4.産業
ビジョン
日本の産業は大きな転換点に直面しています。AIや量子技術をはじめとするデジタルによる変革の波が、産業構造を根底から揺さぶっているほか、脱炭素・SDGs・エシカル消費など新たな価値の軸が生まれ、国際競争条件が塗り替えられつつあります。 また、地政学的リスクの高まりにより、国際貿易の構造にも変革が訪れ、サプライチェーンのあり方にも見直しが迫られています。
さらに国内に目を向けると、人口減少・少子高齢化により、労働力の確保に困難が生じ始めています。そうした中、日本の産業が競争力を取り戻していくためには、産業構造の大幅な転換が必要です。 日本がこれまで強みを発揮してきた技術力を土台として「稼げる」産業に軸足をシフトし、世界に誇れる日本の産業を生み出すため、AIを中心とした重点分野での産業競争力強化と産業の新陳代謝を図るための官からの支援内容・体制の充実を実現します。
特にAIについては、今後の日本経済の成長のカギを握るものと位置づけ、全分野的な社会実装と効果的な利活用を推進します。なお、AIの活用は単なる効率化にとどまらず、働く人の能力を拡張し、付加価値や生産性を高めるものと位置づけています。
また、成長の恩恵を働く人々へいきわたらせることが、人々の暮らしを守ることや産業の成長の土台となる国内需要の確保にとって重要です。リスキリング支援や賃上げに向けた取り組みの推進により、生活者の収入向上、豊かさの底上げを目指します。 支援の方策については、AI・ITも活用し効率化と高度化、利便性の向上を図ることで、広く深い支援を実現し、確実な成果に結び付けていきます。
重点分野への積極投資、リソースの集中により、新たな産業の育成と今後の経済成長の種をまいていきます。特にテクノロジーを用いた社会課題の解決については、重点的な支援を行い、官民連携による生活の質向上と産業の育成の両立を図ります。 ルール形成/標準化に積極的に関与し、日本企業の国際競争力確保に資するグローバルルールの構築を目指します。国民生活の豊かさと経済成長の好循環を実現するため、経済・産業の成長が生活に還元される仕組みを作ります。
1.すべての企業のAIシフトを実現します
現状認識・課題分析
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日本企業は、生成 AI の登場により“第 3 の IT 革命”とも呼べる転換点に立たされています。しかし、2024年の帝国データバンクの調査によると生成 AI を実際に業務へ取り込んでいる企業はわずかであり、導入した企業の大半が「効果を実感できない」と答えるなど、熱気と成果の間には大きな隔たりがあるのが現状です。
- また一方で、大企業を中心に多くの経営者がAIを最優先課題と捉えながら、多くのプロジェクトが PoC(概念実証)の段階で止まり、「効果が見えない」「組織が変われない」という“PoC の墓場”に陥っているという現状もあります。
- こうした停滞の背後には深刻な人材不足があり、経済産業省の推計では、2030 年にデータ/AI 人材が約 79 万人不足する見込みとなっています。また、人材の質の面ではDX を牽引できる「AI プロダクトマネジャー」や「データエンジニア」が中小企業を中心にほとんど存在していません。
- 加えて、多くの企業では、AI活用における情報セキュリティへの懸念やAIの能力・限界に関する正しい理解が不足していることにより、AIの活用・導入をためらうケースも見られます。
- また、AI需要の増加に合わせた計算資源の確保も課題であり、データセンターの容量や電力インフラの確保が必要です。さらに企業側ではレガシーシステムが足かせとなりクラウド移行や統制が遅れ、AI 活用の前提条件が十分に整備されていないという現状があります。
政策概要
- AI導入に対する財政・税制上の支援
- 特に中小企業を中心とした企業によるAI関連投資(設備・ソフト・研修)について、特別償却または税額控除を導入することで、企業の負担感を産業全体のAIシフトを促します
- 大規模な開発については、プロジェクトの出口戦略立案や投資対効果の見積もりでの専門家派遣等の支援、またPoCから本格展開までのクラウド利用料や外部パートナー費用について、本格展開を条件に財政支援を行うことで、PoC以降の停滞を回避しつつ、AIシフトの加速を図ります。
- AI時代に対応したリスキリング支援
- AI・データ人材の不足はAIシフトの大きなボトルネックとなっています。基金創設も念頭に、AI関連のリスキリングへの支援を実施。年間100万人規模の支援を目指します。
