## 2.治療成果に報いる医療アウトカム評価制度の導入
現状認識・課題分析
- 日本では医療費の約3割が、糖尿病・COPD・心不全などの慢性疾患に費やされています
- 日本では慢性疾患のアウトカム指標(HbA1c、FEV1、BNPなど)については医学的に整理がなされ、学会を中心にガイドラインの整備が進められているものの、医療制度の中で医療の質の向上を促す仕組みが十分に設計されているとは言い難い側面があります
- 現行の医療制度は行われた処置・診察の回数に応じて診療報酬が設計されており、疾患コントロールが改善したことに対するインセンティブは設計されていない
- 糖尿病や高血圧、脂質異常症などの慢性疾患の多くは重症化し、虚血性心疾患などのイベントが発生するまで、自覚症状に乏しいことも多く、患者サイドにも治療を強化し、積極的に状態をよくしようと動機づけしにくい場合がある
- 海外では、治療成果に応じて報酬が支払われる制度が導入され、一定の課題が示されつつも医療の最適化と費用削減の両立が期待されています
政策概要
- 「どれだけ診療が行われたか」だけでなく、「どれだけ良くなったか」にも報いる医療制度への転換を目指し、成果連動型の診療報酬制度を導入します
- 糖尿病、COPD、心不全など、アウトカム指標が整備され患者数・医療費規模の大きい慢性疾患の治療成果を「血糖値」「呼吸機能」「心不全マーカー」などの指標で評価します
- 治療の効果が高い医療機関に対しての報酬加算、患者に対しての還元を設計し、医療機関・患者の双方に動機づけを行ういます
- 診療データを匿名化し、全国医療データベース(NDB)で一元管理。AIを活用した公平で迅速な評価を行う仕組みを整えます
- アウトカム評価の効率化と医療現場の負担軽減のため、電子カルテの標準化、相互運用性の確保を進めます
- 診療記録や検査結果をデータ化し、治療成果を判定、成果加算が自動的に反映される仕組みを設計します
- アウトカム評価指標の提出、確認が行われることで医療機関の負担が増えないよう、民間企業と連携した電子カルテの解析システムの開発を促します
- また、電子カルテの情報連携においてセキュリティとプライバシーを確保するため、必要な法令、医療機関向け指針の整備を進めます
議論されているトピック
医療評価指標に生活の質を追加する
医療アウトカム(治療成果)を評価する際の指標として、従来の血糖値や呼吸機能といった医学的数値だけでなく、患者の生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)を正式に採用する。これにより、身体機能の維持や生活の満足度を重視した、より多角的な医療評価の実現を目指す。
医療費総額に応じ高齢者負担を変動させる
医療制度の持続可能性を確保するため、国全体の医療費総額に連動して高齢者の自己負担率を1割から3割の間で年度ごとに変動させる仕組みを導入する。あわせて、若年期からの予防医療への投資を促進し、健康管理に取り組む個人へのインセンティブを強化することで、将来的な医療費の増加を抑制する構造を構築する。
医薬品の価値評価に基づき薬価を決定する
毎年の一律的な薬価引き下げを廃止し、治療成果や臨床的意義に基づいた価値評価を薬価制度に導入する。革新的な医薬品への対価を認めることで、創薬インセンティブの確保とドラッグラグの解消を目指す。あわせて、漫然投与の見直しやOTC医薬品の活用による適正化も推進する。
みんなからの提案(9件)
このセクションに対して寄せられた変更提案です。提案はチームみらいが検討し、採用されるとマニフェストに反映されます。
「2. 治療成果に報いる医療アウトカム評価制度の導入」の政策概要に、個人の健康維持努力を直接評価するインセンティブ制度の導入について追記する。具体的には、禁煙の達成や、定期的な歯科検診・健康診断以外での医療受診が少ない者に対し、健康保険料の割引などのインセンティブを付与する枠組みを検討する旨を追加する。
理由: 安易な医療機関への受診を控えさせ、自発的な予防行動を促進することで、個人の努力が報われる社会と医療費の適正化を目指すため。
「2. 治療成果に報いる医療アウトカム評価制度の導入」の項目に、現在の診療報酬体系が「検査を増やす」「不要な入院をさせる」ことで収益を確保せざるを得ない構造になっている課題を追記する。その上で、外来での適切な管理や重症化予防の成果を評価し、不要な検査や入院を抑制する医療機関に対してインセンティブを付与する仕組みを導入する内容へ変更する。
理由: 小児科をはじめとする医療現場において、入院期間の短縮や入院回避といった質の高い医療を提供するほど医療機関が赤字になるという矛盾を解消し、過剰な診療に頼らずとも健全な経営ができる環境を整えるため。
「2. アウトカム評価について」の政策概要において、「医療機関・患者の双方に動機づけを行います」という記述の直後に、「その際、慢性疾患の特性や個々の患者の病態により治療効果が上がりづらいケースがあることを考慮し、一律の減算のような不利益が生じないよう、慎重かつ誤解のない制度設計を行います」という文言を追加する。
理由: 慢性疾患は徐々に悪化することが前提となる場合もあり、治療効果が出ないことのみを理由に減算が行われると、継続的な加療の提供が困難になるリスクがあるため。