8.福祉

※「障害の社会モデル」の考え方に基づき、「障がい」ではなく「障害」と表記しています。

ビジョン

テクノロジーの力で、支援を「探して申請する」から「自動で届く」へとアップデートします。複雑な情報の壁を取り払い、人生のあらゆるフェーズで困難にぶつかっても、誰もが必要な支援にスムーズにつながることができる社会を創ります。現場の負担をテクノロジーで減らし、人が人にしかできないケアに専念できる環境を整え、すべての人が尊厳を持って暮らせる社会を構築します。

1.テクノロジーにより、支援が必要な人に適切な福祉サービスをブッシュ型で届けます

現状認識・課題分析

  • 福祉支援の検索・申請手続きの複雑さは、福祉を必要とする人にとって致命的
    • 現状は様々な支援策が国や市区町村のサイトに散らばっていて、必要とする支援の情報にたどり着けないことがあります。物理的にも縦割りで、一つの窓口では他の支援メニューの紹介が受けられないこともあります。
    • 年齢・障害・病気によって「外に出ることが難しい」「HPやパンフレットを読んでも分からない」「窓口に行ってもたらい回しにされる」「更新手続きの期限に気付かなかった」「手続きが複雑であきらめた」などの声も聞こえます。
    • 現在の行政は、申請を待って支援を開始するスタイルですが、渦中にいる福祉を必要とする国民は役所に行き時間をかけて支援の申請をすることが難しいことが多いです。

政策概要

  • 福祉申請手続のオンライン化を推進します
    • 書面・対面義務規定の更なる見直しを実施します。各省庁と自治体のデータベースを連携させ、当事者や家族が同じ情報を毎回提出する必要をなくします。
    • また、生活保護における収入申告、特別児童扶養手当の現況届等の手続きも、スマホから可能にして利便性を向上します。
  • 必要な人に必要な情報を届ける、プッシュ型支援を実現します
    • 福祉サービスを「探す・理解する・申請する」といった一連の行動において、当事者や家族が迷わずスムーズにたどり着ける仕組みを構築します。情報の分かりにくさや複雑さが申請意欲の喪失につながる現状を踏まえ、誰もが迷わず必要な支援にアクセスできる福祉を目指します。
    • 当事者や家族の質問や状況に応じて最適な窓口や手続きをナビゲートするAIチャットボット等を導入し、迷いなく必要な情報にたどり着ける環境を整備します。
    • 本人情報やあらかじめ登録した困りごとに基づき、対象となる制度をアプリやメールで自動通知する仕組みを構築し、自身が調べに行かなくても、必要な情報が「向こうから届く」プッシュ型の政策提供を実現します。
  • AIと専門家によるハイブリッド型障害福祉相談ポータルを設置します
    • 障害のある方やご家族が抱えるあらゆる疑問や悩みに応える「AI障害福祉相談ポータル」を設置します。このポータルでは、個々の状況や障害特性に応じて利用できる公的制度や必要な手続きを、対話形式でわかりやすく案内します。プッシュ通知機能も組み合わせ、申請や手続きのし忘れを防ぎます。
    • AIが相談内容から深刻なケースや専門的な支援が必要と判断した場合には、自治体の障害福祉担当職員や相談支援専門員、医療・心理の専門家などへスムーズに接続する仕組みを構築します。自治体と国が連携し、デジタルの即時性と専門家による的確なサポートを両立させ、支援が必要な方に確実にサービスが届く体制を整えます。

2. 切れ目ない福祉支援を提供する、ワンストップデジタル福祉パスポートを実現します

現状認識・課題分析

  • 障害者や高齢者、生活困窮者など福祉サービスの利用者は、必要な支援や補助を受けるために複数の申請や証明書の提出が求められ、利用者と家族に大きな負担をかけています。
  • 役所、医療機関、療育施設、放課後等デイサービス、介護事業所、グループホームなど様々な支援機関間の情報連携は紙ベースで行われていることが多く、情報共有に時間がかかり、適切なタイミングでの支援も困難になっています。
  • また、デジタル障害者手帳の普及も進んでいるものの、依然として多くの場面で紙の手帳の提示が求められています。

