9.くらしと行政

ビジョン

国民が変化を実感できる政府をつくるため、政党自らがテクノロジーを実装し、情報公開と効率化を推進します。誰もが迷わず、負担なく支援や制度にアクセスできる使いやすい公共サービスを実現し、専門知と技術を活用した機能する法制度・行政運営を支える仕組みを構築します。 制度や行政プロセスから複雑さや属人性を減らし、オープン化を進めることで誰もが使える仕組みに再設計します。税や給付などのルールを連続的・自動的に調整することでインフレや格差に柔軟に対応し、合理的な制度運用を実現します。

1. 永田町エンジニアチームが、国会・行政のDXを推進します

現状認識・課題分析

  • 民間と行政で進む「技術活用のギャップ」
    • 民間企業ではテクノロジーを活かしたサービスの高度化が進む一方、行政や立法分野では変化のスピードに課題があり、日常的な利便性の実感に差が出てきています。
  • 国会・立法府における技術人材の構造的不足
    • AIやオープンソースソフトウェア(ソースコードが公開され、誰でも自由に使用、改変、再配布が可能なソフトウェア。以下OSS)の活用が社会の基盤技術となる中、立法や政策設計においても専門的な技術知見が求められています。
    • イギリスでは「UK Parliamentary Digital Service(PDS)」がこうした役割を担っており、日本でも常設の技術チームによる支援体制が急がれています。
  • 国民参加と熟議を支える基盤の未整備
    • 政策形成に市民の声を活かすには、意見を集め・整理し・論点化する基盤が必要ですが、現在はその多くが未整備です。多様な意見を構造的に把握・分析するツールの整備が求められています。

政策概要

  • チームみらいは2025年に国政政党になって以降、永田町エンジニアチームを設置しました。UK Parliamentary Digital Serviceのような先行モデルを参考にしつつ、AI・OSSの専門知見を立法府に常時インプットします。

  • 行政のデジタルツールをつくる・運用する

    • ネット上で話し合える場づくり
      • デジタル民主主義2030で採用されている「いどばた」を活用し、市民が自由に意見を出し合えるオンラインの熟議の場を展開します。AIが内容を整理し、論点を明確にすることで建設的な議論を後押しします。
    • 国会の議論を可視化し、声をきちんと受け止めるしくみ
      • チームみらいが2025年に国会で何が話し合われているかを分かりやすく可視化する『みらい議会』というツールを発表しました。『みらい議会』では各法案のステータスや背景をわかりやすく解説しています。
      • 現状の『みらい議会』は、国会のリアルを国民に届ける「情報の可視化」に主眼を置いていました。次のステップでは、その逆向きの流れ、つまり「国民の声を国会に届ける」ための仕組みを実装します。
      • 私たちはこのツールをさらに進化させ、「国民の声で国会を動かす」事例をつくっていきます。単に国会の状況を知るだけでなく、それを見た国民の皆さまが意見を投げかけ、それをAIが集約して国会へフィードバックできる、いわば「デジタル目安箱」へと進化させます。
      • その核となるのが、昨年から実験を開始している「AIインタビュー」です。これはオンライン上でAIが、有識者や当事者の皆さまにインタビューを行う仕組みです。
      • AIを活用する最大のメリットは、その圧倒的な効率性にあります。「人工知能基本計画」に関するインタビューでは、数日間で延べ1,200時間以上のインタビューを実施しました。人間が50日間寝ずに働き続けてようやく終わる分量を、AIならわずか数日で完了し、意見を集約することができるのです。
      • 今後は、このAIインタビュー機能を『みらい議会』に統合します。私たちは、ここで得られた多様な知見を自分たちの議席を通じて国会へ持ち込みます。多角的な視点を取り入れることで、国会の議論をよりアップデートすることができると考えています。
  • 政治資金の流れを市民が追えるツールを活用

    • 2025年、チームみらいは政治資金の流れを透明性を持って公開するプラットフォーム「みらい まる見え政治資金」をリリースしました。
    • 今年の3月、チームみらいとして初めての政治資金収支報告書の作成時期を迎えます。私たちはこの報告書を、『みらい まる見え政治資金』を使って作成します。現状のチームみらいの収支は、『みらい まる見え政治資金』でわかりやすくご覧いただけます。
    • 私たちは、政治資金の流れを透明化するツール『みらい まる見え政治資金』を、自党のみならず他党へも広げていきます。
    • 昨年12月に実現した参議院自民党との政策合意の中で、今年度中に所属議員全員に向けて『まる見え政治資金』を周知する機会を設けることを約束いただきました。党首の安野貴博が直接、議員の皆さまに向けて詳しく説明を行う予定です。
    • また、自民党以外にも多くの議員の方々から興味を持っていただいており、党派を超えた協調を進めています。
  • 自治体で使えるOSSツールの開発

    • デジタル庁が進める標準化や共通基盤と競合しないよう配慮しつつ、小規模な自治体でも導入しやすいツール群をOSSとして迅速に構築します。必要に応じてカスタマイズできる形で全国に展開します。
  • プロトタイプによる仮説検証とOSS化

    • デジタル政策の構想段階において、まずプロトタイプを開発し、実現性や運用上の課題を検証します。効果が認められたツールについては、公共的に再利用可能なOSSとして開発・公開します。
  • 議員のための情報収集・分析支援機能

    • 各府省の資料、過去の国会・委員会の議事録などを横断的に収集・整理し、関連情報を自動的に集約・提示する機能を開発します。忙しい議員が短時間で必要な情報にアクセスできるようにします。
  • 技術外交のハブ機能

    • エンジニアチームだからこそ可能な“テック外交”を推進します。国内外の技術者コミュニティと連携し、政策立案に必要な知見を得ると同時に、日本発のガバメントテクノロジーのプレゼンスを高めていきます。

