10. 電子投票・ネット投票を推進します
現状認識・課題分析
- 深刻化する投票率低下と民主主義への懸念
- 1990年代以降、衆議院及び参議院選挙の平均投票率は低下傾向です。
- 投票率低下は民主主義の根幹を揺るがす深刻な課題として認識されています。
- 国民の「社会を変えられるかもしれない」という見通しの低さが根本的な問題となっています。
- 在外投票では、在選挙人名簿の登録人数数に対する投票率は18.23%程度(2024年衆院選時)となっており、また、全海外在住邦人を含めると、投票率は約1.68%(2024年衆院選時)と非常に低い投票率となっています。
- 現行制度の硬直性とデジタル化の遅れ
- 多くの行政手続きがオンライン化される過程にある一方、投票行為は紙と対面が原則のままであり、非効率さが残っている。
- スマホで買い物・金融取引・授業の受講などを完結させる世代に、「平日や日曜にわざわざ投票所へ」はライフスタイルと完全にミスマッチしています。
- 自治体現場の深刻な逼迫状況
- 全国的に投票所数は減少傾向にあり(例:2022年参院選では約1,000カ所減少)、1票ずつを確認・集計する開票業務は休日・深夜を問わず続き、職員への過重負担となっています。また、手作業による開票・集計は時間がかかり、人的ミスの可能性も否定できません。
- 特に過疎地では立会人の確保が困難化し、投票所の統廃合や受付時間の繰り上げが全国規模で進んでおり、結果として投票機会の制限が現実となっています。
- 投票所運営・開票・集計には目立たないものの継続的な財政コストと、人材確保の困難さが伴っており、現行制度のままでは地域によっては「そもそも投票できない」リスクが急速に高まっています。
- 在外邦人が投票する際に、事前に在外公館において在外選挙人登名簿の登録申請を行う必要があり、在外邦人のうち在外選挙人登録をした人は約8%(約10万人) 総務省 選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数となっています。
- 在外投票の方法としては在外公館投票、郵便投票、日本国内での投票の3つの手段がありますが、島嶼部などの辺境地域に在住している場合などでは、在外公館までの距離が離れており行くことができない、郵便が投票期間内に到着しないなどの投票したくてもできない環境になっています。
- 非常時における民主プロセス停滞の重大リスク
- 新型コロナウイルスの流行時には、投票所での密集を避けつつ、民主的な権利行使を保障する難しさが浮き彫りになりました。従来型の紙と対面による投票方式では、感染リスクと投票機会の両立が困難です。
- 日本は地震・台風・豪雨といった自然災害が頻発する国であり、とくに被災地では投票所の設置自体が不可能になる場合もあります。
- 非常事態宣言や災害時であっても、民主主義を止めないための「代替手段」、すなわち柔軟かつ安全な投票方法の確保が、今後ますます不可欠となります。
- 国民のニーズと実績
- 期日前投票の利用は年々増加しており、有権者が「柔軟で自分に合った投票方法」を求めている傾向が強まっています。2022年参議院選挙では、期日前投票の利用率が全体の約4割に達しました。
- マイナンバーカードの普及率は国民の約7割(2025年6月時点)に到達し、本人確認の社会インフラが着実に整っています。さらに2025年6月24日からは、iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載が開始され、スマートフォンだけで公的本人確認が完結する環境が本格的に実現しつつあります。これにより、ネット投票に不可欠な「本人確認の簡便さ」が大きく前進しました。
政策概要
- 民主主義の入口から出口までをつなぐ
- ネット投票という“入口の民主主義”にとどまらず、それがどのように政策決定に活かされるのかという“出口”までを一貫して可視化していくため、「デジタル民主主義」との連携を進めます。
- 「みらい まる見え政治資金」「みらい議会」などのツール群を用いて、市民の意見の可視化・政策への反映・政治資金の透明化などを包括的に実現していきます。
- ネット投票の導入によって政治参加が一過性で終わるのではなく、自分たちの声が確かに政策形成に届き、政治が動いている実感を持てるような新しい民主主義のあり方を目指します。
- 段階的導入と透明な検証
- まずは党内の意思決定など、スモールスタート可能な領域から導入を開始します。また、希望する自治体と連携し、運用コストや投票率などの指標をもとに効果・課題を検証します。
- 投票プロセス全体(本人認証・投票・開票・集計・監査)について、第三者機関も交えた技術検証を行い、結果をすべて公開。社会的合意形成の材料とします。
- セキュリティと信頼性
- マイナンバーカード、スマホ搭載電子証明書、生体認証を組み合わせた多要素認証により、なりすましや不正アクセスを防止します。
- 国外転出者(在外有権者)には、最新の法改正に基づき在外選挙人証と国外でも利用可能なマイナンバーカードを連携させた認証手段の整備を進めます。市町村選挙管理委員会から在外公館へのオンライン登録処理により交付の迅速化が進み、パスポート照合や在外公館での現地確認とあわせて不正防止を強化します。
- 二重投票の防止や投票済み情報の管理には、各投票に固有の電子署名を付与し、改ざん不可能な形で「投票済み」と記録・照合できる仕組みの導入を検討します。すでに投票されたことが他端末にも即時共有されるため、同一人物による再投票を自動的に検知・排除できます。
- さらに、ハッシュ値(電子的な指紋)による整合性確認と、鍵情報を安全に保管・運用するHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)を併用することで、改ざん検出と投票データの信頼性を強化します。