- また、AI・データ人材以外にも、重点分野に関するリスキリング支援の強化を行います。
- 特に中小企業や地方の企業の社員を中心的に支援することで、日本の産業全体の底上げを図ります。
- AI導入時の情報管理体制構築支援
- AI活用に伴って企業が直面するセキュリティ上のリスクに対応するため、情報管理ガイドラインの策定するとともに、セキュリティ対策の実施に対する支援を提供します。
- その他:インフラ、基盤整備など
- また一方で、大企業を中心に多くの経営者がAIを最優先課題と捉えながら、多くのプロジェクトが PoC(概念実証)の段階で止まり、「効果が見えない」「組織が変われない」という“PoC の墓場”に陥っているという現状もあります。
2. AI・ITの活用により便利で効率的な産業支援を実現します
現状認識・課題分析
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日本の産業支援制度は「メニューは多いが使いにくい」という評価が定着しています。2024 年度上半期だけで 1 万件超の補助金・助成金情報が公表されましたが、プログラムごとに申請窓口や書式が異なるため、企業は「自社に合う制度を探せない」「締切に間に合わない」といった負担を抱えています。
- 海外展開支援でも同様の課題があります。JETRO は J-Bridge などのデジタルツールを導入していますが、実際の手続きはメールや PDF 書類が中心で、AI 翻訳や自動書類作成といった最新技術の活用は限定的です。特に中小企業にとって、こうした手続きは大きな負担となっています。
- また、支援の形態について、多くの場合では補助金の申請・受領でプロセスが完結しており、政府の支援が適切な成果に結びついているか、本来あるべき支援スケールだったのかという効果検証については見える化が不十分な状況にあり、課題が残ります。
政策概要
- 支援制度のデジタルワンストップ化
- 政府・自治体・JETRO の支援メニューを API で統合し、AI が企業の財務データや事業計画を解析して最適な制度を提案します。
- e-TAX やインボイスデータと連携し、申請書類の 90%以上を自動入力できる仕組みを整備します。
- 海外展開支援のフルデジタル化
- J-Bridge を拡張し、AI マッチングによる商談先リスト作成、自動翻訳、国別規制チェックを一つの画面で完結させるなど、利便性の向上を図ることで、中小企業も含めた幅広い対象の海外展開を支援します。
- 支援効果の見える化
- 各種補助金・助成金の投資額や支援効果を見える化・検証することで、支援制度の妥当性やスケールを見直し、時流に即した最適な支援制度の提供を実現します。
- 海外展開支援でも同様の課題があります。JETRO は J-Bridge などのデジタルツールを導入していますが、実際の手続きはメールや PDF 書類が中心で、AI 翻訳や自動書類作成といった最新技術の活用は限定的です。特に中小企業にとって、こうした手続きは大きな負担となっています。
3. 自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの社会実装により便利で豊かな生活を実現します
現状認識・課題分析
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ドローン配送、空飛ぶクルマ、生成 AIなど新しい技術が市場に届くスピードは年々加速しています。しかし、許認可や安全基準は「省庁ごとに細かく分かれ、改正には年単位」という従来型プロセスにとどまり、産業と規制のギャップ・摩擦が生じています。特に日本の強みである自動車産業について、昨今、EV・自動運転にシフトしてきていますが、ことさら自動運転の実装状況については、他国に大きく後れを取っている状況にあります。
- また、近年、社会課題解決に資するビジネス、ソーシャルビジネスが注目を集めています。福祉、医療、地域交通など様々な課題への解となり得るものですが、特に導入段階では市場でのマネタイズが難しく、官からの支援が不可欠です。
政策概要
- 自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの実証特区の実現
- 住民・事業者・行政・学術界が参加できるオンラインツールを整備し、実装に向けた課題感や走行ルート安全基準など具体的な内容まで踏み込んだ議論を行うことで、関係者の合意形成を図ります。
