2.子育て

子育て政策ビジョン:日本を世界一の子育て先進国へ

テクノロジーの力を活用し、妊娠から子育てまで切れ目のないサポートを提供します。情報格差・機会の不平等を解消し、手続きや支援はプッシュ型で最小限に、誰もが孤立せず安心して子どもを産み育てられる社会を実現します。経済的負担、住まい、仕事との両立など複合的要因に正面から向きあい、地理的制約や経済状況、あるいは個々人の事情によって誰一人として子育ての希望を諦めることのないよう、具体的かつ実効性のある政策を推進いたします。これは、望む人誰もが安心して家族を築き、子どもたちが健やかに成長できる社会基盤を構築するための、未来への最も確実な成長投資であると確信しています。

1. 抜本的な経済支援としての「子育て減税」を導入します

現状分析・課題認識

  • 子育てには、食費、教育費、衣料費など、成長に伴い継続的かつ多岐にわたる経済的負担が生じます。この負担は、子どもを持つことへのためらいや、理想の数の子どもを持てないといった「理想と現実のギャップ」を生む大きな要因となっており、少子化の背景にある重要な課題です。
  • 現行の児童手当は貧困対策と次代の社会を担う児童の健やかな成長を目的とした重要な制度ではありますが、少子化対策として設計されたものではありません。
  • 各種リサーチでは、一律的な現金給付は低所得世帯にのみ出生率向上の効果がみられるとの指摘があります。
  • 現金給付の少子化対策としての効果については、国際的に様々なリサーチがありますが、給付規模・政策目的・既存の制度との関係・給付頻度・時期などが異なることから比較は難しく、普遍的な解はまだ見つかっていません。
  • 保育所の充実や育児と両立可能な働き方の実現、子育てサポートサービスへのアクセス向上などと両輪で、未来への大胆な投資として子育て世帯にどのような経済的支援を行うべきか、その検討が喫緊の課題です。

政策概要

  • 児童手当は「貧困対策および次代を担う子どもの健やかな成長のための制度」として位置づけを明確化
    • 少子化対策と混在させず、あくまで子育て世帯の生活基盤を支える給付として位置づけを明確化します。
    • 煩雑化している給付事務については、給付条件の見直しや給付方法の効率化、国からの直接給付などに取り組み、地方自治体の給付事務にかかる工数を下げ、職員の方々の貴重なリソースはほかの子育て支援策に割いていただけるような仕組みを作ります。
  • 「子育て減税」による子育て世帯の所得税抜本引き下げ
    • 児童手当とは別に、新たな少子化対策としての「子育て減税」を導入します。本政策は、「子育てをする親に対し行動変容につながるレベルのインパクトのある支援をする」ことをコンセプトにしています。
      • 「一律的な現金給付が低所得世帯以外に出生率向上効果を示さない」という研究結果は、現金給付額が所得に占める相対的な割合が低い場合、出産・子育てに関する行動への影響が限定的であることを示唆しています。この分析に基づき、私たちはより効果的なインセンティブ設計を検討しました。
      • 一律の金額ではなく、所得に応じて還元金額を調整し、子どもを育てる一人ひとりが「国が子育てを支援している」と感じられる制度を目指します。
    • 具体的には、「子どもの数に応じて親の所得税の税率を定率で下げていく」という制度を提案していきます。
      • 例えば、子ども1人で所得税率がマイナス5ポイント(例:23%→18%)、2人になるとマイナス10ポイント(例:23%→13%)、3人になるとマイナス20ポイント(例:23%→3%)というように、段階的に減らします。
      • 4人以降についても1人当たり5ポイントずつ上乗せするなど、多子世帯の負担がしっかりと軽減され、子どもを持つことへの不安を払拭するだけのインパクトを生み出すことを狙います。
    • 高所得者が青天井で税額還元とならないよう、所得が一定額を超えると緩やかに減税率が減少する仕組みを導入します。
      • 現金給付による動機づけ(インセンティブ)は、一定以上の所得水準を超えると効果が限定的になるという認識に基づいています。子育て世帯の世帯年収中央値付近など、ボリュームゾーンにあたる層をメインとし、大きく所得が上回る層には、適切な減税額となるよう調整します。
      • 所得制限のような崖を設けるのではなく、なめらかに漸減する関数とし、所得が高くなるにつれて一定の減税額に収束するような制度とします。
    • 「子育て減税」は、共働きの場合は両親の双方の所得税率に適用します。育児と仕事の両立の苦労が、しっかりとお子さん・家族に還元される仕組みを目指します。