政策概要

  • 障害者手帳とマイナンバーを連携し、スマートフォンアプリで福祉サービスの申請から利用まで一元管理できる「ワンストップデジタル福祉パスポート」を提供します。民間サービスとの連携もできるようにします。
  • まずは、デジタル障害者手帳の普及と、デジタルの障害者手帳を受け付ける場所の拡充を行います。
  • 福祉サービスの支給申請をオンラインで可能にし、各福祉施設での支援情報もワンストップデジタル福祉パスポートで管理できるようにします。受給者証等は、申請を元に対象者にデジタルで付与する仕組みを構築し、自治体に提供します。これにより、申請や受け取りの手間を省きます。
  • 福祉サービスの利用スケジュールや受給者証更新手続きもパスポート内で一元管理し、必要な時期にプッシュ通知でお知らせできる仕組みを提供します。

3. 障害児福祉に関する経済負担の軽減・所得制限の撤廃を進めます

現状認識・課題分析

  • 特別児童扶養手当、障害児福祉手当、障害児通所支援などの障害福祉サービスでは、所得制限が設けられています。世帯収入が一定額を超えると手当やサービスの自己負担額が急増し、結果的に可処分所得が逆転してしまうという深刻な問題が生じています。
  • これが原因で、障害児通所支援の利用を控えたり、保護者、特に母親がキャリアを中断したり就労を調整したりする(働き控え)といった状況も発生しています。
  • 障害のある子の支援・生活には必要な器具やオムツの購入等が必須であり、家庭での経済的負担が大きい中で、さらに所得制限で負担を強いられています。

政策概要

  • 特別児童扶養手当、障害児福祉手当等に加え、放課後等デイサービスの利用料等、障害児支援に関わる所得制限については撤廃を進めます。
  • 補装具や日常生活用具の給付制度についても、品目の拡充と自己負担割合の軽減、申請手続きの簡素化を図ります。

4. 障害児・者の「18歳の壁」「親なき後」対策により、当事者と保護者・きょうだいのそれぞれの希望が尊重され、自分らしい人生の選択肢を増やすための支援を行います

現状認識・課題分析

  • 障害のある子どもが特別支援学校を卒業すると、放課後等デイサービスが利用できなくなります。生活介護や作業所などのサービスを受けられるのは午後3-4時までとなり、それ以降に過ごす居場所がなくなってしまいます。そのため、本人が受けられる支援が限定的になったり、就労を望む保護者が離職せざるを得ない「18歳の壁」が大きな課題となっています。送迎サービスも限定的です。
  • また、障害のある方の保護者は「自分が亡くなった後、この子はどうなるのか」と切実な不安を抱えています。施設や人材の不足に加え、成年後見などの法的手続きも複雑で使いにくいのが現状です。その結果、ケアの責任が特定の家族や「きょうだい」に偏り、彼らが自身の人生を諦めざるを得ないという状況も発生しています。

政策概要

  • 「18歳の壁」への対応策として、夕方以降も障害のある方が安心して過ごせる居場所を新たに検討します。当事者の望む過ごし方と、希望する保護者が就労継続が実現できるよう、支援の選択肢を拡大します。

  • 例えば、生活介護や就労継続支援などのサービス提供時間を、放課後等デイサービスと同じように夕方以降まで延長できるよう、運営費の助成を行います。

  • また、ヘルパーや移動支援の充実や事業者への補助を進めます。

  • 親の高齢化や「親なき後」を見据えた支援

    • 障害のある方の保護者や支援者が亡くなった後の生活面や経済面の支援体制に関する課題、いわゆる「親なき後」問題への対策を検討します。
    • 地域のグループホームや障害者支援施設の拡充に向け、必要な財源と人材確保策も含めて検討を進めます。
    • 成年後見人制度の課題解決・活用促進、ワンストップ相談窓口の設置、ピアサポートの活用支援などを通して、障害者が安心して暮らせる環境整備を進めます。
    • 家族だけが支援を担うことを前提としない仕組みに転換し、きょうだい児が将来の生活や介護を過度に背負わされないような制度設計を目指します。子どものころから障害のあるきょうだいと向き合ってきた人の不安に寄り添い、心理的なケアや学びの場、将来設計の支援も広げていきます。