2.使いやすい行政を実現します

現状認識・課題分析

  • 住民にとって“体験の良さ”は依然として低水準
    • 国民生活に直結する26手続きについて、オンラインで完結できる自治体は65.1%にとどまり、3 割強が依然として書面・窓口前提で、オンライン移行は道半ばです。(出典:デジタル庁「データから見た成果:社会におけるデジタル活用の進捗」)
    • 「オンライン手続きができない」「何度も同じことを書く必要がある」「窓口が明確じゃない」などの声も聞こえ、国民にとっての使いやすさにはまだまだ改善の余地があります。
    • 育児中のご家庭や、高齢の方、障害のある方、就業者など、全ての人にとっての使いやすさが重要ですが、「手続きが複雑であきらめた」事例が各種ヒアリング調査で報告されています。
  • 制度へのアクセス障壁がもたらす公平性の欠如
    • 日本の社会保障制度や各種公的支援制度は、申請主義を前提として設計されており、制度の存在自体はあっても、情報格差や申請手続きの複雑さから、「制度があっても支援が届かない」状態が広く生じています。
    • 特に、低所得世帯、高齢者、障害者、ひとり親家庭といった支援ニーズの高い層ほど、制度へのアクセス障壁が大きく、支援の取り残しが深刻な課題となっています。
  • 行政内部の非効率の改善とポテンシャル
    • 統計調査や現地調査で「Excel→手入力→基幹系」などの多重入力が常態化し、調査漏れや職員二重配置が発生していると自治体現場からの声もあります。
    • デジタル化を進めることで、職員は書類の受け取りや書類の記載内容の確認から解放され、本来の対人支援・相談業務に注力できるようになります。
    • また、業務フローを標準化・再整備することで業務の属人性、二重入力を排除し、またシステムによる自動チェックや履歴管理によりヒューマンエラーを防ぐことができ、待ち時間の減少、迅速な給付など、行政サービスの質の向上に繋がります。
    • 例えば、書面や対面を義務づけるアナログ規制をオンライン化しただけで、甲種防火管理講習では年間 16.7億円のコスト削減効果が試算されており、同様の潜在効果が多数残存。(出典:デジタル庁「アナログ規制の見直しによる経済効果(中間報告)」)

政策概要

  • 行かせない、書かせない、待たせない、迷わせない行政を実現
    • 行かせない
      • 行政手続のオンライン化をさらに推進する
        • 書面・対面義務規定の更なる見直しを実施します。あわせて、マイナンバーカードと公的個人認証(JPKI)を活用し、本人確認と必要情報の自動取得を可能とすることで、原則として窓口来訪を不要にする行政手続きを拡大します。
    • 書かせない
      • マイナンバーを活用して、利用可能な税・社会保障データの範囲を段階的に拡大し、自動連携することで申請時の住民による再入力を排除します。
        • 各省庁と自治体のデータベース連携を推進することで、住民が同じ情報を何度も提出する必要を無くします。
      • さらに、国民健康保険料の算定や各種減免措置については、行政が既に保有している課税・所得情報を標準APIにより内部で自動参照・適用することを原則とし、国民に対して紙の書類提出を求めない運用を標準化します。すでに一部自治体で試行が始まっており、全国展開に向けた制度設計を加速させます。
      • デジタル庁の推し進める「自治体窓口DX」を更に推進していくとともに、加えてIT&AIを活用したバックヤード改革を行い、入力内容の確認、窓口業務職員の負担軽減を図ります。
    • 待たせない
      • 前提として、オンライン化を推し進め、行政機関への訪問を不要にします。
      • ただし、どうしても訪問が避けられない場合もあるため、そのような場合は混雑状況をリアルタイム配信することで待ち時間の平準化を図り、結果的に「待たされる」体験を改善します。
    • 迷わせない
      • 行政サービスを「探す・理解する・申請する」といった一連の行動において、住民が迷うことなくスムーズにたどり着ける仕組みを構築します。情報の分かりにくさや複雑さが申請意欲の喪失につながる現状を踏まえ、誰もが迷わず必要な支援にアクセスできる行政を目指します。
      • 例えば、確定申告については、その手続きの煩雑さがかねてより指摘されており、納税者の負担軽減が急務です。マイナンバー制度およびマイナポータルの基盤を活用し、給与・報酬・金融所得・社会保険料・医療費など、申告に必要な情報を関係機関から自動的に集約・連携する仕組みを段階的に整備します。
        • 現時点でも、医療費通知・社会保険料・ふるさと納税情報などについては、マイナポータル経由で取得し、e-Tax上に自動反映される機能が実装されています。また、家族の医療費についても、事前の代理設定により取得可能となるなど、代理による補助的な申告準備も技術的に整いつつあります。
        • 今後は、これらの仕組みをより一層拡張し、証券会社・金融機関・保険会社などの情報も含めた網羅的な所得・控除情報の事前集約を推進します。また、高齢者や体調不良等により自らの申告が困難な納税者については、税理士等の有資格者に限らず、家族等による代理提出やサポートがしやすくなる環境整備(例:電子委任状の標準化、代理人向け操作画面の整備)を進めます。
        • これにより、最終的には、納税者があらかじめ集約された申告内容を確認し、ワンクリックで申告を完了できる「ワンクリック申告」の仕組みを実現します。本人の意思に基づいた安全な情報連携、透明性の高い運用、そして不正利用を防止する制度設計を徹底することで、誰にとっても使いやすく、安心できる確定申告制度への転換を図ります。
        • この基盤を活かすことで、税や社会保障の控除・給付の“境界”をなめらかにし、より合理的な制度運用へと接続していくことが可能になります。確定申告の改革は、より本質的な制度の滑らかな設計——「なめらか税・社会保障」への移行に向けた第一歩でもあります。
        • なお、希望する納税者に対しては、マイナンバーカードに紐付けられた公金受取口座から、確定した税額が納税期限日に自動的に引き落とされるオプションも導入します。引き落としにあたっては、納税額の確定内容を事前にマイナポータル上で確認・同意できるようにし、利用者の不安や誤課税への懸念に対応します。
      • また、本人情報やマイナンバーに紐づく属性データ(年齢、所得、家族構成など)に加え、住民自身がマイナポータル等で登録した興味・関心分野(例:子育て、教育、住宅支援、起業支援など)をもとに、対象となる可能性のある補助金・制度を自動抽出し、アプリやメールで個別通知する仕組みを整備します。これにより、「制度を自分で探しに行く」のではなく、「必要な情報が向こうから届く」プッシュ型の情報提供が実現されます。
        • すでに、マイナポータルの「ぴったりサービス」や一部年金手続きで先行実装されつつあり、今後は他制度にも横断的に拡張し、自動化の精度を高めていきます。
        • 一定の要件を満たす給付金や手当については、本人への通知後、一定期間内に異議がなければ公金受取口座に自動的に振り込まれる「オプトアウト型自動給付」の仕組みを整備します。2024年の定額減税補足給付では、申請不要の給付が一部自治体で実施されており、これを皮切りに、恒久的な制度への段階的移行を進めていきます。
        • 加えて、会社からの退職情報や介護・障害の認定など、個人のライフイベントの情報が行政に届いた時点で、国民健康保険の加入や保険料の減免申請といった関連手続きを行政側で一括処理し、本人にはその結果のみを「通知」として送付する仕組みも構築していきます。2025年度より始まる電子離職票のデジタル連携はその基盤となり、今後は国保・年金・雇用保険など複数制度を一体で処理する「ワンストップ型自動手続」へ発展させていきます。
        • 一方、守りの側面も重要で、制度の拡張とともに、AIを活用した不正受給リスクの自動検知モデルを導入し、高リスクケースを優先的に審査するリスクベースアプローチを採用します。東京都の特別区を中心に生活保護や児童扶養手当などで導入が始まっており、これを他の給付分野にも広げていく方針です。あわせて、マイナポータル上で給付履歴や本人への情報照会履歴を確認できるダッシュボード機能を拡充し、透明性とトレーサビリティの確保も図ります。
      • ユーザーの質問や状況に応じて最適な窓口や手続きをナビゲート、代行するAIチャットボット、AIエージェント等の導入を加速させ、迷いなく必要な情報にたどり着ける環境を整備します。
        • また、AIチャットボットでの対応が難しい場合には、速やかに専門の相談員へ引き継ぐ体制を構築します。デジタル機器の操作に不慣れな方でも安心して利用できるよう、人によるサポートの選択肢を常に用意します。
        • 特に高齢者の方々に対しては、デジタル庁の「デジタル推進委員」の取組等と連携し、対面相談窓口の充実や、わかりやすい言葉づかい、大きな文字表示といったインターフェース配慮を徹底します。これには、日本産業規格(JIS)等に準拠したアクセシビリティ基準の採用を含みます。
        • 既に成果を上げている自治体と民間企業の連携による現場サービス(例:出張講習、地域サークルと連動したIT体験会)などの優良事例を迅速に横展開し、全国での実装を加速させます。
      • 政策情報や手続き案内を、AIや検索エンジンが解析しやすい機械可読なデータ形式(HTML, JSONなど)で提供。AI・アプリ・Web検索を活用した情報アクセス性を向上させます。
      • 行政文書の日付表記を分かりやすく改善し、西暦を併記または主として使用することで、和暦の確認や年数の計算といった無駄な確認作業をなくし、利便性を向上させます。