2.子育て世帯の住まいの安心を提供します

現状認識・課題分析

  • 安定した住まいの確保は、新婚世帯や子育て世帯が安心して生活を営むための基盤ですが、都市部を中心に住宅価格や家賃が高止まりしていて、大きな経済的負担となっています。
  • 特に子育て期においては、より広い住空間や良好な住環境が求められるため、この問題の解決は喫緊の課題です。昨今理想とする子どもの数が2人と回答する世帯の数が大多数ですが、その理由の一つには都市部における住居費の高騰の問題があげられます。
  • 韓国やシンガポールなど諸外国で公営住宅は子育て支援の鍵となっています。一方で日本では団地の老朽化問題が進行しています。国交省が「住宅団地再生の手引き」を公表するなど動きは見られる中、この機会に既存の団地を子育て支援に活用するために国が音頭を取って進めるべきと考えます。

政策概要

  • 子育て世帯公営住宅の拡大支援
    • 既存の公営住宅のリノベーションや新設、民間住宅の借り上げ等により、公営住宅の供給を計画的に拡大します。子育て世帯向けの間取りや、周辺に保育所・学童等の子育てに活きる施設を配備するなど、子育てしやすい環境を建物周辺含め整備するよう国がガイドラインを提示し、一定の条件を満たしたものには追加での補助金を提供するなどして自治体による推進を促します。
    • 東京などの都市部で公営住宅の供給が足りない問題に対しては、先述した新設・民間住宅借り上げ等に加え、都道府県をまたいだ公営住宅の情報ポータルを国が整備し、他地域への移住を前提とした越境応募の促進を行います。
  • 子育て世帯の優先入居を促す仕組みの整備
    • 新婚世帯および子育て世帯が優先的に入居できるような仕組みを整備します。所得制限の上限値を子どもの数と連動して変更したり、当選確率が最適化されるような抽選システムをオープンソースで開発し、各自治体に無償で提供します。また子育て世帯の実績入居数に応じて自治体への補助割合を変えるなどのインセンティブ設計を行います。
    • 賃貸家賃や住宅ローンの金利について、子育て世帯を優遇します。3人目が生まれた段階で更なる引き下げを行うなど、多子世帯がより安心して暮らしを営めるような制度設計をするよう国としてガイドラインを示し、家賃徴収等の事務工数が上がらないよう管理システムを提供します。
    • 生活困窮者等、ほかにも公営住宅を必要とする方々にも適切なサポートがいきわたるよう、対象とする住宅を適切に絞り込むなどの配慮を行います。

3.妊娠出産の負担を徹底軽減します

現状認識・課題分析

  • 出産費用の経済的負担、妊娠中の身体的負担、そして煩雑な行政手続きは、安心して子どもを産み育てる上での大きな障壁となっています。「テクノロジーで誰も取り残さない」という理念のもと、これらの負担を軽減し、全ての妊産婦が適切なケアと情報にアクセスできる環境を整備することが急務です。