5. 福祉・介護従事者の処遇改善・テクノロジーによる業務負担軽減を推進します

現状認識・課題分析

  • 福祉・介護従事者の賃金は全産業平均よりも依然として低く、人材確保の大きな障壁となっています。 2026年に臨時報酬改定が予定されていますが、現場の実感としては、十分な改善には至っていない状況です。
  • 介護・障害福祉分野では人材不足が深刻化しており、2025年には介護職員が約38万人不足するという予測もあります。障害福祉サービスも同様で、利用者増加に対して従事者の増加が追いついていません。

政策概要

  • 障害福祉・介護従事者の処遇改善に向け、全産業平均の給与水準に近づけるため、さらなる賃上げの方策を検討します。
  • テクノロジー活用推進、福祉・介護従事者の待遇改善を目的とした基本報酬の改定の検討を進めます。
  • 生産性向上推進体制加算を拡充するほか、テクノロジー活用を標準とした新たな報酬類型を創設します。
  • 現在、施設類型を中心に進められている生産性向上推進体制加算の適用を在宅系サービスにも拡大します。
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算による賃上げ効果を向上させるため、テクノロジー活用と経営改善による利益を福祉・介護職員へ還元することに対し、インセンティブとなる制度の改定を行います。

6. 誰ひとり取り残さない福祉情報へ:情報アクセシビリティの保障と表現の工夫を行います

現状認識・課題分析

  • 行政サービスのオンライン化は進んでいますが、申請手続きや制度説明が「日本語の読解力」を前提としていることが、見過ごされがちな情報の壁となっています。
  • ろう者や難聴者、ディスレクシア(読字障害)のある方、知的障害や学習障害、発達障害の特性により文書理解が難しい方(いわゆる「グレーゾーン」)は、日本語を母語としながらも制度情報の理解に大きな困難を抱えています。
  • これらの方々は、福祉制度を必要とする機会が多い一方で、複雑な説明文や申請書類の難解さのために、制度そのものにたどり着けないリスクが高い層です。現状では、「支援を受ける以前に、情報にたどりつけない」「理解できないから申請できない」という構造が存在しています。読む力の有無が支援の可否を左右する社会は、公平な制度運用とは言えません。

政策概要

  • 福祉制度の説明・申請のすべての段階において、情報へのアクセスを保障するための表現工夫を制度化します。具体的には以下の取り組みを推進します:
    • 行政サイト、パンフレット、申請書類などに、やさしい日本語・ルビ付き文章・図解・ピクトグラムなど、複数の表現手段を併記し、誰もが制度の内容を理解しやすくします。
    • 情報発信において、ふりがな(ルビ)をつけた文章の提供を標準化し、読字に困難のある方や小学生程度の漢字力の方にも情報が届く設計にします。
    • オンライン申請や情報検索を支援するAIチャットボットに、わかりやすい言葉への変換モードや、音声読み上げ・対話型案内との連携を実装します。
    • 各自治体のポータルサイトや申請窓口に「この説明をわかりやすく読む」ボタンを常設し、すぐにやさしい表現やルビ付きのページに切り替えられる仕組みを整備します。
    • 表現整備の過程では、言語支援の専門家のみならず、実際に制度を使いにくかった当事者の声を反映させ、実効性のある「使える情報」を制作します。

制度のわかりやすさは、IT技術の課題であると同時に、言語と認知におけるアクセシビリティの課題でもあります。 自ら情報にたどりつき、内容を理解し、必要な支援につながります。 そのすべての段階を支えるやさしさと工夫が、誰ひとり取り残さない社会の基盤となります。

7. デジタル・AI活用により、障害年金・生活保護等の認定プロセスの効率化を実現、透明性と公平性を確保します

現状認識・課題分析

  • 障害年金の認定状況の調査によると、新規の不支給率が増加しています。特に精神障害は客観的指標による評価が難しく、障害等級の目安より下位等級に認定され不支給となってしまうケースがあります。
  • また、その認定に必要な書類や手続きの煩雑さから、職員の業務負荷が膨大になっています。特に生活保護業務は多様化・複雑化し、ケースワーカーの業務負担が大きく、人材確保や専門性の維持が課題となっています。