3. AI&ITによる公務員の働き方改革を行います

現状認識・課題分析

  • 過重労働が常態化し、若手人材が敬遠。行政サービスの質・スピード双方が低下。
    • パブリックコメントは案件によっては10万件超の意見が集まる事例もあり、職員が手作業で分類するなど、大きな事務負担が生じています。
  • 立法支援機能の限界と現場の疲弊
    • 各省庁だけでなく、衆議院・参議院の法制局では、議員立法や政策分野の多様化により、法案作成・審査の業務が増大しています。膨大な審議記録や類似法案の調査を限られた人員でこなす現場はすでに限界に達しており、業務支援のための技術導入が不可欠です。
  • 危機対応に必要な“余白”が消失
    • 人手不足・過重労働が常態化しているため災害やパンデミック時に臨機応変な動員が難しく、非常時に機動的な動きができない恐れがあります。

政策概要

  • FAXや紙の廃止を進めるとともに、行政機関に最新の業務ツールや柔軟な働き方を導入し、職員のデジタルリテラシーを高めます。こうした基盤整備により、現場の実態や社会の変化を的確に捉えた、現実に即した政策立案を可能にします。
  • 行政内部DX
    • AIアシスト型ワークフロー
      • パブリックコメントの分類、分析をAIで効率化します。
      • 紙のみで保存されている資料をOCRで検索可能にします。
      • 告示・通知をデータベース化し、AI+RAGで庁内文書横断検索を可能にします。
    • 「読み合わせ」から脱却
      • AI技術を活用して原稿のレビューを行うことで、口頭読み合わせを不要にします。
    • 音声AIによる一次問い合わせ窓口
      • 代表電話・コールセンター業務を集約し、職員が二次対応に専念できる環境を整備します。
    • 機密区分・個人情報のマスキング手順を標準化し、行政機関での安全な生成AI活用を進めます。
  • 立法支援業務に向けたデジタルツールの整備
  • 類似法案の検索、過去の審議記録の分析、条文案作成支援、影響範囲分析など、AI技術を活用したツールを開発します。
  • e-Gov法令APIの構造化強化(プレーンテキスト化、履歴管理、告示データの整備等)や、デジタル庁が進める法制事務のデジタル化の動きとも連携し、議員立法や修正案作成にも使いやすい支援ツールを整備します。
  • 法令・規則・条約のデータを再利用可能なリソースとして統合し、立法過程全体の質とスピードを高めます。
  • 司法DX
    • 司法における書面準備作業などをAIを利用して効率化します。
    • AI“0審”モデル
      • オンライン上の名誉毀損など、発生件数が多いものについては、パターンを学習し、判決や賠償額を予測するAIを開発します。
      • モデルをAPI経由で公開し、リスク警告の実装を可能にすることでそもそもの法律違反を減らすことを目指します
        • 例:プラットフォーマーがSNS上の投稿前に名誉毀損に当たらないかチェックする機能も実装可能に
      • AIによる不当なバイアスが発生しないよう、認証/確認のプロセスを徹底
      • また、AIの分析結果を理由として、法テラス等の公的支援を受ける権利や、その他の法的手段を不当に制限されることがないようにする。