政策概要

  • 分娩費用の実質自己負担ゼロ化
    • 分娩費用は医療保険の適用対象とする方針が政府から出されましたが、正常分娩だけではなく、帝王切開、吸引分娩など医療的介助をともなう分娩についても自己負担なく受けられる仕組みを整備します。また、無痛分娩の費用負担を軽減等を行います。
    • 保険適用の導入にあたっては、周産期医療を提供する医療機関の経営に不当な影響が生じないよう、現場の皆様との熟議を重ね、適切な診療報酬点数の設定に努め、補助金等の病院経営を支える仕組みを追加で検討します。
  • 妊婦およびパートナーへのワクチン助成の拡大
    • 妊婦が接種することで胎児への移行免疫が期待できる各種ワクチンについて全額自己負担となっている各種任意接種の公費助成の対象を拡大します。例えばRSウイルスに対するワクチンや、百日咳に有効である三種混合ワクチン等です。
    • 妊娠を希望する女性とそのパートナーを対象とした、風しんの抗体検査とワクチン接種に対する公費助成を推進します。妊娠中の女性の感染リスク低減によって、胎児の先天性風しん症候群等の発症リスク低減を目指します。
    • ワクチンの有効性や安全性に関する正確な情報を、テクノロジーを活用して分かりやすく提供し、積極的な接種勧奨を行います。
  • デジタル母子パスポートの導入
    • ステップ1でも説明した通り、母子手帳をデジタル化する「デジタル母子パスポート」を導入し、妊娠届の提出から妊婦健診の記録、出産後の乳幼児健診、予防接種の履歴管理、関連する補助金の申請・受給までをスマートフォン等で一元的に管理できるシステムを構築します。
    • 紙媒体での手続きを原則として不要とし、保護者の負担を大幅に軽減します。妊娠経過により妊婦健診の回数が増え、受診券・補助券が不足する場合には、医師の診断情報に基づき自動的に追加される仕組みも導入します。
    • デジタル機器の利用が困難な方には、引き続き紙ベースでの提供も検討し、取り残される人がないような仕組みを目指します。

4.不妊治療への支援や流産・死産経験者へのケアなど、子どもを望むすべての人へ専門的サポートを届けます

現状認識・課題分析

  • 子どもを望む多くの方々にとって、不妊は深刻な悩みであり、その治療は経済的、身体的、精神的に大きな負担を伴います。現行の支援制度は改善されつつありますが、高額な先進医療へのアクセスや治療費負担の軽減、最新医療技術への投資は依然として重要です。
  • また、流産や死産は経験者にはかり知れない悲しみと喪失感をもたらしますが、社会的な理解や専門的な支援体制は十分とは言えず、多くの方が孤立感を抱えています。子どもを望む全ての方が、身体的・精神的な困難に直面した際に、適切な医療と温かい心のケア、そして経済的な支援を受けられる体制の構築が急務です。
  • 加えて、「いつか子どもが欲しい」と思った段階から、専門的な支援を受けられる機会も不足しています。自分自身の健康状態を理解しつつ、歩みたいキャリアと妊娠・出産・子育てをどうバランスするかについて、早い段階から専門家に相談できる環境が必要です。

政策概要

  • 不妊治療への医療・経済支援の強化
    • 不妊治療への保険適用は引き続き着実に実施し、定期的な効果検証に基づき、必要に応じて適用回数増加や助成金増額などを柔軟に検討します。
    • 不妊治療に関する革新的な診断法・治療法等の研究開発に対し、国として戦略的に投資を拡大し、より効果的で負担の少ない治療法の確立を目指します。
  • 妊娠・出産を希望する方への専門的な支援の充実
    • スマートフォンや自治体窓口を通じた相談支援のほか、必要に応じて医師・助産師・栄養士などの専門家に相談できる体制を構築し、健康に関する相談支援体制を強化します。
    • 産業保健・人事担当者が綿密に連携する企業内フォローアップ体制構築を支援し、社員一人ひとりがそれぞれの希望に応じて仕事と育児を両立できるライフデザイン支援を推進します。
  • 流産・死産経験者への包括的ケアの確立
    • 流産や死産を経験した方が、専門家によるグリーフカウンセリングや心理的サポートを経済的心配なく受けられるよう、公費助成や医療保険の適用拡大を検討します。オンラインカウンセリングも活用し、地域格差なくアクセスできる体制を整備します。
    • 流産・死産経験者への出産育児一時金の支給や産後休業の対象を、妊娠週数による一律の線引きではなく、医学的処置内容や母体の心身の状態に応じて柔軟に決定できる制度へ最適化します。
    • パートナーにもグリーフケアプログラムへの参加支援や精神的サポートのための休業制度の適用を企業に奨励・支援し、夫婦で困難を乗り越え支え合える環境を醸成します。

