1. 戦略的投資による先端テクノロジーの社会実装

1-1. 次世代の国際競争力を牽引する戦略技術の産業化

  • 現状分析_高い技術力と産業化の遅れ:日本は材料、ロボティクス、精密加工、再生医療、宇宙技術で世界的な技術力を保持していますが、戦略的な資本集中が欠けていたため、実用化・産業化・グローバル展開に遅れが出ています。その背景には、公的支援が技術主導で分散し、限られた財政・人材資源を「選択と集中」できていないことがあります。
  • 目指す姿_世界と競争可能な領域への集中投資:日本の有する分野の中で「技術的強み」「将来の産業競争力の鍵」「安全保障との直結」の3条件を満たす分野を明確に選定し、世界市場で圧倒的な地位を確立することを目指します。
  • 政策1_重点技術ポートフォリオの策定と開発加速:日本の強みである先端技術をバラバラに支援するのではなく、世界市場を牽引できるポテンシャルを持つ領域に資本を集中投下します。
    • ロボティクス/フィジカルAI:日本には、製造業における高度な技術力(FA、センサー技術)を基盤とし、ヒューマノイドや四足歩行ロボットなどで世界トップクラスのプレーヤーが存在しています。AIと組み合わせたロボットは介護、物流、警備など多領域で応用可能です。特に高齢化社会において、省人化・自動化は社会的課題の解決に直結します。
    • レーザー:半導体製造や精密加工(次世代EV部品、医療機器)、安全保障・防衛に不可欠な技術として投資します。
    • マテリアル:AI×マテリアルインフォマティクスの進展により高速な素材探索が可能になりつつあります。レアメタル・レアアース代替素材、半導体基板、高強度軽量素材など、産業競争力や経済安全保障に直結します。国内産業の競争力維持の観点でも不可欠な分野だと考えています。
    • 再生医療:高齢化に伴う健康寿命延伸ニーズに応え、従来医療の限界を超え、「よりよく生きる」ことを支える医療の実現を目指します。この実現のため、特にラボラトリーオートメーション(実験自動化)技術を積極的に導入・推進します。ロボットによる実験自動化は、細胞培養の効率化、新薬候補のハイスループットスクリーニング、個別化医療に繋がる治療法開発などを劇的に加速させることが期待されます。さらに、実験プロセスのクラウド化を進め、AIと連携した24時間365日稼働の自動実験プラットフォームを構築することで、世界中から実験リソースへのアクセスを可能にし、基礎科学から実用化までのスピードを飛躍的に向上させ、この分野における国際競争力を強化します。
  • 政策2_安定的資金と特区の導入:戦略技術特化型予算枠を確保し、中長期的に資源を配分します。また、宇宙×筑波、再生医療×神戸といった産業集積拠点を整備し、税制優遇、規制緩和などをセットで提供します。
  • 政策4_官民連携の推進体制:分野ごとに「技術育成ファンド・成長会議」を設置し、技術評価、ロードマップ策定、規制改革を一体的に議論します。
  • 政策5_ラボラトリーオートメーションの徹底推進:2024年開始の科学研究向けAI基盤モデル開発(TRIP-AGIS)を加速させます。24時間365日稼働の自動実験プラットフォームをクラウド化して構築し、基礎科学から実用化までのスピードを飛躍的に向上させます。