政策概要

  • AI活用により、障害年金支給判定プロセスにおける透明性と公平性を確保します
    • 障害年金の支給判定プロセスをデジタル・AIで効率化し、透明性と公平性のある判定を行える仕組みを構築します。
    • 審査の標準化を推進するほか、 AIによる認定結果や不支給事案の分析を継続的に行い、制度運用の課題や改善ポイントを可視化します。「初診日」要件の見直しや、実態に即した判定基準の改定についても検討を行います。
  • 生活保護費の算定やデータ入力作業をデジタルで効率化し、職員やケースワーカーの業務負担を削減します
    • 資産調査を電子化し、AIを導入して行うことで、職員の業務負担の削減と、迅速な支給認定手続きを実現します。
    • ケースワーカーの生活保護業務に関しても紙媒体ではなく電子化を進め、事務の効率化、データを活用しより適切な支援を提案できる仕組みを構築します。

8. 当事者や支援者の多様な声を政策形成に反映し、誰ひとり取り残さない社会を実現します

レベル1:既にある多様な声を、AIの力で整理・可視化し、誰ひとり取り残さない社会に向けた政策形成につなげます

現状認識・課題分析

  • パブリックコメント、SNS、種々の掲示板、該当インタビュー、ひいてはデモ活動など、既に大量の市民の声が存在しているにもかかわらず、それを構造的に理解し、政策に反映する仕組みは限られています。
  • 多くの重要な声が、見過ごされたり、ノイズの中に埋もれてしまう状況が続いています。
  • 障害者や生活困窮者、またその家族や支援者からも、日々さまざまな困難や要望の声がSNS、パブリックコメント、相談窓口、地域の集会などを通じて発信されています。しかし、これらの声は多様かつ膨大であるため、行政側が体系的に把握し、政策に反映する仕組みが十分に整っていません。その結果、当事者や支援者の多様な声・多様な視点を取り入れた制度改善の機会が見過ごされてしまうことも少なくありません。

政策概要

  • SNS投稿、街の声、パブコメなどから収集された意見を、AIが構造化・可視化する「ブロードリスニング」を実現します。
    • ブロードリスニングに関する詳細はこちらをご覧ください。
  • 具体的なプロダクト
    • TTTC・広聴AIなど。すでに自治体や政党で実績多数あり。
    • 描く未来: これまで聞き逃していた国民の大事な声が把握され、政治家や行政がより適切な政策判断を下す土壌が整います。

レベル2:声になっていない声を、AIの力で引き出します

現状認識・課題分析

  • 声を上げる人と、声を上げない人の間には大きな情報格差があります。特に弱い立場の人や、言語化が苦手な人の思いや生活上の不便は、従来の政治では拾われにくい構造にあります。
  • 障害者、LGBTQ+などに代表される性的マイノリティ、文化的・民族的背景、宗教、家庭環境などさまざまな理由で社会的に少数派とされる当事者は、社会の制度や仕組みから取り残されやすい傾向があります。

政策概要

  • ブロードリスニングをさらに発展させ、「AIが全国民にインタビューしてくれる」ような対話型意見抽出ツールを開発・展開します。
    • ブロードリスニングに関する詳細は「デジタル民主主義」をご覧ください。
  • 障害者や性的マイノリティなど様々な理由で社会的少数派とされる方々が、社会生活上で直面する困難を軽減し、誰もが安心して暮らせるように理解を深めるための環境整備・制度設計に繋げます。