5.仕事と妊娠・育児の両立を追求します

現状認識・課題分析

  • 不妊治療から妊娠期、そして子どもの学齢期に至るまで、多くの人々が仕事と家庭生活の両立に困難を感じています。不妊治療のための頻繁な通院、出産後の育児、子どもの小学校入学に伴う「小1の壁」などは、キャリアの中断や働き方の変更を余儀なくさせる大きな要因です。
  • 特に女性に負担が偏りがちな現状を改め、男女双方が仕事と育児を無理なく両立できるよう、社会全体の理解と具体的な制度設計が不可欠です。テクノロジーの活用も含め、柔軟な働き方と切れ目のない支援体制を構築する必要があります。

政策概要

  • 仕事と不妊治療の両立支援
    • 生理休暇の取得事由に、不妊治療のための通院や治療に伴う体調不良による休養を明確に含めるよう法改正を検討し、企業に適切な運用を義務付けることを目指します。
    • 「くるみん認定」「プラチナくるみん認定」の要件に、不妊治療中の従業員を支援する具体的な社内制度(休暇制度、柔軟な勤務時間、相談窓口設置など)の導入を追加し、企業の両立支援の取り組みを後押しします。
  • 現役世代の健康を守ります
    • 中咽頭がんをはじめ多くの病気の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防することができる、HPVワクチンの男性への公費助成を推進します。
  • 男女両方を対象とした、産前準備休暇の制定
    • 妊婦健診の受診・付き添いや、臨月のパートナーの生活サポート、赤ちゃんの受け入れ準備や上の子の育児などに使える「産前準備休暇」を新たに制定します。パートナーとともに赤ちゃんを迎える心の準備をする時間を確保し、産後も協力し合いながら育児に取り組める共通の知識・基盤を養います。
    • 有給休暇化または雇用保険等からの給付により、安心して休暇を取得できる仕組みとして整備を検討します。
  • パートナーの正産期における業務調整受け入れの義務化
    • パートナーが正産期に入り従業者からの申出があった場合、企業は遠方への出張や長時間残業、休日出勤等を調整する義務を負うようにします。
    • 分娩となってもおかしくないタイミングで、パートナーからの確実なサポートが得られるよう、社会の仕組みからアプローチしていきます。
  • 0歳から2歳までの保育料無償化
    • 0歳から2歳までの保育料を所得制限を設けることなく完全に無償化することを目指し、財源確保等の具体的検討を推進します。これにより、特に負担の大きい低年齢期の子育て費用を軽減し、女性の就業継続や早期の社会復帰を後押しします。
  • 「小1の壁」の打破と学齢期の子育て支援
    • 学童保育の受け入れ定員を大幅に拡大し、開所時間の延長や長期休暇中の受け入れ体制を充実させます。
    • 企業に対し、小学校低学年の子どもを持つ従業員が利用しやすい柔軟な勤務制度(短時間勤務、フレックスタイム制、テレワーク、子の看護休暇拡充など)の導入を推進します。
  • フリーランス・自営業向けの両立支援策の強化
    • 前年度の収入をもとにした、フリーランス向けの育児休業給付導入を検討します。制度の適用にあたっては、開業届や確定申告の実績などを確認しつつも、硬直的な条件ではなく、実態に即した柔軟な運用を目指します。
    • 下の子の出産に伴い、育児に専念するために一時的に休業する場合、企業等の会社員が取得する育児休業と同等の期間(原則子どもが1歳に達するまで、状況に応じて延長可)、上の子の保育園継続を認める制度を国として法制化し、全国の自治体で標準的な対応とします。
      • 既に東京都世田谷区三鷹市愛知県大府市など、一部の自治体では、自営業者等に対し、育児休業中の保育園継続を認める「みなし育児休業」制度や同様の取り組みが始まっています。これらの先進事例を参考に、全国的な制度設計を国主導で進めます。