- なお、懸念されるLGWAN(自治体専用ネットワーク)非接続環境の投票所や開票所でも使用できるよう、オフラインでも署名・検証・記録・送信が可能な端末設計の採用を検討し、全国で一貫したセキュリティ水準の担保を目指します。
- また、今後の制度設計に向けては、投票済み情報をマイナンバーカードなどの電子証明書側に記録する仕組みについても検討を進め、信頼性の高い本人識別と投票履歴管理の両立を図ります。
- 投票の自由とプライバシーの確保
- 投票内容はすべて暗号化・匿名化され、個人情報と切り離して安全に記録されるようにし、「秘密投票」の保証を目指します。
- 家庭や職場などでの集団投票や強制的な誘導の懸念に対しては、インターネット投票特有の対策として「再投票(上書き投票)」の可能性も含めて検討します。
- ただし、現行の紙投票・郵便投票では再投票が制度上認められておらず、投票手段間の公平性を保つことが前提となり、さらに、再投票を許容する場合、投票済みステータスの厳密な管理や匿名性の維持など運用面での複雑性が高くなり、システム障害リスクの増加にも留意が必要となります。この点については、有識者・技術者を交えた段階的な検証を経て、制度的・技術的に現実的な形を探っていきます。
- 公平性・アクセシビリティへの対応
- 高齢者や障害のある方にも配慮し、音声読み上げ、フォントサイズ調整、色覚対応、キーボード操作などのアクセシビリティ機能を備えた投票画面を提供します。
- また、候補者が多い選挙でも、検索・五十音順・政党別表示などの見せ方の工夫を通じて直感的かつ誤選択のない公平感の持てるUI設計を行います。
- スマホを持たない人や操作に不安がある方への配慮として、紙投票との併用を基本としつつ、公的施設での操作支援やサポート窓口等による導入促進策も講じます。
- 投票制度への信頼の再構築
- 模擬投票体験、ユーザーインターフェースの公開テスト、コード開示(OSS化)などを通じて、国民が自ら「使って納得できる」投票体験を得られるよう設計します。
議論されているトピック
ネット投票における投票干渉への対策を強化する
インターネット投票の導入に伴い懸念される、家族や周囲からの不当な干渉を防ぐための法的・技術的措置を強化します。具体的には、AIを用いた不自然な投票行動の検知システムの構築や、干渉を受けた際の事後的な救済制度として、再投票による上書き機能の検討、および罰則規定の明確化を盛り込み、投票の自由と秘密を担保します。
ネット投票導入による選挙運営コストを削減する
選挙運営における人件費や設営費などの財政負担を軽減するため、ネット投票の導入によるコスト削減効果を政策集に明記する。若年層の利便性向上による投票率向上と、持続可能な選挙制度の構築を目的としている。既存の「投票干渉対策」とは異なり、自治体財政の観点からの提案である。
企業による政治的勧誘をハラスメントと定義する
企業内での上下関係を利用した政治的勧誘をパワーハラスメントとして法律や就業規則に明文化し、実質的な強制力を伴う選挙動員を防止します。人事評価への影響を懸念して断れない現状を打破するため、法的定義を明確にすることで労働者の政治的自由を保護し、組織的な動員体制に対して実効性のある抑止力を働かせることを目的としています。
みんなからの提案(9件)
このセクションに対して寄せられた変更提案です。提案はチームみらいが検討し、採用されるとマニフェストに反映されます。
「10. 電子投票・ネット投票を推進します」において、現状認識と政策概要の両方に以下の内容を追加・変更する。1. 現状認識:ネット投票の完全実施には法改正等のハードルがあることを踏まえ、現行制度下で可能な「選挙実務のデジタル化」を急務と位置づける。マイナンバー活用を含むデジタル技術導入により、アナログ運用のコストと自治体負担を解消する旨を追記する。2. 政策概要:将来的な電子投票・ネット投票の実現を最終目標として明記した上で、そのステップとして、デジタルID等を活用した投票所での入場管理、希望者への入場券発送省略、投票証明のデジタル管理などの「選挙実施業務の先行的デジタル化」を推進する項目を追加する。
理由: ユーザーは、ネット投票の実現には法改正等の高いハードルがあるという現実的な視点から、まずは現行制度下で可能な選挙事務の効率化をステップとして踏むべきだと考えている。マイナンバーに限定しないデジタル技術の活用や、最終目標がネット投票であることを明確にすることを求めており、具体的な文案に合意した。
「10. 電子投票・ネット投票を推進します」の「公平性・アクセシビリティへの対応」の項目に、認知症や知的障害のある方の意思決定支援および有権者の意識向上を目的として、マイナンバーや生体認証によるセキュリティを担保した上で、個人の端末内に気になるトピックや投票判断のポイントを保存できる「デジタルメモ機能」の導入を追記する。
理由: 認知症や知的障害を持つ有権者が、自身の判断に基づいた一貫性のある投票を可能にするための補助手段として、また広く国民に対して政治への意識付けを促す利便性の高い仕組みとして有効であると考えられるため。
「10. 電子投票・ネット投票を推進します」の「現状認識・課題分析」セクションに、期日前投票後の情報更新等により支持対象を変えたいと考える有権者が一定数存在する現状を追記する。現行の紙による期日前投票では一度投じた票の訂正ができず、納得感のある意思決定を阻害している状態を『民主主義の機会損失』と定義し、ネット投票(再投票機能)の必要性を補強する記述を追加する。
理由: 期日前投票を済ませた後に候補者の情報を新たに得ても、現行制度では訂正が不可能であり、有権者の後悔や納得感の欠如が民主主義にとって損失となっているため。