- また、特区制度自体の見直しも検討し、社会課題に対し複数のアプローチを同時に実行できる仕組みを検討します。
- 産官学・多機関連携アクセラレーターを設置し、技術実証から事業化までを一気通貫で支援する体制を整えます。
- 課題解決型ビジネスの支援
- 地域におけるデマンドタクシー、遠隔地における医療提供、単身者の見守りなど、社会課題解決に係るビジネスの実装を後押しします
- こうしたビジネスが市場で貨幣価値化しづらい社会価値を提供しているものであることを念頭に、安定的に価値に対する報酬が支払われる仕組みを設けます
- 社会課題解決に向けたビジネスを推進するため、技術進歩に合わせた法規制・保険制度の確立とデジタル基盤の確立を進めます。
4. 重点分野への選択と集中・市場環境を踏まえた柔軟な投資により、投資効果の最大化・産業の成長を実現します
現状認識・課題分析
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現状、予算措置や官民ファンドなど様々な形で産業界への財政的支援が実施されています。しかし、投資判断の遅れやスケールの不足などにより十分な成果に繋がっていないのが現状です。
- 財政支援の選択と集中を進め、適切なサイクルで見直しを行うことが賢い支出(ワイズスペンディング)の実現には不可欠です。
- また、特にAIに関しては、計算資源の確保や国産LLMの強化が課題となっています。
政策概要
- 官民ファンドの整理・見直し
- 重点分野ごとにファンドを再編・集約し、世界標準の資本規模を確保します。海外機関投資家・年金マネーを呼び込める厚いリスクマネーを形成することや、より素早い投資判断の実現を目指します。
- 効果: 投資インパクトを一段引き上げ、国際競争で埋没しない資本力を実現
- インテリジェンス・プラットフォームの共通化
- 市場動向・技術トレンド・地政学リスクをリアルタイムで集積するインテリジェンスプラットフォームを、産官学連携により整備し、将来予測や政府の投資判断の精度およびスピードの向上を図ります。
- 政府統計をはじめとする各種データを連携させ、AIも活用した分析を行うことで、経済状況を常時観測する体制を整えます。
- AI基盤の強化
- 計算資源の確保に向け、国内のデータセンター整備を一層後押しします
- 国産LLMの充実強化のため、コンソーシアムの組成と予算も含めた支援体制の充実により競争力のあるLLMの共同開発を後押しします
- 財政支援の選択と集中を進め、適切なサイクルで見直しを行うことが賢い支出(ワイズスペンディング)の実現には不可欠です。
5. 国際標準・ルールの形成を後押しすることで日本の産業の国際競争力を高めます
現状認識・課題分析
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ISO/IEC など国際標準化会合での日本人議長数は主要国に比べて少なく、専門家派遣も企業の自費任せが多い。結果、製造現場で強みを持つはずの分野でも、ルールは欧米・中国主導で決まるケースが目立つのが現状です。
- また、産業技術総合研究所(AIST)、JISC 事務局、業界団体が個別に動き、横串の戦略立案と資源配分が弱く、国を挙げての標準化策定への体制整備にも課題があります。
- カーボンフットプリント、ESG 開示、サプライチェーン・デューデリジェンスなど、成長市場を左右する“グリーン標準”は欧州が先行し、日本企業は後追い適合に追われ、競争優位の確保へルールの活用が十分になされていません。
政策概要
- AIやサステナビリティなど重要分野でのルール形成の推進
- AIの安全性確保やカーボンニュートラル、生物多様性など国際ルール形成の重要性が高い分野について、産官学横断的な体制を構築し対応することで、日本企業が競争優位を発揮できるルール/標準の整備を目指します。
- 標準化研究機関の強化
- 国内の官民標準化機能を統合し、横断戦略・資金配分をワンストップで統括の上、環境・デジタル・ヘルスなど重点10分野に専任チームを置き、国際会議への議長級人材を計画的に派遣することを目指します。
- また、財政上の支援も強化し、国際競争に挑めるルール形成機関の構築を目指します。
- また、産業技術総合研究所(AIST)、JISC 事務局、業界団体が個別に動き、横串の戦略立案と資源配分が弱く、国を挙げての標準化策定への体制整備にも課題があります。