6.子育てを切れ目なくサポートするデジタル母子パスポートを実現します

現状認識・課題分析

  • 現在の母子手帳は紙媒体が主流であり、妊娠中の体調が不安定な時期に受け取りに行く手間や、紛失のリスクがあり、それによってワクチン接種記録などが確認できず、適切な時期に必要な医療や予防接種が受けられなくなるケースがあります。
  • また、妊婦健診の受診券・補助券の手続きや、産後の煩雑な予防接種のスケジュール管理、医療機関での予診票の都度記入など、アナログな手続きが保護者の負担となっています。体調がすぐれなかったり忙しい時期に何度も名前や住所を繰り返し書く作業は、負担として蓄積しています。
  • また、妊娠の経過によっては妊婦健診の回数が増え、自治体から発行されている受診券・補助券の枚数が不足し全額自己負担となるケースがあり、経済的にも負担になっています。さらに、出産にかかる費用は、地域によって大きく異なるだけでなく、個々の妊娠経過(合併症の有無、帝王切開、入院期間の延長など)によっても大きく変動します。しかし、現在の出産育児一時金は一律支給であり、こうした個別の負担増に十分対応できていないという課題があります。

政策概要

  • 母子健康手帳をデジタル化し、「デジタル母子パスポート」を創設します。その際、個人情報の保護を徹底し、アクセス制御や暗号化など万全なセキュリティ対策を講じます。
    • 子ども家庭庁で検討されている母子保健DXの動きを強く推進します。
    • 希望者には従来の紙の母子健康手帳も引き続き提供し、選択できるようにします。
  • これにより、スマートフォン等からいつでもアクセス可能となり、保護者はもちろん、その配偶者や他の家族も、本人の同意のもとで必要な情報を共有できるよう設定できます。また、つわりの時期などに無理して役所の窓口等へ行く必要がなくなります。
  • 妊婦健診の受診券・補助券も、対象者に自動的にデジタル付与する仕組みを構築し自治体に提供することで、手続きの手間を省きます。医師の診断情報を基に、必要な人に必要な回数の補助がいきわたる仕組みを構築します。
    • なお、現在一部自治体のみにとどまっている「妊婦健診は原則全額公費負担」の拡大を目指し、必要財源の確保や国から自治体への交付の最適化を検討します。
    • より頻回の健診が必要となる多胎児妊娠のケースでは、現在も「多胎妊娠の妊婦健康診査支援事業」で追加分の健診費用の一部助成をしていますが、デジタル母子パスポート上で自動で最適枚数が付与される仕組みを実装することで、自治体間の差をなくしていきます。
  • 産後の予防接種スケジュールも、厚生労働省が推奨する標準的なロードマップを基に、パスポート内で分かりやすく管理します。適切な接種時期が近づいた際のプッシュ通知はもちろん、ワクチンの種類ごとの接種間隔や同時接種の可否といった複雑な情報も明示します。また、保育園の行事など個別の予定を登録することで、それらと重複しないように接種計画の調整を助ける機能も提供します。さらに、予防接種の予診票もオンラインで事前入力可能とし、住所や氏名などの基本情報を毎回記入する手間をなくし、医療機関での待ち時間短縮・自治体の予診票送付などの事務工数削減にもつなげます。
  • 国が推進する医療DXとも連携し、マイナンバーカードを活用したお薬手帳とも連携します。これにより、より正確で迅速な情報共有を実現し、保護者の負担減・子どもの受ける医療の質向上を目指します。
  • また、医療機関での受診履歴や検査結果などの情報を保護者の同意のもとで行政と共有することにより、発達障害が認められる場合など、特定の条件を満たす家庭に対して、特別児童扶養手当や児童福祉手当などの経済的支援が自動的に届くようなプッシュ型の支援体制の構築を目指し ます。子育てや、何らかの困難を抱える保護者にとって、複雑で多岐にわたる申請手続きは、時に必要な支援策の存在に気づけない、あるいは申請を諦めてしまうといった事態を生み出すほどの大きな障壁となっています。こうした申請主義の課題を克服し、必要な支援が迅速かつ確実に届くようにします。
  • なお、デジタル母子パスポートの運用にあたっては、子ども自身の情報アクセス権を尊重し、成長段階に応じた情報共有のあり方について、関係者間で検討を深めます。

