6. 経済財政・社会保障

ビジョン

シンプルでフェアな税・財政・社会保障システムを構築し、現役世代に対する過度な負担を軽減するとともに、将来世代に対する責任を果たします。
財政の透明性を高めつつ、将来に向けた大胆な投資を行います。AIの加速度的発達をはじめとする不確実性を前提とした経済財政運営を行います。

1. 将来世代のために、複雑化した税・社会保障制度をシンプルでなめらかにします

  • 現状認識
    • 現在の税制・社会保障制度は、極めて複雑な状態になっており、納税者の理解・信認が損なわれているおそれがあります。例えば、以下のような課題が広く指摘されています。
      • (1) 制度間の財源転用・流用とも取れる運用により、収入と支出の対応関係や制度の持続性を理解しづらくなっています
        • 例: 協会けんぽ・組合健保から後期高齢者支援金への転用
        • 例: 基礎年金を経由した、厚生年金から国民年金への転用
      • (2) 特例措置が常態化しています。改廃の議論に多大な政治・行政コストがかかっています
        • 例: ガソリン税の暫定税率等、本来は時限的な対応として導入されたものが10年以上にわたり維持されていた
        • 例: 法人税だけでも、租税特別措置が50以上存在
      • (3) 控除額や所得制限の水準が一点で決まっているため、その境目を超えると手取りが大きく減る場合があります
        • 例: 社会保険の「130万円の壁」
      • (4) その数値も、物価や所得連動の計算式ではなく固定値で定められており、経済の変化に対応していません
      • (5) 所得制限や給付水準の多くが実質的に給与所得に紐づいているため、支援が必要な人に届かない・支援を必要としない人に給付されるといった事態が生じています
        • 例: 高額療養費の自己負担限度額
    • このような状況を放置していれば、納税者の信認・制度のメンテナンスコストの両面で、将来の不確実性に対応できないと考えます。 各々の制度には現在の負担者・受益者が多く存在するため改革は全く容易ではありませんが、わたしたち現役世代の責任で解決する必要があります。
  • 方向性
    • 将来世代の信認が得られ、今後の不確実性にも耐えられる税制・社会保障制度を目指します。その際には、以下のようなシンプルでなめらかな制度設計を志向します:
      • (1) 社会保険は制度内で収入と支出を完結できる形を目指す。 基礎年金については税方式を志向する
      • (2) 特例措置は可能な限り廃止する。恒久化すべき特例は本則化し、それ以外は原則廃止する
      • (3) 各種所得控除や給付は、「給付付き税額控除」のような、壁ができない仕組みに可能な限り一本化していく
      • (4) 所得の変化や物価の変動に対して連続的に対処できる仕組みにし、ある境目から不利な状況が生じないようにする
      • (5) 給与所得ベースの「所得」によって給付や生活困窮の度合いを捕捉するのではなく、資産も含めたきめ細かい状況に応じて手当する
    • 国民的議論を喚起し、他の政党と協力しロードマップを策定します。 2035年を目処に抜本改革の完了を目指します。

2. 現役世代の社会保険料負担を軽減し、フェアな税・社会保障制度を目指します

  • 現状認識
    • 税制・社会保障制度に対する信認の前提として、負担・受益のバランスに加えて、負担者視点での「公平感」は無視できない要素です。
    • この点、我が国の国民負担においては、主に現役世代・給与所得者に帰着する社会保険料負担率が一貫して上昇してきました。現在では給与に対して約30%(労使合計: 健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料)にまで達しています。 社会保障給付費の増大に伴い、さらなる料率の引上げが懸念されています。
    • このような負担の増大は、現役世代からの政府に対する信認が損なわれる大きなリスクであると考え、真っ先に手当すべき課題であると考えます。
  • 方向性
    • 現役世代の社会保険料負担が過度に増大しないよう、わかりやすく・広く合意できる政策目標を設定します。例えば、「社会保険料総額の伸びを国民所得の伸び以下に抑える」「標準的な子育て世代における国民負担率を◯◯%以下に抑える」といった指標が考えられます。
    • その上で、社会保障制度を支える歳入に関して、以下の方向性で抜本的な改革(歳入手法のリバランス)を行います。
      • (1) 現役世代の過度な負担を回避し、国民全体で支えられる方法を検討します。
      • (2) 加えて、入国税や非居住外国人に対する固定資産税の引上げ、等、外国人旅行者の消費税免税制度の見直し等、日本の生活者に影響の小さい歳入源の拡充も検討します。
    • 支出面では、影響が大きい方への配慮を行いながら、医療費の自己負担割合を一律3割とすることを目指します。 加えて、「医療」パートに示す制度改革、「行政改革」パートに示す行政効率化に取り組みます。
    • 同時に、「産業」「科学技術」パートに示す施策による経済成長の果実が賃上げに向かうことにより、社会保障費の伸びを上回る賃上げを目指します。

