1. 医療の有効性・重要度に応じたきめ細やかな自己負担へ
現状認識・課題分析
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我が国の医療保険制度では主に年齢と所得により個々の自己負担割合が決定され、受ける医療の内容や重症度に応じた調整は行われていません。
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そのため、保険適用の範囲においては非常に安価に医療を受けることができ、これが日本の公衆衛生上、重要な意味合いをもっていることは疑う余地がありません。
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特に、高額療養費制度は、他国のような国民の医療破産を防ぎ、現役世代の労働力保全に寄与する極めて先進的かつ人道的な制度と言えます。昨今検討されている上限額の引き上げに関する議論は、闘病中の患者に未来への不安を抱かせるものであり、一方的で拙速なものとして強く反対します。
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一方で、OECDの報告では国際的に医療費のおよそ2割が健康成果に直結していない可能性を示しており、日本でも自然治癒が見込め、重篤性の無い疾患に対しての処方や類似した検査の重複など本質的な価値に乏しい医療が発生していることは否定できません。
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2022年度に242の急性期病院を対象に行われた調査では30種を超える診療行為を健康成果に直結しない医療と定義し、それらによる医療費が同施設の医療費の0.23〜0.51%を占めるとされました。これは、同期間の医療費に単純換算すると約3,000〜7,000億円規模に達すると試算されています。
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現在、国民医療費は2022年度に46兆円を超えましたが、少子高齢化と高度医療の進展により今後も増えていくことが予想されています。そのため、医療費の増加を抑制する施策とともに医療の成果にも着目した財源配分の検討が必要です。
政策概要
- 高額医療費制度の上限の拙速な引き上げを見直します
- 中長期的には、診療行為のエビデンス、費用対効果や重症度に基づく自己負担割合の複数段階化を検討します
- 現在の健康保険法や高齢者医療確保法では、年齢による自己負担割合が言及されていますが、医療価値に応じた負担区分の段階化が可能となるよう、これらの法改正を検討します
- 現在の診療報酬システムでは、医療機関が審査支払機関に請求する診療報酬のみが設定されていますが、診療内容による自己負担割合の影響についても制度に組み込みます
- 上記の緻密な診療報酬制度を構築するため、全国医療データベース(NDB)に蓄えられた診療実績を解析し、柔軟に機動的に診療行為の有効性、費用対効果について議論するための基盤を整備します
- 制度の複雑化による医療の現場や審査機関での事務処理の複雑化を解消するための仕組みの開発および導入を支援します
- 医療機関への負担、サービスの質の低下を避けるために、電子レセプトに連携し窓口で即時に自己負担額が算出できるAI、システムの開発を支援します
- 併せて、医療DXを推進する支援の枠組みについても整備します
- これらの仕組みにより、医療の質、家計への負担を維持したまま、医療財政への負担軽減を目指します。
- この評価に基づいて、外来用医薬品の自己負担割合が段階的に設定されます
- 評価が不十分な医薬品は自己負担割合が高くなることもありますが、一方で、抗がん剤など代替の効かない医薬品については自己負担割合を0%としています
- この他にも、海外の医療制度では年齢、所得以外に診療の内容や受診経路などで自己負担割合を変化させている例があります
議論されているトピック
一定所得層の混合診療を解禁する
公的医療保険の財政維持を目的として、一定以上の所得がある層を対象に、肥満症等の慢性疾患における混合診療(公的保険と民間保険の併用)の解禁を検討する。自己負担や民間保険の活用を促すことで、公的財政の負担抑制を図る。
介護申請時に人生会議の実施を促す
本人の意向に基づかない過剰な延命治療を抑制するため、介護保険申請時や救急現場において人生会議(ACP)の実施を促進し、医療リソースの配分に本人の意思を反映させる。
公費負担医療で後発医薬品を義務化する
生活保護受給者に限定されているジェネリック医薬品の原則使用ルールを、すべての公費負担医療制度へと拡大し、義務化することを提案します。医療費の増大を抑制し、限られた医療資源を効率的に活用することが目的です。あわせて、義務化の前提となる医薬品の安定供給体制を強化し、現場の薬剤師や患者が安心して利用できる環境を整備します。
みんなからの提案(23件)
このセクションに対して寄せられた変更提案です。提案はチームみらいが検討し、採用されるとマニフェストに反映されます。
「高齢者の意思を尊重した医療提供体制への転換」という新規項目を追加し、後期高齢者において、本人の希望に反して複数の診療科で網羅的に行われる過剰な治療や、医療機関の収益を目的とした診療、および延命治療を是正する方針を盛り込む。本人が望む「痛みの緩和」や「QOLの維持」に重点を置いた医療を選択できる仕組みを構築し、不必要な検査や治療を強制されない権利を保障する。
理由: 後期高齢者において、加齢に伴う自然な身体の不調に対して全ての疾患を積極的に治療する必要はないと考え、本人の意思に反した過剰な診療や、医療機関の利益を優先した診療体制を是正し、QOL(生活の質)の維持に特化した医療を推進するため。
「現状認識・課題分析」セクションに、生活保護受給者の医療費負担に関する項目を新しく追加する。具体的には、公平性を「医療資源の適正利用と社会的コストの最小化」と定義し、一律2割負担による重症化リスクを指摘した上で、過剰受診抑制と必要受診の継続を両立させるための「1割負担」への変更を提案する文言を挿入する。
理由: 生活保護受給者の医療費負担について、一律の負担増が重症化を招くリスクを懸念しつつ、過剰受診を抑制するための現実的な解として1割負担の導入が真の公平性に資するという明確な主張があるため。
第1項「政策概要」の末尾に「物価高騰等による医薬品の採算悪化や供給停止を防ぐため、物価の変動に応じて柔軟に薬価を調整できる仕組みを導入します。これにより、製薬企業の安定供給体制を保護し、日本における新薬の早期導入(ドラッグ・ラグの解消)を維持できる環境を整備します。」という文言を追加する。
理由: 現在の日本の薬価制度が物価高に対応しておらず、一部の医薬品が「うまい棒より安い」ほど採算が取れない状況にあり、販売中止や新薬未上陸(ドラッグ・ラグ)の危機があるため。