1-2. エネルギー・安全保障・国土強靭化の自律

  • 現状分析_潜在的な資源と基盤の脆弱性:日本は世界6位の広大な排他的経済水域(EEZ)を持ちながら、海洋資源(メタンハイドレート、レアアース泥等)の開発に民間投資が及びにくい状況です。また、大規模災害時の通信確保や、重要インフラ(電力、通信、金融等)へのサイバー攻撃リスクが顕在化しています。
  • 目指す姿_テクノロジーによるレジリエントな国家づくり:日本の地理的優位性と最先端の宇宙・サイバー技術を融合させ、有事や災害に強い国家基盤を構築します。尖閣諸島等の領海を守りつつ海洋資源を実用化し、核融合技術と並ぶエネルギー安全保障を確立します。また、いかなる大規模災害でも即座に機能を回復できる社会基盤を築きます。
  • 政策1_海洋探査と資源実用化の推進:ディープテック領域の中でも特に投資が届きにくい海洋資源開発において、国が主導して発掘・実用化を推進し、日本を資源国家へと導きます。
  • 政策2_宇宙・衛星コンステレーションの活用:低軌道衛星による通信網を5G以降の重要基盤と位置づけ、災害監視、気象予測、農業DX、モビリティ領域へ応用します。
  • 政策3_災害時ゼロダウン・ネットワークとサイバー防御:2030年代前半までに、大規模災害から30分以内に通信を復旧できる社会基盤を構築します。低コスト衛星やAIスペクトラム制御等を重点開発し、平時は農業DX等で収益を上げるデュアルユースモデルを導入します。重要インフラ防御を国益として強化し、日系企業の海外展開における競争優位性を高めます。

1-3. テクノロジーでインクルーシブ社会と地方創生を実現

  • 現状分析_生活現場の課題と人手不足:手話通訳者の高齢化やプライバシー保護(医療現場等での情報漏洩リスク)の課題、農業における環境負荷とコスト、介護現場の負担など、切実な社会課題が山積しています。
  • 目指す姿_科学技術が暮らしを支えるインクルーシブ社会:障害障がい、年齢、居住地に関わらず、すべての人が恩恵を受けられる社会を目指します。
  • 政策1_手話翻訳アプリの推進:ろう者・難聴者の手話を読み取り、音声・文字に変換する機能を開発します。通訳者を介さないことで、医療情報の秘匿性を守り、通訳者不足を解消します。利用者が属性(ろう者・難聴者か否か)を選択できるUIを導入します。
  • 政策2_食糧問題の解決と地方創生:乾田直播・節水灌漑(マイコスDDSR)の研究開発を促進します。水を張らない栽培で省力化・コスト削減を実現し、メタンガス抑制による環境負荷低減も両立させます。雑草管理や連作障害などの課題を克服し、持続可能な農業を地方創生の核に据えます。

1-4. ディープテックへの投資規模の拡大

  • 現状分析:日本は世界的に見ても高度な技術基盤を有する国でありながら、ディープテック領域におけるスタートアップの創出数は欧米諸国や中国と比べて依然として少ないという課題があります。民間投資の多くが比較的リスクの低い分野に集中し、ディープテック分野では資金ギャップが生じています。その結果、ディープテックに関する投資割合は全体の5〜10%程度に留まっており、特にシード〜シリーズA段階において、いわゆる「死の谷」が存在します。
    • 原因① ディープテックは研究開発型であるがゆえに、製品化までに時間がかかり、ビジネスリスクに加えて技術リスクもあるため、短期的リターンが見込みにくく、民間VCや事業会社は投資を敬遠する傾向にあります。
    • 原因② ディープテックベンチャーは、事業の特性上、研究開発に多額の先行投資が必要であり、数年間にわたり大きな赤字(いわゆる「Jカーブ」)を計上することも少なくありません。この特性が一般の事業評価と馴染まないため、資金調達の困難さに繋がっている側面があります。
    • 原因③ 初期技術の育成やPoC支援(実証)フェーズまでは一定程度整備されつつありますが、グロース以降の支援は十分ではありません。既存制度(SBIRやNEDOによるDTSU)が担保している「初期の技術育成支援」や「PoC支援」は一定充実しつつある一方で、民間投資家が入りやすくなるための仕組みや、出口戦略(事業化・スケールアップ)に向けた伴走支援はまだ不足しています
  • 政策1_ファンドの創設:スケールアップ・グローバル展開に必要な資金と支援を一体で提供するファンドを公的に創設します
    • 政府系機関を主幹とし、投資枠を確保します。ファンドには、「規制産業」「基幹技術(半導体、材料、量子等)」などを重点対象領域として設定します。
    • 官民共同投資の仕組みとして、民間のVCやCVCとの共同出資の枠組み(マッチングファンド)を検討します。例えば民間側からの投資があった際に、公的側が同額〜数倍の投資を行うことで、民間投資を誘発し、資金提供者間のリスク分散を行うとともに、公的資金のレバレッジがより効きやすい仕組みをつくります。
  • 政策2_ディープテック領域へ投資を行う投資家に対する税制優遇制度を導入:創業5年以下のディープテックベンチャーを対象として、事業者が研究開発に集中し将来の大きな成長を支援するため、10年程度の期間を目安とした法人税減免措置などを検討します。
    • 【参考】研究開発税制やオープンイノベーション促進税制、エンジェル税制がありますが、対象にVCからの投資が入っていないことや、スタートアップ自身の減税措置が不十分である点など、依然として改善の余地があります。
      • 研究開発税制の一般型では研究開発投資額の一部を、オープンイノベーション型では共同研究費の一部を算入できます。参考リンク:こちら
      • オープンイノベーション促進税制では、事業会社・国内CVCに限定し、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%を所得控除することができます。参考リンク:こちら
      • エンジェル税制では、スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行います。参考リンク:こちら