9. テクノロジーで、障害のあるお子さんとその家族の生活を切れ目なく支援します

現状認識・課題分析

  • 障害のあるお子さんの育児は、大きな喜びがある一方で、保護者には精神的、肉体的、そして経済的に多大な負担がかかっている現状があります。
  • 現状の支援制度は存在しても、「情報が届かない」「手続きが複雑で利用しづらい」「どこに相談して良いかわからない」といった声が多く聞かれます。また、早期からの適切なアセスメントと、個々のニーズに合わせた切れ目のない支援が不可欠であるにもかかわらず、地域や機関による格差、連携不足も指摘されています。これらの課題は、保護者の就労機会の損失や社会的孤立、ひいては少子化にも影響を与えかねない深刻な問題です。
  • 例えば、発達障害などで支援が必要な子どもの保護者にとっては、療育に繋がるための健診も大きな負担です。現地での待ち時間、検査時間による時間的負担が大きい他、既に療育などの支援に繋がっていても、同じ情報を何度もヒアリングされるという課題も聞かれます。
  • また重要な前提は、ここでの政策は画一的な解決策を押し付けるのではなく、家族の自己決定を支えるものでなければなりません。具体的には、親(特に母親)が仕事をやめてケアに従事することを当然とするような前提での仕組みではいけませんし、ケアに専念されている方に対しても十分なサポートが行き届くようにしなければいけません。
  • 我々はテクノロジーの力を最大限に活用し、保護者の負担を軽減するとともに、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出す支援体制の構築を目指します。

政策概要

  • 安全かつ利用しやすいオンラインプラットフォーム「ファミリーサポートハブ(仮称)」を開発・提供

    • 全ての支援サービス・手当・助成金・施設に関する情報を一元管理します。

    • 各種手当やサービス、障害サービス受給者証の申請等の手続きをオンラインで完結。書類作成や窓口訪問の負担を軽減し、マイナンバーカードとの連携による本人確認や情報入力補助も導入します

    • 保護者の同意に基づき、医療、福祉、教育など関係機関間で、安全な情報共有やコミュニケーションを可能にします

    • 利用者の状況やニーズに基づき、AIが関連性の高い公的制度、サービス、支援団体、地域のリソースなどの社会資源をプッシュ型で提案します。手続き負担を限りなくゼロに近づけ、待ちの姿勢ではなく国が能動的に各家庭を支援する形式を目指します。

  • RTI(Response to Intervention)アプローチの導入とデジタルアセスメント基盤を確立

    • 保育・教育・療育現場において、子どもの支援に対する反応を科学的データに基づき評価し、それに応じて支援計画を柔軟に調整・最適化する「RTIアプローチ」を導入します。早期発見・早期介入を徹底し、画一的でない、真に個別化された支援を提供します。
    • 子どもの発達段階や特性を多角的に把握できる標準化されたデジタルアセスメントツールを開発・普及させます。アセスメント結果は、保護者の同意のもとセキュアに一元管理し、保護者自身も分かりやすく確認できる「デジタル成長記録」として活用します。
  • AIによる個別最適化された学びとケア

    • 児童生徒の学習データや特性に基づき、個別最適な教育支援計画(IEP)作成を補助します。
    • 個々の進捗や理解度に合わせて難易度や内容を調整するアダプティブ・ラーニング教材を提供します。
    • 支援施設におけるスケジュール管理、記録作成、報告業務などを自動化・効率化し、スタッフが直接的なケアにより多くの時間を割けるようにします。
  • 自治体が実施する乳幼児健診の効率化、機関間情報連携により保護者負担を軽減

    • 現在集団で実施されている乳幼児健診(3歳児健診等)に関して、待ち時間をなくす順番管理システムを導入し、保護者負担を減らします。
    • また、すでに療育施設など他の支援機関で支援を受けている子どもの情報を、事前にデジタルで自治体と連携できる仕組みを整備します。これにより、健診時に同じ内容を繰り返し聞かれることがなくなり、保護者・子どもの負担を減らします。
  • 遠隔医療・療育推進、遠隔モニタリングと見守り支援

    • 遠隔地に住む家族や移動が困難な子どものために、専門的な療育(言語、作業、理学療法など)、カウンセリング、医療相談などをオンラインで提供するテレヘルスを普及させます。VR/AR技術を活用した遠隔リハビリやソーシャルスキルトレーニングの可能性も追求していきます
    • 在宅や施設で医療的ケアが必要な子どもに対し、保護者の同意のもと、センサー技術やカメラを用いた遠隔モニタリングシステムを導入します。異常検知時にアラートを発するなど、介護者の負担軽減や安全確保に繋げます
  • 親の再就職支援・柔軟な働き方の推進

