地域づくりや迅速な救助体制の整備に関する確認を実施し、速やかな重点投資を実施します。
  • その他、国と都道府県・自治体、事業者や国民といったそれぞれの主体間連携を促進します。

6. 環境

ビジョン

  • カーボン・ニュートラルの実現に向けた技術革新の取り組みで日本が世界をリードします。
  • 花粉症を社会全体の健康リスクと捉え、構造的な発生源対策と公平な医療アクセスの確保により、誰もが健やかに暮らせる生活基盤を整備します。

6-1. カーボン・ニュートラル技術の開発支援と新興国向けの技術移転支援を実施する

  • 日本企業のカーボン・ニュートラル技術の開発を支援しつつ、日本の先進技術が新興国でも用いられるよう、積極的な支援を実施します。

6-2. 花粉症ゼロ社会をめざす――森林・医療・生活環境の総力戦で持続可能な日常を取り戻す

  • すでに進行している発生源・医療・生活環境対策を着実に前進させ、制度と支援のスピードを高めます。
  • 都市部50km圏内を中心に伐採重点区域が設定されており、今後は伐採・植替えの加速と低花粉苗木の安定供給を図ります。
  • 現在、出荷調整が行われている舌下免疫療法薬の供給安定化を重要課題とします。今後更なる不足が見込まれる場合は、海外の供給モデルを参考に製造能力倍増や備蓄体制の構築等の安定的な治療継続支援の措置も視野に検討します。
  • 抗IgE抗体薬は、重症かつ既存治療で改善しない場合に限定し、診断基準に基づいて適正に運用します。高額療養費制度と連動し、必要な方の経済的負担も抑えます。
  • 医療資源の限られる地域では、花粉症に特化したオンライン初診の特例運用により、治療への公平なアクセスを確保します。
  • 学校や職場へのHEPAフィルタ等の導入は既に進行中であり、補助制度を継続し、自治体ごとの導入実績に応じて格差の是正を進めます。