7.保育士の人手不足解消に取り組みます

現状認識・課題分析

  • 保育士は、未来を担う子どもたちの健やかな成長を支え、保護者のキャリアを支える、極めて専門性が高く重要な職業です。
  • 保育士の離職率は平成28年度時点で9.3%であり、他の職業も含めた日本の平均離職率15%よりは低い結果となっています。しかし世代別に見ると若手の離職率は高い傾向にあり、人材の定着に課題があることがわかります。
  • また保育士の有効求人倍率をみると令和6年1月時点で3.54倍であり、全職種平均1.35倍と比べると依然高い水準で推移しており、人手不足は未だ深刻です。特に東京など都市部においては人手不足が顕著です。

政策概要

  • 保育DXの推進
    • 保育対策総合支援事業費補助金による保育施設向けICT補助金の対象にAIを活用した業務効率化システムを追加します。
    • 例えば保育記録は音声で都度入力しておくと1日の終わりに自動でAIがまとめてくれるなど、保育士の皆様の書類作成業務や事務作業の負担を大幅に軽減します。
    • これにより、保育士の方にしかできない、子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合う時間を増やし、働きがいを高めます。
  • 潜在保育士の活躍推進
    • ステップ1でも示したとおり、保育士の資格を持ちながらも様々な理由から保育の業務に従事されていない方々が、一時預かり等の需要の変化に応じて柔軟に就労いただけるようなプラットフォームを作ります。
    • またリモートで保育事務をサポートするアウトソース事業を行い、保育士としての経験・知識を活かして保育現場を遠隔から支える仕組みを作ります。
  • 公営住宅への優先入居
    • 先述の公営住宅の拡大の枠組みの中で、新婚世帯・子育て世帯と並び保育士の皆さんにも優先入居頂けるよう、国として運営主体である自治体へのインセンティブ設計を行います。
    • 低い家賃で職場にアクセスのよい住宅を確保することで、実質の生活コストを低減し、待遇改善に繋げることを目指します。
  • 保育士の処遇改善継続検討
    • これまでの検討・実行されてきた処遇改善について、継続的にモニタリングし改善し続けていきます。
    • 特に地域ごとの物価差等を考慮した最適な人件費単価の設定や、マイナンバー等を用いて園を介さず国から直接保育士の皆さんへ支払うような仕組みづくりなど、テクノロジーの力を使ってよりよい方法を実現していきます。

8.障害のある子どもとその家族の生活を守る社会を作ります

現状認識・課題分析

  • 障害のある子どもの育児は、大きな喜びがある一方で、保護者には精神的、肉体的、そして経済的に多大な負担がかかっている現状があります。
  • 現状の支援制度は存在しても、「情報が届かない」「手続きが複雑で利用しづらい」「どこに相談して良いかわからない」といった声が多く聞かれます。また、早期からの適切なアセスメントと、個々のニーズに合わせた切れ目のない支援が不可欠であるにもかかわらず、地域や機関による格差、連携不足も指摘されています。これらの課題は、保護者の就労機会の損失や社会的孤立、ひいては少子化にも影響を与えかねない深刻な問題です。
  • また重要な前提は、ここでの政策は画一的な解決策を押し付けるのではなく、家族の自己決定を支えるものでなければなりません。具体的には、親(特に母親)が仕事をやめてケアに従事することを当然とするような前提での仕組みではいけませんし、ケアに専念されている方に対しても十分なサポートが行き届くようにしなければいけません。
  • 我々はテクノロジーの力を最大限に活用し、保護者の負担を軽減するとともに、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出す支援体制の構築を目指します。