    • 育児・介護のために離職した親(特に母親)を対象に、キャリア相談、リスキリング(再教育)プログラム、就職あっせんなどの支援を強化します。
    • 障害のある子どもの親が働き続けやすいよう、テレワーク、フレックスタイム、短時間勤務、時差出勤などの柔軟な働き方を導入・活用する企業に対し、助成金や税制優遇措置を設ける。子どものケア(通院付き添い等)を理由とした休暇取得がしやすい企業文化の醸成も支援します。
  • レスパイトケア・専門的保育の拡充

    • 家族が休息を取るためのレスパイトケア(在宅型、施設型、短期、緊急時対応など多様な形態)の提供体制を、量的・質的に大幅に拡充します。
    • 予約や情報提供は「ファミリーサポートハブ」で効率化します。
    • 医療的ケアを含む多様なニーズに対応できる保育士や放課後児童支援員などを養成するための研修プログラムを強化し、人材を確保します。サービスの提供時間を、フルタイム勤務の親のニーズにも応えられるよう延長・柔軟化します。

10. 発達障害のある子ども、精神疾患のある方の初診予約がとりにくい課題を解決します

現状認識・課題分析

  • 自治体の実施する乳幼児健診などで発達について指摘された子どもが、児童精神科を受診したくても、初診の予約が何か月も先になってしまうことが多いです。
  • 支援を必要とする発達障害のお子さんが、日本には40万人以上いらっしゃるのに対し、発達障害の専門医は、わずか 800 人しかいません。「発達障害の専門家の外来受診」を前提に設計された制度では、外来にたどりつけずに、支援からこぼれおちてしまう方々がたくさん出てしまいます。
  • 発達障害がどれほど重いか(重症度)や、どれほど急ぐべきか(緊急度)は、ひとそれぞれです。しかし今は、患者さんたちひとりひとりが、それぞれの医療機関に電話をかけて予約するスタイルが主流となっています。これでは、本当に急いで専門家に相談しなければいけない方々に、適切なタイミングで支援を届けることができません。

政策概要

  • 乳幼児健診後、重症度や緊急度の高い方が適切な専門家へ速やかに相談できるような仕組みを、AIを活用して構築します。
  • 発達障害に対して、身近な街のお医者さん(一般小児科や内科・総合診療科)でも対応してもらえるよう、医療者の再教育や制度設計に積極的に取り組みます。専門家が遠い場合に、オンラインで気軽に相談できるような基盤も構築します。

11. 困難な状況にある子どものセーフティーネットを強化します

現状認識・課題分析

  • 家族の介護などを担うヤングケアラー問題、子どもの貧困、そして後を絶たない児童虐待の問題は、いずれも子どもたちの健やかな成長と未来を脅かす深刻な社会課題です。
  • 我々は少子化対策として目先の子どもの数を増やすことだけでなく、産まれた子どもたちとその家族が安心して暮らせる社会を作ることに向き合わなければなりません。
  • これらの問題は、家庭内だけで解決することが極めて困難でありながら、外部からの支援が届きにくいという構造的な課題を抱えています。「テクノロジーで誰も取り残さない」という党是のもと、最新技術と人の手によるきめ細やかな支援を組み合わせ、早期発見・早期対応・継続的支援を実現する強固なセーフティネットの構築が急務です。