4. 選挙現場の負担に寄り添い、届出手続・運用のデジタル化を進めます

現状認識・課題分析

  • 立候補手続きが“紙と対面”に強く依存
    • 立候補予定者は、事前説明会で各都道府県選挙管理委員会から膨大な届出書類を受け取り、記入・管理・提出に多大な労力を要しています。
    • 提出にあたっては、押印済み原本を「厳封」のうえ庁舎に再度持参する必要があり、手続き全体が紙ベースで運用されています。
    • なお、参議院選挙など一部では総務省のようにWeb上での資料提供が行われている例もあります。
  • 供託金納付はオンラインでも“紙提出が慣行のまま”
    • 法務省が提供する「供託ねっと」により、選挙供託金はオンラインで納付可能となっていますが、多くの選挙管理委員会では電子形式の預納証明書を受理しておらず、法務局で紙の原本を発行・提出する運用が依然として求められています。制度と現場運用の間に乖離が存在しています
  • CD-R提出やPDFでの書類作成など、古い慣行が温存
    • 選挙公報などの提出書類では、CD-Rでの提出が求められる場合があります。
    • また、PDFファイルで様式が配布されることもあるため、専用ソフトによる加工や印刷・手書きによる記入が必要となることがあります。こうした非効率な形式依存が、事務作業の負担を増大させています。
  • 短期間に集中する手続きと、情報の重複提出
    • 事前説明会から事前審査までわずか数日しかなく、その間に移動をしつつ、供託・戸籍取得・住民票・委任状・事務所届・政見放送などを同時並行で準備する必要があります。
    • 加えて、各選挙管理委員会により必要書類や記載ルールが異なり、同じ情報(例:候補者名や住所)を何度も転記させられる構造になっています。
    • このような短期集中・多重入力の負担は、特に参議院選挙のように全国を対象とする選挙では、地方に拠点を構えることが困難な新興政党にとって大きな障壁となっています。
  • 移動・時間・費用面での制約が候補者の多様性を阻害
    • 庁舎への訪問や書類の郵送などにかかる時間や費用は、物理的・経済的な負担となっており、地方在住者、海外在住の日本人、平日に時間を取りづらい層にとって立候補の大きなハードルとなっています。その結果、立候補機会における地域・環境間の格差が生じ、候補者の多様性確保にも影響を与えています。
  • 証紙ビラなど“紙中心の運用”が人的・時間的リソースを圧迫
    • 選挙運動においても、証紙付きビラの貼付作業、ポスター掲示、ハガキの印刷・送付など、多くの工程が紙を前提としており、候補者・支援者にとって過大な物理作業となっています。
      • 特に証紙ビラは、規定枚数分に1枚ずつ証紙を貼る必要があり、告示後の限られた時間の中で人手と時間を大量に消費します。
    • そのため、新人候補や地方・若年層の立候補機会を制度的に制限している構造につながっています。

政策概要

  • 誰もが立候補しやすい選挙へ:“フルオンライン届出”を段階的に実現
  • 電子手続を全国統一運用へ
    • すでに可能となっている「供託ねっとによるオンライン納付」や「事前審査前のメール等での事前チェック」「事前審査のオンライン予約」など、実証済みの仕組みを全ての選挙管理委員会で共通運用できるよう整備します。
    • これらの法改正が不要な部分については、例えば総務省通達や業務ガイドラインにより統一ルールを策定し、速やかな運用開始を目指します。
    • 一方で、法改正が必要な手続きについては、法的な真正性とセキュリティなどの観点で慎重な対応が必要となるため段階的に進めます。
      • 例えば、「届出書類の電子署名・電子提出を紙と同等とみなすための法整備」、「マイナンバーカードを活用した本人確認プロセスの導入」、「書類一式のクラウド保存、タイムスタンプ運用による「厳封相当」措置の導入」については慎重な検証を通した上で段階的に対応します。
      • その際、提出記録や操作ログを保存するなど、セキュリティ・訴訟耐性も確保する想定です。
  • 手続きの重複をなくし、全国で使いやすい様式へ
    • 所・氏名・政党名・略歴などの繰り返しの同一の記載をなくすため、統合入力フォームを整備し、1回の入力で複数様式に自動展開します。
    • 加えて、様式・記載要領・メタデータ設計を仕様として標準化し、自治体ごとの記載揺れや独自欄をなくし、公平性と審査効率、ミス削減の両立を図ります。
  • デジタル庁・総務省と連携した技術基盤の構築
    • 行政手続標準化の共通API(GSS)に「公職選挙手続き」を追加し、住民票・税務情報と同様に各種選挙手続きをAPI経由で処理できる構造を検討します。
    • 導入に負担の少ない汎用的な業務テンプレートを整備し、予算や人材が限られる自治体でも安定的に運用できるよう配慮します。
  • 運用現場に配慮した“併存フェーズ”の設計
    • これら全てを短期間で実現するのは無理であるため、例えば「紙・電子どちらも可」とする併存期間を3年程度設けるなど、現場が無理なく移行できる設計にします。
    • 現在の印刷・審査実務を理解したうえで、電子的に編集可能・自動チェック可能な汎用フォーマットへの段階的移行を進めます。
  • 選挙運動における“紙前提の制度”も段階的に見直します
    • 証紙ビラの手貼り制度については、ビラへのシリアル番号・電子署名の一体印刷などによって、作業負担の軽減と真正性の確保を両立する仕組みへの移行を検討します。
    • あわせて、法定枚数の上限制度を、ネット媒体と紙媒体を一体で管理できる費用上限制度へと再設計することも選択肢とします。
    • その際は、電子台帳による配布管理やログ保存を組み合わせることで、透明性を担保しつつ、現場の負担軽減と制度的信頼性の両立を図ります。
    • さらに、音声読み上げ・多言語対応などのアクセシビリティ施策を拡充することで、情報の届け方そのものを多様化し、「紙が前提」となっている現行制度を超えた、誰もがアクセスできる“開かれた選挙”の実現を目指します。

5.「なめらかな税・社会保障」——物価や賃金に応じて、税と社会保障を自動で見直します

現状認識・課題分析

  • 所得の“段差”が行動をゆがめる
    • 控除額や、制度適用の基準値はなめらかではなく、「崖・壁」が多数存在。これが就労調整などの動機になっています。
  • 制度の金額がインフレに追いつかない
    • 控除・給付額、所得制限値が固定されている制度においては、2020~2024年のCPI累計上昇率6.4%に対し、実質的な手取り増加・給付価値は相対的に低下。特に低・中所得層では家計負担感が増大しています。
  • “手作業改定”が制度運用のボトルネック
    • 政策改正のたびに企業や社労士は給与ソフトや帳票を更新する必要があります。制度改定の影響も読みにくく、周知・対応コストがかさみます。
  • 制度間の一貫性が欠如
    • 年金には自動スライド機構がある一方で、基礎控除や保険料率にはそれがなく、全体設計としての整合性を欠いています。
  • 改正が政争化・属人的が進む
    • 年度ごとの財政交渉や政党間の駆け引きにより、制度の改正が遅れたり歪んだりするリスクがあります。