政策概要

  • 安全かつ利用しやすいオンラインプラットフォーム「ファミリーサポートハブ(仮称)」を開発・提供
    • 全ての支援サービス・手当・助成金・施設に関する情報を一元管理します。
    • 各種手当やサービス、障害サービス受給者証の申請等の手続きをオンラインで完結。書類作成や窓口訪問の負担を軽減し、マイナンバーカードとの連携による本人確認や情報入力補助も導入します
    • 保護者の同意に基づき、医療、福祉、教育など関係機関間で、安全な情報共有やコミュニケーションを可能にします
    • 利用者の状況やニーズに基づき、AIが関連性の高い公的制度、サービス、支援団体、地域のリソースなどの社会資源をプッシュ型で提案します。手続き負担を限りなくゼロに近づけ、待ちの姿勢ではなく国が能動的に各家庭を支援する形式を目指します。
  • RTI(Response to Intervention)アプローチの導入とデジタルアセスメント基盤を確立
    • 保育・教育・療育現場において、子どもの支援に対する反応を科学的データに基づき評価し、それに応じて支援計画を柔軟に調整・最適化する「RTIアプローチ」を導入します。早期発見・早期介入を徹底し、画一的でない、真に個別化された支援を提供します。
    • 子どもの発達段階や特性を多角的に把握できる標準化されたデジタルアセスメントツールを開発・普及させます。アセスメント結果は、保護者の同意のもとセキュアに一元管理し、保護者自身も分かりやすく確認できる「デジタル成長記録」として活用します。
  • AIによる個別最適化された学びとケア
    • 児童生徒の学習データや特性に基づき、個別最適な教育支援計画(IEP)作成を補助します。
    • 個々の進捗や理解度に合わせて難易度や内容を調整するアダプティブ・ラーニング教材を提供します。
    • 支援施設におけるスケジュール管理、記録作成、報告業務などを自動化・効率化し、スタッフが直接的なケアにより多くの時間を割けるようにします。
  • 遠隔医療・療育推進、遠隔モニタリングと見守り支援
    • 遠隔地に住む家族や移動が困難な子どものために、専門的な療育(言語、作業、理学療法など)、カウンセリング、医療相談などをオンラインで提供するテレヘルスを普及させます。VR/AR技術を活用した遠隔リハビリやソーシャルスキルトレーニングの可能性も追求していきます
    • 在宅や施設で医療的ケアが必要な子どもに対し、保護者の同意のもと、センサー技術やカメラを用いた遠隔モニタリングシステムを導入します。異常検知時にアラートを発するなど、介護者の負担軽減や安全確保に繋げます
  • 経済的負担の抜本的軽減と継続的支援の強化:
    • 既存の児童手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当等に加え、障害の程度や医療的ケアの必要性に応じた追加的支援給付を創設し、直接的な経済的負担を軽減します。所得制限については最新の社会情勢を踏まえて撤廃含む見直しを行います。
    • 補装具や日常生活用具の給付制度について、品目の拡充と自己負担割合の軽減、申請手続きの簡素化を図ります。
  • 親の再就職支援・柔軟な働き方の推進
    • 育児・介護のために離職した親(特に母親)を対象に、キャリア相談、リスキリング(再教育)プログラム、就職あっせんなどの支援を強化します。
    • 障害のある子どもの親が働き続けやすいよう、テレワーク、フレックスタイム、短時間勤務、時差出勤などの柔軟な働き方を導入・活用する企業に対し、助成金や税制優遇措置を設ける。子どものケア(通院付き添い等)を理由とした休暇取得がしやすい企業文化の醸成も支援します。
  • レスパイトケア・専門的保育の拡充
    • 家族が休息を取るためのレスパイトケア(在宅型、施設型、短期、緊急時対応など多様な形態)の提供体制を、量的・質的に大幅に拡充します。
    • 予約や情報提供は「ファミリーサポートハブ」で効率化します。
    • 医療的ケアを含む多様なニーズに対応できる保育士や放課後児童支援員などを養成するための研修プログラムを強化し、人材を確保します。サービスの提供時間を、フルタイム勤務の親のニーズにも応えられるよう延長・柔軟化します。

障害のあるお子さんへの支援は、福祉の項目もご参照ください。

9.育児のセーフティーネットを強化します

現状認識・課題分析

  • 家族の介護などを担うヤングケアラー問題、子どもの貧困、そして後を絶たない児童虐待の問題は、いずれも子どもたちの健やかな成長と未来を脅かす深刻な社会課題です。
  • 我々は少子化対策として目先の子どもの数を増やすことだけでなく、産まれた子どもたちとその家族が安心して暮らせる社会を作ることに向き合わなければなりません。
  • これらの問題は、家庭内だけで解決することが極めて困難でありながら、外部からの支援が届きにくいという構造的な課題を抱えています。「テクノロジーで誰も取り残さない」という党是のもと、最新技術と人の手によるきめ細やかな支援を組み合わせ、早期発見・早期対応・継続的支援を実現する強固なセーフティネットの構築が急務です。