政策概要

  • ヤングケアラーの早期発見
    • 学校や地域コミュニティにおける早期発見・把握のためのスクリーニングシステムの開発・導入を支援し、関係機関が連携できるプラットフォームを構築します。
    • オンライン相談窓口やAIチャットボット相談を設置し、専門家による心理的ケア、学習支援、家事支援サービスなどを迅速に提供できる体制を構築します。
  • 子どもの貧困対策
    • 生活困窮世帯への経済的支援強化、フードバンク活動や子ども食堂への支援、地域における見守りネットワーク強化などを通じ、貧困の世代間連鎖を断ち切るための多角的な取り組みを進めます。
    • 教育機会の完全な均等化を目指し、給付型奨学金の大幅な拡充や、AIを活用した学習支援プログラムの無償提供を推進します。
  • 児童虐待の検知AIの再構築
    • これまでの子ども家庭庁による取り組みを改めて棚卸しし、虐待検知に本当に必要なデータ項目が何かを経験値の高い職員の方へのヒアリング等から特定。誤検知の少ないAI検知システムを改めて構築します。
    • いきなり大規模に展開するのではなく、最初は既存のやり方と併用してスモールにテストを重ねることで、大きなコストをかけずに適切なシステムを作っていきます。
  • 日常的な育児不安に対応するAI育児相談窓口の設置
    • ステップ1でも説明したとおり、育児に関するあらゆる悩みや疑問に対し、24時間365日、保護者が気軽にアクセスできるAIを活用した育児相談窓口を設置します。
    • AIが初期対応を行い、一般的な情報提供やアドバイスを行うとともに、より専門的な支援が必要と判断される場合には、各自治体の保健師やケアマネージャー、医療機関などの適切な専門家や窓口へスムーズに繋ぐことで、デジタルの利便性と専門家による手厚いサポートを両立させます。
    • 利用可能な助成金制度などのお役立ち情報も提供し、いざという時に確実に頼られる存在となることを目指します。

12. ひとり親への養育費不払い問題に対応します

現状認識・課題分析

  • 日本の養育費受給状況は極めて深刻で、厚生労働省の調査によると、母子家庭で養育費を受け取っているのは約28%、父子家庭では約9%にとどまっています。背景として、養育費の取り決め率の低さや、強制執行の手続きの煩雑さが挙げられます。
  • その結果、ひとり親家庭の貧困率は約45%に達し、子どもの教育格差や生活困窮の要因となっています。

政策概要

  • 養育費取り決め率を向上させるため、公正証書や調停調書等による明文化を行政が費用面・手続き面でサポートする仕組みを導入を検討します。
  • 養育費未払いに対する罰則規定の導入の検討を進めます。
  • 強制執行の手続きの簡素化と費用軽減に向けた対策を行います。養育費回収に特化した弁護士費用の補助を検討します。
  • 養育費が支払われなかった場合の対策として、支払い義務者の給与から天引きできる制度や、一時的に一定金額の公的な立て替え制度を導入します。また、デジタルを活用した効率的な給与天引きや差し押さえ方法・手続きの検討を進めます。

13. テクノロジーで『雇うだけ』を超えていく:障害者も企業も無理なく続けられる雇用支援へ

現状認識・課題分析

  • 法定雇用率制度は、障害者雇用の推進に一定の役割を果たしてきました。多くの企業が制度に基づいて取り組みを重ねてきた一方で、「雇用率の達成」が目的化しやすい構造があることも否めません。就労後の定着や働きがいといった“その先の支援”にまで十分に光が当たらず、制度設計上も評価されにくい現状があります。
  • 就労移行支援や特別支援学校における職業訓練が、依然として紙資料の整理や手工芸などに偏っており、企業の実務で求められるスキルとの間にギャップが生まれています。AIやDXの進展に伴い、訓練内容の時代適合が急務となっています。
  • 制度の対象となる常用労働者40人以上の企業が少ない地域では、制度自体が適用されず、そもそも障害者が働く選択肢を持てない「雇用の空白地帯」が広がっています。
  • 特に中小・小規模企業では、障害者を雇いたい意欲があっても、ケアや支援を担う人材が不足しており、「支えられないから雇えない」というジレンマを抱えています。
  • この構造は、障害者の就労機会を奪うだけでなく、企業にとっても人手不足を解消するチャンスを失う結果となっています。