政策概要

  • 所得に応じた「滑らかな課税・給付」
    • 所得控除・給付・保険料率をロジスティック曲線等の連続関数で設計。制度境界による急変(崖)を排除し、合理的かつ予測可能な制度設計を実現します。
  • 指数連動の自動改定
    • 年金制度と同様、CPI・平均賃金指数に連動して各種金額(控除額・給付額・保険料率)を自動スライドさせます。
  • 公式APIの提供
    • 税額・給付額を返すAPIをOSSで公開することで、給与ソフト・年末調整・自治体システム等の自動更新を支援します。
  • 市民参加と透明性の仕組み
    • Webシミュレーターを公開し、個人・企業による新旧制度を比較可能にします。
    • ダッシュボードで負担・給付を可視化します。
    • 政策GitHubで制度のモデル仕様・ロジック・パラメータ更新履歴を公開します。

6. ロックインを防ぐ、オープンな公共調達を推進します

現状認識・課題分析

  • コスト削減の余地あり
    • 現状、国と地方自治体でそれぞれ独立してソフトウェア開発を行っていますが、オープンソースソフトウェア(OSS)の利用により、同様のシステムを個別に開発する必要がなくなり、重複する開発コストを削減できます。
    • OSSは、企業全体で約9兆ドル(約1,080兆円)の開発費を節約したとされるHarvard Business Schoolの試算もあります。
  • ベンダーロックインと競争阻害
  • 一度特定の事業者に依頼してしまうと、他の業者の参入が難しくなり、結果として効率が悪くても特定のベンダーを使い続けてしまう問題があります。
  • 公正取引委員会の実態調査は、官公庁システム調達で“同一ベンダー継続率”が高く、機能改修やバージョンアップさえ他社が請け負えない構造が競争を阻害していると指摘しています。(出典:公正取引委員会「官公庁における情報システム調達に関する実態調査
  • 英国政府の公式マニュアルでも、「新規開発コードはOSS化し、特定業者への依存を避けよ」と明記。これにより重複開発を減らし、コスト削減および健全な市場競争を促進しています。
  • “ウォーターフォール調達”が改革の足かせに
    • 現在の行政による発注で前提とする、仕様を確定 → 長期契約 → 継続的な改修作業という従来型の工程では、政策変更や技術進化に追従できません。
    • 結果として、国民が享受するサービス改善スピードも鈍化し、DX 施策の効果が見えにくいという構造課題が生じています。

政策概要

  • 「公共調達 OSS・オープン化原則」の制定
    • 税金で開発・導入するソフトウェアは OSS を原則とし、ソースコード・ドキュメントを公開します。
    • 例外領域(防衛・治安・個人情報等)は最小範囲で非公開とし、国会報告で透明性を確保することで、情報公開を進めつつ、個人情報保護、安全保障面での懸念にも対応します。
  •  “実働コード競争入札”方式への転換
    • これまで通り要求仕様書作成と予算確保は各省庁で実施するが、調達プロセスを「仕様書比較+プレゼン」から、一定要件の動作するプロトタイプを提出する方式へ改めます。
  • アジャイルな政策実装サイクルの採用
    • OSSやオープン化の推進とあわせて、調達・開発プロセス自体も柔軟かつ段階的なサイクルに移行する必要があります。以下のような柔軟な実装サイクルを制度化することで、変更が難しい高額発注やベンダーロックインのリスクを抑え、プロジェクト全体の費用対効果を高めます。
      • 小規模なMVP(最小限の機能を備えた試行版)から開発を開始し、早期に運用環境での検証を実施
      • 利用者や実務担当者からのフィードバックを集約し、短いサイクルで段階的に機能を改善
      • 成果と課題を定期的に検証し、必要に応じて横展開、見直し、あるいは中止などの判断を柔軟に行う
  • ベンダーロックイン防止ガイドラインの制定
    • データ・API・インフラのポータビリティ要件を調達仕様に明示します。
    • 公正取引委員会の調査報告を踏まえ、長期専属契約・独占的保守契約の防止条項を標準契約書に盛り込みます。

7. アジャイルガバナンスを推進します

現状認識・課題分析

  • 技術進化スピードと政策ラグのギャップが拡大
    • 生成AI は半年単位で能力が倍加する一方、法律改正は長期間の検討、審議を前提としており、法改正サイクルは追いついていません。 旧来型 PDCA だけでは社会的リスクに追従できないとOECDも警告しています。
    • 政府の「重点計画」(2024) でも“機動的で柔軟な政策形成”を最優先原則に掲げており、制度側のレガシー解消は継続的課題となっています。
  • 行政の「無謬性神話」による影響からの脱却の必要性
    • 我が国の行政には、行政は間違いを犯してはならない、現行の制度や政策は間違っていないと考える、いわゆる「無謬性神話」が存在するとの指摘があります。(アジャイル型政策形成・評価の在り方に関するワーキンググループ提言など)
    • 環境変化が速く、社会課題が複雑化・困難化する中で、「無謬性神話」にとらわれず、様々な社会課題に適時的確に対応・解決していくことが必要です。
  • 政府としても“機動的政策形成”を優先的位置付けに
  • 社会的信頼の素早い獲得と、柔軟なリスク管理の必要性が拡大
  • 国際規制競争が「待ったなし」
    • OECD の「アジャイル規制ツールキット」(2023) が加盟国に実証サンドボックスと失敗学習の制度化を推奨。今走らなければ国際標準づくりから取り残されるおそれがあります。
    • OECD は2024 年報告で、誤情報・生成 AI が民主プロセスに与える影響を指摘し、「迅速なアップデートと失敗からの学習」を各国に求めています。