採用されたトピック

誤変換である情勢を醸成に修正する

政策文書や広報資料における「寄付文化の情勢」という表記を、本来の意図である「寄付文化の醸成」へと修正する。誤変換を放置することは文書の信頼性を損なうため、正確な用語への統一を求めるものである。この修正により、寄付を促す社会的な機運を高めるという政策の目的をより明確に伝えることが可能となる。

議論されているトピック

マイナンバーカードの民間認証開放を推進する

マイナンバーカードを高度な公開鍵認証基盤として再定義し、国際標準に準拠したAPIを整備することで、銀行や医療等の民間サービスにおけるパスワードレス認証の利用を可能にする。行政手続きに限定されていた用途を民間へ開放し、利便性とセキュリティの両立を図る。

国産クラウド基盤の確保と優先利用を推進する

外資系クラウドサービスやITプラットフォームへの過度な依存を解消するため、国産のクラウド基盤を確保し、重要インフラや機密データを扱う環境において優先的に利用する体制を構築します。これにより、データの保護と国内産業の育成、技術的な自立性の確保を目指します。

多層的な知財ガバナンス体制を構築する

次世代計算基盤の社会実装を推進し、巨大資本による技術独占を防ぐため、コア権利を国内に保持しつつ周辺権利を国内外に分散させる「5層分散知財ポートフォリオ」等のガバナンス体制を構築する。日本発の破壊的技術を国際標準として確立し、輸出産業の柱にすることを目指す。

みんなからの提案(12件)

このセクションに対して寄せられた変更提案です。提案はチームみらいが検討し、採用されるとマニフェストに反映されます。

内容の追加2026年1月27日

「1-1. 次世代の国際競争力を牽引する戦略技術の産業化」に「政策6:日本発・世界標準のデジタル認証基盤の社会実装」を新設する。マイナンバーカードを「高度な公開鍵認証基盤」と再定義し、FIDO2/WebAuthn等の国際標準に準拠したAPI整備を通じて、民間サービス(銀行・証券・医療等)へのパスワードレス認証の開放を推進する。その際、認証と番号利用を厳格に分離し、プライバシーに配慮する。

理由: 現行のマイナンバーカードが行政手続きに限定されている現状を打破し、物理的なセキュリティ性能(耐タンパ性)を活かした民間サービスのパスワードレス化を促進することで、国民の利便性向上とセキュリティ強化を同時に実現するため。

内容の追加2026年1月27日

科学技術分野の「戦略的投資による先端テクノロジーの社会実装」周辺の項目に、すべてのAIを対象とした「AIのバイアス監査義務化」および「プライバシー影響評価の法制化」の内容を追加する。

理由: AIのリスクへの懸念が高まる中、信頼性を高めることで国際標準争奪戦において日本のポジションを確保するため。

内容の追加2026年1月27日

「1-1. 戦略的投資による先端テクノロジーの社会実装」に民間宇宙開発支援と、それが若者に夢を与える教育的意義を持つことを追加する。また、「1-2. エネルギー・安全保障」に関連する項目に深海資源調査を成長投資の柱として追加し、レアメタル等の安定確保による地政学リスク低減を明記する。

理由: 地政学リスクへの対応(エネルギー・レアメタル確保)と、若者への夢の提供という二つの価値をマニフェストに反映させるため。