政策概要

  • 本人向けの業務ナビゲーションツール(ルビ付き文字・ピクトグラム・音声などを組み合わせたアプリ)を普及させ、支援者不在でも業務理解が進む環境を整備します。
  • 支援機関や特別支援学校での訓練内容が時代に即したものとなるよう、AIやデジタル教材を活用し、教育・支援者自身のスキル更新や情報アップデートを継続的に支援します。
  • 企業担当者向けのAIコーチ機能(特性ごとの支援ヒント、対応マニュアルの提案など)を開発し、初めて障害者を受け入れる企業でも対応できるよう支援します。
  • 就労支援者と企業・本人をつなぐ遠隔伴走支援システムを構築し、支援者が常駐せずとも継続的なフォローができる体制を実現します。
  • 障害者雇用の定着状況や支援の質を可視化し、「雇うこと」だけでなく「続けられる支援」を行う企業が評価される助成制度に見直します。
  • 地域の小規模企業が連携して障害者を雇用できる「シェア雇用モデル」を整備し、個社単独では難しい課題を地域ぐるみで支えられるようにします。

14. 介護テックの開発と導入に大胆に投資し、介護従事者の人手不足を解決するとともに、被介護者のQOL(生活の質)の向上を目指します

現状認識・課題分析

  • 介護事業所の約8割が人材不足を感じており、厚生労働省の推計では2026年には約25万人、2040年には約57万人の介護士が不足するとされ、深刻な状況が継続しています。このままでは介護を必要としているにもかかわらず必要な支援を受けられない「介護難民」がさらに増加する可能性が高く、介護分野の職員の業務負担軽減、生産性向上は急務となっています。
  • 介護事業所のICT導入率は低く、主な阻害要因として、導入コストの高さ、ICTスキル・業務プロセスマネジメント能力を持つ職員の不足、システムの複雑性、補助金申請の煩雑さが挙げられます。現場の介護職員の負担は増大しています。

政策提言

  • 介護産業を医療産業と同様に日本の基幹産業の1つとするべく、包括的介護テクノロジー推進戦略を策定します。
    • 2040年問題を見据え、介護テクノロジーやAIを活用した革新的なソリューションの開発と普及を加速させることが不可欠です。研究開発から現場導入までを一貫して支援する体制を構築し、スタートアップや新規参入企業への包括的な支援策を強化します。その際、介護特有のマーケット構造をベースとした戦略化を行います。
    • 研究開発への支援策は「科学技術」の項目をご参照ください。
  • テクノロジー導入支援策を拡充し、業務の負担軽減と被介護者のQOL向上に貢献します。
    • 介護テクノロジー導入支援事業による補助金や開発支援の対象を拡大するとともに、補助金上限金額の見直しや申請プロセスの簡素化を進めます。申請業務の徹底的なデジタル化と必要データの見直しにより、現場の負担を軽減します。
    • AI・ロボット活用技術の積極活用を進めます。見守りシステム、介護ロボット(移乗支援、入浴支援、排泄支援、見守り、移動支援、AIコミュニケーションロボット等)の導入を促進し、被介護者のQOL向上に貢献する他、介護従事者の負担軽減、離職率の低下に繋げます。
    • 介護ケア記録のデジタル化をベースに、そのデータを活用してAIによるリコメンドやアラートなど、ケアプランが指向する個々人の状況に応じたケアの実現と質の向上を実現するとともに、介護従事者・事業所のデータも活用することで業務全体の効率化を図り、介護従事者の負担を軽減します。
  • 介護業務のDX推進に向けた体制を強化します。
    • 介護DXを推進するための、国、地方自治体、関係団体、介護事業所、介護職員、それぞれに求められる役割の明確化と、実行のための、分析、プランニング、実行、振り返りというPDCAの各段階への資金的支援、ノウハウ提供、伴走支援策の充実とプロジェクトマネジメントの徹底を、ITシステム導入ノウハウを活用して進めます。
    • デジタル庁が進める生産性向上のダッシュボードをさらに進化させ、PDCA施策を強化するとともに、在宅系サービスのテクノロジー活用と生産性向上のためのKPI設定とその活用策を強化します。
    • 介護職員のAI・テクノロジー活用スキル向上のための体系的教育プログラムを構築し、各地域に専門人材の配置とオンボーディング研修を充実することで、推進に必要なリソース量を確保しつつ、継続的な支援体制を確保します。
  • テクノロジー活用推進・介護従事者の待遇改善を目的とした介護報酬体系の改定の検討を進めます。