政策概要

  • 失敗を許容し、データに基づき高速に学習する政策サイクルの導入
    • サンドボックス+error budget的思考の採用
      • 機動的で柔軟な見直しを行うような政策設計等ができる制度等の枠を設けます。
      • また、事前に起こりうる失敗及びその確率を検討し、問題が発生した際にそれが想定内か想定外かを踏まえて対応を検討します。
      • エラー発生時は即時原因分析→改善を検討します。
    • 「ゴール設定」→「システムデザイン」→「運用」→「評価」→「環境・リスクの再分析とゴールの再設定」という二重のサイクルの採用
      • PDCAを内包しつつ、環境分析やゴール設定の継続的な見直しを採用し、外部への透明性・アカウンタビリティを確保します。
    • EBPMの動的な実践:
      • 一時点での評価・分析にとどまるスタティックなEBPMだけでなく、状況の変化に応じて政策を見直し・実行するダイナミックなEBPMを実践する。
      • EBPM、政策評価制度、行政事業レビューの重複感や負担感を解消し、より機動的で柔軟な政策形成にリソースを割けるようにします。
    • 当事者が相互にフィードバックを行う構造
      • 事前あるいは評価時に他省庁の意見および国民からの声をフィードバックとして施策に反映する。
  • アジャイルガバナンスの基盤としてのプラットフォームの整備
    • ID、ベース・レジストリ、オープンデータ、クラウド、決済基盤などの「共通基盤」を整備をより一層推進します
    • さらにインドで採用されているIndia Stackのように、共通基盤の上に分野別・個別サービスを構築する階層構造を設け、「アプリケーション/インテグレーションの型を標準化」を推進します。

8. ルールも行政情報も、“使える公共財”へ変革します

現状認識・課題分析

  • 透明性は向上したが“使いやすさ”は発展途上
    • 日本は Open Data Inventory (ODIN) 2024 で 46 位/195 か国、総合スコア 71。公開件数は増えているものの、再利用のしやすさ(機械判読性・ライセンス明確性)の評価が伸び悩んでいることが示されています。
  • APIによるデータの提供も進んでいるが、フォーマットが省庁ごとにバラバラという課題があります。

| 主要 API | フォーマット | 認証 | 備考 | | :--- | :--- | :--- | :--- | | e-Stat 統計 API | JSON / XML | 要 API-Key | 総務省統計局 | | 法人番号 API | CSV (ZIP) | Key 不要 | 法人番号公表サイト | | 気象庁 オープンデータ | CSV / XML ほか | 利用登録制 | 気象庁データ |

  • “PDF 一択”の公開が AI 利活用を阻害
    • デジタル庁はオープンデータ基本指針で「機械可読な形式」を推奨する一方、多くの行政文書は依然 PDF で公開され、生成 AI や検索エンジンが解析しづらい現状が残っています。
    • 例えば、概算要求明細表は省庁ごとに膨大なページ数のPDFで公開され、単価レベルまで詳細に記載されているものの、横断的な検索・集計や比較が極めて困難です。
  • 法律・行財政情報のカバレッジ不足
    • e‑Laws 法令 API は XML 形式で条文を提供していますが、告示・通達・ガイドライン等が未整備で、法令体系が網羅できていません。
    • 財政情報も同様で、概算要求→予算案→執行→決算という歳出の流れが、一貫してデータで追える形にはなっていません。
  • 法整備はあるが運用が追いつかない
    • 2016 年施行の「官民データ活用推進基本法」はオープンデータ推進を義務づけましたが、地方自治体を含む実装面ではデータ標準化や API 整備が遅れています。

政策概要

  • 行政の情報をわかりやすく、参加しやすく
    • 情報公開は今でも取り組まれているが、内容が複雑、情報が分散している状況にある状況を解消するため、検索しやすく・読みやすく・選びやすい、誰でも使いやすい情報設計を実現します。さらに、AIによって利用者の属性や相談内容に応じた解説や制度案内を行い、誰にとっても“自分ごと”として理解できる行政を目指します。
    • 新しい制度や予算の使い道について、「何がうまくいって」「何がダメだったのか」見える形で定期的に公表します。
      • 特に、概算要求、予算案、執行状況、決算までの歳出情報を、XML等の機械判読が可能な形式で公開します。
    • これらを通じて、国民の皆様がより政治に参加しやすいよう基盤を整備していきます。
  • 情報公開をAPI経由で実施できるように
    • 現在の情報公開制度は書面やオンラインフォームが中心となっていますが、その選択肢を増やすと同時に、各省庁で異なるシステムやデータ形式についてAPIの標準化・一次公開の義務付けを進めます。
    • 申請コストを下げることによる情報公開請求増加に対応するため、行政側の処理負担も軽減すべく、AIによる分類・要約や処理自動化を行います。
    • ただし、これらは「セキュリティとプライバシーの確保」、「AIによる大量スパム行為」など懸念も残るので、請求回数に一定の制約を設ける、マイナンバーによる資格確認を実施する、レートリミットと行為検知でスパムを防止する等のルールを整備します。
  • 法令データの利便性向上
    • e-lawsでの法令標準 XMLスキーマに基づいた XML形式での提供、デジタル庁の提供する法令一覧や法令本文のXMLをプログラムから取得できるようにする法令 APIに加え、以下を実施するとともに、生成AIでも活用な形での情報提供を進めます。
      • 告示や通達などの法令データも整備し、より包括的な法令データベースを構築します。
      • 文の意味(例:定義語、適用条件、例外など)、法令間の参照関係や意味上のつながり(例えば「○○法第△条を準用する」)のマークアップを実現します。
      • 過去の条文の履歴や、法改正前後の差分情報を提供します。
  • 各省庁の保有する情報のAPI経由での提供
    • 現状でも官民データ活用推進基本法の成立を皮切りに、デジタル庁がオープンデータ施策を推進していますが、さらに以下を推し進めます。
      • デジタル庁ガイドライン準拠 API の徹底。
      • 現在の「公共データ利用規約」を 国際標準のCC‑BY‑4.0 相当へアップグレードします。