3. 成長に向けて大胆な投資を行います。投資に対する信認を得るために、財政に対する透明性・効果検証を徹底します

  • 現状認識
    • チームみらいは、将来に向けて大胆な投資を行います。 投資によって得られる付加価値を官民で再投資していくことで、複利的に我が国の富を増大させ、その果実を分配していくことを目指します。 また、2.で示す現役世代の負担軽減についても、一定規模・一定期間の財政出動が必要となります。
    • 但し、これらの効果が不十分となる場合、長期金利の上昇等を通じて、却って現役世代や将来世代の負担を増大させるリスクが存在します。加えて、1. で示す税・財政システムの抜本改革においても、一部の側面をとると課税強化・給付減少となる主体が発生し得ます。
    • このように、国家が長期投資や制度の抜本改革に対する支持を訴える以上、財政の透明性を高め、財政支出に対する効果検証を徹底し、信認を得ることが必要不可欠です。
  • 方向性
    • 徹底した議論・検証・情報公開を通じて、有権者・納税者からの財政に対する信認を高めます。
    • 具体的には、行政改革・デジタル民主主義パートに示す以下の取組を進めます。
      • (1) ブロードリスニングを通じた多様な視点の取り入れ、議論・対話の喚起
      • (2) EBPMの取組強化による、投資対効果の検証
      • (3) 公共投資の原資や使途(政治資金を含む)に関する情報公開

4. 大胆なシナリオを想定し、AIの加速的発達といった不確実な将来に備えます

  • 現状認識
    • AI等の飛躍的な技術進化や国際情勢の不安定化も相まって、将来予測が極めて難しくなっています。 このような世界における経済財政運営は、線形の予想に基づくものではなく、非線形・不確実性を前提としたものに変えていく必要があります。
    • 具体的には、「起きるかどうかわからない」「いつ起きるかわからない」「インパクトがどの程度かわからない」といった事象を想定し、複数のシナリオを構築し、前もって政策対応を検討していく必要があります。
  • 方向性
    • 経済財政運営における「シナリオプランニング」を強化し、非連続的な変化に備えます。
    • シナリオ・プランニングにおけるポイントは以下の通りです。
      • (1) AGIのような非線形な変化を勘案する
      • (2) 現状の追認や願望ではなく、悲観的な要素に強く眼を向ける。ネガティブシナリオを想定する
      • (3) 各リスクを独立した変数として捉えるのではなく、複合的リスクを加速する要素を正しく認識する
      • (4) 責任主体や処方箋の不在によって議論が避けられている重要課題、いわば"Elephant in the room"にも目を向ける

シナリオのイメージ: AGI(汎用人工知能)実現

  • ポジティブなシナリオ例:
    • 想定される社会変化
      • AGI(汎用人工知能の出現)により労働力不足が打開され、企業の生産性が大幅に向上し、現在の見通しを大きく超える経済成長が実現される。経済規模拡大により、税収が大幅に上昇する。但し、その果実は一部の層に偏る
      • ホワイトカラーに対する需要の大幅な減少が生じる。リスキリングによる労働移動には限界またはラグが生じ、数年以上に亘り労働需給の大幅なミスマッチが生じる。結果として失業率は大幅に上昇する
      • このような所得格差の拡大や失業率上昇は、社会不安や政治的対立を生む。それにより、ポピュリズム的な政治活動や反技術的なムーブメントの台頭に繋がる
      • 金利への影響は一方向ではないが、供給再度では生産コスト低下によりデフレ圧力が生じうる。一方、所得増加による需要拡大はインフレ圧力にも繋がりうる
    • 政策対応
      • 介護の現場における自動化や自動運転等、AGIによる果実を最大限に享受できるような制度設計・インフラ投資を進める
      • 所得格差の拡大に対応するため、ユニバーサル・ベーシックインカムや給付付き税額控除等、広汎なセーフティネットを導入できる土台はAGI実現前に整えておく。AGIシナリオが実際に発動したときには速やかに対処する
      • 原資は、経済成長による果実、すなわち法人税・所得税の増収によって賄う。但し、キャピタル・フライトを最小限とするよう、同様の状況にある諸外国との連携・強調を進める
      • 技術進化に伴う構造的失業に対しては、上記の再分配を旨としつつ、リ・スキリングと失業給付を組み合わせた手厚い支援を行う
  • ネガティブなシナリオ例:
    • 想定される社会変化
      • AGI(汎用人工知能の出現)によるホワイトカラー層の失業増大に対して社会変革が追いつかず、破壊的な消費減退をもたらす。それにより株価暴落・金融不安が生じる
      • 株価暴落・金融不安をきっかけに、ブロック経済化が進む。それによって更に消費が冷え込む。 また、経済やAGIにおける覇権をめぐって地政学的緊張が高まる
      • これらは強い社会不安を生み、急進的な勢力の台頭や社会分断が加速される
    • 政策対応
      • 中央銀行と連携し、迅速かつ十分な流動性供給を行う
      • 大規模かつ迅速な財政出動による需要下支えを行う。当面は、困窮者への直接給付・雇用調整助成金・住宅確保支援といった既存の支援枠組みを活用する。 並行し、給付つき税額控除やベーシックインカムについても検討を進めておく
      • AIに関する国際協調・技術管理を進め、国際的な緊張を未然に防ぐ

5. 予測困難な危機に対応できる給付システム・税制を構築します

  • 現状認識
    • 予測不可能な経済危機にあたっては、国民や中小企業に対して迅速な給付を行うべき局面が存在します。しかし、現状では「給付の事務手続きに莫大なコストや時間がかかる」といった指摘があります。
  • 方向性
    • まずはマイナンバーカードの公金受取口座登録制度の普及を進め、デジタルを活用した給付手続の簡便化・迅速化を図ります。
    • 将来的には、危機に対応した時限的・迅速な税率引き下げを可能にする仕組みなど、税制に関する対応可能性の検討も進めます。