政策概要

  • ヤングケアラーの早期発見
    • 学校や地域コミュニティにおける早期発見・把握のためのスクリーニングシステムの開発・導入を支援し、関係機関が連携できるプラットフォームを構築します。
    • オンライン相談窓口やAIチャットボット相談を設置し、専門家による心理的ケア、学習支援、家事支援サービスなどを迅速に提供できる体制を構築します。
  • 子どもの貧困対策
    • 生活困窮世帯への経済的支援強化、フードバンク活動や子ども食堂への支援、地域における見守りネットワーク強化などを通じ、貧困の世代間連鎖を断ち切るための多角的な取り組みを進めます。
    • 教育機会の完全な均等化を目指し、給付型奨学金の大幅な拡充や、AIを活用した学習支援プログラムの無償提供を推進します。
  • 児童虐待の検知AIの再構築
    • これまでの子ども家庭庁による取り組みを改めて棚卸しし、虐待検知に本当に必要なデータ項目が何かを経験値の高い職員の方へのヒアリング等から特定。誤検知の少ないAI検知システムを改めて構築します。
    • いきなり大規模に展開するのではなく、最初は既存のやり方と併用してスモールにテストを重ねることで、大きなコストをかけずに適切なシステムを作っていきます。
  • 日常的な育児不安に対応するAI育児相談窓口の設置
    • ステップ1でも説明したとおり、育児に関するあらゆる悩みや疑問に対し、24時間365日、保護者が気軽にアクセスできるAIを活用した育児相談窓口を設置します。
    • AIが初期対応を行い、一般的な情報提供やアドバイスを行うとともに、より専門的な支援が必要と判断される場合には、各自治体の保健師やケアマネージャー、医療機関などの適切な専門家や窓口へスムーズに繋ぐことで、デジタルの利便性と専門家による手厚いサポートを両立させます。
    • 利用可能な助成金制度などのお役立ち情報も提供し、いざという時に確実に頼られる存在となることを目指します。

10.結婚の障壁を取り除きます

現状認識・課題分析

  • 出生率低下の大きな要因の一つは、結婚する人の割合、すなわち有配偶率の低下です。初婚年齢の上昇、いわゆる晩婚化も進み、子どもを持つことを望んでも年齢的制約から諦めたり、理想の数より少なく産む選択をするケースが増えています。
  • 若年層が結婚をためらう背景には、新生活の準備や将来設計に関する経済的な不安の影響が大きいです。
  • また、個人の価値観やライフスタイルが多様化する中で、現行の法制度や社会の仕組みが、全ての人のパートナーシップのあり方や家族形成の願いに十分応えられていない現状があります。現在の制度が意図せず障壁となり、結婚や出産といった選択を困難にしている側面があるならば、解決できる道を模索すべきだと考えます。
  • 私たちは、経済的、制度的障壁を取り除き、誰もが希望を持って多様な形での家族を築ける社会を目指します。
  • なおこれは、特定の家族形態を推奨したり、結婚しない選択を否定するものではありません。

政策概要

  • 経済的支援の強化
    • 結婚に伴う新生活の費用を補助する「結婚新生活支援事業補助金」は、所得制限の緩和または撤廃、助成金額の引き上げを検討します。
    • 祖父母や親から子や孫へ結婚・子育て資金を一括贈与する場合の贈与税非課税措置は、制度の恒久化と非課税枠の拡大を検討します。
    • いずれの制度も電子申請などの活用で申請者の利便性を高め、同時に行政の事務負担も軽減していきます。
  • 多様なパートナーシップの尊重と法的整備
    • 事実婚を選択するカップルに対し、税制、社会保障、相続、共同親権等で法律婚と同等の保護が受けられるよう法制度の整備を検討します。
    • 結婚による苗字変更によっておこる不利益を解消する方策について、選択的夫婦別姓導入を有力な考え方としつつ、国民の声を集めて多角的に検討します。