9.「スパゲティコード化した行政システム」を“引き算”と“整理”でわかりやすく使いやすい仕組みへ変更します

現状認識・課題分析

  • 日本の法律や制度は、時代の変化や社会課題への対応に応じて数多くの改正が重ねられてきましたが、多くの改正が都度の対応として実施されてきたために複雑化し、多くの人にとって理解が難しいものになっています。
  • 国民にとっては「自分が対象かどうかわからない」「知らないうちに法令違反をしていないか」という不安や申請断念につながり、行政の現場では「ミスの温床」「非効率な手続き」を生む要因になっています。
  • 「制度の複雑さが国民への説明や事務作業の支障になっている」という声も現場からは聞こえ、運用者・利用者の双方にとって深刻な課題となっています。

政策概要

  • 大規模言語モデル(LLM)などの自然言語処理技術をはじめとしたテクノロジーを活用し、既存制度の構造・手続き・フローを体系的に可視化・分析します。
  • 具体的には、法令・政省令・手続きフロー・ガイドライン等を解析し、制度上のルート・判断基準・申請要件を構造化するプロセスマイニングと制度マッピングを行い、冗長性や重複、理解困難な箇所を特定します。
  • その上で、対象制度に関与する省庁・自治体・実務者・受益者などの利害関係者を整理し、問題の法令を改正した場合にどの変更が誰にどう影響するかを整理します。
  • その後、特定の制度・分野で試験的にリファクタリング改正版の制度を試験的に導入し、実運用での改善点をフィードバックします。継続的な改善を繰り返しながら、本格導入の是非を評価します。

10. 電子投票・ネット投票を推進します

現状認識・課題分析

  • 深刻化する投票率低下と民主主義への懸念
    • 1990年代以降、衆議院及び参議院選挙の平均投票率は低下傾向です。
    • 投票率低下は民主主義の根幹を揺るがす深刻な課題として認識されています。
    • 国民の「社会を変えられるかもしれない」という見通しの低さが根本的な問題となっています。
    • 在外投票では、在選挙人名簿の登録人数数に対する投票率は18.23%程度(2024年衆院選時)となっており、また、全海外在住邦人を含めると、投票率は約1.68%(2024年衆院選時)と非常に低い投票率となっています。
  • 現行制度の硬直性とデジタル化の遅れ
    • 多くの行政手続きがオンライン化される過程にある一方、投票行為は紙と対面が原則のままであり、非効率さが残っている。
    • スマホで買い物・金融取引・授業の受講などを完結させる世代に、「平日や日曜にわざわざ投票所へ」はライフスタイルと完全にミスマッチしています。
  • 自治体現場の深刻な逼迫状況
    • 全国的に投票所数は減少傾向にあり(例:2022年参院選では約1,000カ所減少)、1票ずつを確認・集計する開票業務は休日・深夜を問わず続き、職員への過重負担となっています。また、手作業による開票・集計は時間がかかり、人的ミスの可能性も否定できません。
    • 特に過疎地では立会人の確保が困難化し、投票所の統廃合や受付時間の繰り上げが全国規模で進んでおり、結果として投票機会の制限が現実となっています。
    • 投票所運営・開票・集計には目立たないものの継続的な財政コストと、人材確保の困難さが伴っており、現行制度のままでは地域によっては「そもそも投票できない」リスクが急速に高まっています。
    • 在外邦人が投票する際に、事前に在外公館において在外選挙人登名簿の登録申請を行う必要があり、在外邦人のうち在外選挙人登録をした人は約8%(約10万人) 総務省 選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数となっています。
    • 在外投票の方法としては在外公館投票、郵便投票、日本国内での投票の3つの手段がありますが、島嶼部などの辺境地域に在住している場合などでは、在外公館までの距離が離れており行くことができない、郵便が投票期間内に到着しないなどの投票したくてもできない環境になっています。
  • 非常時における民主プロセス停滞の重大リスク
    • 新型コロナウイルスの流行時には、投票所での密集を避けつつ、民主的な権利行使を保障する難しさが浮き彫りになりました。従来型の紙と対面による投票方式では、感染リスクと投票機会の両立が困難です。
    • 日本は地震・台風・豪雨といった自然災害が頻発する国であり、とくに被災地では投票所の設置自体が不可能になる場合もあります。
    • 非常事態宣言や災害時であっても、民主主義を止めないための「代替手段」、すなわち柔軟かつ安全な投票方法の確保が、今後ますます不可欠となります。
  • 国民のニーズと実績
    • 期日前投票の利用は年々増加しており、有権者が「柔軟で自分に合った投票方法」を求めている傾向が強まっています。2022年参議院選挙では、期日前投票の利用率が全体の約4割に達しました。
    • マイナンバーカードの普及率は国民の約7割(2025年6月時点)に到達し、本人確認の社会インフラが着実に整っています。さらに2025年6月24日からは、iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載が開始され、スマートフォンだけで公的本人確認が完結する環境が本格的に実現しつつあります。これにより、ネット投票に不可欠な「本人確認の簡便さ」が大きく前進しました。

政策概要

  • 民主主義の入口から出口までをつなぐ
    • ネット投票という“入口の民主主義”にとどまらず、それがどのように政策決定に活かされるのかという“出口”までを一貫して可視化していくため、「デジタル民主主義」との連携を進めます。
    • 「みらい まる見え政治資金」「みらい議会」などのツール群を用いて、市民の意見の可視化・政策への反映・政治資金の透明化などを包括的に実現していきます。
    • ネット投票の導入によって政治参加が一過性で終わるのではなく、自分たちの声が確かに政策形成に届き、政治が動いている実感を持てるような新しい民主主義のあり方を目指します。
  • 段階的導入と透明な検証
    • まずは党内の意思決定など、スモールスタート可能な領域から導入を開始します。また、希望する自治体と連携し、運用コストや投票率などの指標をもとに効果・課題を検証します。
    • 投票プロセス全体(本人認証・投票・開票・集計・監査)について、第三者機関も交えた技術検証を行い、結果をすべて公開。社会的合意形成の材料とします。
  • セキュリティと信頼性
    • マイナンバーカード、スマホ搭載電子証明書、生体認証を組み合わせた多要素認証により、なりすましや不正アクセスを防止します。
    • 国外転出者(在外有権者)には、最新の法改正に基づき在外選挙人証と国外でも利用可能なマイナンバーカードを連携させた認証手段の整備を進めます。市町村選挙管理委員会から在外公館へのオンライン登録処理により交付の迅速化が進み、パスポート照合や在外公館での現地確認とあわせて不正防止を強化します。
    • 二重投票の防止や投票済み情報の管理には、各投票に固有の電子署名を付与し、改ざん不可能な形で「投票済み」と記録・照合できる仕組みの導入を検討します。すでに投票されたことが他端末にも即時共有されるため、同一人物による再投票を自動的に検知・排除できます。
    • さらに、ハッシュ値(電子的な指紋)による整合性確認と、鍵情報を安全に保管・運用するHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)を併用することで、改ざん検出と投票データの信頼性を強化します。
    • なお、懸念されるLGWAN(自治体専用ネットワーク)非接続環境の投票所や開票所でも使用できるよう、オフラインでも署名・検証・記録・送信が可能な端末設計の採用を検討し、全国で一貫したセキュリティ水準の担保を目指します。
    • また、今後の制度設計に向けては、投票済み情報をマイナンバーカードなどの電子証明書側に記録する仕組みについても検討を進め、信頼性の高い本人識別と投票履歴管理の両立を図ります。
  • 投票の自由とプライバシーの確保
    • 投票内容はすべて暗号化・匿名化され、個人情報と切り離して安全に記録されるようにし、「秘密投票」の保証を目指します。
    • 家庭や職場などでの集団投票や強制的な誘導の懸念に対しては、インターネット投票特有の対策として「再投票(上書き投票)」の可能性も含めて検討します。
    • ただし、現行の紙投票・郵便投票では再投票が制度上認められておらず、投票手段間の公平性を保つことが前提となり、さらに、再投票を許容する場合、投票済みステータスの厳密な管理や匿名性の維持など運用面での複雑性が高くなり、システム障害リスクの増加にも留意が必要となります。この点については、有識者・技術者を交えた段階的な検証を経て、制度的・技術的に現実的な形を探っていきます。
  • 公平性・アクセシビリティへの対応
    • 高齢者や障害のある方にも配慮し、音声読み上げ、フォントサイズ調整、色覚対応、キーボード操作などのアクセシビリティ機能を備えた投票画面を提供します。
    • また、候補者が多い選挙でも、検索・五十音順・政党別表示などの見せ方の工夫を通じて直感的かつ誤選択のない公平感の持てるUI設計を行います。
    • スマホを持たない人や操作に不安がある方への配慮として、紙投票との併用を基本としつつ、公的施設での操作支援やサポート窓口等による導入促進策も講じます。
  • 投票制度への信頼の再構築
    • 模擬投票体験、ユーザーインターフェースの公開テスト、コード開示(OSS化)などを通じて、国民が自ら「使って納得できる」投票体験を得られるよう設計します。

11. 開かれた国会で、暮らしも外交も止めない。

現状認識・課題分析

  • 国務大臣への"常時出席"義務による外交・政策遂行の支障
    • 特に、予算委員会や本会議初日には「全閣僚が物理的に出席すること」が慣例化し、国会日程が全ての政策活動に優先されている状況です。
    • 出席が義務化されている根拠として、憲法63条には、内閣総理大臣およびその他の国務大臣に対し、国会で答弁を求められた場合には「議院に出席しなければならない」と規定されています。
    • この「出席至上主義」は、外交や災害対応、国際交渉など政策現場へ出向く機会を制限しています。
  • 官僚の国会待機と徹夜作業の常態化
    • 国会会期中、各省庁の官僚は「質問通告がいつ来るかわからない」状態で深夜まで庁舎で待機しなければいけない事態になっています。
    • 過去のデジタル担当大臣の記者会見では、通告が「前日午後6時以降」になる割合は2.5%であるものの、これが徹夜稼働の主因となっていると言われています。
    • こうした過酷な環境での働き方も影響し、人材流出が加速。国家公務員総合職の離職率は10年で2倍以上になっています。
  • 紙・FAX文化の根強さ
    • 2022年、衆議院は会議録や官報など一部資料の紙配布を廃止しましたが、ペーパーレス率は低水準にとどまります。
    • また委員会ではタブレット端末の使用等認められつつありますが、本会議ではまだ認められていません。
  • オンライン出席の法的未整備と政治的慎重さ
    • コロナ禍においても日本の国会ではオンライン審議が正式導入されませんでした。
    • 英国・カナダ・韓国などでは「ハイブリッド型の議会」を制度化し、遠隔参加を認めています。
    • 背景には「憲法56条・63条の解釈への慎重論」があると言われています。

政策概要

  • リモート答弁や代理出席を検討
    • 閣僚が海外出張・災害現場にいる場合でも、セキュリティ面について適切な技術的検証をした上で、国会質疑にリアルタイム参加できる仕組みの導入を検討します。
    • また、欠席時は副大臣・政務官の代理答弁を認め、必要があれば答弁後24時間以内に大臣がオンラインで補足説明する形とします。
    • 憲法63条の「出席」を“物理・遠隔を問わず議長が確認可能な双方向接続”等と解釈できないかなど関係者との間で適切に議論を進めます。
  • 国会待機削減へ
    • 遅延通告があった場合は質疑時間の短縮、通告履歴の一般公開による遅延通告の可視化など適切な形で締切が守られる仕組みを導入します。
    • 答弁支援ツールを各省に配布し、徹夜対応を半減させます。
    • 短期的には、各省庁が参照できる「類似質問検索」「過去答弁検索」を実装し、答弁書の重複作成を削減します。
    • 22時以降の待機を原則在宅での作業を可能とし、答弁案はクラウド等での共有を可能にします。
    • 国会LANにVPN接続(インターネット上に仮想的な専用回線を構築し、安全にデータをやり取りすること)した職員のみ残業承認を受け取れる仕組みを構築し、深夜タクシー代と長時間残業を同時に削減します。
  • ペーパーレス国会の更なる推進
    • 全議員にタブレットを貸与し、本会議場でも使用を解禁します。原則電子媒体での交付とし、紙配布は例外時のみ許可制にします。
  • 緊急時ハイブリッド議会
    • 大規模災害・感染症流行時に限り、議員の遠隔出席と電子投票を許可する方向での検討を進めます。
    • また、議長が定足数をシステム上で確認し、結果をスクリーン表示するとともに即時公表を目指します。